業務でAIの力を最大限に発揮するために #弁護士ドットコム

2025年9月25日(木)開催、「お寿司を食べながら学ぶ学生エンジニア向け勉強会~現役エンジニアが教えるAI活用術~」で登壇した、弁護士ドットコム株式会社 クラウドサイン エンジニア の辻 佳佑が登壇した際の資料です。

お寿司を食べながら学ぶ学生エンジニア向け勉強会~現役エンジニアが教えるAI活用術~
https://bengo4.connpass.com/event/365999/

セッションタイトル： 業務でAIの力を最大限に発揮するために

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Transcript

1. Bengo4.com, Inc. 業務でAIの力を 最大限に発揮するために 学生エンジニア向け勉強会 2025.09.25 辻 佳佑
2. Bengo4.com, Inc. 辻 佳佑 Keisuke Tsuji フロントエンドエンジニア 弁護士ドットコム株式会社 クラウドサイン ＜ 趣味 ＞ ボイトレ・ミシン ＜ X アカウント ＞ @t0daaay 2 自己紹介
3. AIを使った開発の実情 3
4. Bengo4.com, Inc. 4 弁護士ドットコム（株） の AI 活用状況 他にも色々
5. Bengo4.com, Inc. AI導入で何が大きく変わった？ 5
6. Bengo4.com, Inc. 6 コーディング • AIにコードを書いてもらう割合が大きく増えた ◦ モデルの性能の向上と共に任せられる範囲が一気に増えた • コードリーディングに AIを使うようになった ◦ 理解が難しいコードや専門外の分野のコードでも AIに気軽に相談・質問しな がら読み進めることができるようになった
7. Bengo4.com, Inc. 7 コーディング 結果、コードを読み書きするスピードが上がった 🚀 • AIにコードを書いてもらう割合が大きく増えた ◦ モデルの性能の向上と共に任せられる範囲が一気に増えた • コードリーディングに AIを使うようになった ◦ 理解が難しいコードや専門外の分野のコードでも AIに気軽に相談・質問しな がら読み進めることができるようになった
8. Bengo4.com, Inc. 8 コードレビュー • 人間だけではなく AIもコードレビューを実施するようになった • 生成AIを使うことでレビュアーがコードを理解する負荷が下がった
9. Bengo4.com, Inc. 9 コードレビュー • 人間だけではなく AIもコードレビューを実施するようになった • 生成AIを使うことでレビュアーがコードを理解する負荷が下がった 今まで見逃していた指摘を検知可能に 🔍
10. Bengo4.com, Inc. AIの導入で業務における生産性が 大きく向上したように見えるが... 10
11. Bengo4.com, Inc. ボトルネック がある💀 11
12. Bengo4.com, Inc. 12 ボトルネック 1. AIが生成するコードの品質の限界 2. コードレビュー
13. Bengo4.com, Inc. 13 AIが生成するコードの品質の限界 実態として以下のような出力がされる。 • バグを含んでいる • コーディング規約・スタイル違反 をする
14. Bengo4.com, Inc. 14 • AIによりコードを書く速度が上がった分、コードレ ビューの段階に至るまでのスパンが短くなった • 一方で、AIが書いたコード、AIのレビュー共にまだま だ粗があり、人間はこれまで通り、コードに問題がな いかを確認し、責任を持ってレビューする必要があ る コードレビュー
15. Bengo4.com, Inc. AIが生成するコードの品質を上げて 人間のレビュー負荷 を下げたい...🥺 15
16. AIのためのガードレール 16
17. Bengo4.com, Inc. ガードレール を引くことで 理想のコード に近づけることができる👍 17
18. Bengo4.com, Inc. 18 期待しない挙動を防ぐ ガードレール。 テストコードを始めに書いて、「RED(テスト失敗させる)→GREEN(テストが通 るよう実装)→REFACTOR」を単機能の実装ごとに繰り返す。 TDD（テスト駆動開発） • 設定したテストを通す必要があるのでバグが減る • 単機能実装ごとの小さい実装サイクルを回し続けることでAIの認知 負荷が下がる
19. Bengo4.com, Inc. 19 TDDのプロンプト例 TDD（RED → GREEN → REFACTOR）で実装を進めてください。 このTDDサイクルは単機能ごとに細かいサイクルで仕様を満たすまで回し 続けてください。 作成されたTODO リスト
20. Bengo4.com, Inc. 20 リンター コーディング規約・スタイル違反を防ぐ ガードレール。 静的解析を実行し、意図しない書き方をしていたらエラーを出す。 • コードの最大ネスト数超過を禁止する • 循環的複雑度の最大値超過を禁止する • 明示的な any を禁止する • as unknown as string のような危険な型アサーションを禁止する • ミューテーションメソッドを禁止する（ push, pop など） …など
21. Bengo4.com, Inc. 21 リンターによる AIのコードの修正例① ネスト3以上でエラーを出して修正させる。
22. Bengo4.com, Inc. 22 リンターによる AIのコードの修正例② 配列の破壊的変更を禁止して新配列を作成するよう修正させる。
23. Bengo4.com, Inc. 23 https://speakerdeck.com/bengo4com/20250704-cloudsign-aitool TDDとリンターについて、詳しく以下のスライドで紹介
24. Bengo4.com, Inc. DEMO 24
25. AIをより便利に使う 25
26. Bengo4.com, Inc. 26 AIコーディングで遭遇するシーン① • ライブラリの使い方を事前に調べて実装して欲しい • ブラウザ上で挙動確認して欲しい • Figmaのデザインを確認して実装して欲しい • コードレビューのコメントを見て修正して欲しい
27. Bengo4.com, Inc. 27 解決策 👉 MCPサーバー Model Context Protocol (MCP) に基づいて構築されたサーバー で、AIモデルと外部のシステムやサービスをつなぐ仲介役 のような存 在。 通常、AIは単体では限られた情報しか扱えないが、MCPサーバーを 介することで、様々な外部リソースと統一的に接続できる。
28. Bengo4.com, Inc. 28 様々なMCPサーバー ライブラリの使い方を事前に調べて実装して欲しい 👉 Context7 MCP ブラウザ上で挙動確認して欲しい 👉 Playwright MCP Figmaのデザインを確認して実装して欲しい 👉 Figma の Dev Mode MCP コードレビューのコメントを見て修正して欲しい 👉 GitHub MCP Server
29. Bengo4.com, Inc. DEMO 29
30. Bengo4.com, Inc. 30 MCPサーバーを作る MCPのSDKを使えば、MCPサーバーを自分で作ることが可能。 https://github.com/modelcontextprotocol
31. Bengo4.com, Inc. 31 クラウドサインでの MCPサーバー作成事例 • GitLabと接続するMCPサーバー • esaと接続するMCPサーバー • JIRAと接続するMCPサーバー • 自社デザインシステムと接続するMCPサーバー
32. Bengo4.com, Inc. 32 https://speakerdeck.com/bengo4com/20250702-cloudsign-mcp MCPサーバーの作り方について、詳しく以下のスライドで紹介
33. Bengo4.com, Inc. 33 AIコーディングで遭遇するシーン② • 仕様を実現するためのプロンプト入力が難しい ◦ 仕様を満たすために、事前に必要なタスクの整理が必要だけど大変 ◦ 指示の粒度はどの大きさが適切なのか判断しづらい • AIが会話内容を忘れ始める ◦ 会話が長くなるとAIの記憶が薄れてしまう ◦ コンテキスト長上限超過し、会話履歴が自動圧縮されてしまう
34. Bengo4.com, Inc. 34 解決策 👉 SDD（仕様駆動開発） 「要件 → 設計 → タスク」 へ段階的に仕様を落とし込み、それに従って実装 を進める手法。 SDD実行ツールは、仕様の逸脱を防ぐガードレール とコンテキスト長の超過 を考慮せず実装可能な仕組み を提供する。 ツール例: Kiro, GitHub Spec Kit, Spec Workflow MCP, cc-sdd など ⚠既存の設計に乗るだけの小さいタスクには不向き
35. Bengo4.com, Inc. 35 SDDのワークフロー ⚠承認は人間が実施
36. Bengo4.com, Inc. 36 例: Spec Workflow MCP（要件） プロンプトからAIが要件を定義する
37. Bengo4.com, Inc. 37 例: Spec Workflow MCP（設計） 要件からAIが設計を定義する
38. Bengo4.com, Inc. 38 例: Spec Workflow MCP（タスク） タスクの進捗状況が管理可能 設計からAIがタスクを定義する
39. Bengo4.com, Inc. 39 https://creators.bengo4.com/entry/2025/09/03/080000 SDDについて、詳しく以下のブログで紹介
40. まとめ 40
41. Bengo4.com, Inc. 41 まとめ AIで業務を効率化していくためには、メンテナビリティを意識した高品質コードを出力して あげる必要がある。そのためには、 TDD、リンターなどを駆使して、 適切なガードレール を整備、適用していく ことが重要。 MCPサーバーを使い、 AIモデルが外部のシステムと通信することで、できることの幅を 広げることができる 。また、MCPサーバーは自作することも可能。 SDDを実行するツールによって、 仕様の逸脱を防いだり、コンテキスト長の超過をあま り気にせずに実装可能 になる。
42. Bengo4.com, Inc. 42 おわりに 業務に耐えうるAIの使い方を話した一方で、気軽にバイブコーディングの経験を多く積む ことも大事。 AIの提案から様々な知見を得て、自身を成長させることができる。 また、バイブコーディングを通じて 現状のAIの限界を感覚として身につけておくことで、 AIに任せられるか任せられないかの判断ができるようになる ことも大事。
43. Bengo4.com, Inc. ありがとうございました