Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

AIエージェントにも人間にも優しく。Findy Team+におけるコードベースの改善

AIエージェントにも人間にも優しく。Findy Team+におけるコードベースの改善

本発表は、AIエージェントと人間が共創する時代に向け、ファインディの「Findy Team+」で実践しているコードベースの改善事例を紹介するものです。
AIの性能は既存コードの品質に大きく依存するため 、その価値を最大化するにはコードベースの最適化が不可欠です。本資料では、モジュール境界の強制、ドキュメントの充実、コーディング規約の統一など7つの観点から、AIと開発者の双方にとってフレンドリーな開発環境を構築する具体的な手法を解説します。

【この資料で発表したイベント】

- ぶっちゃけどう使ってる?フロントエンド開発のAI活用リアルLT (Findy Freelance)

【著者について】

- Portfolio: bicstone.me
- X: @bicstone_me

© 2025 Oishi Takanori

Avatar for おおいし

おおいし

August 27, 2025
Tweet

More Decks by おおいし

Other Decks in Technology

Transcript

  1. © Findy Inc. 2 @bicstone_me ⼤⽯ 貴則 OISHI Takanori 登壇者紹介

    • SaaSが⼤好きなWebエンジニア • TypeScript / Ruby / PHP / Python / Dart • Certified ScrumMaster ® Certified ScrumMaster® is a certification mark of Scrum Alliance, Inc. Any unauthorized use is strictly prohibited. @oishi.takanori @bicstone
  2. © 2024 Findy Inc. 挑戦するエンジニアの プラットフォームをつくる。 ビジョン つくる⼈がもっとかがやけば、 世界はきっと豊かになる。 経営理念

    会社概要 会社名 ファインディ株式会社 / Findy Inc. 代表取締役 ⼭⽥ 裕⼀朗 設⽴ 2014 年 2 ⽉ ※ 本格的な事業開始は2016年7⽉ 社員数 340名(2025年6⽉1⽇時点) 資本⾦ 18 億 5,043 万円 ※ 資本準備⾦含む 住所 東京都品川区大崎1-2-2 アートヴィレッジ大崎セントラルタワー 5階 事業許可番号 13-ユ-308478 サービス ‧ スカウト型リクルーティングサービス「Findy」 ‧ ハイスキルな業務委託エンジニア紹介サービス「Findy Freelance」 ‧ エンジニア組織⽀援SaaS「Findy Team+」 ‧ 開発ツールに特化したレビューサイト「Findy Tools」 投資家 グローバル‧ブレイン、ユナイテッド、SMBCベンチャーキャピタル、KDDI、JA三 井リース、みずほキャピタル、博報堂DYベンチャーズ、Carbide Ventures、等
  3. © Findy Inc. 7 現在利⽤しているAIツールの事例 ツール 主な⽤途 GitHub Copilot /

    Claude Code / Cline コード⽣成‧補完、AIエージェント Cursor / Kiro / Junie AI搭載のコードエディタ‧AIエージェント OpenAI API / Anthropic API (Claude Code) 対話によるコード⽣成‧デバッグ‧相談‧壁打ち‧AIエージェント ChatGPT / Claude / Gemini / NotebookLM 情報検索、情報収集、壁打ち、アイデア出し、要約、翻訳、リサーチ Devin / jules 要件定義からデプロイまでを⾃律的に⾏うAIエージェント Notion AI / Figma AI 情報検索、要約⽣成、議事録作成、レタッチ
  4. © Findy Inc. 10 MCP Server の活⽤ • 2025年からMCPを活⽤して既存のナレッジをAIフレンドリーにす ることで、開発の加速を実現

    • ファインディ社内でMCP Serverを活⽤している事例 ◦ 社内ドキュメントツールと連携し、コンテキストを与える ◦ Figmaと連携し、デザインからコードを起こす ◦ GitHubと連携し、レビューコメントから傾向を分析 ◦ Sentryと連携し、コードベースからエラーの原因を特定 ◦ など…
  5. © Findy Inc. 12 既存のコードベースを最適化する必要性 • AIはコンテキストを基に学習して提案を⾏う性質 ◦ 効果は既存のコードベースの品質と関連している •

    既存のコードベースを最適化することで、価値を最⼤源に発揮す ることが可能 ◦ AIと⼈による開発者が共創する時代において、共にフレンド リーなコードベースにするための最適化が必要 ➔ 7つの観点からファインディ内部で最適化した事例を紹介
  6. © Findy Inc. 13 モジュール境界の強制とNxを活⽤したCIの改善 • Team+ではNxを活⽤した100以上のモノレポ構成としている ◦ 差分CI/CD‧テストを可能にし開発⽣産性の向上が⽬的 ◦

    モジュールが循環参照しないようにESLintで制限 • AIにおいても⼤きなメリットがあった ◦ nx mcpを導⼊し、Typecheckやテストの実⾏が⾼速化 ◦ 影響範囲が明確でコンテキストを削減でき、精度が向上 ➔ AIエージェントのコンテキストを減らすことで精度向上
  7. © Findy Inc. 14 Git hooks を活⽤したガイドレールの導⼊ • Git hooks

    を活⽤することで最低限の品質を確保 ◦ 指定のタスクランナーが成功しないとコミットできなくする ◦ 無駄なCIの実⾏を抑え、AIに修正のヒントを与えられる • GIt hooksにある程度時間がかかることを許容する ◦ ⼈が作業すると時間がかかって不便だがAIエージェント前提 ではむしろスピードアップに繋がる ➔ ローカルでのガイドレールを導⼊し品質やスピードを向上
  8. © Findy Inc. 15 ドキュメンテーションの充実 • 規約‧アーキテクチャなどをテキストで⽤意 ◦ これらをリポジトリ内に保存しておくことで、コンテキスト として参照される

    • ナレッジが分散したり古かったりすると、AIの精度が低下 • 特にAPIドキュメント(Open API, GraphQLスキーマ)は必須 • MCP Serverを活⽤して、さらなるコンテキスト取得に期待 ➔ プロジェクトに応じた精度の⾼いアウトプットが実現
  9. © Findy Inc. 16 カスタムインストラクション • AIにコンテキストやルールを教えるための設定 ◦ .github/copilot-instructions.md CLAUDE.md

    .claude など • リポジトリにコミットして関係者全員で共有 • プロンプトで指定せずともAIが事前情報として読み込まれる ◦ 使う開発者側は意識する必要なし • ドメイン知識、コーディング規約などを設定 ➔ プロンプトで指⽰不要になり安定したアウトプットが実現
  10. © Findy Inc. 17 統⼀されたコーディング規約 • 既存コードベースの命名規則やロジックを統⼀ • AIのアウトプットに⼀貫性が⽣まれる ◦

    AIが既存のコードベースを⾒つけられやすくなる ◦ 既存のコードベースを再利⽤しやすくなる ◦ ファイルや実装の探索が迅速になる ◦ 曖昧なプロンプトでも理解されやすくなる ➔ 既存と⼀貫性を持ったアウトプットが実現
  11. © Findy Inc. 18 不要なドキュメント‧コードの削除 • 不要なコードベースはなるべく早く削除する • AIが不要なコードベースも同じく把握してしまう ◦

    これらの情報がコンテキストとして参照される ◦ これらの情報を元に出⼒されてしまうことがある • ⼈間にとっても古いコードベースは混乱の元 • リファクタを積極的に⾏うことでこれらを回避可能 ➔ 新鮮なコードベースを元にしたアウトプットが実現
  12. © Findy Inc. 19 プロンプトを記録 • 成功事例‧失敗事例問わずに使ったプロンプトを社内に記録 ◦ Pull requestやドキュメントなどに記録

    • プロンプトがわかるメリット ◦ レビュアーが変更内容とプロンプトの⼀致を確認可能 • プロンプトが残るメリット ◦ 機能追加や修正時にプロンプトを使い回すことが可能 ➔ 社内への知⾒の積み上げが実現
  13. © Findy Inc. 21 まとめ • AIは⽇々進化を続けており、様々なアプローチが登場 • ⾃律的にタスクを遂⾏する「エージェントAI」が台頭 •

    AIの精度を上げるために既存のコードベースの最適化が必要 • とにかく試すことで、知⾒を積み上げ今後のAIの進化に備える