コミュニティが失敗する13のパターン

コミュニティが失敗する 13のパターン Commune Community Lab所長黒田悠介

コミュニティはなぜ失敗するのか？

コミュニティが失敗する原因は大別すると4種類

4つの失敗パターン計画・設計実行・結
果メンバー接点企業内部運営上の機能不全心理的な断絶戦略上の誤謬組織的な摩擦

組織的な摩擦

KPIのミスマッチによる間違ったアクション概要分析コミュニティの成功をリード数や直接売上といった伝統的で短期的なマーケティング指標で測定しようと固執し、コミュニティの健全性や長期的な価値を示す真の指標を無視することです。間違ったKPI（例：エンゲージメント率ではなく会員数、NPSではなく売上）を設定することは、コミュニティマネージャーに不健全な行動（例：質の低いメンバーの大量獲得）を強いることに
なり、最終的にコミュニティを衰退させます。 📈 1

ROIが出せずコストセンター化概要分析コミュニティは健全でエンゲージメントも高いものの、チームがこの健全性を具体的な事業成果に結びつけることができず、結果としてROIのないコストセンターと見なされてしまう状態です。コミュニティチームは、経営陣からの「それで、何になるのか？」という問いに答えられなければなりません。これには、コミュニティ活動をLTV、サポートコスト削減、イノベーションと
いった事業目標に結びつける、洗練された測定戦略が必要です。 🕳️ 2

組織から孤立し連携が取れない状態概要分析コミュニティが、製品開発、カスタマーサポート、営業といった他の事業部門から切り離され、孤立して運営されている状態です。顧客の声が部署間で共有されず埋もれてしまいます。コミュニティの価値は、そのインサイトとエネルギーが組織全体に浸透することで最大化されます。顧客からのフィードバックは製品ロードマップに反映されるべきであり、ユーザーが生成した
解決策はカスタマーサポートを補強すべきです。 ⚙️ 3

戦略上の誤謬

コミュニティを取引チャネルと誤認概要分析コミュニティを直接的な販売、リードジェネレーション、あるいは一方的なブランドメッセージングのための新しいチャネルとして扱ってしまう。メンバーは「しつこくセールスを行う」といった行為をコミュニティ的な関係性に対する違反と見なします。この行動は、短期的な直接収益へのプレッシャーによって引き起こされます。
💰 4

メンバーを引き寄せる求心力の欠如概要分析コミュニティが存在し続けるための魅力的で持続可能な理由を確立できない失敗です。コミュニティがメンバーを長期的に惹きつけ続けるためには、強力な「求心力」が必要不可欠です。製品単体を中心に構築され、より広範なテーマ、共通の関心を欠いたコミュニティは、初期の目新しさが薄れると失敗に終わることがあります。運営者はコミュニティを維持するためだけに常に
新しいイベントやコンテンツを投入し続ける「自転車操業」に。 💨 5

時間とリソースの過小評価概要分析健全なコミュニティを構築するために必要な時間とリソースを根本的に過小評価することです。これは、短期的な成果が見られない場合に長期的なコミットメントが欠如し、「社内の理解が得られずフェードアウト」する現象につながります。
コミュニティは金融投資のように時間をかけて複利的に価値を増す資産であり、短期的なキャンペーンではありません。短期的なKPIが達成されないと、経営陣は施策の価値を疑問視し、リソースを引き上げ、コミュニティが衰退することも。 ⏳ 6

運営上の機能不全

ゴーストタウン化による負の連鎖概要分析これは多くの場合、他の失敗の兆候です。弱いコンセプト（求心力の欠如）、不十分なオンボーディング、あるいは企業がメンバーを参加者ではなく聴衆として扱っていることなどが原因です。低エンゲージメントがさらなる低エンゲージメントを生む「マイナスの連鎖」
。コミュニティの主要なユーザーアクションが反復可能で価値あるものでなければ、コミュニティは死に至る。この「コアサイクル」の導入は欠かせません。 👻 7

新規メンバーへのオンボーディングの不足概要分析新規メンバーは参加するものの、迷いや圧倒感を感じたり、既存メンバーの輪に入り込めなかったりするため、すぐに非アクティブになります。コミュニティが新参者を効果的に統合できていない状態です。明確なオンボーディングの道筋（歓迎、自己紹介の促進、参加方法のガイド、既存メンバーやコミュマネからの積極的な働きか
け）がなければ、新参者は活性化しません。「参加」したからといって「参画」できたことにはならないのです。 🚪 8

運営者への過度な依存による属人化概要分析コミュニティのエネルギーと活動が、完全に一人のコミュニティマネージャーや少数の運営チームの努力に依存している状態です。彼らが止まれば、コミュニティも止まってしまいます。運営者が「ホスト」から「ファシリテーター」への移行に失敗したケース。メンバーに権限を委譲し、互いに助け合うよう促す代わりに、すべてのイベントを運営し、すべての質問に答えるな
ど、自分で抱え込んでしまいます。「自走」とは程遠い状態。 👑 9

いつものメンバーという同質性と停滞概要分析コミュニティが「いつものメンバー」だけが交流する閉じたループになってしまう状態です。多様性を阻害し、部外者にとって排他的な雰囲気を作り出し、最終的には退屈と衰退につながります。コミュニティの後期段階における運営上の失敗です。新規メンバーの統合が不十分であることや、コンセプトが狭すぎてコアグル
ープによって完全に「解き明かされて」しまったことなどが原因となり得ます。コミュニティが進化に失敗しているのです。 🔒 10

心理的な断絶

アイデンティティと所属感醸成の失敗概要分析個人の集団として存在するだけで、共有されたアイデンティティを持つつながりが生まれていない状態です。メンバーは所属感や安心感を感じていません。「所属感」は人間の根源的な動機です。それは共有体験、相互支援、信頼、共有されたアイデンティティの感覚の上に成り立ちます。機能的な側面（Q&A、情報提供）にのみ焦点を当て、感情
的・関係的な側面を軽視すると、この点で失敗します。 💔 11

ソーシャルプルーフの不誠実な利用の露呈概要分析報酬を支払って得た推薦文や、ファンではないインフルエンサーを起用するなど、操作的な戦術によってエンゲージメントや信頼をカサ増ししようとすることで、信頼性を損なってしまうケースです。ソーシャルプルーフ（社会的証明）とは、人々が他者の行動を参考にして自身の行動を決定する強力な心理現象です。それがイン
センティブなどで操作されると、賢明な消費者はそれを見抜いてしまいます。メンバーを過度な報酬で集めることも同様です。 🤥 12

メンバーをお客様扱いして受動的にさせる概要分析企業とそのスタッフが、コミュニティメンバーをエンパワーすべきパートナーとしてではなく、奉仕すべき従来の顧客として扱ってしまうことです。コミュニティはメンバーが貢献者、リーダー、そして共創者になることを奨励すべきです。良質なサービスは重要ですが、メンバーを「お客様」として扱うことは、彼らを受動的で受け身の役割に置いてしまいます。これ
は階層構造を生み出し、彼らがその場に対するオーナーシップ（自分の場として認識）を持つのを妨げます。 💁 13

まとめ

コミュニティの失敗は予測可能＆予防可能

参考記事

コミューンのご紹介

Communeの紹介

自己紹介コミュニティ研究家。コミューンコミュニティラボ所長としてコミューン株式会社に参画。問いでつながるコミュニティ「議論メシ」を主宰。コミュニティ論『コミュニティシフト』及びキャリア論『ライフピボット』を出版。以前は経営者、キャリアアドバイザー、フリーランス研究家、ディスカッションパートナーを経験。コミュニティ論とキャリア論を発信し続けている、メガネ ×ハンチング×ボウズ。黒田悠介

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Yusuke Kuroda

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