コントラスト関数とは多様体上の非対称な距離2乗型関数で,統計モデル上ではダイバージェンス(または相対エントロピーとも呼ばれる)の概念を含むものである.コントラスト関数からは(擬)リーマン計量と互いに双対的な捩れのないアファイン接続が誘導される. プレ・コントラスト関数は量子情報幾何学や非保存系統計学の幾何学理論を構成することを動機として導入されたものである.直感的には方向に依存する非対称な距離型関数である. 本講演ではコントラスト関数と,それを構成するために有用なアファインはめ込みの理論を概観したのち,プレ・コントラスト関数の幾何学やアファイン分布論を解説する.