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トレードオフを乗り越えて - 民間企業におけるセキュリティ対策の一例

トレードオフを乗り越えて - 民間企業におけるセキュリティ対策の一例

「ガートナー セキュリティ&リスク・マネジメント サミット 2018」で発表された資料です。

gree_tech

April 12, 2019
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Transcript

  1. Agenda 1. はじめに 2. これまでの振り返り a. "時代区分" をしてみる 3. 各時代における

    "トレードオフ" あるある a. 導入期:ひととおりはできているはずなのに b. 安定期:ひととおりは経験したはずなのに c. 再定義期:新たなゲームのルールは直ちに適用される 4. まとめ a. トレードオフは乗り越えるものなのか、乗り越えられるものなのか b. Adopt, Transform, Scale. いかに適応、変革、拡張すべきか トレードオフを乗り越えて - 民間企業におけるセキュリティ対策の一例
  2. Introduction 奥村 祐則 グリー株式会社 開発本部 セキュリティ部 部長 GREE-IRT POC 社歴6年くらい

    セキュリティ専任では1人目の社員 おおよそセキュリティとつく仕事はなんでも 社会人歴は17年くらい なんだかんだでセキュリティばっかりやってる(エ ンジニア、コンサル、監査、CSIRT, etc…) 登壇/メディア掲載歴 Internet Week 2014, myNavi, NCAシーサート ワークショップ, Akamai Edge Japan 2017, 情報 セキュリティマネジメントフォーラム など (NY times, AERA, 広報しながわ) スピーカー自己紹介
  3. 社名 : グリー株式会社 代表者 : 代表取締役会長兼社長 田中 良和 設立 :

    2004年12月7日 資本金 : 23億3400万円(2017年6月末現在) 事業内容: ゲーム事業、ライブエンターテインメント事業、メディア事業、広告事業、投資事業 従業員数: 1,429人(グループ全体・2018年3月末現在) 売上高 : 65,369百万円(グループ全体・2017年6月期) 営業利益: 7,997百万円(グループ全体・ 2017年6月期) 会社概要
  4. モバイルゲーム事業(グループ会社) 7 消滅都市2 戦姫絶唱シンフォギア XD UNLIMITED ららマジ AKB48 ステージファイター2 バトルフェスティバル

    株式会社Wright Flyer Studios 株式会社ポケラボ 武器よさらば SINoALICE ダンまち ~メモリア・フレーゼ~ アナザーエデン 時空を超える猫 LibraryCross∞ (ライブラリー クロスインフィニット) ぷちぐるラブライブ!
  5. Confidential Copyright © GREE, Inc. All Rights Reserved. "時代区分"をしてみる 2012

    2013 2014 2015 2016 2017 1.黎明期 2.導入期 3.安定期 4.再定義期 グリー セキュリティ年表 1. 黎明期:セキュリティ荒野が広がる混沌の時代 2. 導入期:山積するセキュリティ課題に対処した初期の時代 3. 安定期:表面上は平穏が保たれていた時代 4. 再定義期:大幅にセキュリティを見直した時代 2018 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12
  6. Confidential Copyright © GREE, Inc. All Rights Reserved. "時代区分"を定義する 2012

    2013 2014 2015 2016 2017 1. 黎明 期 2.導入期 3.安定期 4.再定義期 グリー セキュリティ年表 1. 黎明期:セキュリティ荒野が広がる混沌の時代 2. 導入期:山積するセキュリティ課題に対処した初期の時代 3. 安定期:表面上は平穏が保たれていた時代 4. 再定義期:大幅にセキュリティを見直した時代 2018 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12
  7. 時代背景、状況 • 会社は急成長も業績は天井を打 つ • 組織的なセキュリティ体制はな い • 多くの従業員はセキュリティを 気にしていない

    • 個々人の温度感やスキルの違い が大きく、各所でのセキュリテ ィレベルが違う 黎明期 - セキュリティ荒野広がる混沌の時代
  8. Confidential Copyright © GREE, Inc. All Rights Reserved. "時代区分"を定義する 2012

    2013 2014 2015 2016 2017 1. 黎明 期 2.導入期 3.安定期 4.再定義期 グリー セキュリティ年表 1. 黎明期:セキュリティ荒野が広がる混沌の時代 2. 導入期:山積するセキュリティ課題に対処した初期の時代 3. 安定期:表面上は平穏が保たれていた時代 4. 再定義期:大幅にセキュリティを見直した時代 2018 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12
  9. 時代背景、状況 • 業績が下降に転じる • 組織的なセキュリティ体制が徐 々に形になってくる • 従業員にセキュリティ意識が浸 透してくる •

    可視化が進み各所で課題が顕在 化してくる 導入期 - 山積するセキュリティ課題に対処した初期の時代
  10. Confidential Copyright © GREE, Inc. All Rights Reserved. "時代区分"を定義する 2012

    2013 2014 2015 2016 2017 1. 黎明 期 2.導入期 3.安定期 4.再定義期 グリー セキュリティ年表 1. 黎明期:セキュリティ荒野が広がる混沌の時代 2. 導入期:山積するセキュリティ課題に対処した初期の時代 3. 安定期:表面上は平穏が保たれていた時代 4. 再定義期:大幅にセキュリティを見直した時代 2018 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12
  11. 時代背景、状況 • 業績の低迷が長期化 • ISMS認証(ISO/IEC 27001)を取 得し組織的なセキュリティ体制 が形になる • 従業員にセキュリティ意識が浸

    透 • 一定のレベルまではセキュリテ ィ対策が行われた雰囲気に 安定期 - 表面上は平穏が保たれていた時代
  12. Confidential Copyright © GREE, Inc. All Rights Reserved. "時代区分"を定義する 2012

    2013 2014 2015 2016 2017 1. 黎明 期 2.導入期 3.安定期 4.再定義期 グリー セキュリティ年表 1. 黎明期:セキュリティ荒野が広がる混沌の時代 2. 導入期:山積するセキュリティ課題に対処した初期の時代 3. 安定期:表面上は平穏が保たれていた時代 4. 再定義期:大幅にセキュリティを見直した時代 2018 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12 1-6 7-12
  13. 時代背景、状況 • 業績が下降に転じる • 組織的なセキュリティ体制が徐 々に形になってくる • 従業員にセキュリティ意識が浸 透してくる •

    可視化が進み各所で課題が顕在 化してくる 導入期 - 山積するセキュリティ課題に対処した初期の時代
  14. ありがち“トレードオフ” • 質的にも、量的にも人員が不足 し、どう組織を強化していくか が悩ましい ゴール設定、アプローチ • 千里の道も一歩から ◦ 特効薬はないものと心得る

    ◦ 持続可能性を意識する ◦ 一歩一歩現場での経験値を上げ ていく ◦ 組織が機能し成熟するには時間 がかかる • どうにかして人員を確保する ◦ セキュリティ未経験者歓迎 ◦ 兼務でも御の字 ◦ プロジェクト化、ワーキンググ ループ化、バーチャル組織化す ることで人を巻き込む 導入期 - 山積するセキュリティ課題に対処した初期の時代
  15. ありがち“トレードオフ” • 課題・問題が多過ぎて「あちら を立てればこちらが立たず」が 頻発 ゴール設定、アプローチ • 全方位作戦を避ける ◦ オフィスとサービス

    ◦ ポリシーとインプリ ◦ 技術と非技術 • プロジェクト化 ◦ ゴール明確に ◦ 先送りせずフェーズ化する ◦ スモールスタート、スモールゴ ールを積み重ねる 導入期 - 山積するセキュリティ課題に対処した初期の時代
  16. 時代背景、状況 • 業績の低迷が長期化 • ISMS認証を取得し組織的なセ キュリティ体制が形になる • 従業員にセキュリティ意識が浸 透 •

    一定のレベルまではセキュリテ ィ対策が行われた雰囲気に 安定期 - 表面上は平穏が保たれていた時代
  17. ありがちな“トレードオフ” • 予算は減るけど、セキュリティ レベルは下げないでくれ ◦ 前例踏襲 ◦ 昨年並み ◦ 現状維持

    ゴール設定、アプローチ • セキュリティ機能を1つの部門 に集約 ◦ ワンストップサービス • コスト減らしながらも現状維持 は死守 ◦ 効率化、削減といったキーワー ドで組織的に業務改善 ◦ ベンダさんとの飽くなき単価交 渉、工数圧縮交渉 安定期 - 表面上は平穏が保たれていた時代
  18. ありがちな“トレードオフ” • 緊急だが重要でない・重要だが 緊急でない ◦ 緊急案件は減ってくる ◦ 重要案件は積みあがっていく ゴール設定、アプローチ •

    現状維持は後退の始まり ◦ 脅威は待ってくれない ◦ テクノロジーも進化していく • 緊急でない、を疑う ◦ 転ばぬ先の杖 ◦ 事後対応を準備するのも立派な 対策 安定期 - 表面上は平穏が保たれていた時代
  19. ありがちな“トレードオフ” • インシデント対応はトレードオ フの連続 ◦ 火消しか、調査か、公表か、次 の手は、専門家呼ぶか、etc.... ◦ 最悪の状況は、被害は、再発し ないのか、etc....

    ゴール設定、アプローチ • もっと準備しておけば、という 後悔の念を抱きつつも、コント ロールできることにフォーカス ◦ まずはインシデントをコントロ ール下に置く ◦ イニシアティブを失わないよう に ◦ 期限は先に自分で切る • 初動の72時間はとても大事 ◦ その後の継続可能性も大事 再定義期 - 大幅にセキュリティを見直した時代
  20. ありがちな“トレードオフ” • インシデント後の活動、過去の 資産・遺産を活かすか捨てるか • 再発防止をどこまでやるか ゴール設定、アプローチ • 一夜にしてルールが変わったこ とを認識する

    ◦ 過去のしがらみ、歴史的経緯を 覆すチャンス • 鉄は熱いうちに打て ◦ 平時に戻る前に ◦ 再発防止終わるまでは平時では ない 再定義期 - 大幅にセキュリティを見直した時代
  21. 情報セキュリティは 終わりなき戦い • 日々の運用を大事に する • 継続可能性、再現可 能性が大事 • アジリティを保つ

    現状維持=後退と肝 に銘じる • × 単なる先送り • ◦ フェーズ分け いかに適応、変革、拡張すべきか スケールする組織を目指 す • SPOF減らしていく • スケールするルール を策定する ◦ 承認制より届出制 ◦ 集中管理より権限移 譲