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ハノーファーメッセ2025で見た生成AI活用ユースケース.pdf

 ハノーファーメッセ2025で見た生成AI活用ユースケース.pdf

2025年ハノーファーメッセで見た製造業における生成AI活用の最新事例を紹介。Siemens、Schneider Electric、BECKOFF、SAP、AWSなど各社のAIユースケースから、エンジニアリング高速化、エネルギー最適化、予知保全、サプライチェーン自律化まで幅広く解説。さらにMCP・A2Aなど次世代プロトコルの産業界への実装可能性と、自己修復型生産ラインなど未来の製造業の姿を展望します。

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濱田孝治

October 22, 2025
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  1. 2 濱田孝治(ハマコー) 製造ビジネステクノロジー部 スマートファクトリーチーム マネージャー (2017年9月入社) ブログ, SNS • 「クラスメソッド

    濱田」で検索 • はてなブックマーク累計 約15,000個 • Xアカウント:@hamako9999 コミュニティ運営 • JAWS-UG コンテナ支部運営 • Grafana Meetup Co-organizer, Grafana Champion AWS認定関連 • 取得済みAWS認定:SAP, DOP, DBS, SOA, SAA, DVA, SCS, CLF, AIF, MLA, MLS • AWS APN Ambassador 2020 執筆書籍 • みんなのAWS • SoftwareDesign 2022年11月号 コンテナ特集
  2. 熟練エンジニアが、オートメーション設計プラ ットフォーム「TIA Portal」上で、自然言語 (日本語)を使い「コンベアAからコンベアBへ 部品を移送するラダーコードを生成して」と指 示。 Industrial Copilotが数秒でコードを生成し、さ らに「このコードに、部品が落下した場合の安 全停止シーケンスを追加して」と依頼すると、

    即座に修正案を提示 。 これにより、従来数時間かかっていたプログラ ミング作業が数分に短縮。 26 Siemens AIユースケース 生成AIによるエンジニアリングの高速化 生成AIによるエンジニアリングの高速化 ref:https://www.siemens.com/global/en/company/insights/unlocking-the-power-of-generative-ai-siemens-industrial-copilot.html
  3. 高速で流れてくる形状が不揃いな部品 を、ロボットアームがピッキングする デモ。 AIビジョンシステムがコントローラー 上でリアルタイムに部品の形状と向き を認識し、最適な掴み方を瞬時に判 断・実行。 クラウドとの通信遅延がないため、サ イクルタイムを従来比で30%向上。 31

    BECKOFF AIユースケース コントローラー上で完結するAIビジョン制御 コントローラー上で完結するAIビジョン制御 https://www.beckhoff.com/en-us/company/news/multimedia-ai-and-automation-hannover-messe-press-preview.html
  4. SAPのビジネスAI「Joule」が、地政学リスクに関 するニュースフィードと、輸送遅延データをリアル タイムで分析。 「主要サプライヤーA社の拠点がある地域で大規模 ストライキが発生。部品Bの納入が7日間遅延する可 能性85%」と警告 。 さらに、「代替サプライヤーとしてC社とD社を推 奨。C社に切り替えた場合の追加コストと、生産計 画への影響シミュレーションはこちらです」と、具

    体的な代替案と影響分析を提示 。 管理者がワンクリックで代替案を承認すると、関連 する発注や生産計画が自動で更新。 35 SAP AIユースケース 生成AIによるサプライチェーン寸断リスクの自律的回避 サプライチェーン寸断リスクの自律的回避 https://go4.events.sap.com/hannovermesse/en_us/home.html
  5. AWS IoT Coreで世界中の工場から設備データを収集。 AWS IoT TwinMakerで作成したデジタルツイン上で、 設備の稼働状況を可視化。Amazon Lookout for Equipment(AI異常検知サービス)が、センサーデー

    タの僅かな異常パターンを学習。 「3日以内にコンプレッサーC-102のベアリングが故 障する兆候を検知」とアラートを出し、自動でメンテ ナンスチームに通知。 40 AWS AIユースケース IoTとデジタルツインによるリモート監視と異常検知 IoTとデジタルツインによるリモート監視と異常検知 https://aws.amazon.com/jp/blogs/industries/experience-the-future-of-smart-manufacturing-at-hannover-messe-2024/
  6. 47 The Industrial AI Podcast Colin Masson https://open.spotify.com/episode/1akdmbHfJHOMPu2ohktiRq MCPとA2Aは、現場での活用に最適 か?

    要約:MCPとA2Aプロトコルが工場デー タの活用に革新をもたらす可能性につい て議論。Anthropicがオープンソースとし てリリースしたMCPは、産業機器データ のコンテキスト化を可能にし、それをAIと 接続。GoogleのA2A拡張機能は複数の AIエージェント間の連携を実現します。
  7. 48 MCPとA2Aについて MCP(Model Context Protocol) • AIモデルやエージェントが外部データソース・ツールと接続するための オープンスタンダード • 「AIのUSBポート」とも呼ばれる標準化されたインターフェース

    • AIとツール・データ間の接続を単純化し、M×N統合問題を解決 A2A(Agent2Agent Protocol) • 異なるAIエージェント間の通信・協調を可能にするオープンスタンダー ド • Googleが提唱した、ベンダーに依存しない相互運用可能なプロトコル • エージェント間の自律的な協調をサポート
  8. 49 OPC UA, UNS, MCP, A2Aの関係 •UNS(Unified Namespace):OPC UAの上に構築され、 個々の機械と直接通信する必要なく、工場内の機械とその能力

    (温度、圧力、流量など)を整理するレイヤー •MCP:AIエージェントがUNSに簡単に接続できるようにする プロトコル(OPC UAとも直接通信可能) •A2A:複数のAIエージェントが互いに通信し、MCPを通じて アクセスしたデータやツールを使ってタスクを調整するための 拡張機能
  9. 53 ユースケース①:自己修復型生産ライン 従来の課題: 設備故障は事後対応が基本で、早期発見で きても人間の判断と介入が必要 新たな可能性: •UNS: 全ての機器からのセンサーデータを統合し、リア ルタイムで異常パターンを検出 •MCP:

    AIエージェントが過去の故障履歴と現在のデー タを分析し、問題を診断 •A2A: 保守エージェントが部品調達エージェントと連携、 自動的に部品発注・ロボット修理指示 具体例:自動車組立ラインの溶接ロボットが振動異常を 示した場合、AIが原因を特定(ベアリング劣化)し、部 品在庫を確認、最適なメンテナンス時間を計算、必要に 応じて代替生産ルートを確保しながら、次のシフト変更 時に自動修理ロボットが対応する一連の流れが人間の介 入なく実行される。
  10. 54 ユースケース②:動的需要応答型サプライチェーン 従来の課題: 需要変動への対応は遅く、在庫過多や 欠品リスクが高い 新たな可能性: •UNS: ERPデータ、市場データ、生産能力データを 統合 •MCP:

    AI需要予測エージェントが外部データ(天 候、イベント、SNS)にアクセスして需要の急変を 予測 •A2A: 需要予測エージェントが生産計画エージェン ト、サプライヤーエージェント、物流エージェント と連携 具体例: 食品メーカーでは、大型スポーツイベント 前のSNS分析から特定商品の需要急増を予測。AIが 自動的に原材料発注を調整し、サプライヤーAIと納 期交渉、生産ラインのスケジュール再構成、物流ル ートの最適化を実施。これにより売上機会損失を防 ぎつつ、過剰在庫リスクを軽減。