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フレーズテーブルを用いた教師なし用語対訳抽出手法の比較

 フレーズテーブルを用いた教師なし用語対訳抽出手法の比較

井手上 雅迪, 山本 和英, 内山 将夫, 隅田 英一郎. フレーズテーブルを用いた教師なし用語対訳抽出手法の比較. 言語処理学会第17回年次大会, pp.178-181 (2011.3)

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  1. フレーズテーブルを用いた 教師なし用語対訳抽出手法の比較 井手上 雅迪 山本 和英 内山 将夫 隅田 英一郎

    長岡技術科学大学 電気系 情報通信研究機構 MASTAR プロジェクト † † † ‡ ‡ ‡
  2. 関連研究 2 対訳コーパスの利用  (Itagaki et al., 2007) はフレーズテーブルから 専門用語対訳を抽出

     フレーズテーブルは対訳の間違いを含んでい るので、分類器を学習させて間違いを除去 既存辞書の利用  要素合成法 (外池ら, 2007)  構成要素の訳語を辞書から獲得し連結 → 学習のための正解データが必要 → 対訳辞書が必要
  3. 尺度 Score F 5 正しい用語対訳を獲得するために 3つの尺度を使用 Fisher's exact test 対訳の信頼性

    Score L 対数尤度比 (Log­likelihood Ratio) 構成要素同士の対応の強さ Score C C­Value 用語が安定して出現する度合い
  4. Fisher's exact test (Score_F) : 対訳の信頼性 (Howard et al., 2007)

    は Fisher's exact test による有意性検定により、フレー ズテーブルから信頼性の低い対訳対 を除去 信頼性の高い用語対訳候補である 程、正しい用語対訳である可能性が 高いと仮定 Score F 6
  5. Fisher's exact test (Score_F) C(J,E) C(J)-C(J,E) C(J) C(E)-C(J,E) N-C(J)-C(E)+C(J,E) N-C(J)

    C(E) N-C(E) N N 対訳文数 C(J) 日本語側に J を含む対訳文数 C(E) 英語側に E を含む対訳文数 C(J,E) J と E を含む対訳文数 用語対訳候補 において T J , E
  6. 構成要素の対応 Moses (Koehn et al., 2007) による各語対応情報 各構成要素の対応の強さ → 構成要素

    の同士が対訳文内でよく対応するか 8 訳語対内の対応 対訳文内 の対応
  7. Score_L 語対応の集合 対応がない構成要素の集合 J1, e2 J1, e1 A j ,e

    J3, e2 e3 J2 9 用語対訳候補 の対応例 T J , E A c 構成要素の対応毎に対応の強さを加算 (NULL) φ と対応
  8. j_k と e_l に対応がある対訳文数+α j_k と e_l が出現する対訳文数+2α c に対応がない対訳文数+α

    c が出現する対訳文数+2α Score_L T_{J,E} が出現した場合の j_k と e_l の対応の強さ 構成要素 c とφと の対応の強さ 10
  9. C­Value ( Score_C ) (Frantzi and Ananiadou, 1996) は入れ子構造 を持ったコロケーションを抽出するために

    C­Value を提案 用語対訳候補の両言語側ともC­Valueでの 順位が高ければ、用語対訳である可能性が 高いと仮定 Score C : 用語が安定して出現する度合い カラー デニム パンツ (C­Value = 6.34) カラー デニム (2.0) デニム パンツ (60.33) 11 Score C = Average( 日本語側の順位, 英語側の順位 )
  10. C­Value (Score_C) |T| : 用語の構成要素数 n(T) : 用語の出現頻度 t(T) :

    T を部分文字列として含む用語の延べ語数 c(T) : T を部分文字列として含む用語の異なり語数 ( カラーデニムパンツ,color denim pants ) = Score C 2732753 2 =1513
  11. 用語対訳抽出に適した計数 チェック 柄 が アクセント に なっ た カラー デニム

    パンツ です 。 日本語用語候補 カラーデニムパンツ デニムパンツ 「デニムパンツ」が「カラーデニム パンツ」の部分文字列として出現 用語単体で使用されていない と考え、出現頻度を数えない 英語側についても部分文字列を考慮し、 Score_F と Score_L に適用 12
  12. フレーズテーブルからパターンマッチで 抽出した用語対訳候補数 : 22,543 対 日英対訳コーパス (アパレル分野) : 約6万文対 実験と対訳精度評価

    上位 1,000 対を用語対訳として抽出 A : 対訳として正しい A' : 文脈に依存する B : 部分的に正しい C : 対訳として正しくない 対訳精度評価基準 抽出した用語対訳から 無作為に100対を選び、 人手による対訳精度の 評価を行った。 13
  13. 対訳精度 A A' B C Score_F 43 25 24 8

    Score_L 77 5 18 0 Score_C 78 6 14 2 Score'_F 71 18 8 3 Score'_L 79 4 17 0 Score_FLC 87 2 11 0 ※ アポストロフィのついた尺度名は部分文字列を考慮したもの フレーズテーブルから教師なしで 翻訳精度の高い用語対訳を抽出 14
  14. 各尺度によって抽出された 用語対訳の特長 出現頻度 構成要素数 Score'_F 高い 少ない Score'_L 高い 多い

    Score_C 低い 多い それぞれで異なる性質の用語対訳を抽出 17 用語対訳候補の 出現頻度が高い 構成要素同士の 強い対応を 多く持っている 構成要素数が 2以上でC­Value が高い 各尺度で抽出された用語対訳は…… Score'_F Score'_L Score_C
  15. 部分文字列を考慮した 計数方法の効果 リング coloring 効果がある場合の例 間違った対訳 : Score_F : 35位

    Score'_F : 21,676位 …カラーリングがシンプル… … coloring is simple… 形態素解析 カラー/リング Score_F は リング と coloring が同時に出現したと見なす。 悪影響を与える場合の例 スリーブ sleeve 正しい対訳 : Score_F : 749位 Score'_F : 5,433位 両言語とも部分文字列として出現しやすい → 頻度低下 18
  16. Score_C Score'_L Score'_F 各尺度の統合 仮定: 各尺度の性質を持った用語対訳は高精度である 用語対訳候補 Score FLC 順位の平均

    で用語対訳候補を再度順位付け Score FLC 最も対訳精度の良い用語対訳を抽出した 各尺度を計算 19