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Will social prescribing take hold around the wo...

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November 21, 2025

Will social prescribing take hold around the world? - A perspective from England

2025年11月1日に第40回日本国際保健医療学会学術大会の自由集会で使用したファイルを、閲覧しやすいよう編集しました。「社会的処方」という言葉をほとんど聞いたことのない方を対象としています。薬を処方するのではなく、個人と社会とのつながりによって、健康を改善、あるいは維持するシステムについて、現在のイングランドの状況を踏まえてご説明しました。
より理解を深めたい方は、下記の研究会へのご参加をご検討ください。

【第16回多文化医療研究会】
テーマ:日本の社会的処方、戦略討論~臨床医療・公衆衛生・医療人類学の立場から~
公式ウェブサイト:https://culturalhealth.org/forum20251219/
日時:2025年12月19日 (金) 19:30~22:00 (JST)
場所:オンライン
申込期限:2025年12月13日 (土) 24:00 (JST)
参加申込:https://forms.gle/Yv7gKyJLHF4CtgBK8
参加費:一般1000円 / 会員無料
主催:一般社団法人多文化医療研究所

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Rei Kansaku

November 21, 2025
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Transcript

  1. 本日の内容 • 自己紹介 • 社会的処方とは何か • 英国の医療システム • イングランドにおける社会的処方の歴史と現状 •

    イングランドの社会的処方の課題 • 社会的処方を世界に広げるために:イングランドと日本の違い • 全体討論 第40回 日本国際保健医療学会学術大会 (2025) 2
  2. 自己紹介 (ポジショナリティ) 第40回 日本国際保健医療学会学術大会 (2025) 臨床医療 国際保健・ 公衆衛生 医療 人類学

    一社 多文化医療研究所 合同会社 うるはし 地方国立大学 医学部卒 外科専門医・循環器専門医 家庭医見習い (寿町・在宅診療・僻地診療) 東洋医学・旅行医学 順天堂 公衆衛生 非常勤助教 国際保健アドバイザー 元 JICA 国際保健専門員 KRC 技術顧問 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン (UCL) 医療人類学 修士 (旅・食・人・農業・弓道) <Point> 私はこのようなバイアスを 持っています (バイアスに関する西洋医学 との考え方の違い) 3
  3. 社会的処方とは何か • 取り敢えずの理解:「薬の処方」ではなく、「社会との関わり」に よって健康を改善・維持すること NHS England. n.d.“Social Prescribing Link Workers.”

    • 深掘りした理解:専門家の間でも統一見解はない Muhl, C., et al. 2023. BMJ Open 13 (7): e070184. <Point> 日本では、ソーシャルワーカー (病院・診療所・保健所) が担当する部分が多く、地域包括ケ アのなかで発達してきたが、最近は、医療よりも地域とのつながりに焦点を当てることが多い。 第40回 日本国際保健医療学会学術大会 (2025) 5
  4. イングランドの公的医療サービス (NHS) • NHS England • Integrated Community Care (ICC)

    • PCN (Primary Care Network): いくつかのエリアの GP を統括する組織 • GP (General Practitioner): 公的医療サービスを受ける場合は、所属する GP を経由。医師、 看護師、薬剤師、事務などのスタッフを抱える診療所。 第40回 日本国際保健医療学会学術大会 (2025) 7 <Point> イングランドの医療は GP を中心としている
  5. イングランドにおける社会的処方の歴史 • 患者と医療者側、双方のニーズにより、100年ほど前から、各地 域で自然発生 • 文献的には、“Social Prescribing” という用語を最初に使った のは、Bromley by

    Bow Centre という、東ロンドンのコミュニ ティーセンター Bromley by Bow Centre. n.d. “25 Years of Social Prescribing.” 第40回 日本国際保健医療学会学術大会 (2025) Bertotti, Marcello. 2024. Springer International Publishing 9 <Point> 「社会的処方」という用語はイングランドから始まったが 同様の動きは日本を含む世界各地で存在するので イングランドを模倣するのが最適解かは不明
  6. イングランドで社会的処方に関わる組織 NHS (公的サービス) • NHS England • Integrated Community Care

    (ICC) • PCN (Primary Care Network): いくつかのエ リアの GP を統括する組織 • GP (General Practitioner): 公的医療サービ スを受ける場合は、所属する GP を経由。医師、 看護師、薬剤師、事務などのスタッフを抱える 診療所。 民間 + 半官半民 • National Academy for Social Prescribing (NASP): 国の補助を受けている.統括的ポジ ション. • National Association of Link Workers (NALW): 労働組合に近い • Social Prescribing Network (SPN): 英国外 ともつながり • NGOs 第40回 日本国際保健医療学会学術大会 (2025) 11 <Point> イングランドの社会的処方は GP 経由だが、実際の社会的処方の担い手としては、 民間が期待されている
  7. NASP による社会的処方の説明 第40回 日本国際保健医療学会学術大会 (2025) 12 <ジャッキーへの処方例> ・ 62歳、女性 ・うつ病で約6年間ほとんど家から出られず

    ・娘の死後、症状悪化 ・心臓発作をきっかけに、医師の診察を受け、ソー シャルプレスクライバー (SP) による介入開始。 ・SPは運動や刺繍などの地域活動を紹介 ・ジャッキーは活動には参加しなかったが、SPとの交 流で症状改善 NASP. 2023. “Link Worker Induction: Jackie’s Story.” SPの仕事は、公営住宅申請支援や、借金の返済方 法をアドバイスしたりすることにまで及ぶ NASP 2023. “Social Prescribing Link Worker Induction Guide. <Point> SP の仕事は、物理的な面と、心理的な面がある。
  8. イングランドにおける社会的処方の教育システム • NALW: 有料の研修を提供していたが,現在は連絡が取れない • NHS England: ウェブサイトに仕事の概要を記載 • 個人と社会を結びつける

    • 困っている人々をエンパワーする • コミュニティを発展させる • 安全性と効果を確保する • NASP: NHS England の情報をサポートする資料を提供 • イングランド外: NHS Wales, Canadian Institute for Social Prescribing and Canadian Red Cross, the World Health Organization Regional Office for the Western Pacific (WPRO) 第40回 日本国際保健医療学会学術大会 (2025) 13 <Point> イングランドの社会的処方の教育システムは 改善の余地がありそう
  9. イングランドにおける離職軽減のための提案 • 身分を明確にする • 他の職種に職務を明示:最低限出来ること~最大出来ること • スペシャリストとしての地位確立:「その人にしかできないこと」 • エリアのニーズに基づいたカリキュラムの開発 •

    上記に基づいたカリキュラムの作成:エリアごとに使えるリソースを反映 • AI の活用:スペシャリストの養成と同時に情報を収集 • スーパーバイザーの養成 • 困難な症例の対応 • ジュニアワーカーのメンター(バーンアウト防止) 第40回 日本国際保健医療学会学術大会 (2025) 15 <Point> 「誰でもできる低賃金の仕事」の意味を考える
  10. 社会的処方を世界に広げる際の論点 • 対象は誰か:多数?脆弱? • 社会的処方は医療費で負担すべきか • 公費と自費の境界 • 質の担保:自費診療 &

    AI etc. <Point> ①他の地域と共有できる部分は何か ②何を自地域でカスタマイズするか * 答えのない問いに、限られた地域で答える 第40回 日本国際保健医療学会学術大会 (2025) 16
  11. 社会的処方は世界に広がるのか?:文化への理解 • イングランドと日本における「社会」と「文化」の違い • 公平性に対する意識 • 教育制度:全体主義と個人主義 • 「ウチ」と「ソト」 •

    「発展 development」「変化」に対する感覚 第40回 日本国際保健医療学会学術大会 (2025) 17 <Point> イングランドや他のエリアから学びつつ、各エリア独自の道を模索 Pickett, Kate and Wilkinson, Richard. 2010. The Spirit Level: Why Equality is Better for Everyone. London: Penguin.
  12. 結論:社会的処方は世界に広がるのか → 要所を確認! • 「社会」と「文化」に対する理 解が重要 • 「健康 (health /

    well- being)」に対する価値観 • 共有の価値観を有するコミュ ニティの活用 • 一人の人間は複数のコミュ ニティに所属している 第40回 日本国際保健医療学会学術大会 (2025) 18