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電気工学II第9回 /eleceng2_09

電気工学II第9回 /eleceng2_09

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Kazuhisa Fujita

March 27, 2023
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  1. コンデンサの充電 最初はスイッチがオフ. コンデンサに電荷はたまっ ていない. 𝑡 = 0 スイッチをオンにした瞬間 . コンデンサには,まだ電荷

    はたまっていない. コンデンサに徐々に電荷 がたまる. コンデンサに徐々に電荷 がたまる. 十分に時間が経つと, コンデンサに𝑄 = 𝐶𝑉の 電荷がたまる. 充電 電流が流れる 電流が流れる 電流が流れない
  2. 過渡現象(充電) • 抵抗とコンデンサに加わる電圧をそれぞれ𝑉𝑅 ,𝑉 𝑐 とすると, • 𝑉 = 𝑉𝑅

    + 𝑉 𝑐 • 𝑉𝑅 = 𝑖𝑅,𝑄 = 𝐶𝑉 𝑐 ,𝐼 = 𝑑𝑄 𝑑𝑡 より, • 𝑉 = 𝑖𝑅 + 𝑄 𝐶 = 𝑑𝑄 𝑑𝑡 𝑅 + 𝑄 𝐶 • これを𝑄について解けば,コンデンサに蓄積される電荷の時間変化が分かる. 𝑉 𝑐 𝐶 𝑅 𝑖 𝑉 𝑉𝑅 オームの法則 電流の定義.電流は電荷の時間変化である. 発展
  3. 過渡現象 (充電) • 𝑉 = 𝑑𝑄 𝑑𝑡 𝑅 + 𝑄

    𝐶 を両辺𝑅で割り,項を移項すると, • 𝑑𝑄 𝑑𝑡 + 𝑄 𝐶𝑅 − 𝑉 𝑅 = 0となる. • 𝑍 = 𝑄 𝐶𝑅 − 𝑉 𝑅 とおき,𝑡で微分すると • 𝑑𝑍 𝑑𝑡 = 1 𝐶𝑅 𝑑𝑄 𝑑𝑡 • となる(𝑄は𝑡の関数). • 𝑑𝑄 𝑑𝑡 = 𝐶𝑅 𝑑𝑍 𝑑𝑡 • これを代入すると • 𝐶𝑅 𝑑𝑍 𝑑𝑡 + 𝑍 = 0 𝑉 𝑐 𝐶 𝑅 𝑖 𝑉 𝑉𝑅 発展
  4. 過渡現象 (充電) • 𝑉 = 𝑑𝑄 𝑑𝑡 𝑅 + 𝑄

    𝐶 を両辺𝑅で割り,項を移項すると, • 𝑑𝑄 𝑑𝑡 + 𝑄 𝐶𝑅 − 𝑉 𝑅 = 0となる. • 𝑍 = 𝑄 𝐶𝑅 − 𝑉 𝑅 とおき,両辺を𝑡で微分すると • 𝑑𝑍 𝑑𝑡 = 1 𝐶𝑅 𝑑𝑄 𝑑𝑡 となる(𝑄は𝑡の関数).両辺に𝐶𝑅をかけると • 𝑑𝑄 𝑑𝑡 = 𝐶𝑅 𝑑𝑍 𝑑𝑡 となる. • 𝑑𝑄 𝑑𝑡 + 𝑄 𝐶𝑅 − 𝑉 𝑅 = 0 に,これらを代入すると • 𝐶𝑅 𝑑𝑍 𝑑𝑡 + 𝑍 = 0 𝑉 𝑐 𝐶 𝑅 𝑖 𝑉 𝑉𝑅 発展
  5. 過渡現象 (充電) • 𝐶𝑅 𝑑𝑍 𝑑𝑡 + 𝑍 = 0は変数分離形なので

    • 1 𝑍 𝑑𝑍 𝑑𝑡 = − 1 𝐶𝑅 • 1 𝑍 𝑑𝑍 = − 1 𝐶𝑅 𝑑𝑡 • ׬ 1 𝑍 𝑑𝑍 = − ׬ 1 𝐶𝑅 𝑑𝑡 • log 𝑍 = − 1 𝐶𝑅 𝑡 + 𝐴′ • 𝑍 = 𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡+𝐴′ = 𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡𝑒𝐴′ • 𝑍 = 𝐴𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 • よって, • 𝐴𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 = 𝑄 𝐶𝑅 − 𝑉 𝑅 • 𝑄 = 𝐴𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 + 𝐶𝑉 • 𝑡 = 0のときQ = 0 なので • 𝐴𝑒− 1 𝐶𝑅 ×0 + 𝐶𝑉 = 0 • 𝐴 = −𝐶𝑉 • 𝑄 = −𝐶𝑉𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 + 𝐶𝑉 • 𝑄 = 𝐶𝑉 (1 − 𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡) 𝑍で割る 𝑑𝑡かける 両辺積分する 𝐴 = 𝑒𝐴′ 一般解 特殊解 発展
  6. 過渡現象 (充電) • 𝑄 = 𝐶𝑉(1 − 𝑒− 1 𝐶𝑅

    𝑡)かつ𝑄 = 𝐶𝑉𝐶 なので𝑉𝐶 は • 𝑉 𝑐 = 𝑉 (1 − 𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡) • 電流iは • 𝑖 = 𝑑𝑄 𝑑𝑡 = 𝑑 𝑑𝑡 𝐶𝑉 1 − 𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 = 𝐶𝑉 𝐶𝑅 𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 = 𝑉 𝑅 𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 資格試験内で計算は 不可能だから,時定 数はCRと覚える. 𝑉 𝑐 𝐶 𝑅 𝑖 𝑉 𝑉𝑅 発展
  7. 過渡現象 (充電) • 電流𝑖 = 𝑉 𝑅 𝑒− 1 𝐶𝑅

    𝑡なので抵抗にかかる電圧は • 𝑉𝑅 = 𝑉𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 • である. • 𝜏 = 𝐶𝑅としたとき,τを時定数と呼ぶ. 資格試験内で計算は 不可能だから,時定 数はCRと覚える. 𝑉 𝑐 𝐶 𝑅 𝑖 𝑉 𝑉𝑅 発展
  8. 過渡現象 (充電) • 図のように,抵抗とコンデンサを直流電源に繋いだ時の電圧変化は次のように なる. • コンデンサの電圧𝑉𝐶 の時間変化 • 𝑉

    𝑐 = 𝑉 (1 − 𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡) • 抵抗の電圧𝑉𝑅 の時間変化 • 𝑉𝑅 = 𝑉𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 • 𝝉 = 𝑪𝑹としたとき,τを時定数と呼ぶ. 𝑉 𝑐 𝐶 𝑅 𝑖 𝑉 𝑉𝑅 重要 時間 𝑉𝑅 = 𝑉𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 𝑉 0 𝑉 𝑐 = 𝑉 (1 − 𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡)
  9. 過渡現象 (充電) • 抵抗とコンデンサに加わる電圧は時定数を変えることで,図のように変化する . 時間 𝑉𝑅 = 𝑉𝑒− 1

    𝐶𝑅 𝑡 𝑉 0 𝑉 𝑐 = 𝑉 (1 − 𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡) 0 時間 時定数𝜏大 時定数𝜏小 時定数𝜏小 時定数𝜏大 重要
  10. コンデンサの放電 𝑡 = 0 スイッチをオフにした瞬間 . コンデンサに電荷がたまっ ている. コンデンサの電荷が徐々 に減る

    コンデンサの電荷が徐々 に減る 十分に時間が経つと,コ ンデンサにたまっていた 電荷はなくなる. 電流が流れる 電流が流れる
  11. 過渡現象(放電) • 抵抗とコンデンサに加わる電圧をそれぞれ𝑉𝑅 ,𝑉 𝑐 とすると,電源がないので • 𝑉𝑅 + 𝑉

    𝑐 = 0 • 𝑉𝑅 = 𝑖𝑅および𝑄 = 𝐶𝑉 𝑐 より, • 𝑖𝑅 + 𝑄 𝐶 = 𝑑𝑄 𝑑𝑡 𝑅 + 𝑄 𝐶 = 0 • 𝑑𝑄 𝑑𝑡 𝑅 + 𝑄 𝐶 = 0 • 𝑄 = 𝐴𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 • 初期条件は𝑄0 = 𝑄 = 𝐶𝑉なので • 𝑄 = 𝐶𝑉𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 𝑉 𝑐 𝐶 𝑅 𝑖 変数分離形の微分方程式 充電のときやったので計算は省略 𝑉𝑅 発展
  12. 過渡現象 (放電) • 𝑄 = 𝐶𝑉𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡から,Vcは •

    𝑉 𝑐 = 𝑉 𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 • 抵抗にかかる電圧は • 𝑉𝑅 = −𝑉 𝑐 = −𝑉 𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 • 電流iは • 𝑖 = 𝑑𝑄 𝑑𝑡 = 𝑑 𝑑𝑡 𝐶𝑉𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 = − 𝐶𝑉 𝐶𝑅 𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 = − 𝑉 𝑅 𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 • 𝜏 = 𝐶𝑅としたとき,τを時定数と呼ぶ. 資格試験内で計算は不可 能だから,時定数はCR と覚える. 電圧の時間変化もよく出 ているので,余裕がある 人はVcの式も覚える.覚 えられない人は指数関数 的に変化することを覚え ておく. 𝐶 𝑅 𝑖 𝑉𝑅 𝑉 𝑐 発展
  13. 過渡現象 (放電) • 図のように,抵抗とコンデンサを繋ぎ放電させた時の電圧変化は次のようにな る. • コンデンサの電圧𝑉𝐶 の時間変化 • 𝑉

    𝑐 = 𝑉𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 • 抵抗の電圧𝑉𝑅 の時間変化 • 𝑉𝑅 = −𝑉𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 • 𝝉 = 𝑪𝑹としたとき,τを時定数と呼ぶ. 重要 𝐶 𝑅 𝑖 𝑉𝑅 𝑉 𝑐 𝑉𝑅 = −𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 𝑉 𝑐 = 𝑉𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 時間 𝑉 −𝑉 0
  14. 微分回路 • 抵抗の電圧 𝑉𝑅 の時間変化を見てみると,充電およ び放電が始まった瞬間に大きな値を取り,時間と ともに0に近づく. • つまり,時間変化が急激な場所(オン・オフの場 所)で大きな値をとっている.

    • 時間変化が急激な場所は微分が大きいので, 𝑉𝑅 は 微分を表していると見ることもできる. • そのため,𝑉𝑅 を測定する回路は微分回路とも呼ばれ る. 充電 放電 𝑉𝑅 𝑉𝑅 充電 放電 𝑉 𝑖 𝑉 𝑐 𝐶 𝑅 𝑉𝑅 0 V 0 V 変化がある=傾きがある 負の変化を捉 えている 正の変化を捉 えている 入力 入力 変化がある=傾きがある
  15. 積分回路 • 一方,コンデンサの電圧𝑉𝐶 の時間変化を見てみると ,充電および放電が始まると時間とともに増加およ び減少する. • つまり, 𝑉𝐶 は入力を足し続けていると見ることも

    できる.これは,積分に相当する計算とみなせるだ ろう. • よって, 𝑉𝐶 を出力とする回路は積分回路とも呼ばれ る. 充電 放電 𝑉 𝑐 𝑉 𝑐 充電 放電 𝑉 𝑖 𝑉 𝑐 𝐶 𝑅 𝑉𝑅 0 V V 入力 入力
  16. 積分回路の解析 コンデンサの電圧は • 𝑉 𝑐 = 𝑉 (1 − 𝑒−𝑡

    𝜏) • これをマクローリン展開してみる. • 𝑉𝐶 = 𝑉 1 − 1 + 𝑡 𝜏 + 1 2 𝑡 𝜏 2 + 1 3! 𝑡 𝜏 3 + ⋯ • 𝑉𝐶 = 𝑉 𝑡 𝜏 + 1 2 𝑡 𝜏 2 + 1 3! 𝑡 𝜏 3 + ⋯ • 𝑡はなんだろうか.直流が入力される場合は,その継続時間と見なせるだろう.直流において積分とは,入力電圧𝑉が時間に対し線形,つまり𝑉𝑡の計算 をすることと見なして良いだろう. • 𝑉𝑡 の計算が積分回路でなされるには, 𝑡 𝜏 2 が無視できるほど小さい必要がある. • つまり,𝑡 𝜏 が十分小さければ 𝑉𝐶 ∼ 𝑉𝑡 𝜏 となり積分しているとみなせる(1次近似という).𝑡は直流の継続時間なので.矩形波では周期𝑇の1/2と見なせる. つまり,周期𝑇が時定数𝜏に対し,十分小さければ矩形波入力のとき積分回路は積分していると見なせる. • では,𝑡 𝜏 が更に小さいとどうなるだろうか.1次の項も無視できてしまい 𝑉𝐶 ∼ 0となり,積分みなせなくなる (0次近似という). • つまり, 𝑡 𝜏 が無視できないほど大きく, 𝑡 𝜏 2 が無視できるほど小さいのならば積分回路は積分していると見なせるということである. • よって,入力が矩形波で時定数𝜏に対し周期𝑇が小さすぎず大きすぎないときだけ(1次近似で良いときだけ)積分していると見なせるのである. • 𝑡 𝜏 が無視できるほど小さいときは周期が極めて小さいときである.このとき周波数は極めて高いのでインピーダンス 1 𝑗𝜔𝐶 が0と見なせコンデンサに電圧が かからないときでもある.なかなかうまくできている. 超発展 𝜏 = 𝐶𝑅が極めて大きいときも1次の項を無視できる.Cが極めて大きいときはコンデンサーのインピーダンスは0と見なせるし,Rが極めて大きいときはほとんど電流が流れなず𝑉𝐶 は変化しない.
  17. まとめ(CR回路の場合) • 電圧は指数関数的に変化する. • 微分回路は抵抗の電圧を見ている. • 入力の変化を捉える. • 矩形波なら,オン・オフの瞬間が最も電圧の絶対値は大 きく,時間が立つに連れ0に近づく.

    • 積分回路はコンデンサの電圧を見ている. • 入力を蓄積していくように見える. • 矩形波なら,オンの瞬間は0だが,徐々に増えていく. オフにすると溜まった電荷による電圧が徐々に減少して いき0に近づく. 重要 充電 放電 充電 放電 𝑉𝑅 𝑉𝐶 𝑉𝐶
  18. 抑えるポイント • コンデンサの電圧は積分,抵抗の電圧は微分 • コンデンサは,電荷を徐々に貯める.つまり電圧も徐々に大きくなる(足されて いる感じ=積分). • 充電時の電圧変化は𝑉𝐶 = 𝑉𝑖

    (1 − 𝑒−𝑡 𝜏), 𝑉𝑅 = 𝑉𝑖 𝑒−𝑡 𝜏,放電時は 𝑉𝐶 = 𝑉𝑖 𝑒−𝑡 𝜏, 𝑉𝑅 = −𝑉𝑖 𝑒−𝑡 𝜏 • 時定数 • 𝜏 = 𝐶𝑅 • 矩形波を入力として与えたときの𝑉𝑅 と𝑉𝐶 の時間変化が重要 • 時定数により見た目が変化する. • 時定数大→電圧の緩やかな時間変化 • 時定数小→電圧の急激な時間変化 Vc 入力Vi R C V R
  19. 問題 • 図aの周期信号(周期1ms)を図bのフィル タに入力した.出力𝑣(𝑡)に最も近い波形は どれか.(28ME) 抵抗の電圧𝑣(𝑡)が出力になっている.入力を𝑣とすると 𝑣(𝑡)は充電時𝑣 𝑡 = 𝑣𝑒−

    1 𝐶𝑅 𝑡である. また放電時は𝑣 𝑡 = −𝑣𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡である. 以上から1が正解のように思える.しかし,時定数は 𝜏 = 1 × 10−6 × 1 × 106 = 1𝑠 である.つまり,𝑣 𝑡 = 𝑣𝑒−𝑡となる.例えば1sのときの𝑣(𝑡) は 𝑣 1 = 𝑣𝑒−1 ≈ 𝑣 × 1 3 ≈ 0.3𝑣 であり,1のように0.5msで0に近い値になることはない. 逆に,0.5ms後でも𝑣(𝑡)はほぼ入力𝑣のままである. よって4が答えである. 入力 𝑉𝐶 𝑉𝐶 𝑉𝐶 𝜏小 𝜏中 𝜏大
  20. 問題 • 図の回路でコンデンサが 1000V で充電された状態でスイッチを 閉じる。ス イッチを閉じてから1秒後の電流値[mA]に最も近いのはどれか。(臨床工学技 士国家試験30回) 1. 10

    2. 6.3 3. 5.0 4. 3.7 5. 1.0 コンデンサの放電なので,コンデンサの電圧は指数関 数的に減る.よって1秒後のコンデンサの電圧𝑉𝐶 は 𝑉 𝑐 = 𝑉 𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 = 1000 × 𝑒− 1 10×10−6×100×103 ×1 = 1000𝑒−1 抵抗にはコンデンサと同じ大きさの電圧がかかる.こ こで,𝑒を3と大雑把に近似すると,電流𝐼はオームの法 則から 𝐼 = 333 100 × 103 = 3.33 × 10−3 これに最も近い選択肢は4
  21. 問題 • コンデンサを10Vに充電した後,100Ωの抵抗で放電した場合のコンデンサにかかる電圧の経時変化を 図の片対数グラフを示す.コンデンサの静電容量[F]はどれか.(臨床工学技士国家試験34) 1. 0.02 2. 0.04 3. 0.1

    4. 0.2 5. 0.4 これは,典型的なCR回路の放電である.コンデンサにかかる電圧Vcは指数関数的に減衰する.よって 𝑉 𝑐 = 10𝑒− 𝑡 𝐶𝑅 である. R=100なので 𝑉 𝑐 = 10𝑒− 𝑡 100𝐶 となる.ここで − 𝑡 100𝐶 = −1の時を考える.このとき,𝑉 𝑐 は𝑉 𝑐 = 10𝑒−1 = 10 𝑒 と なる.e=3と大まかに近似すると𝑉 𝑐 は約3.3Vである. その時の時間はグラフから,おおよそ4sで有ることが分かる.よって100C=4なので, C=4/100=0.04となる. この手の問題のコツ:− 𝒕 𝝉 = −𝟏とおく.
  22. 問題 • 図の回路において、スイッチをa側にして十分時間が経過した後、b側に切換 えた。正しいのはどれか。(臨床工学技士国家試験29回) a. 抵抗の最大電流値は 100mA である。 b. 回路の時定数は

    0.1s である。 c. コンデンサの両端電圧の最大値は 5V である。 d. コンデンサの両端電圧は指数関数的に増加する。 e. 抵抗に流れる電流は指数関数的に減少する
  23. 問題 • 図の回路において、スイッチをa側にして十分時間が経過した後、b側に切換え た。正しいのはどれか。(臨床工学技士国家試験29回) c. コンデンサの両端電圧の最大値は 5V である。 コンデンサの電圧の最大値は10Vである.よって間違い. d.

    コンデンサの両端電圧は指数関数的に増加する。 放電するのでコンデンサの電圧は指数関数的に減少する.よって間違い. e. 抵抗に流れる電流は指数関数的に減少する. 放電するのでコンデンサの電圧は指数関数的に減少する.オームの法則から,電圧が 指数関数的に減少すれば電流も指数関数的に減少するので,正しい.
  24. 問題 • 図の回路で,スイッチが①の状態で十分な時間が経過した後に,SWを②に入れた.正しいの はどれか.(臨工学技士国家試験36) a. 回路の時定数は5𝜇sである. b. SWを②に入れた瞬間の𝑉𝐶 の値は10Vである. c.

    SWを②に入れた瞬間の回路に流れる電流は100mAである. d. SWを②に入れた5ms後の𝑉𝑅 の値は約3.7Vである. e. SWを②に入れてから十分時間が経過した後の回路に流れる電流は0mAである.
  25. 問題 • 図の回路で,スイッチが①の状態で十分な時間が経過した後に,SWを②に入 れた.正しいのはどれか.(臨工学技士国家試験36) a. 回路の時定数は5𝜇sである. 𝜏 = 𝑅𝐶 =

    100 × 50 × 10−6 = 5𝑚𝑠となり間違い. b. SWを②に入れた瞬間の𝑉𝐶 の値は10Vである. スイッチを入れた瞬間はCのインピーダンスは0なので,𝑉𝐶 = 0である. よって間違い. c. SWを②に入れた瞬間の回路に流れる電流は100mAである. スイッチを入れた瞬間の回路の合成インピーダンスは100Ωである.よって𝐼 = 10/100 = 100𝑚𝑉である.よって正しい.
  26. 問題 • 図の回路で,スイッチが①の状態で十分な時間が経過した後に,SWを②に入 れた.正しいのはどれか.(臨工学技士国家試験36) d. SWを②に入れた5ms後の𝑽𝑹 の値は約3.7Vである. 𝑉𝐶 = 𝑉𝑖

    𝑒−𝑡 𝜏= 10 × 2.7−5/5 = 3.7𝑉よって正しい. e. SWを②に入れてから十分時間が経過した後の回路に流れる電流は0mAである. スイッチを入れて十分時間が立つと,コンデンサのインピーダンスは無限大に発散 するので開放と見なせる.よって,回路には電流は流れないので正しい.
  27. 過渡現象 (オン) • 抵抗とコンデンサに加わる電圧をそれぞれ𝑉𝑅 ,𝑉 𝑐 とすると, • 𝑉 =

    𝑉𝑅 + 𝑉𝐿 • 𝑉𝑅 = 𝑖𝑅,𝑉𝐿 = −𝐿 𝑑𝑖 𝑑𝑡 より, • 𝑉 = 𝑖𝑅 − 𝐿 𝑑𝑖 𝑑𝑡 • これを𝑖について解けば,コイル全体を流れる電流の時間変化が分かる. 𝑉𝐿 𝐿 𝑅 𝑖 𝑉 𝑉𝑅 発展
  28. 過渡現象 (オン) • 𝑉 = 𝑖𝑅 − 𝐿 𝑑𝑖 𝑑𝑡

    を両辺𝐿でわり,0 equalの形にすると • 𝑑i 𝑑𝑡 + 𝑖𝑅 𝐿 − 𝑉 𝐿 = 0となる. • 𝑍 = 𝑖𝑅 𝐿 − 𝑉 𝐿 とおくと • 𝑑𝑍 𝑑𝑡 = 𝑅 𝐿 𝑑𝑖 𝑑𝑡 • 𝑑𝑖 𝑑𝑡 = 𝐿 𝑅 𝑑𝑍 𝑑𝑡 • これを代入すると • 𝐿 𝑅 𝑑𝑍 𝑑𝑡 + 𝑍 = 0 𝑉𝐿 𝐿 𝑅 𝑖 𝑉 𝑉𝑅 発展
  29. 過渡現象(オン) • 𝐿 𝑅 𝑑𝑍 𝑑𝑡 + 𝑍 = 0は変数分離形なので

    • 1 𝑍 𝑑𝑍 𝑑𝑡 = − 𝑅 𝐿 • 1 𝑍 𝑑𝑍 = − 𝑅 𝐿 𝑑𝑡 • log 𝑍 = − 𝑅 𝐿 𝑡 • 𝑍 = 𝐴𝑒−𝑅 𝐿 𝑡 • よって, • 𝐴𝑒−𝑅 𝐿 𝑡 = 𝑖𝑅 𝐿 − 𝑉 𝐿 • 𝑖 = 𝐴𝑒− 1 𝐶𝑅 𝑡 + 𝑉 𝑅 • 𝑡 = 0のとき𝑖 = 0 なので • 𝑖 = 𝐴𝑒−0×𝑡 + 𝑉 𝑅 • 𝐴 = − 𝑉 𝑅 • 𝑖 = − 𝑉 𝑅 𝑒−𝑅 𝐿 𝑡 + 𝑉 𝑅 = 𝑉 𝑅 (1 − 𝑒−𝑅 𝐿 𝑡) 𝑉𝐿 𝐿 𝑅 𝑖 𝑉 𝑉𝑅 発展
  30. 過渡現象 (オン) • 回路を流れる電流は • 𝑖 = 𝑉 𝑅 (1

    − 𝑒−𝑅 𝐿 𝑡) • 𝜏 = 𝐿 𝑅 としたとき,τを時定数と呼ぶ. • 抵抗にかかる電圧は • 𝑉𝑅 = 𝑉(1 − 𝑒−𝑅 𝐿 𝑡) • コンデンサにかかる電圧は • 𝑉𝐿 = 𝑉 − 𝑉 1 − 𝑒−𝑅 𝐿 𝑡 = 𝑉𝑒−𝑅 𝐿 𝑡 資格試験内で計算は 不可能だから,時定 数はL/Rと覚える. 𝑉𝐿 𝐿 𝑅 𝑖 𝑉 𝑉𝑅 発展
  31. 過渡現象 (オン) • 図のように,抵抗とコイルを直流電源に繋いだ時の電圧変化は次のようになる . • コイルの電圧𝑉𝐶 の時間変化 • 𝑉𝐿

    = 𝑉𝑒−𝑅 𝐿 𝑡 • 抵抗の電圧𝑉𝑅 の時間変化 • 𝑉𝑅 = 𝑉(1 − 𝑒−𝑅 𝐿 𝑡) • 𝝉 = 𝑳/𝑹としたとき,τを時定数と呼ぶ. 重要 𝑉𝐿 𝐿 𝑅 𝑖 𝑉 𝑉𝑅
  32. 過渡現象 (オフ) • 抵抗とコイルに加わる電圧をそれぞれ𝑉𝑅 ,𝑉𝐿 とすると,電源がないので • 𝑉𝑅 + 𝑉𝐿

    = 0 • 𝑉𝑅 = 𝑖𝑅および𝑉𝐿 = 𝐿 𝑑𝑖 𝑑𝑡 より, • 𝑖𝑅 + 𝐿 𝑑𝐼 𝑑𝑡 = 0 • 𝑖𝑅 𝐿 + 𝑑𝑖 𝑑𝑡 = 0 • 𝑖 = 𝐴𝑒−𝑅 𝐿 𝑡 • 初期条件は𝑖0 = 𝑉/𝑅なので • 𝑖 = 𝑉 𝑅 𝑒−𝑅 𝐿 𝑡 電源が切れると順方向に電圧が生じるため,𝑉𝐿 は正となりマイナスがとれる. 変数分離形の微分方程式 充電のときやったので計算は省略 𝑉𝐿 𝐿 𝑅 𝑖 𝑉𝑅 発展
  33. 過渡現象 (オフ) • 𝑖 = 𝑉 𝑅 𝑒−𝑅 𝐿 𝑡から𝑉𝑅

    は • 𝑉𝑅 = 𝑉 𝑒−𝑅 𝐿 𝑡 • 𝑉𝐿 は • 𝑉𝐿 = −𝑉𝑅 = −𝑉 𝑒−𝑅 𝐿 𝑡 • 𝜏 = 𝐿/𝑅としたとき,τを時定数と呼ぶ. 資格試験内で計算は 不可能だから,時定 数はL/Rと覚える. 電圧の時間変化もよ く出ているので,余 裕がある人は𝑉𝐿 の式 も覚える.覚えられ ない人は指数関数的 に変化することを覚 えておく. 𝑉𝐿 𝐿 𝑅 𝑖 𝑉𝑅 発展
  34. 過渡現象 (オフ) • 図のように,抵抗とコイルを直流電源に繋いだ時の電圧変化は次のようになる . • コイルの電圧𝑉𝐶 の時間変化 • 𝑉𝐿

    = −𝑉 𝑒−𝑅 𝐿 𝑡 • 抵抗の電圧𝑉𝑅 の時間変化 • 𝑉𝑅 = 𝑉 𝑒−𝑅 𝐿 𝑡 • 𝝉 = 𝑳/𝑹としたとき,τを時定数と呼ぶ. 重要 𝑉𝐿 𝐿 𝑅 𝑖 𝑉 𝑉𝑅
  35. 問題 • 図の回路において𝑡 = 0でスイッチを入れた.正しいのはどれか.(国家試験27) 1. 時定数は𝐿𝑅である. 2. 直後に抵抗にかかる電圧は𝐸となる. 3.

    直後に流れる電流は𝐸 𝑅 となる. 4. 時間が十分に経過すると抵抗にかかる電圧は𝐸 2 となる. 5. 時間が十分に経過すると抵抗で消費される電力は𝐸2 𝑅 となる.
  36. 問題 • 図の回路において𝑡 = 0でスイッチを入れた.正しいのはどれか.(国家試験27) 1. 時定数は𝐿𝑅である. 時定数はL/Rである. 2. 直後に抵抗にかかる電圧は𝐸となる.

    直後に抵抗にかかる電圧は0である. 3. 直後に流れる電流は𝐸 𝑅 となる. 直後に流れる電流は0である. 4. 時間が十分に経過すると抵抗にかかる電圧は𝐸 2 となる. 時間が十分に経過すると抵抗にかかる電圧はEである. 5. 時間が十分に経過すると抵抗で消費される電力は𝑬𝟐 𝑹 となる. 時間が十分に経過すると抵抗にかかる電圧はEなので,抵抗で消費される電力は 𝑊 = 𝐼𝑉 = 𝐸2/𝑅なので正解
  37. 問題 • 図の回路でスイッチを閉じてから1ms後にインダクタの両端にかかる電圧[V]に最も近いのはどれか.ただし,自然対 数の底eは2.7とする.(国家試験31) 1. 1.5 2. 1.2 3. 0.9

    4. 0.6 5. 0.3 インダクタはコンデンサと特性が逆なので,スイッチ をオンにするとインダクタにかかる電圧は指数関数的 に減衰していく.つまり,𝑉𝐿 = 𝑉𝑖 𝑒−𝑡/𝜏.時定数はL/R である. よって 𝑉𝐿 = 1.5 × 2.7− 0.001s×1000Ω 1H = 1.5 × 2.7−1 ≈ 0.56
  38. 抑えるポイント • コンデンサ,コイルの特性 • RC回路 • コンデンサの電圧は積分,抵抗の電圧は微分 • コンデンサは,電荷を徐々に貯める.つまり電圧も徐々に大きくなる(足されている感じ=積分). •

    グラフでイメージを掴む • 充電時の電圧変化は𝑉𝐶 = 𝑉𝑖 (1 − 𝑒−𝑡 𝜏), 𝑉𝑅 = 𝑉𝑖 𝑒−𝑡 𝜏 ,放電時は 𝑉𝐶 = 𝑉𝑖 𝑒−𝑡 𝜏 , 𝑉𝑅 = −𝑉𝑖 𝑒−𝑡 𝜏 • RLフィルタはRC回路と素子の特性が逆と覚える. • 時定数 • CRフィルタ:𝜏 = 𝐶𝑅 • LRフィルタ:𝜏 = 𝐿/𝑅 • 矩形波を入力として与えたときの𝑉𝑅 と𝑉𝐶 の時間変化が重要 • 時定数により見た目が変化する. • 時定数大→電圧の緩やかな時間変化 • 時定数小→電圧の急激な時間変化 Vc 入力Vi R C V R