2025/08/23 13:00-13:30
日本教育学会 第84回大会 一般研究発表【A-6-3】教育方法・教育課程 ③ - 2
「実践的探究」を志向する日本の教育研究における近年の展開―規範的跳躍概念に着目して
宮島 衣瑛(広島大学大学院)
橋本 拓海(東京大学大学院)
Summary by ChatGPT
本研究は、佐藤学(1996)の提起した「実践的探究」と「規範的跳躍」概念に注目し、日本の教育研究における近年の展開を再検討するものである。従来、教育実践研究は「技術的合理性」に基づき教師の実践を外部から統制する傾向が強かったが、佐藤は「反省的実践」への転換を提起し、その過程で事実認識から価値判断への移行を示す「規範的跳躍」を重視した。しかし、その適用にあたっては、教師の思考過程を記述する修辞学的枠組みにとどまり、活動的・状況的枠組みを含めた多角的実証研究には至っていないという課題が残されている。本発表では、近年の研究動向として、教師の権力性や子どもの貧困に直面する際の解釈枠組みを明らかにする教育社会学的研究、さらには一斉授業における児童参加の構造を分析する学習科学的研究を紹介し、教師の実践を規定する「見えない枠組み」の可視化が進展している点を確認した。その一方で、単一事例に対し複数の枠組みを交差的に分析する試みは乏しく、また「実践的探究」の意義をめぐる議論も修辞学的記述に偏っている。本研究は、稲垣・佐藤らの『シリーズ授業』(1991)の試みを参照しつつ、現代の教育実践における多様なディシプリンの参画を通じた「枠組みの再構成」と「規範的跳躍」の実証的探究を課題として提示する。特にGIGAスクール構想や働き方改革といった今日的状況を踏まえ、教育研究がいかに教師の実践的判断に迫りうるかを明らかにする点に本研究の意義がある。