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東西のASを分ける?分けない?
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Katsushi Yamaguchi
October 10, 2024
Technology
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東西のASを分ける?分けない?
2024年10月10日に兵庫県姫路市で開催された「NaniwaNOG2」のプログラム「東西のASを分ける?分けない?」での発表資料となります。
Katsushi Yamaguchi
October 10, 2024
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Transcript
© BIGLOBE Inc. 東西のASを分ける?分けない? 2024年10月10日 ビッグローブ株式会社 山口 勝司 Naniwa NOG
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2 Copyright © BIGLOBE Inc. 2024, All rights reserved. 自己紹介・会社紹介
• 会社紹介 ◦ ビッグローブ株式会社(AS2518) ◦ 日本全国で固定系ブロードバンドを中心としたインターネット接続サービスを提供 する、インターネットサービスプロバイダ • 自己紹介 ◦ 2022年3月 BIGLOBE 中途入社 ▪ ピアリングコーディネーター ▪ AS2518のネットワーク設計 ◦ ASの運用には10年以上携わる • 趣味 ◦ 海外旅行、インターネットの観測とピアリング 山口 勝司 Katsushi Yamaguchi
3 Copyright © BIGLOBE Inc. 2024, All rights reserved. 現在のネットワーク構成と歴史
4 Copyright © BIGLOBE Inc. 2024, All rights reserved. AS2518ネットワーク
東京 コア拠点1 東京 コア拠点2 大阪 コア拠点1 大阪 コア拠点2 500Gbps 500Gbps 福岡 拠点2 400Gbps ロサンゼルス 30Gbps 30Gbps 福岡 拠点1 400Gbps • 海外を含め全ネットワークを単一のAS(AS2518)で運用 • 各地域で対外接続を(ピア・トランジット・顧客※)を行う • 対外接続は全ての場所で同一経路を広報 ※福岡はトランジット接続無し、LAはピアのみ、東京と大阪はコア拠点の下に複数の小拠点が存在 AS2518
5 Copyright © BIGLOBE Inc. 2024, All rights reserved. 西日本拠点の歴史
ダイヤルアップ時代 東京一極集中 現在:東京 /大阪/福岡 • ダイヤルアップ接続の時代 ◦ 全国にアクセスポイントを配備し、大阪を含め主要5都市のコアPOPに集約 • ブロードバンド化 ◦ ADSLによるブロードバンド化の流れと共に東京1極集中構成に移行 • 2015年に大阪再進出、2020年に福岡進出
6 Copyright © BIGLOBE Inc. 2024, All rights reserved. 西日本進出の理由
• 大阪 ◦ 電気通信事業法により重要設備の地域分散が要求される ◦ IPoE接続事業者として2017年からサービス提供を開始 ▪ IPoE方式における西日本POIは大阪 ◦ レイテンシとコストの改善 ▪ 伝送距離が短いほど中継コスト安くレイテンシも低い • 福岡 ◦ 地域でトラフィックを集約し配送を効率化する ◦ レイテンシとコストの改善
7 Copyright © BIGLOBE Inc. 2024, All rights reserved. 現在の設計になった経緯
• 2015年の大阪再進出時にASを分割する議論は無かった? ◦ AS2518で既に海外(北米)への接続をしていた ◦ IPアドレスの分割をすることが難しかった ◦ ASは一つであるべきと考えていた • IPアドレスのパンチングホールは考えなかった? ◦ 経路数は増やすべきではないという考え方 ◦ 一部のピアリング先とのピア条件で規定されていた AS分割やIPアドレス分割に関する議論は余り無く今の構成になっている
8 Copyright © BIGLOBE Inc. 2024, All rights reserved. 東西のASが同じであること
9 Copyright © BIGLOBE Inc. 2024, All rights reserved. 流入トラフィックの制御は難しい
• BIGLOBEはISPなのでInbound(流入)トラフィックの方が多い • トラフィックは顧客に近い場所から流入してくるとは限らない • 地域をまたぐトラフィック(中継コスト)が発生している ◦ 例えば東京のピアから流入し大阪の顧客に向かうトラフィックなど 他AS CDNなど ルータ BIGLOBE 東阪ネットワーク BIGLOBE 西日本 ネットワーク ルータ 西日本のお客様 東日本のピアで トラフィックを受け 東阪を運んで 西日本のお客様に渡す トラフィックはできるだけお客様(eyeballs)の近くで受け取り、渡したい
10 Copyright © BIGLOBE Inc. 2024, All rights reserved. 東西を中継するトラフィック
• 東日本から西日本に向かうトラフィックが圧倒的に多い ◦ ゲーム配信、CDN、動画配信サイトのトラフィックが大半を占める ◦ 西日本でピアしても一部トラフィックが東日本経由で流入するASも ※2024年10月3日のデータに基づく、赤枠は西日本でピアリングできていないAS
11 Copyright © BIGLOBE Inc. 2024, All rights reserved. 東西を中継せざるを得ない理由は様々
• 東日本でしかピアリングできないAS ◦ 西日本でもピアリングできるようになって欲しい • 東日本と西日本でピアしていても一部が東京経由で流れるAS ◦ 配信側のキャパシティの問題があることも? ◦ IPアドレスの使い方により東日本が近いとCDNに判別される? ▪ 例えば外部に広報する1つのPrefixで西日本・東日本利用が混在する インターネット広報 10.100.0.0/16 西日本利用:10.100.10.0/20 東日本利用:10.100.20.0/24 西日本利用:10.100.30.0/24 Longerな経路の広報はしない、アドレスのアサイン変更は現状未着手
12 Copyright © BIGLOBE Inc. 2024, All rights reserved. もしも東西のASを分けていたら?
• 東西を中継するコストとどちらが安いか? 単純な計算であるが、現状は東西を中継する方が安価となりそうである 東西の回線コスト (月額) < 東西を中継するトラフィックを 全て西日本で交換する費用 (月額) 70%ピア(無償) 30%トランジット(有償) と仮定する ※2024年10月3日のトラフィックデータによる。 東日本→西日本のトラフィックが対象
13 Copyright © BIGLOBE Inc. 2024, All rights reserved. 運用やピアリングにおいて
• IPアドレス ◦ ASが同じだとIPアドレスを地域を意識せず使える • 設計や運用 ◦ 全国で統一したポリシー、ASごとに設計や手順を作り分けは不要 • ASが違うと1ASのトラフィック量が少なく見える ◦ ピアリング交渉の際に説明が必要かもしれない ◦ ASRank(https://asrank.caida.org/) ▪ コーンサイズという指標でASをランキングしている ▪ ピアリング可否の参考にしている人が一定数存在する模様 ▪ 地域でASが完全に分かれると若干ランキング上は不利になるか
14 Copyright © BIGLOBE Inc. 2024, All rights reserved. まとめ
• 東西のASを分けない設計 ◦ 東西の中継トラフィック問題をはじめいくつかの課題が存在 ◦ 現在のAS2518にとっては分けないが合理的な選択 ◦ 組織によって最適な選択をすることが大切 • 西日本のピアリング環境 ◦ 大阪や福岡のピアリングポイントとしてさらなる発展に期待
Copyright © BIGLOBE Inc. 2024, All rights reserved.