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OAuth & OpenID Connect 勉強会 これまでの認証とパスキーのおさらい

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February 26, 2025

OAuth & OpenID Connect 勉強会 これまでの認証とパスキーのおさらい

「OAuth & OpenID Connect 勉強会 ー パスキーの組み込み方」の資料になります。
https://authlete.connpass.com/event/343583/

Youtubeにアーカイブ動画もアップロードされているためご参照ください。
https://youtu.be/yJHa562zn34?si=R1C-uGWNYQw0qkL_

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February 26, 2025
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Transcript

  1. OAuth・OpenID Connectからみた視点 • 仕様のスコープ外であるユーザー認証手段としてパスキーが利用できる • パスワードなどよりも強固に連携サービスのアカウントを守ることができる • パスキーによってより簡単なログインが実現できUX向上が期待できる • ID連携によるSSOの代わりとしてもパスキーが利用できる

    パスキーからみた視点 • パスキーに加えて他の認証方法としてID連携によるSSOが利用できる • パスキーが利用できない状況におけるアカウントリカバリーとして ID連携が利用できる 互いに補完する関係 6
 本日はOAuth・OpenID Connectを補完する 認証手段としてのパスキーをご紹介します
  2. しくみ • パスワードに加えて、SMSに送信した6桁程度の短い有効期限の OTP(One-Time Password)を入力し一致を検証する 課題 • SMSが受信できないといけない(利用環境に制約がある) • 送信コストがかかってしまう

    • 携帯電話の店頭やサポートを欺きなりすますSIMスワップのリスクあり • OTPが有効である間にリアルタイムフィッシングされてしまう SMS OTP 12

  3. しくみ • SMSに送信した6桁程度の短い有効期限のOTPを入力し一致を検証する • WebOTP APIやautocompleteで対象ドメインへの自動入力も可能 課題 • SMSが受信できないといけない(利用環境に制約がある) •

    送信コストがかかってしまう • 携帯電話の店頭やサポートを欺きなりすますSIMスワップのリスクあり • OTPが有効である間にリアルタイムフィッシングがされてしまう SMS認証 19

  4. しくみ • 認証機能(OpenID ConnectやSAML)を提供する第三者のサービス (Identity Provider、IdP)と連携する 課題 • IdP(PF)の影響を受けてしまう •

    サービスをIdPに把握されてしまったり、サードパーティCookieで トラッキングが可能になる場合がある • 複数IdPのログインボタンの表示で混乱につながる(NASCAR問題) ID連携 21

  5. パスキーで解決できる課題 1/3 28
 認証方法 課題 パスキー パスワード 弱いパスワードを作ってしまう ✅ 同じパスワードを使い回してしまう

    ✅ フィッシングサイトに入力してしまう ✅ パスワードマネージャー ユーザーに利用を強制することはできない 🔼 コピー&ペーストでフィッシングサイトに手動入力できてしまう ✅ SMS OTP SMSが受信できないといけない(利用環境に制約がある) 🔼 送信コストがかかってしまう ✅ 携帯電話の店頭やサポートを欺きなりすます SIMスワップのリスクあり ✅ OTPが有効である間にリアルタイムフィッシングされてしまう ✅
  6. パスキーで解決できる課題 1/3 29
 認証方法 課題 パスキー パスワード 弱いパスワードを作ってしまう ✅ 同じパスワードを使い回してしまう

    ✅ フィッシングサイトに入力してしまう ✅ パスワードマネージャー ユーザーに利用を強制することはできない 🔼 コピー&ペーストでフィッシングサイトに手動入力できてしまう ✅ SMS OTP SMSが受信できないといけない(利用環境に制約がある) 🔼 送信コストがかかってしまう ✅ 携帯電話の店頭やサポートを欺きなりすます SIMスワップのリスクあり ✅ OTPが有効である間にリアルタイムフィッシングされてしまう ✅ パスキーもパスワードマネージャーのしくみを利用しており、すべて の環境でサポートをしているわけではない パスキーはPCでも利用できるため SMSに比べると利用可能な環境は多いが、 パスキーをサポートしていない環境もある
  7. パスキーで解決できる課題 2/3 30
 認証方法 課題 パスキー メールOTP メールアカウントの乗っ取りのリスクあり ✅ OTPが有効である間にリアルタイムフィッシングされてしまう

    ✅ TOTP デバイスの乗り換え時に再設定が必要となる 🔼 専用アプリのインストールが必要になる 🔼 OTPが有効である間にリアルタイムフィッシングされてしまう ✅ プッシュ通知 アプリを提供する必要がある ✅ 多要素認証疲労攻撃( MFA Fatigue Attack)されてしまう ✅ セキュリティキー セキュリティキーの購入と持ち歩く必要あり ✅ マジックリンク Webサイトとメールクライアントを切り替えなければならない ✅ メールアカウントの乗っ取りのリスクあり ✅
  8. パスキーで解決できる課題 2/3 31
 認証方法 課題 パスキー メールOTP メールアカウントの乗っ取りのリスクあり ✅ OTPが有効である間にリアルタイムフィッシングされてしまう

    ✅ TOTP デバイスの乗り換え時に再設定が必要となる 🔼 専用アプリのインストールが必要になる 🔼 OTPが有効である間にリアルタイムフィッシングされてしまう ✅ プッシュ通知 アプリを提供する必要がある ✅ 多要素認証疲労攻撃( MFA Fatigue Attack)されてしまう ✅ セキュリティキー セキュリティキーの購入と持ち歩く必要あり ✅ マジックリンク Webサイトとメールクライアントを切り替えなければならない ✅ メールアカウントの乗っ取りのリスクあり ✅ 同期しないパスキーの場合や、 同期パスキーでもOSをまたいで同期できない場合には再設定が必要 3rd Partyパスワードマネージャーの場合には アプリやブラウザーの拡張機能をインストールする必要あり
  9. パスキーで解決できる課題 3/3 32
 認証方法 課題 パスキー SMS認証 SMSが受信できないといけない(利用環境に制約がある) 🔼 送信コストがかかってしまう

    ✅ 携帯電話の店頭やサポートを欺きなりすます SIMスワップのリスクあり ✅ OTPが有効である間にリアルタイムフィッシングされてしまう ✅ ID連携 IdP(PF)の影響を受けてしまう 🔼 サービスをIdPに把握されてしまったり、サードパーティ Cookieでトラッキングが可 能になる場合がある ✅ 複数IdPのログインボタンの表示で混乱につながる( NASCAR問題) 🔼
  10. パスキーで解決できる課題 3/3 33
 認証方法 課題 パスキー SMS認証 SMSが受信できないといけない(利用環境に制約がある) 🔼 送信コストがかかってしまう

    ✅ 携帯電話の店頭やサポートを欺きなりすます SIMスワップのリスクあり ✅ OTPが有効である間にリアルタイムフィッシングがされてしまう ✅ ID連携 IdP(PF)の影響を受けてしまう 🔼 サービスをIdPに把握されてしまったり、サードパーティ Cookieでトラッキングが可 能になる場合がある ✅ 複数IdPのログインボタンの表示で混乱につながる( NASCAR問題) 🔼 パスワードマネージャーの影響を受けてしまう 既存のログインフォームと ワンボタンログイン方式を並列させると混乱につながる可能性あり パスキーもパスワードマネージャーのしくみを利用しており、すべて の環境でサポートをしているわけではない
  11. 同期しないパスキーの方が安全なのでは? • 同期するパスキーと同期しないパスキーの2種類がある ◦ 同期しないパスキーは認証器の仕様に依存するため、パスキーが作成できない 可能性あり • 同期しないパスキーであれば、セキュリティキーなどを物理的に 窃取されない限りはリモート攻撃は不可能 •

    同期パスキーよりも同期しないパスキーの方が安全ではある • 一方で、同期しないパスキーを登録した認証器に依存するため、 ログインやアカウントリカバリーの観点でUXが低下することを 考慮しなければいけない 35

  12. パスキーにアクセスできなくなったら? • 同期するパスキーであっても、パスワードマネージャーが使えない ブラウザーや同期できないOSの場合には、パスキーにアクセス できないことがある • パスキー以外の認証方法やアカウントリカバリーを用意しておく 必要がある 37
 Windows

    macOS iOS/iPadOS Android Linux ChromeOS Googleパスワードマネージャー 🔄*1 *2 🔄*1 🔄 🔄 🔄*1 🔄*1 Appleパスワード 🔄 🔄 Windows Hello ✅ 3rd Partyパスワードマネージャー 🔄*3 🔄*3 🔄 🔄 🔄*3 🔄*3 *1 Chromeのみ *2 要TPM *3 拡張機能として
  13. さいごに • パスキーとOAuth・OpenID Connectは補完関係にある ◦ OPの既存の認証方法にパスキーを加えたり、置き換えたりすることで より安全でUXのよいログイン体験にできる ◦ パスキーの代替の認証方法やアカウントリカバリーとして ID連携を

    用いることも可能 • パスキーは銀の弾丸ではない。すべてが解決できるわけではない ため、過信しすぎてはいけない • しかし、コアの仕様は徐々に成熟しつつあるため、 各環境のサポート状況をキャッチアップしつつ、自社サービスへの パスキーの導入や活用を検討してみてはいかがでしょうか 38