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「宣言的API」で指示をして、Kubernetesに「定期的な運用の一部」を任せる方法 / a...

「宣言的API」で指示をして、Kubernetesに「定期的な運用の一部」を任せる方法 / agile-tech-expo-01-202101-amsy810

Kubernetesでは、宣言的APIで定義した状態に収束させるReconciliation Loopの仕組みによって成り立っています。これはあるべき状態をもとに、Controller(Operator)というプログラムが運用者に変わってその状態を実現させるための仕組みです。基本的な機能もこの仕組みを使って実現されており、プロダクト継続的なアップデートを行い、新しい機能の追加を容易にするような仕組みを備えています。
このセッションでは、基本的な機能からはじめて、いくつかのエコシステムも例に上げて具体例を紹介しつつ、注意すべき点や考慮すべき点を紹介します。

Speaker
青山 真也 さん Masaya Aoyama
株式会社CyberAgent KaaS Product Owner, Developer Experts (Kubernetes/CloudNative)

Agile Tech EXPO Online
New Normal Agile Episode 1
https://202101.agiletechexpo.com/

Masaya Aoyama (@amsy810)

January 23, 2021
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Transcript

  1. - Co-chair ੨ࢁ ਅ໵ + CREATIONLINE - 技術アドバイザ + SAKURA

    Internet Research Center – 客員研究員 + 3-shake 技術顧問 + PLAID - Organizer - KaaS Product Owner - Publications Twitter: @amsy810
  2. そもそもなぜ Cloud Native が必要なのか? ビジネスの成功・プロダクトの成功にはより良いものの提供が必要 Webサービスにおけるより良いものとはなにか? ではどうすればいいか? • 高性能・停止が少ないサービス =

    安定的に動作する環境 • 高機能・使いやすい価値のあるサービス = 短いアプリケーションの更新サイクル つまり、安定的に動作することができている状態を維持しつつも、 頻繁にアプリケーションを更新することでユーザーに対してより良い価値を届けられている状態 これにより、ビジネスやプロダクト展開のスピードを上げ、競争力を維持することができる
  3. あるべき理想の状態(Desired State)≒ Declarative へと収束する 何か問題が発⽣した場合でも、Controller により セルフヒーリングされる ※ 厳密には Controller

    も API を⽤いて変更します。 reconcile() { … } 登録 (via API Request) Watch クラスタの状態 コンテナの作成・削除 Controller 登録された時に、ただ起動させるだけではない Kubernetes と Reconciliation Loop
  4. Controller 内では Reconciliation loop(調整ループ)と呼ばれる あるべき状態へと収束させるループ処理 が実⾏されている Kubernetes の内部には様々な Controller と呼ばれるプログラムが動作している

    Observe Diff Act Observe: 現状を確認 Diff: 理想と現実の差分を計算 Act: 差分に対する処理を実施 reconcile() { … } Controller Kubernetes と Reconciliation Loop
  5. ReplicaSet Controller の責務は 「指定されたレプリカ数で Pod を維持し続けること」 Observe Diff Act Observe:

    現状を確認 Diff: 理想と現実の差分を計算 Act: 差分に対する処理を実施 クラスタの状態 理想の状態 reconcile() { … } Controller 例: ReplicaSet Controller の例
  6. 例えば、コンテナ(Pod)を 3 つ起動させる ReplicaSet リソースの場合 Observe Diff Act Observe: 現状を確認

    Diff: 理想と現実の差分を計算 Act: 差分に対する処理を実施 クラスタの状態 理想の状態 reconcile() { … } Controller 例: ReplicaSet Controller の例
  7. たとえば 2 つしかコンテナ(Pod)が起動していない場合… Observe: 理想=3、現状=2 Observe Diff Act Observe: 現状を確認

    Diff: 理想と現実の差分を計算 Act: 差分に対する処理を実施 クラスタの状態 理想の状態 reconcile() { … } Controller 例: ReplicaSet Controller の例
  8. たとえば 2 つしかコンテナ(Pod)が起動していない場合… Diff: 1 つコンテナ(Pod)が⾜りない Observe Diff Act Observe:

    現状を確認 Diff: 理想と現実の差分を計算 Act: 差分に対する処理を実施 クラスタの状態 理想の状態 reconcile() { … } Controller 例: ReplicaSet Controller の例
  9. たとえば 2 つしかコンテナ(Pod)が起動していない場合… Act: 1つ nginx:1.16 のコンテナ(Pod)を作成する Observe Diff Act

    Observe: 現状を確認 Diff: 理想と現実の差分を計算 Act: 差分に対する処理を実施 クラスタの状態 理想の状態 reconcile() { … } Controller 例: ReplicaSet Controller の例
  10. Reconciliation Loop のまとめ ⼈が考えること(運⽤ロジック)をプログラムに落とし込んで⾃動化する = 運⽤を Kubernetes に任せることができる 状態は Kubernetes

    に保存されているため、API 経由で確認可能 外部システムを観測するものも状態を Kubernetes に保存 運⽤者 ReplicaSet の監視(watch) Pod の制御 (create / delete / patch) via API 運⽤のコード化 ReplicaSet の設定を見ておき、 指定されたレプリカ数で Podを維持する
  11. Reconciliation Loop のまとめ ⼈が考えること(運⽤ロジック)をプログラムに落とし込んで⾃動化する = 運⽤を Kubernetes に任せることができる 状態は Kubernetes

    に保存されているため、API 経由で確認可能 外部システムを観測するものも状態を Kubernetes に保存 reconcile() { … } Controller ReplicaSet の監視(watch) Pod の制御 (create / delete / patch) via API 運⽤のコード化 ReplicaSet の設定を見ておき、 指定されたレプリカ数で Podを維持する
  12. Kubernetes の構成要素 Kubernetes では⾮常に沢⼭の Controller が動いている • ReplicaSet Controller •

    Deployment Controller • Ingress Controller • Node Controller • Scheduler • etc. これらの Controller が⾮同期に動作することで ⼀つの分散システムとして成り⽴っている reconcile() { … } Controller reconcile() { … } Controller reconcile() { … } Controller reconcile() { … } Controller reconcile() { … } Controller 実際の状態 理想の状態 watch
  13. reconcile() { … } Controller ReplicaSet の監視 Pod の制御 via

    API 運⽤のコード化 Kubernetes-native とは 「スキーマの拡張機能」「宣⾔的 API の操作」を使いつつ、 Reconciliation Loop を実現する「ロジック」を組み込み、物事を管理すること
  14. Kubernetes-native とは reconcile() { … } Custom Controller 独⾃リソースの監視 Pod

    などの制御 via API 運⽤のコード化 「スキーマの拡張機能」「宣⾔的 API の操作」を使いつつ、 Reconciliation Loop を実現する「ロジック」を組み込み、物事を管理すること
  15. Controller による運用の自動化パターン(2/3) 1.ステートフルなミドルウェアを運⽤する Controller がつくられる Databaseなどの運⽤を任せられる時代に。 Message Queue/KVS に関しては近いうちに現実的に (個⼈的にステートを持つ

    Computing リソースの延⻑に感じている) ステートフルなミドルウェアが進まない理由 • Podのライフサイクルに適応できるものが少ない • 現状はクラスタ間のボリューム移⾏が得意ではない
  16. Controller による運用の自動化パターン(1/3) 2.⼀般的な運⽤⾃動化ロジック • 社内に伝わる秘伝の闇の運⽤スクリプトを駆逐 • Kubernetes-way な統⼀化された⽅法 • Reconciliation

    モデルにより「運⽤」のロジック化に適している • 汎化した形で実装し、オープンソースのエコシステムとして共有 例) コンテナのリソースの使⽤率から⾃動的に割当を変える︓{Virtical|Horizontal}PodAutoscaler 払い出されたロードバランサの IP アドレスを DNS に登録する︓ExternalDNS Issuer から証明書を発⾏して Secret として登録する︓Cert Manager リポジトリのマニフェストを Kubernetes に apply する︓ArgoCD
  17. ExternalDNS – 払い出された IP アドレスを DNS へ ロードバランサーを⾃動的に払い出す機能は Kubernetes や

    IaaS に存在する 払い出された IP アドレスを DNS に登録するのは運⽤者の仕事 LB 203.0.113.1 DNS 運⽤者 203.0.113.1 = svc.example.com
  18. ExternalDNS – 払い出された IP アドレスを DNS へ ロードバランサーを⾃動的に払い出す機能は Kubernetes や

    IaaS に存在する 払い出された IP アドレスを DNS に登録するのは運⽤者の仕事 LB 203.0.113.1 DNS 運⽤者 1. 払い出された IP アドレスの確認 2. 登録するドメイン名の確認 3. 外部の DNS に対して登録処理を⾏う 203.0.113.1 = svc.example.com
  19. ExternalDNS – 払い出された IP アドレスを DNS へ ロードバランサーを⾃動的に払い出す機能は Kubernetes や

    IaaS に存在する 払い出された IP アドレスを DNS に登録するのは運⽤者の仕事 払い出された IP アドレスや登録するドメイン名などは Kubernetes が保持している LB 203.0.113.1 DNS Controller 1. 払い出された IP アドレスの確認 2. 登録するドメイン名の確認 3. 外部の DNS に対して登録処理を⾏う ExternalDNS Controller 203.0.113.1 = svc.example.com
  20. Cert-manager HTTPS で利⽤する証明書を取得するのは、運⽤者の仕事 IP Address を DNS に登録することに⽐べると、より複雑な処理が多い LB svc.example.com

    = 203.0.113.1 Let’s Encrypt ドメイン名の確認 証明書リクエストの作成 ACME HTTP or DNS Challenge の実施 証明書ファイルの作成 DNS 運⽤者
  21. Cert-manager HTTPS で利⽤する証明書を取得するのは、運⽤者の仕事 IP Address を DNS に登録することに⽐べると、より複雑な処理が多い LB svc.example.com

    = 203.0.113.1 Let’s Encrypt Controller ドメイン名の確認 証明書リクエストの作成 ACME HTTP or DNS Challenge の実施 証明書ファイルの作成 Cert-manager Controller DNS
  22. Controller による運用の自動化パターン(3/3) 3.外部システムを制御・運⽤するための仕組み • Reconcile を踏襲した管理 • Config Connector︓ GCP

    リソースの制御 • AWS Controller︓ AWS リソースの制御 • Cluster API︓ Kubernetes クラスタ⾃体を管理 KVS DB Computing Computing KVS (meta) DB (meta) 定期的な運⽤
  23. Kubernetes-native とは reconcile() { … } Custom Controller 独⾃リソースの監視 Pod

    などの制御 via API 運⽤のコード化 「スキーマの拡張機能」「宣⾔的 API の操作」を使いつつ、 Reconciliation Loop を実現する「ロジック」を組み込み、物事を管理すること
  24. 大規模化による人材の不足 IT 化の推進、サービスやインフラが⼤規模化するに従って従来の運⽤では⼈が不⾜する • ⾃動化を⾏い、運⽤コストを低減する CNCF の提唱する Cloud Native では技術の⺠主化が⾏われている。

    • ビジネス以外のところは競争⼒を⽣みづらいので OSS で協⼒し合う • 各社で作っていた運⽤のための仕組みが汎⽤化されて OSS に • Kubernetes-native なエコシステムの広がり Kubernetes-native は解決策の1つとして有効 ただし、運⽤を⾃動化して確実に運⽤コストが減るとも限らない
  25. 大規模化による人材の不足 IT 化の推進、サービスやインフラが⼤規模化するに従って従来の運⽤では⼈が不⾜する • ⾃動化を⾏い、運⽤コストを低減する CNCF の提唱する Cloud Native では技術の⺠主化が⾏われている。

    • ビジネス以外のところは競争⼒を⽣みづらいので OSS で協⼒し合う • 各社で作っていた運⽤のための仕組みが汎⽤化されて OSS に • Kubernetes-native なエコシステムの広がり Kubernetes-native は解決策の1つとして有効 ただし、運⽤を⾃動化して確実に運⽤コストが減るとも限らない
  26. Kubernetes-native な手法の注意点 1. Controller の進化に追従する • Controller も常に進化していくため、塩漬けはせずに更新する • プラットフォームも開発者によりよいものを提供するために改善しつづける

    • OSS はものによっては開発が停⽌し、アーカイブされる • 成熟度、コミュニティの伸びを⾒極める • Upstream への貢献を視野に⼊れる • 将来的なリプレースの可能性を視野に⼊れる
  27. Kubernetes-native な手法の注意点 2. Controller の独⾃実装は覚悟を持って⾏う • Controller のロジックは全員が容易に理解できるとは限らない • 実装者が考える運⽤ロジックがコード化されている

    • ⾼頻度で⾏わない運⽤フローまで⾼度な⾃動化は⾏う必要はないため、コストを考える • その運⽤について⼗分な知識や経験がない場合は避ける • 上位互換性が保てないアプリケーションについての⾃動化は避ける Stop Writing Operators - Joe Thompson, HashiCorp, https://sched.co/ekAR, KubeCon + CloudNativeCon NA 2020, 2020-11-18
  28. 大事なことは Cloud Native を目指し、選択すること ⼤事なのは実現したいこと 実現したいことを技術的⽅法で体系化したものが CloudNative という考え⽅ Kubernetes は

    Cloud Native を実現するためのプラットフォームとして利⽤可能 盲⽬的に Kubernetes を選択するのではなく、実現したいことと合致しているかを⾒極める アプリのアーキテクチャや技術スタックだけクラウドネイティブになっていても 効果は半減するため、合わせてビジネスや組織体制を Cloud Native に