Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

人の仕事、機械の仕事。エンジニアによるカスタマーサポート改善 / The improvements of Customer Support by Customer Reliability Engineer

人の仕事、機械の仕事。エンジニアによるカスタマーサポート改善 / The improvements of Customer Support by Customer Reliability Engineer

Developers Summit 2020 Summer (2020/07/21)

Mitsunobu Homma

July 21, 2020
Tweet

More Decks by Mitsunobu Homma

Other Decks in Technology

Transcript

  1. (C) mixi, Inc.
    Developers Summit 2020 Summer
    2020年7月21日
    株式会社ミクシィ 統括管理本部 CS部 CREグループ
    本間 光宣
    人の仕事、機械の仕事。
    エンジニアによるカスタマーサポート改善
    #devsumiC C-6

    View Slide

  2. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    ミクシィのカスタマーサポート(CS)について
    ○ ミクシィCS・CREの紹介
    ○ ミクシィCREの目指している姿
    エンジニアによるCS改善事例
    ○ 問い合わせ対応の効率化事例
    ○ 課題と対応について
    2
    今日話すこと

    View Slide

  3. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    ○ 本間 光宣(@_mitsu9)
    ○ 株式会社ミクシィ・CRE
    ○ 2018年新卒入社
    ○ CSが利用する各種ツールの開発・運用
    ○ 新規サービスリリースに伴うCS環境の構築
    ○ 機械学習を用いたCSの業務効率化
    3
    自己紹介

    View Slide

  4. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    Customer Reliability Engineer
    ○ Googleが2016年に提唱した職種
    ○ 顧客信頼の最大化を目的としたエンジニア
    ミクシィCREはCS専属のエンジニア
    ○ CSの業務に必要なシステムの開発・運用
    ○ 問い合わせ調査
    ○ 問い合わせ起因のプロダクト開発(バグ修正など)
    ○ より良いCSを作るためにCSの問題分析やシステム開発
    4
    CREとは
    「CREチームを設立しました!」
    https://career.xflag.com/report/engineer/cre/

    View Slide

  5. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    ○ 全社横断組織として複数サービスのサポートと健全化を行う
    ○ CREはCSを支えるエンジニアとして複数サービスに携わる
    ○ 私は主にゲーム事業のCSに携わっています
    5
    ミクシィのCSについて
    CRE
    CS
    ゲーム事業 SNS事業 スポーツ事業 ・・・

    View Slide

  6. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    問い合わせ例
    ○ 仕様についての質問
    ○ 操作がわからない・エラーになる等問題の解決方法について
    ○ 機種変更時のデータ移行に関する問い合わせ
    ○ クリアできないなど不満をぶつける問い合わせ
    問い合わせの分類
    ○ 必要な情報を取得するための問い合わせ
    ○ 感情を伝えるための問い合わせ
    6
    ゲームの問い合わせ

    View Slide

  7. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    必要な情報を取得するための問い合わせ
    ○ 内容: 問題発生時にどうすれば良いのかを聞く等
    ○ 期待: 正しい情報を素早く返信されること
    ○ 対応: テンプレートをベースにユーザーに合わせて微調整
    →機械を活用することで効率的・効果的に対応できる問い合わせ
    7
    基本的な問い合わせ対応方針

    View Slide

  8. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    感情を伝えるための問い合わせ
    ○ 内容: 喜び・怒り・悲しみなどの感情を伝える
    ○ 期待: 話をきちんと聞いてくれること
    ○ 対応: テンプレートは使わず1から作文を行う
    →人にしか対応できない問い合わせ
    8
    基本的な問い合わせ対応方針

    View Slide

  9. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    CSのクリエイティビティを最大化する
    ○ 必要な情報を取得するための問い合わせ
    ○ システムによって効率化できるプロセスを効率化
    ○ 感情を伝えるための問い合わせ
    ○ 人にしかできない対応をサポートするシステムを作る
    ○ ユーザーのことをより深く理解するための管理ツール作り
    ○ 暗黙知になりやすいCSのナレッジをデジタル化する
    ○ 類似ユーザー・類似案件の分析を通してナレッジを活用する
    9
    ミクシィCREのミッション

    View Slide

  10. (C) mixi, Inc.
    10
    エンジニアによるCS改善事例

    View Slide

  11. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    機械学習を活用してテンプレ対応を効率化した事例
    11
    本日紹介する事例

    View Slide

  12. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    CSの抱える課題
    ○ 大量のテンプレを中から適切なテンプレを検索することに時間がかかる
    ○ テンプレは1000件以上存在する
    今日話すこと
    ○ 構築したシステムの概要
    ○ 施策を進めるにあたっての課題と対応
    今日話さないこと
    ○ 機械学習のモデルの詳細
    12
    機械学習を活用してテンプレ対応を効率化した事例

    View Slide

  13. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    ○ チームに機械学習のナレッジがない
    ○ 過去に機械学習を利用したことがない
    ○ 問い合わせデータは大量にあるが活用できる形ではない
    ○ CRMに全て保管されている状態
    ○ CS・CREのリソースをあまり割けない
    ○ CSは既存業務で手一杯
    ○ CREもそれぞれの施策を進めている
    13
    施策開始時のチーム状況

    View Slide

  14. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    効果は小さくても良いからとにかく早く成果を出す
    小さな改善をこつこつ積み重ねる
    失敗することもあるが失敗するなら早く失敗する
    14
    テンプレ対応効率化の大方針

    View Slide

  15. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    ○ 新規問い合わせに対してシステムがテンプレを推薦
    ○ CSスタッフは推薦結果を確認し正解であればシステムで返信
    ○ テンプレを検索する時間とテンプレで返信する時間を効率化
    15
    テンプレ対応効率化施策の概要
    新規問い合わせ テンプレ推薦
    システムが返信
    通常対応
    (テンプレ検索→返信)
    正解
    不正解
    CSスタッフ
    システム
    ユーザー

    View Slide

  16. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    AWSを用いてシステムを構築
    16
    テンプレ推薦システムの構成
    問い合わせデータ
    学習済みモデル
    S3 CodeBuild
    SageMaker
    データ分析
    学習の実行
    推論エンドポイントの構築
    テンプレ推薦
    CSスタッフがOKを選択した
    問い合わせへの返信
    CRM
    更新・返信
    CloudWatch
    Event
    推論リクエスト
    定期実行
    CRM
    モデルの学習 推論・CRMとの繋ぎこみ
    過去の問い合わせを
    インポート

    View Slide

  17. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    17
    チームが抱えていた課題
    機械学習における課題
    初めて機械学習に取り組むチームが利用可能なモデルを開発すること
    システム開発における課題
    少ないリソースでできるだけ早くシステム開発をすること

    View Slide

  18. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    18
    チームが抱えていた課題
    機械学習における課題
    初めて機械学習に取り組むチームが利用可能なモデルを開発すること
    システム開発における課題
    少ないリソースでできるだけ早くシステム開発をすること

    View Slide

  19. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    できるだけ早く利用可能なモデルを開発するために行った工夫
    ○ 取り組む問題を簡単にする
    ○ 試行回数を増やす
    ○ 試行の精度を高める
    19
    機械学習のモデル開発について

    View Slide

  20. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    問題をシンプルにする&要求される精度を下げるように問題を設定する
    ○ モデルへのインプットは問い合わせ本文のみ
    ○ まずは1つのテンプレを対象にする
    ○ テンプレの推薦を行うシステムを作る(自動返信は行わない)
    20
    取り組む問題を簡単にする

    View Slide

  21. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    社内外のエンジニアに相談し自走するために必要な知識を身につける
    ○ 自走するために必要な知識は何か考えながら相談する
    ○ 答えを聞くのではなく考え方を教えてもらう
    ○ どうしてもできないところは部分的に開発を協力してもらうが、
    後から実装を理解する
    21
    試行回数を増やす

    View Slide

  22. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    ドメイン知識を身につけ明確な仮説を持って試行する
    ○ 一次情報に触れる
    ○ 問い合わせデータを見て傾向を理解する
    ○ オペレーションの様子を見てCSの考え方を理解する
    22
    試行の精度を高くする

    View Slide

  23. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    23
    チームが抱えていた課題
    機械学習における課題
    初めて機械学習に取り組むチームが利用可能なモデルを開発すること
    →問題を簡単にし精度の高い試行を繰り返すことで必要なモデルを
     開発することに成功
    システム開発における課題
    少ないリソースでできるだけ早くシステム開発をすること 

    View Slide

  24. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    24
    チームが抱えていた課題
    機械学習における課題
    初めて機械学習に取り組むチームが利用可能なモデルを開発すること
    →問題を簡単にし精度の高い試行を繰り返すことで必要なモデルを
     獲得することに成功
    システム開発における課題
    少ないリソースでできるだけ早くシステム開発をすること

    View Slide

  25. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    シンプルな構成で作るものを減らす x マネージドサービスを活用する
    今回必要だったものは次の3つ
    ○ CRMにある過去データを利用するための仕組み
    ○ モデルの学習・推論を行うための環境構築
    ○ CRMにテンプレ推薦・返信をする仕組み
    25
    システム開発について

    View Slide

  26. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    26
    CRMにある過去データを利用するための仕組み
    CRM
    CodeBuild S3 Athena
    SQLで取得
    Athenaを活用することでS3のJSONファイルに対してクエリを実行できる
    データの加工が不要なのでデータを保存するスクリプトの実装のみで実現
    1.問い合わせ取得 2.保存
    CloudWatch
    Event
    定期実行

    View Slide

  27. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    27
    モデルの学習・推論を行うための環境構築
    「カスタマーサポートにおける Amazon SageMakerを活用した自然言語処理・ MLシステム構築」
    https://pages.awscloud.com/rs/112-TZM-766/images/20191128_mixi_sagemaker-fes10.pdf
    SageMakerを活用することで必要な環境を簡単に用意できる
    必要なものは学習モデルを記述したコードのみ
    学習環境の構築 学習したモデルの管理 推論エンドポイントの構築

    View Slide

  28. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    バッチ処理でテンプレ推薦・返信を実装する
    新規問い合わせに対して推論を行いCRMを更新するスクリプトを定期実行
    28
    CRMにテンプレ推薦・返信をする仕組み
    CodeBuild
    SageMaker
    CRM
    1. 問い合わせ取得
    3. テンプレ推薦
    CloudWatch
    Event
    2. 推論リクエスト
    定期実行
    1. 問い合わせ取得
    2. テンプレ返信

    View Slide

  29. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    29
    チームが抱えていた課題
    機械学習における課題
    初めて機械学習に取り組むチームが利用可能なモデルを開発すること
    →問題を簡単にし精度の高い試行を繰り返すことで必要なモデルを
     獲得することに成功
    システム開発における課題
    少ないリソースでできるだけ早くシステム開発をすること
    →シンプルな構成で作るものを減らす x マネージドサービスを活用する

    View Slide

  30. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    効率化の効果
    ○ 問い合わせの約1%をシステムで対応
    ○ 1件あたり約3分の効率化
    その他の効果
    ○ CSスタッフの中でAIに興味を持ってくれる人が増えた
    ○ 今後AIを活用するためにはどのようなデータを蓄積すると良いのかと
    いう視点が生まれた
    30
    施策によって得られた効果

    View Slide

  31. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    人の能力を活かすために機械にできる仕事をできるだけシステム化する
    ミクシィではCS専属のエンジニアとしてCREがいます
    初めて機械学習を使う時はできるだけ簡単な問題に落とし込む
    難しい問題を解くよりも問題を簡単にする方が簡単
    システム開発は効率化し機械学習に時間を割けるようにする
    特に少ないリソースで取り組む場合は取捨選択が大切
    効果は小さくてもリリースすることで得られるものは大きい
    目にみえるものができることでみんなの考え方が変わる
    31
    おわりに

    View Slide

  32. (C) mixi, Inc.
    We Are Hiring!!
    新卒も!中途も!積極採用中!
    ミクシィ 採用 検索

    View Slide

  33. (C) mixi, Inc.
    #devsumiC
    tech meetupの情報を入れる
    33
    8月27日 オンライン開催
    詳細はconnpassをご覧ください!

    View Slide

  34. (C) mixi, Inc.
    34

    View Slide