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チームワークって何?

 チームワークって何?

2018.5.22 社内発表で使用した資料です
良いチームワークを作るための考察

mmj_study_group

May 22, 2018
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Transcript

  1. お前 is 誰? • 今村 友和 • ハノイで出合い系サイト作ってます • ベトナム支社をアジャイルなプロダクト会社にしようと頑張っている

    ◦ 複数のプロダクトを作りたい • 楽天家寄りの現実主義者 • なぜ人は失敗するのか?に興味がある。(どうすれば成功するのか?には興味がない) • アウトサイダーなので無責任なことを言い放って逃げるポジション
  2. 不確かさに立ち向かうチーム • チームと言っても色々あります ◦ 不確かさに立ち向かうチーム(ITプロダクト、緊急医療) ◦ 大規模プロジェクトチーム(土木、宇宙船) ◦ ルーチン(パターン)を効率よくこなすチーム(工場、学校、ITインフラ) ◦

    息を合わせるチーム(スポーツ、オーケストラ) ◦ 命令を忠実に実行するチーム(軍隊、教会、政府) ◦ 何の目的も無い集団(暴走族、猿の群れ) • 同じチームでも立ち向かう問題によって戦略は変わる ◦ インフラチームの平常時と緊急時 • このスライドでは主に不確かさに立ち向かうチームを扱います
  3. チームワークとは • 個人では成し遂げられないタスクを複数人で連携することによって成し遂げること ◦ 難しい問題を解く ◦ より良い品質 ◦ 高速な問題解決・学習 •

    なぜそれが可能か ◦ 欠点を補い合う ◦ ムダの排除 ◦ より良いアイデアの創発 ◦ モチベーション・集中 • チームが機能していない状態 ◦ チームのパフォーマンスが個人のパフォーマンスの総和かそれ以下
  4. 囚人のジレンマ (Prisoner’s dilemma) • お互いが協力したほうが良い結果が得られると分かっていても、合理的に行動した結果「協力 しない」という選択をとってしまうというジレンマ • 共同で犯罪を行ったと疑われる囚人AとB ◦ 二人共黙秘すれば証拠不十分で懲役2年

    ◦ もし片方だけ自白した場合、自白した方は司法取引で釈放(懲役0年)、自白しなかった方は懲役10年 ◦ 二人共自白したら懲役5年 B 協調 B 裏切り A 協調 (2, 2) (10, 0) A 裏切り (0, 10) (5, 5)
  5. Aが自分の利益だけ見た場合 B 協調 B 裏切り A 協調 (2) (10) A

    裏切り (0) (5) Bの意思決定によらず、常に裏切ったほうが得!( ただしBも同じことをするので結局懲役5年) B 協調 B 裏切り A 協調 (2, 2) (10, 0) A 裏切り (0, 10) (5, 5)
  6. 自分の利益だけ見るケース • それ僕にメリットありますか? • それは僕の仕事じゃないですね • 完璧なドキュメントをもらえないと仕事できません • バグが見つかったけどほかのメンバーに怒られるから黙っておこう •

    締め切りに間に合わないと詰められるから見積もりを倍にしよう • ジリ・・ジリ・・(信号待ちの時に1cmでも先に進めようとするベトナムのバイク) これらの言動が悪であるというわけではない 全体の生産性が逆に下がる可能性があるのと非アジャイル的であるというだけ
  7. 囚人のジレンマがヤバイ理由 • 如何に合理的であろうとも(合理的であればあるほど)、自分の利益を最大化しようとするプ レイヤーがいると組織としての生産性は落ちる ◦ 官僚組織などの非効率さはこれが裏にある • 多くの非効率な場面において、殆どの人が「個人の無能さに原因がある」と信じている ◦ 実際は構造に問題がある

    ▪ 情報の透明性と相互信頼が欠如している • さらに厄介なのは ◦ 僕らは皆自分だけはそうではないと信じている(実際は全人類があらゆるレベルでこのジレンマに加担し ている) ▪ 自分は正しいことをしているが全体の生産性が悪いということは他の連中が無能なのだ ◦ 片方がもう片方を論破する方法ではこの構造が解消できない ▪ 構造が変わらない限りナッシュ均衡から抜け出すインセンティブがないから ◦ 腐ったりんご効果 ▪ 一人でも利己的な行動をする奴がいるとその行動が伝染する
  8. 囚人のジレンマから抜け出すには • 全体視点 ◦ 個人ではなく構造を見る(システム思考) ◦ 自分がジレンマに加担していることを理解する(自己の客観視) ▪ 他人への非難・期待は効果が無いことを理解する ▪

    「あいつに原因がある。それはきっと変わらないから俺も努力しない」は膠着を強化するだけ • 信頼 => 古き良き「腹を割って話し合う」 ないしは、全体視を持つ役割・ツールの導入
  9. 5つの規律(メンバーが持つべき規律) • 自己マスタリー ◦ 自分のやりたいこと、目的を明らかにし忠実に生きること • メンタルモデル ◦ 自分の行動に影響を与える思い込みを内省し明らかにすることによって改善し続ける ◦

    自分は間違っているという確信を持つ • 共有ビジョン ◦ チームがどうなりたいのかについての共通の理解がある ◦ チームとして達成すべき次のゴールが定義されている • チーム学習 ◦ チームが望む成果を生むために対話を通じて学習する(勉強会のことではない) • システムシンキング ◦ 状況を様々な要素の相互のからみ合いとして理解して解決策を見出す手法
  10. 人は常に間違う • ロジカルシンキングは万能の道具ではない ◦ それどころか高い確率で間違う • なぜか? ◦ 認知バイアス (メンタルモデル)

    ▪ 同じ事実を観測しても人によって理解が大きく異なる • 「半分もある」「半分しか無い」 • 「痛いのは嫌だ」「痛いのが好き」 • 「つらい仕事は避けたい」「つらい仕事は自分を成長させてくれる」 ◦ 誤った目的設定・情報の非対称性 (自己マスタリー・共有ビジョン)
  11. チームとしての学習 • 沢山やってみて小さく速く失敗する ◦ リスクがあるなら痛くないようにする • やってみた結果を評価する ◦ やる前に何を評価するかは決めておく •

    よく考えてやるのではなく少し考えてやってみてよく考える • 失敗したものは潔く捨てる • うまく行かない案を採用した判断を責めるような議論は意味がないだけなく害悪なので止める (運を過学習してしまう&個人攻撃に繋がる) ◦ 次どうするかに集中する
  12. 失敗の種類 • 防ぐことのできる失敗 ◦ 不注意や不勉強による失敗 ◦ 少し考えれば見つかる問題を防がずに「やってみる」のは効率が悪い • 複雑さに起因する失敗 ◦

    予測はしづらい。小さな失敗の段階で早く見つけ出す • 知的な失敗 ◦ 戦略的にあえて失敗する 何でもかんでもやってみて失敗すればいいわけではない 本を読んで学べることは本を読めばよい
  13. 不確かさに立ち向かうチームの条件 • チームの存在意義が不確かさとの戦いであることを理解する ◦ リスクにフォーカスし、リスクを減らす努力をする ▪ 技術選定 ▪ ユーザビリティ ▪

    重要なマイルストン ▪ 顧客からのクレーム ◦ 不確かさを減らす方法はコードを書くこと意外にもある ◦ それでもなくならないリスク・曖昧さは受け入れる ◦ 少しの時間で大きなリスクを見つける • 知的な失敗を受け入れ、とりあえずやってみて結果を議論する文化
  14. プロジェクト アリストテレス • Google が 2012 に開始した生産性向上プロジェクト • 生産性の高いチームは何が違うのか?を明らかにしようとした •

    仮説 ◦ 仲良し ◦ 性格・興味の一致 ◦ 圧倒的リーダーシップ・カリスマの存在 ◦ 個々人のパフォーマンス ◦ 高い給与
  15. プロジェクト アリストテレス • Google が 2012 に開始した生産性向上プロジェクト • 生産性の高いチームは何が違うのか?を明らかにしようとした •

    仮説 ◦ 仲良し ◦ 性格・興味の一致 ◦ 圧倒的リーダーシップ・カリスマの存在 ◦ 個々人のパフォーマンス ◦ 高い給与 どれも関係なかった (Google での話なので話半分に)
  16. どっちが安全? 優しい世界 • 意見は暖かく受け入れられる • 否定的な言葉は使わない(「いいね!」 「最高!」) • 調和が何より重要 マサカリの世界

    • 正しい意見を出すために激しい議論も厭 わない • 個人攻撃の無い範囲で率直に意見を言う • 結果を出すことが何より重要 • 間違った意見を言うことは悪ではないが 意見を言わないことは悪である チームワークのコンテキストで より良いパフォーマンスが出せるのは後者 心理的安全が意味するのも後者
  17. アジアとアジャイルは相性が悪い • 上下関係 ◦ 目上の人には意見を言いづらい、年下には無茶な意見を言う • 和を尊ぶ ◦ 反対意見は言いづらいしうまく処理されない •

    学校型問題解決 ◦ 問題はあいまいさが無く、失敗は恥ずかしいことである • 文化軽視・プロセス重視 ◦ アジャイルマインドの理解無しにプロセスの導入を行う スクラムがアジア圏でうまくいかない4つの理由
  18. 心理的に安全な場を保つには • 感情・偏見に基づくジャッジをしない ◦ 俺はそれ嫌いですね。 ◦ どうせ無理ですよ。期待できませんよね。 • 他人の内心を想像しない ◦

    あいつやる気無いですよ。他人事だと思ってる。 ◦ ◦◦について全く理解してないですね。 • 嘲笑しない ◦ えっそれ本気で言ってるんですか?マジで?(馬鹿か?) ◦ 当然ご理解いただけているかと思ってましたが (それくらい理解しとけ) • 怒らない ◦ お前は何を言っているんだ? ◦ なぜこんな簡単なことがわからないんだ? • 大きな声を出さない(威嚇しない) • 話を遮らない
  19. 心理的に安全な場を保つには(続き) • 事実・共通ゴールに基づく発言をする ◦ 僕らのゴールはこれです、だからこうしましょう、がチームにおける良いコミュニケーション • 他人の行動にのみ言及する ◦ 自分が観測できること、コントロールできることに議論を集中させる •

    意見が食い違う場合はどこにその食い違いの根本原因があるかを探る ◦ なぜそう考えるかを深く掘り下げる質問をする ◦ 自分の考えについて深く掘り下げて説明をする • 自分の弱みについて率直に話す • 均等な発言機会 • 共感能力(目を見て感情を読み取る能力)
  20. 心理的に安全ならパフォーマンスはでるのか? • 必要条件だが十分条件ではない • 単に安全だとぬるま湯になる • 個々人のセルフマネジメントが必須 ◦ 「出来る限りのことはやってるし、それでできないものはできないから仕方がない」 =>

    ぬるま湯 ▪ 困難な課題に対して知恵を絞るのがチームの存在意義 ◦ 自分の出しているインパクトを認識することが必要 ▪ 組織が持続するために必要なインパクトを出せているのか? • 「俺はお前を信じたいからお前は俺を信じさせろ」という握り
  21. 議論における望ましい言動 • 意見と理由を述べる ◦ 自分はこう思う、なぜなら・・・(結論よりも理由が重要) • 論破ではなく質問をする ◦ なぜそう考えるのですか? ◦

    例えばこの場合どうなりますか? • 仮説は可能な限り検証の対象とする ◦ データを探す ◦ データが無いならデータを集める ◦ 検証不可能な仮説は思い込みと呼ぶ • Disagree & Commit ◦ 自分の反対意見は徹底的に述べる ◦ でも一度決まったことには全力でコミットする
  22. チームワークがうまく行かない条件 • 何を最大化・最適化するためにチームが 存在しているのかわからない • 役割と責任範囲が不明確 • 特定の人しか知らない情報が沢山ある • 質問が行われない・質問が回答されない

    • リスクを避けたがる • やったこと無いからできません・わかり ません • 他人に関心が無い • 他人を信用していない • jerk(嫌な野郎)がいる ◦ 議論に勝とうとする ◦ 個人攻撃をする・他人を馬鹿にする ◦ 助けを求められて協力を拒否する ◦ 他人に責任をなすりつける • 自分のパフォーマンス・チームのパフォ ーマンスに無頓着 • 議論に勝ちたがるやつがいる • 個人の能力を過大評価している