Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
Ractorが出たからRubyの並列処理をおさらいする
Search
mokichi
February 24, 2021
Programming
0
760
Ractorが出たからRubyの並列処理をおさらいする
mokichi
February 24, 2021
Tweet
Share
More Decks by mokichi
See All by mokichi
Elixir以外の言語もよく使うエンジニアが考える、Phoenix LiveViewの使いどころ
mokichi
1
370
Rubyistから見たElixir
mokichi
1
440
動的画像変換サービス「imagepix」のご紹介
mokichi
1
270
Phoenix LiveViewをプロダクション利用してみた所感
mokichi
3
950
Phoenix1.6で標準搭載されたLiveViewに入門してみよう
mokichi
0
230
WebエンジニアのためのKubernetesサクッと入門
mokichi
1
150
未来予知できない凡人の生存戦略
mokichi
0
79
Other Decks in Programming
See All in Programming
slogパッケージの深掘り
integral0515
0
130
Claude Code + Container Use と Cursor で作る ローカル並列開発環境のススメ / ccc local dev
kaelaela
12
7.4k
React は次の10年を生き残れるか:3つのトレンドから考える
oukayuka
40
15k
中級グラフィックス入門~効率的なメッシュレット描画~
projectasura
2
1.3k
Jakarta EE Meets AI
ivargrimstad
0
280
「次に何を学べばいいか分からない」あなたへ──若手エンジニアのための学習地図
panda_program
3
640
効率的な開発手段として VRTを活用する
ishkawa
1
180
Porting a visionOS App to Android XR
akkeylab
0
910
状態遷移図を書こう / Sequence Chart vs State Diagram
orgachem
PRO
3
250
なぜあなたのオブザーバビリティ導入は頓挫するのか
ryota_hnk
2
370
[DevinMeetupTokyo2025] コード書かせないDevinの使い方
takumiyoshikawa
2
160
NEWT Backend Evolution
xpromx
1
150
Featured
See All Featured
Improving Core Web Vitals using Speculation Rules API
sergeychernyshev
18
1k
Optimizing for Happiness
mojombo
379
70k
Easily Structure & Communicate Ideas using Wireframe
afnizarnur
194
16k
The Art of Delivering Value - GDevCon NA Keynote
reverentgeek
15
1.6k
Six Lessons from altMBA
skipperchong
28
3.9k
Facilitating Awesome Meetings
lara
54
6.5k
Learning to Love Humans: Emotional Interface Design
aarron
273
40k
XXLCSS - How to scale CSS and keep your sanity
sugarenia
248
1.3M
Stop Working from a Prison Cell
hatefulcrawdad
271
21k
Practical Orchestrator
shlominoach
189
11k
ピンチをチャンスに:未来をつくるプロダクトロードマップ #pmconf2020
aki_iinuma
126
53k
The Myth of the Modular Monolith - Day 2 Keynote - Rails World 2024
eileencodes
26
2.9k
Transcript
Ractorが出たから Rubyの並列処理をおさらいする 2021/02/24 @第28回ゆるはち.it 株式会社スマートアルゴリズム 齋藤 和也
自己紹介 名前:齋藤 和也 HN:mokichi 年齢:33歳 居住:東京都 出身:福岡県 🍜 Twitter:@mokichi_s12m 株式会社スマートアルゴリズム 代表取締役 株式会社Vook
外部CTO クラウドインフラを含むサーバサイド開発やDevOps が得意 ここ数年は Elixir/Phoenix にお熱 🔥 (ビルディット社との付き合いは結構長い )
Ruby3.0で Ractor が追加されました 🎉 まだ experimental
Ractorとは • アクターモデル風の並行・並列制御機構 • 並列実行単位をRactorと呼んでいる Ractor.new{ expr } • メッセージの送受信でRactor間のコミュニケーション
• 各Ractorに少なくとも1つのスレッドがある • コントリビューター曰く「らくたー」と読むのが正しそうです (当初あーるあくたーと読んでいたのは内緒) https://www.youtube.com/watch?v=40t8EPpnujg
プロセスやスレッドじゃダメなの? 🤔
プロセスの問題点 • OSへの負荷がスレッドと比較して高い • メモリをたくさん使う (COWがあったとしても) • プロセス間でメモリ上のオブジェクトを直接共有する ことができず、別の手段でやりとりする必要がある
スレッドの問題点 • スレッド間でメモリを共有するため、複数スレッドから同じオブ ジェクトを同時に操作するとまずいことに (Mutex等使えば解消できるが、かなり気を使う) • 処理どうしに依存関係があると複雑さが増す • CRubyにはGIL(GVL)があるためスレッド安全ではあるが、マ ルチコアを活用できない
GILについて • Global Interpreter Lock の略 RubyではGVL(Giant VM Lock)という名称 •
同時に実行されるスレッドは常に1つ • I/Oの待機時には解放される ◦ WebアプリケーションのようにI/Oが処理の大部分を占めるものは マルチスレッドによる並列化の恩恵を受けられる
人類には マルチスレッドプログラミングは 難しすぎる 🤯 C++やJavaでは結構やってましたが… (お察し)
Ractorの特徴 • 異なるRactorではGILの影響を受けない • ミュータブルな変数をRactor間で共有できない ◦ ディープコピーを渡す or 所有権を移動させる •
別Ractorからのメッセージを待つことができるため、 依存関係がある処理やワーカープールを記述しやすい ◦ スレッドで同じことしようとすると、ロックが複雑に絡み合う
時間があればサンプルを少し見る
将来Ractorはこう使われる?(勝手な想像です) • Unicorn/Puma や Resque/Sidekiq の発展型 ◦ GILの影響を受けないことによる恩恵を受けられる • 機械学習
(データ収集 > 前処理 > 学習 > 予測 の全工程) ◦ Ruby自体も処理速度が向上しているし、ライブラリも結構あるみたい ◦ RubyでWebアプリ作ってるのに、そこだけわざわざPython使うのは… • 分散コンピューティング ◦ PubSubとうまく使えば別マシンのプロセスと連動できたり?
We ❤ Ruby!