ChatGPTなどの生成AIは,与えられた指示から文章を生成する機能を持ち,それ自体が知識にアクセスする手段となり,また生成された文章は情報源となりWebなどを流通しうる。しかし,その前提として,人々が生成AIを実際の作業の中でどのようなものとして理解し利用しているかはわずかしか研究されていない。本研究では,生成AIの利用を,実際の執筆作業を対象に記述することを目的とする。具体的には,SFプロトタイピングプロジェクトにおいてChatGPTを用いて小説を執筆する実践を対象に,執筆者とChatGPTとの対話ログを収集した。それをエスノメソドロジー的ワークの研究の方針に従い記述した。これによって,執筆者による明確な指示(プロンプト)を与えて小説を生成する,自らもしくはAIが生成した小説にフィードバックを求める,またそれらを含め対話の中で執筆者に合った形で利用し書き上げていくといった,柔軟かつ多様な実践が見られた。