Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
さくらの専用サーバ PHYとその裏側@OSC2020 Online/Fall
Search
pitan
October 23, 2020
Technology
3
1.7k
さくらの専用サーバ PHYとその裏側@OSC2020 Online/Fall
OSC2020 Online/Fall のセミナー資料です。
https://event.ospn.jp/osc2020-online-fall/session/200649
pitan
October 23, 2020
Tweet
Share
Other Decks in Technology
See All in Technology
10XにおけるData Contractの導入について: Data Contract事例共有会
10xinc
6
620
ドメイン名の終活について - JPAAWG 7th -
mikit
33
20k
100 名超が参加した日経グループ横断の競技型 AWS 学習イベント「Nikkei Group AWS GameDay」の紹介/mediajaws202411
nikkei_engineer_recruiting
1
170
Amazon Personalizeのレコメンドシステム構築、実際何するの?〜大体10分で具体的なイメージをつかむ〜
kniino
1
100
ドメインの本質を掴む / Get the essence of the domain
sinsoku
2
150
適材適所の技術選定 〜GraphQL・REST API・tRPC〜 / Optimal Technology Selection
kakehashi
1
170
Amazon CloudWatch Network Monitor のススメ
yuki_ink
1
200
初心者向けAWS Securityの勉強会mini Security-JAWSを9ヶ月ぐらい実施してきての近況
cmusudakeisuke
0
120
SSMRunbook作成の勘所_20241120
koichiotomo
2
130
BLADE: An Attempt to Automate Penetration Testing Using Autonomous AI Agents
bbrbbq
0
300
障害対応指揮の意思決定と情報共有における価値観 / Waroom Meetup #2
arthur1
5
470
AWS Lambda のトラブルシュートをしていて思うこと
kazzpapa3
2
170
Featured
See All Featured
The Cult of Friendly URLs
andyhume
78
6k
Save Time (by Creating Custom Rails Generators)
garrettdimon
PRO
27
840
StorybookのUI Testing Handbookを読んだ
zakiyama
27
5.3k
Cheating the UX When There Is Nothing More to Optimize - PixelPioneers
stephaniewalter
280
13k
How to Think Like a Performance Engineer
csswizardry
20
1.1k
Fight the Zombie Pattern Library - RWD Summit 2016
marcelosomers
232
17k
XXLCSS - How to scale CSS and keep your sanity
sugarenia
246
1.3M
A Modern Web Designer's Workflow
chriscoyier
693
190k
Designing on Purpose - Digital PM Summit 2013
jponch
115
7k
ピンチをチャンスに:未来をつくるプロダクトロードマップ #pmconf2020
aki_iinuma
109
49k
No one is an island. Learnings from fostering a developers community.
thoeni
19
3k
Producing Creativity
orderedlist
PRO
341
39k
Transcript
さくらの専⽤サーバPHYとその裏側 さくらインターネット株式会社井上喬視 1
⾃⼰紹介 井上喬視(いのうえたかし) さくらインターネットクラウドサービス部 2015年⼊社 ⼊社以来ほぼさくらの専⽤サーバ関連の業務に従事 2
さくらインターネット株式会社 サーバなどの計算資源を貸し出すデータセンター事業者 1996年 さくらインターネット創業 12⽉に現社⻑の⽥中邦裕が、舞鶴⾼専在学中に学内ベンチャーとして創業 1999年 株式会社を設⽴ 10⽉には第1号となるデータセンターを⼤阪市中央区に開設 2005年 東証マザーズ上場
2011年 ⽯狩データセンター開設 11⽉、北海道⽯狩市に国内最⼤級の郊外型⼤規模データセンターを開設 2015年 東証⼀部に市場変更 2016年 創業20周年 3
さくらインターネットの事業 データセンターに データを預ける データを 保管・処理する インターネットを 介してデータが 流れる ブラウザ・アプリ からサーバに
アクセスする データセンター インターネット 利⽤者 コンテンツ 事業者 さくらインターネット データ インターネット 4
サービス紹介 新サービス 専⽤サーバ・データセンター レンタルサーバ ハウジング VPS・クラウド(仮想化基盤) 電⼦契約プラットフォームβ 5
物理サーバーホスティングの歴史 物理サーバのホスティング事業は創業期から続くサービス 1997年 専⽤サーバサービス開始 2002年 専⽤サーバサービス全⾯リニューアル 2007年 専⽤サーバPlatformの提供を開始 2012年 さくらの専⽤サーバの提供を開始
2020年 さくらの専⽤サーバPHYの提供を開始 6
さくらの専⽤サーバPHY(ファイ) 2020年よりサービス提供を開始 7
さくらの専⽤サーバPHYの特⻑ 8
⾼性能なサーバーを専有で ⾼速なCPUと⼤量のメモリ、ストレージを専有 CPU:最⼤2.5GHz40Core(IntelXeonGold6248x2) メモリ:最⼤1.5TB ストレージ:最⼤SSD3.84TB(最⼤6つ搭載可能) オプションでNVMeを最⼤4つ搭載可(SSD3.2TB/6.4TB) RAID選択可(標準でRAID1) https://server.sakura.ad.jp/specification/ 9
物理サーバーの運⽤を⾏いやすく 冗⻑化された回線と電源を標準提供 サーバー電源、ネットワークスイッチの冗⻑化 全モデルで冗⻑構成を標準提供 ⾃由⾃在にスケール可能 サーバ1台の構成から台数に上限無しでスケールアウト可能 サーバーを欲しいときに 最短10分で提供が可能 オプション追加もオンラインで完結 10
柔軟なネットワーク構成 ハイブリッド接続によるネットワーク連携 さくらのクラウドやハウジングサービス等との接続も可能 オンプレミスのようなネットワークを構築可能に 1台のサーバーに複数のネットワークを接続可能 タグVLANをサポート アプライアンスも利⽤可能 ファイアウォール ロードバランサ 11
くわしくはWebで! 公式サイト https://server.sakura.ad.jp/ マニュアル https://manual.sakura.ad.jp/ds/phy/ 12
さくらの専⽤サーバPHYの裏側 13
物理デバイス構築⾃動化の取り組み 実現できていること 基本的に⼈⼒作業は設置配線のみ ラックに設置して配線して電源ONで在庫化まで 構築の⾃動化が実現できているもの サーバー スイッチ インテリジェントPDU ラックに搭載するものすべて 14
サービス提供までの流れ(構築編) ラックプランの検討 設置するサーバのモデルを検討する 在庫状況や売れ⾏き等によって決まる 設置/配線 サーバーやスイッチなどをラックに搭載する セットアップ 販売在庫化 セットアップ完了済みのものを販売在庫として登録 15
ラックプランの検討 ラックプラン=どういうラックを構築するか PHYには複数の販売モデルがある ローエンド/ミドルエンド/ハイエンド サービスリニューアルによって変わる 販売モデルによってサーバだけでなく搭載するスイッチも変わる そのため販売モデルごとにラックを構築している ここは⾃動化しにくい部分 売れ⾏き、在庫などを総合的に判断して決める必要がある 16
設置/配線 設置や配線作業⾃体は基本的に⾃動化不可 設置ロボ?配線ロボ? ラックへのサーバ/スイッチ搭載は⼈⼒で対応 ただし設置位置や配線経路はルールによって⾃動化 装置のラック搭載位置 電源ケーブルの配線 ネットワークケーブルの配線 17
設置位置/配線経路の決定ルール ラックに必ず設置される装置 管理⽤スイッチ=管理インターフェースを収容する インテリジェントPDU=ラック内のデバイスの電源供給 以下の3つの番号を⼀致させるルール サーバーのBMCを接続する管理⽤スイッチのポート番号 電源を取得するインテリジェントPDUのアウトレット番号 ラック内の設置位置(U位置) 18
管理⽤スイッチ インテリジェントPDU 41Uに設置されたサーバー =管理⽤スイッチの接続ポートは41 =PDUのアウトレット番号は41 19
20
設置が完了した機器のセットアップ DHCPをセットアップの起点としている ほとんどの装置は初期設定がDHCPとなっている DHCPでどうやって装置を判別する? IPアドレスを払い出した対象はどれ?サーバー?スイッチ? よくあるやり⽅はMACアドレスをベースにする⽅法 でもMACアドレス集めるのは⼤変 設置した後にMACアドレスを調べるのも⼤変 IPアドレスを払い出した後は? 払い出しただけではセットアップが進まない
21
装置判別のためのアプローチ DHCPOption82の利⽤ スイッチのDHCPSnooping機能によって付与されるオプション RemoteID(スイッチホスト名)とCircuitID(ポート番号) どのスイッチのどのポートに接続されているかが分かる SwitchA Port1 DHCPSnoopingによってOption82を付与 DHCPDiscover DHCPDiscover
RemoteID CircuitID :SwitchA :Port1 DHCPClient DHCPServer 22
IPアドレスを払い出した後は? 払い出しただけではセットアップが進まない セットアップには構成情報が必要 装置のホスト名は? どういう役割で何をする装置なのか? PXEブートに必要なMACアドレスはなに? 23
課題を解決するためのDHCPサーバ 課題解決のためDHCPサーバを独⾃に実装 Option82をキーとしたIPアドレスの固定払い出し 構築対象の特定を可能に IPアドレスを払い出した後にWebhookを送信する機能 実際のセットアップ処理を⾏うための通知機能 ZeroTouchProvisioning機能の実装 ONIE ベンダー固有のZTP機能 24
Option82による固定IPアドレス払い出し IPアドレス情報はYAMLベースの構成管理ファイルで定義 管理スイッチの接続ポートでIPアドレスが⼀意に決まる SwitchA Port1 DHCPSnoopingによってOption82を付与 DHCPDiscover DHCPDiscover RemoteID CircuitID
:SwitchA :Port1 DHCPClient DHCPServer 構成管理ファイル (YAML) ファイルの内容に従い IPアドレスを決める 25
構成管理ファイル(LeaseDB) name: ds-phy-mgmt-001 #管理スイッチ名 model: xxxx #管理スイッチのモデル名 start: 192.0.2.11 #払い出し先頭IPアドレス
netmask: 255.255.254.0 #払い出されるサブネットマスク gateway: 192.0.2.1 #払い出されるゲートウェイアドレス datacenter: is #設置されるデータセンタ zone: 3a #データセンタ内のゾーン rack: a-1 #ラック名 port: - index: 2 #ポート番号 hostname: ds-phy-node-001 #接続される機器のホスト名 webhook: build_node #払い出し後のWebhook送信先 - index: 3 webhook: phy_server_setup 26
構成管理ファイルの運⽤ 構成管理ファイルはGithubで管理している Githubflowな運⽤ 構成ファースト:構成があって初めて構築できる仕組み 構成管理ファイル (YAML) ラック構築したい⼈ 確認者 ブランチの作成/構成ファイルの追加 PullRequestの作成
マージ 確認依頼 27
セットアップ処理の開始 IPアドレス払い出し後にWebhookを送信 Webhookの送信先は構成管理ファイルに定義されている SwitchA Port1 DHCPDiscover DHCPDiscover RemoteID CircuitID :SwitchA
:Port1 DHCPClient DHCPServer セットアップサーバー (スイッチ) セットアップサーバー (サーバー) セットアップサーバー (PDU) 構成管理ファイルの定義に従い Webhookを送信 セットアップ処理の開始 28
送信されるWebhookの中⾝ セットアップに必要な情報をペイロードに含めて送信 DHCPクライアントの情報+構成管理ファイルに記載の情報 { "ipaddr":"192.0.2.5", //払い出しIPアドレス "mask":"255.255.255.224", //払い出しサブネットマスク "gateway":"192.0.2.1", //払い出しゲートウェイアドレス
"macaddress":"00:00:5e:00:53:01", //払い出しデバイスのMACアドレス "port":3, //管理スイッチのポート番号 "switch":"ds-phy-mgmt-001", //管理スイッチホスト名 "hostname":"ds-phy-tor-001-a" //構成管理ファイル記載のホスト名 } 29
セットアップ処理 ここは泥臭く頑張るところ 対象デバイスによってさまざまなやり⽅で実施 サーバーの場合 PXEBootによるOSの起動+OSのブートストラップ機能 RedfishによるBIOS/UEFIのセットアップ ネットワーク機器の場合 基本はShellScript+expectでごりごり セットアップ完了後は監視を有効化する 30
監視システムの構成 Prometheusを利⽤した監視基盤を構築 Alertmanagerによるアラート管理 サーバの監視 Redfishを利⽤するExporterを実装して利⽤ RAIDのステータス監視も⾏っている ネットワーク機器の監視 主にSNMPExpoterを利⽤ 追加でメトリクスを取得したい⼀部の機器は⾃作している 31
監視の有効化 監視されるデバイスはConsulで管理している PrometheusのConsulDiscoveryを利⽤ Consulに登録後、⾃動的にモニタリングが開始される セットアップサーバー セットアップ処理の開始 完了/エラーの通知 Consul Discovery 監視
監視登録 32
コンフィグバックアップの⾃動化 ネットワーク機器のコンフィグバックアップツール https://github.com/ytti/oxidized Git連携によるコンフィグの差分管理 HTTPSourceを利⽤してConsulと連携 バックアップ対象のリストをHTTP経由で取得する機能 Consulに登録されたデータをHTTPSource形式のJSONに変換 して返すサーバを実装 33
OxidizedとConsulの連携 Consulの登録データを元にJSONを返すエンドポイントを実装 Oxidizedで定期的に再読込するように設定 Consul登録後は⾃動的にコンフィグバックアップが開始される { "name":"ds-phy-spine-001", "ip":"192.0.2.101", "input":"ssh", "model":"eos", "group":"switch",
"enable":true } 34
まとめ さくらの専⽤サーバPHYにおける構築の仕組み 設置と配線のみで⾃動構築できる仕組みが出来た DHCPOption82をキーにしたIPアドレス払い出し 払い出し後のWebhookで個別に⾃動構築を実施 ラック構成管理を構築フローに組み込み 構成情報の⼀元化 構成を前提とした⾃動化で作業ミスの可能性を低減 セットアップから監視登録、在庫化まで⾃動で完結 35
36