Study III 米国下院におけるモダナイゼーション委員会と 英国 Parliamentary Digital Service の試み 米国における政策資源や議会の現代化については、連邦議会下院における「Select Committee on the Modernization of Congress(モダナイゼーション委員会)」が挙げられる。モダナイゼ ーション委員会は、政策を創発する機能基盤の強化を担っており、同委員会の最終報告書の中では、 4年間で 202 件の勧告をまとめ、65%が実装に至ったと報告されている。 モダナイゼーション委員会は現場の課題を吸い上げ、議会内で共有可能な形に整える機能を有し ていた。委員会では、期初に超党派のリトリート(planning retreat)を行い、優先課題の整理 と相互理解の土台を作ったと示されている。また、政策の議論や勧告文言を調整のために、定期 的に非公式会合も開催したとされている。この非公式会合は、モダナイゼーション委員会に留ま らず、他の政策分野でも協力関係を築く基盤となった。 現場の課題・現状を把握するための設計もされている。報告書内で「議会を改善・近代化するた めに現職スタッフに対し専門知識と提言を要求することは合理的である」と述べられているよう に、実際に現職スタッフが複数の公聴会で証言している。議会の運営をより良いものとするため に、議員や現職スタッフ、元スタッフ、学者、民間企業、一般市民から広く意見を収集した事例 である。 英国の Parliamentary Digital Service(PDS)は、庶民院と貴族院にまたがる共同部局として、 議会に必要なデジタルサービスを提供する組織である。公式の説明では、450 人ほどのデジタル 人材で構成され、議会の職員と議員向けに技術・イントラネット等のデジタルサービスを提供し つつ、議会のデジタル提供(digital offering)の戦略面も担う、とされている。 重要なのは、デジタル化を単発の IT 更新・デジタルサービスの導入として捉えているのではなく、 意思決定と説明責任を支える情報運用の改革として扱っている点である。英国の2024–27年 のInformation & Digital Strategy は、縦割りを作らずに議会全体で協働し、デジタル技術を最大 15