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ブロックチェーンゲーム開発におけるチェーンの選び方 / How to select a blockchain for BCG

ブロックチェーンゲーム開発におけるチェーンの選び方 / How to select a blockchain for BCG

2023/08/23
CEDEC2023

Ryo Manzoku

August 23, 2023
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Transcript

  1. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. はじめに

    • 資料及び口頭で話す内容は弊社で培ったノウハウを含むものでありますが、背景など全て 伝え切れるものではありません。実際のビジネス等に活かす場合は法的な確認が必要な場 合があります。 • 本発表で事例にあげる暗号資産、NFT等の購入を推奨するものではありません。 • 発表者は、事例にあげるブロックチェーンに関してのトークンを保有しており、ポジション トークであることは避けられません。特にOasys Blockchainに関しては開発に深くか かわっています。 • ゲームにブロックチェーンが必要か否か、どう適用するかの話はあまりでてきません。
  2. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Copyright

    © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Agenda 1. double jump.tokyoについて 2. ブロックチェーンゲーム(BCG)について 3. BCG業界動向 4. ブロックチェーン選定基準 5. 事例紹介 6. 今後の展望
  3. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Copyright

    © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. double jump.tokyoについて 01
  4. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Re-building

    the future of gaming with blockchain technology!
  5. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Copyright

    © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. double jump.tokyo は
 BCG(※) 開発・運用・支援を主軸とし
 web3事業の様々なノウハウを有する
 ブロックチェーン専業開発会社です。
 会社名:double jump.tokyo株式会社
 所在地:東京都新宿区西新宿 4-34-7
 代表者:代表取締役 CEO 上野 広伸、代表取締役 CTO 満足 亮
 事業内容:ブロックチェーン技術を用いたゲーム、 
      NFTおよびアセットの開発・運営・販売等 
 加盟団体:一般社団法人 日本ブロックチェーン協会(上野は理事を務める) 
      一般社団法人 コンピューターエンターテインメント協会 
 ※BCG=ブロックチェーンゲーム 
 COMPANY
  6. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Copyright

    © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. ABOUT 来歴
 
 モバイルゲームおよびクラウドインフラの黎明期にインフラエンジ ニアとして経験を積む。その後、EdTechスタートアップにて開発 基盤の刷新や費用削減を実施。技術顧問として スタートアップ複 数社の経営を支援。
 
 2018年よりdouble jump.tokyo株式会社に参画。日本発の ブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」の開発に従事 し、2019年を通してEhereum上でトランザクション、NFT取引が 世界一となる。その後、複数プロジェクトの開発を経て2020年よ り取締役 、2022年より現職。技術のみならず、実務で培った会 計、税務、法務などの幅広い知見を生かし国内大手企業複数社 の戦略立案に携わる。
 double jump.tokyo株式会社
 代表取締役CTO
 
 Ryo Manzoku
 満足 亮
 
 Twitter@rmanzoku

  7. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. My

    Crypto Heroes 
 リリース
 BRAVE FRONTIER HEROES
 リリース
 2018 2019 2020 2021 2022 創業
 Opensea 
 世界取引高 1位
 イーサリアム取引高年間 1位
 世界的NFT取引所
 My Crypto Saga
 リリース
 資産性ミリオンアーサー 
 リリース
 手塚治虫
 プロジェクト発足 
 N Suite
 サービス開始 
 Oasys
 メインネット 
 ローンチ
 左ききのエレン 
 プロジェクト発足 
 HISTORY
  8. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. 開発中・運営中のブロックチェーンゲーム

    © SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Powered by double jump.tokyo Inc. © double jump.tokyo Inc. / © Alim Co., Ltd. © SEGA 鋭意開発中!
  9. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. IPを活用したNFTプロジェクト事例

    © 2021 Tezuka Productions, All Rights Reserved. Produced by double jump.tokyo Inc. © YOICHI TAKAHASHI/SHUEISHA, All Rights Reserved. Produced by double jump.tokyo Inc. ©EREN THE SOUTHPAW, All Rights Reserved.
  10. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Copyright

    © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. ブロックチェーンゲームについて 02
  11. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. ソーシャルゲームの課題

    ソーシャルゲームに代わる新たなビジネスモデルやゲーム体験が求められている ソーシャル性の乏しさ • 多くのソーシャルゲームにおいてフレンド 機能やギルド機能は形骸化しがちである • CooPやGvEなどはあるが、最低限のコ ミュニケーションにとどまり、ゲーム内で 友人等ができにくい状況である • 結果的にソロプレイになりがちでプレイ する動機が薄くなり継続率が下がってし まう ガチャ課金モデルの限界 • ガチャ課金モデルはギャンブル性の問題 があり海外では受けられにくい • 国内ではガチャ課金モデルのゲームが飽 和しており、新たなビジネスモデルが求 められている • ガチャで出現したアイテムは取引もでき ず、ゲーム終了時にどうすることもでき ない ユーザと運営との信頼関係 • 楽しくプレイしていたゲームが突然サー ビス終了して悲しい気持ちになる • 不具合やサービス終了によりユーザから の運営チームや会社の信頼性が墜ちるこ とがある • 直近でサービス終了したタイトルが多く 運営の信頼が落ちている場合ユーザか らの信頼を取り戻すのが難しい
  12. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. BCGで実現できる体験

    BCGはゲーム内資産を巡って協力したり駆け引きをする面白さがある • NFTの販売や取引手数料によって収益 を獲得する新しいビジネスモデルである • プレイヤーはゲームで活躍して獲得した NFTを売却したり、購入したNFTの価値 を高めることで稼ぐことができる ゲーム内資産の販売や取引 情報の透明性を活かした総合格闘技 • アセットを貸し出したスカラーから、生活 費を稼げたと感謝される • PSの高いギルメンにアセットを貸し出す ことで大きな大会で結果を残し、一体感 が生まれる • 所属するギルドでガバナンスの投票先を 決めて、ギルドに有意な決議となるよう 働きかける • オンチェーン情報である相手プレイヤー の保有NFTから戦略を練って勝つこと ができた • ゲームコントラクトへの入出金やユー ザー数を見て、ゲーム収益の持続性につ いて予測をし、ゲームの運営にかかわる ガバナンス投票に参加する 経済で繋がるソーシャル性
  13. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. BCGのゲームループ

    トレードや資産に紐づいた協力によりコアユーザとライトユーザが絡み合う VS 課金して強力な 装備・キャラ収集。 プレイして トークンを獲得。 マーケットでキャラクター・ アイテムを購入し、戦力を 補強。 VS プレイでトークンを稼ぎ、 再投資。強化されライト ユーザーとの 取引増加。 ギルド立ち上げて 戦闘力を向上。 ギルドに参加し、貢献。 コアユーザー ライトユーザー ギルドのタレント プレーヤーになり、 ゲーム内外共に充実。 コミュニティコアメンバー になり、ゲームがより楽し くなる。 トレード&ゲーム プレイ 取引 強化 プレイwith コミュニティ 情報・NFT・FTのやりとり 強化 資産に紐づいた協力 資産が関わることで緊張感が生まれ、真 剣なコミュニケーションや協力が 必要となる →新しいソーシャル性 ゲームループ を通じたコア化 1 1 2 2 3 3 4 4 マーケットでの売買によりコアユー ザは資産を拡大させることでライト ユーザとの差別化ができる →承認欲求の充足
  14. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. フェーズ1

    フェーズ2 フェーズ3 フェーズ4 ・装備やキャラのNFT  先行販売 ・ゲーム用トークンの  プライベートセール ・ホワイトペーパー公開 ・スマートコントラクトの構築 ・トークン上場 ・NFTマーケットプレイス の構築及び連携 ・DISCORDの設計 ・マルチチェーン対応 ・トークンのブリッジ対応 ・ウォレットβ版公開 ・他BCGとのコラボ 既存のゲーム開発・マーケティング 他社が協業している部分 BCGをリリースする場合 Web3ビジネスに取り組むために必要なこと • トークン発行やトークンを活用したコンテンツ・マーケティングのノウハウが必要 • 他社はトークン関連に知見のある会社との協業してWeb3ビジネスを進めている ・トークンマーケティング ・ゲーム内エコシステムの 運用/分析
  15. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Copyright

    © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. ブロックチェーンゲーム業界動向 03
  16. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. STEPN

    Axie Infinity My Crypto Heroes Crypto Kitties 世界初のNFT を用いたゲーム 2017年 2019年 2021年 2022年 最初のブロック チェーンゲーム ブームの火付け役 Play to Earn を提唱、遊んで 稼ぐ時代へ X to Earn、 フィットネス系 プロジェクトの流行 大手の 参入 ~2023年 ゲーム企業大手 がBCGへの参 入を発表 What is Next break? BCGの現状 • 海外BCGの大ヒットやBCGの可能性を踏まえて、大手ゲーム企業が参入 • 各社が次のヒットを狙っている状況
  17. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. 『Axie

    Infinity』 Play-to-Earn 2018年リリース以来、累計取引高 40億ドル超 『STEPN』 Move-to-Earn 2022年上半期のみで201億円の利益 2022年 日本で大HIT 海外BCGの大ヒット 「Axie infinity」と「STEPN」が大ヒット
  18. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. 『Illuvium』

    『Heroes of Mavia』 海外から高クオリティタイトルリリース予定 • Illuvium:モンスターを収集し戦闘するオープンワールドのゲーム • Heroes Of Mavia:基地を強化して相手陣地を侵略するタワーディフェンス型のゲーム
  19. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Copyright

    © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. ブロックチェーン選定基準 04
  20. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. ブロックチェーン技術とは

    情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を暗号技術を用いて分散的に処 理・記録するデータベースの一種であり、「ビットコイン」等の仮想通貨に用いられている基盤技術で ある 総務省「情報通信白書 平成30年」より
  21. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. ブロックチェーンゲームにおけるブロックチェーン

    • 大前提として全てのゲームロジックをブロックチェーン上で動かすことは現実的ではない ◦ フルオンチェーンと呼ばれる ◦ そういうチャレンジをするプロジェクトを否定するわけではない • 分散性の代償として、1つ1つのロジック実行(トランザクション)には、通常のデータベース よりも遥かに高い実行コスト(お金)がかかる ◦ トランザクション分離レベルでいうところのSERIALIZABLEなDBを世界中で分散しているイ メージ • ブロックチェーンとして実現したい部分のみをブロックチェーン上で実現し、その他は通常 のゲームサーバ(オフチェーン)で実行することとなる ◦ 多くの場合、独自に発行した暗号資産とアイテム等のNFTとその取引に関わるもの • 実現したいことを実現できるブロックチェーンを選ぶ必要がある
  22. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. 「ブロックチェーン」を選ぶって?

    • 当然ながら「ブロックチェーン」というブロックチェーンはない • 何かしら課題の解決や特徴あるいはビジネス的な理由により様々なブロックチェーンが考 案され実際に稼働している • 無数にある ◦ https://github.com/ethereum-lists/chains に1021のチェーンが登録されていた • Bitcoinに代表される暗号資産のやりとりだけでなく、独自の暗号資産やNFTなどゲーム で利用する用途に使えるブロックチェーンを選ぶ必要がある ◦ ブロックチェーン上で実行される任意のプログラムをスマートコントラクトと呼ぶ • 分散性などは特徴の一つでしかなく、そのブロックチェーン上に乗る様々なアプリケーショ ン(=エコシステム)と共存するコンピューター・データベースを選択する
  23. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. スマートコントラクト

    • 契約書のようにあるトランザクションにおける約束をプログラムにしたもの • ブロックチェーン上で任意の取引、プログラムを完全な不可分性(Atomicity)を保証した 形で実行できる ◦ 「AさんがNFT購入のため送金したが、NFTが送られてこない」という事象は起こらない。これを 仲介となる管理者抜きにプログラムだけで実現できる • スマートコントラクトにより、誰でも自由に暗号資産やNFTを発行できる ◦ 暗号資産やNFTの振る舞いをするプログラムを作る
  24. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. ブロックチェーン選択のチェックリスト

    1. EVM互換であるか? 2. ウォレットでどのようなUXが提供されるか? 3. トランザクション時の手数料、実行時間はどれくらいか? 4. エコシステムが充実しているか? 5. マーケティング支援が得られるか?
  25. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. EVM互換であるか?

    • Ethereum Virtual Machine(EVM)は、Ethereum上プログラムを実行する仮想環 境のこと • Solidityという言語でスマートコントラクトを作成することができる • EVM互換を謳うブロックチェーンは多くあり、EVM互換であれば同じSolidityのコード が使いまわせるというメリットがある ◦ SolidityやEVM自体にバージョン差異はあるので100%互換とは言わないが、、 • EVMには、ERC20やERC721と言った標準化されたトークン規格があり、それに基づ いて多くの暗号資産やNFTが発行されている • トークン規格を使ったマーケットプレイスなどもEVM互換で対応が容易なためエコシステ ムが醸成されやすい
  26. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. ウォレットでどのようなUXが提供されるか?

    • ウォレットとは? ◦ 暗号処理(ほとんどの場合ECDSAこと)を行うための秘密鍵管理 ◦ 署名をするためのUIの提供 ◦ ブロックチェーンサーバへの接続 • EVM互換の場合は、MetaMaskが有名 ◦ ChromeExtentionなどPCブラウザの拡張機能として提供 • ソーシャルアカウント(GoogleAccountなど)で 作成できるウォレットも存在する ◦ つくり方によってはカストディ業となってしまう • BCGを遊ぶ上で準備する必要があり初心者にとって 大きなハードルとなる
  27. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. トランザクションの手数料、実行時間はどれくらいか?

    • 1ブロックに取り込むことのできるトランザクションには限りがある ◦ 多くのトランザクションがリクエストされると手数料を多く払ったトランザクションから実行される=高騰化 ◦ 1ブロックの生成時間はブロックチェーンによって違う(1秒以下〜10分程度) • ブロックチェーン利用者はブロックチェーンノード(サーバ)の運営者に対して利用料を払う必要がある ◦ ノード運営者は慈善事業でやっているわけではなく、この報酬が得られることを目的にすることで恣意的な行動を 起こさないようになる ◦ それとは別にマイニング報酬やステーキング報酬といったチェーン自体が生み出すトークンを受け取ることができ、 そちらのほうが収入のメインであることが多い • ブロックチェーンの設計次第によっては、ユーザーに手数料を負担させず第三者が負担することもできる ◦ 例えばゲームパブリッシャ • 高いものだと1トランザクション、数ドル〜数十ドル ◦ 手数料の支払いに使う暗号資産の価格が高ければ比例して高くなる ◦ 世界中の金融取引を行うことを考えれば安いとも考えられるが、ゲームとしては高い • 混雑具合やブロック生成時間、手数料の単価などで総合的にみる必要がある
  28. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. エコシステムは充実しているか?

    • 同じブロックチェーンにあるアプリケーションは互いに利用可能である • 外部アプリケーションの豊富さ=エコシステムの充実度がブロックチェーンの選択基準の 一つ ◦ 法定通貨の出入り口である暗号資産取引所(CEX)もそのエコシステムの一つ ◦ 新興のブロックチェーンでは、こういった外部アプリケーションが少ない状態がある ◦ 多くのアプリケーションが動いている場合、トランザクション手数料が高くなる傾向にあり、二律 背反でもある • ブロックチェーンゲームにおいてはブロックチェーン上に分散取引所(DEX)やNFTマー ケットプレイスがあるか、暗号資産交換業者が対応しているか、などが考慮すべきポイント ◦ 国内において、企業が暗号資産を売買するには暗号資産交換業のライセンスが必要になるため、 ゲームが独自発行した暗号資産は第三者が開発したDEXを用いてユーザー間が取引することが 常態化している
  29. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. [補足]

    暗号資産交換業って? • 資金決済法に基づいて金融庁から認可を受ける必要がある業種 • この法律において「暗号資産交換業」とは、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、「暗号資産の交換等」 とは、第一号又は第二号に掲げる行為をいい、「暗号資産の管理」とは、第四号に掲げる行為をいう。 ◦ 一 暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換 ◦ 二 前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理 ◦ 三 その行う前二号に掲げる行為に関して、利用者の金銭の管理をすること。 ◦ 四 他人のために暗号資産の管理をすること • 暗号資産を発行、配布、保有等は法律的に規制されているわけではない ◦ 法以外に課題はあるが、、、 • ブロックチェーンゲームにおいて、ゲーム報酬として独自に発行した暗号資産を配布することがで きる ◦ 暗号資産交換業以外に景表法などに注意は必要 • あるブロックチェーンをユーザーが使うにはそのトークンが法定通貨と交換可能かは重要な要素
  30. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. マーケティング支援が得られるか?

    • 無数にあるブロックチェーンは互いにシェアを奪い合っている状態であり新興のブロック チェーンであれば金銭的な支援が得られる場合がある • ブロックチェーンのValidatorとして参加することで会社としての取り組みに利用できる • グローバル展開を考えた場合、ブロックチェーンごとに普及している国が違うこともある ◦ 暗号資産取引所の対応状況なども含め • マーケティング支援が選定理由にはならないものの決め手になることはある ◦ 特にEVM互換であれば程度の差はあれ、使い勝手は変わらないことが多い
  31. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. [閑話休題]

    ゲームの配信プラットフォームは? • 現在は、モバイルではなくブラウザおよびPCで配信することが多い • モバイルはプラットフォーマーの動きが不明瞭 ◦ 過去の悪評からか、暗号資産に否定的な場合が多い ◦ 中央集権的かどうかはあまり問題ではなく、外部決済の問題と思われる ◦ ゲームパブリッシャーにとって、プラットフォーム規約を逸脱することで既存タイトルへの影響が及 ぶのは避けるべき • 暗号資産ユーザーはPCがメイン ◦ PCブラウザ拡張のMetaMaskがトップシェアであることは確か ▪ 2022年1月の月間アクティブユーザー数は3,000万人 ◦ 外部サービスといったエコシステムへアクセスはPCが容易
  32. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Copyright

    © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. 事例紹介 05
  33. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. My

    Crypto Heroes 
 リリース
 BRAVE FRONTIER HEROES
 リリース
 2018 2019 2020 2021 2022 創業
 Opensea 
 世界取引高 1位
 イーサリアム取引高年間 1位
 世界的NFT取引所
 My Crypto Saga
 リリース
 資産性ミリオンアーサー 
 リリース
 手塚治虫
 プロジェクト発足 
 N Suite
 サービス開始 
 Oasys
 メインネット 
 ローンチ
 左ききのエレン 
 プロジェクト発足 
 HISTORY
  34. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. お品書き

    • Ethereum   (イーサリアム) ◦ 黎明期のBCG 「My Crypto Heroes」事例と、DeFiの台頭 • Polygon   (ポリゴン) ◦ 「My Crypto Saga」事例とサイドチェーンという選択 • LINE Blockchain / Finschia (フィンシア) ◦ LINEユーザーが手軽に始められるNFT体験と「資産性ミリオンアーサー」事例 • Solana     (ソラナ) ◦ BCGが一気に拡大した 「STEPN」 と非EVMという選択肢 • Oasys     (オアシス) ◦ 日本発のゲーム特化ブロックチェーンと「Battle of Three Kingdoms」事例
  35. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Ethereum

    • Proof of work(PoW)というコンセンサスアルゴリズムを採用していたが 現在はProof of Stake(PoS)に移行 ◦ PoWは電気を浪費し、環境に悪いという言説もあった • 仮想マシンEVMや標準規格ERCなど、多くのブロックチェーンが参照することになる元 祖的な存在 ◦ ウォレットやエコシステム含め、Ethereumで発明されたものが他チェーンに展開されていく • 1ブロックが約15秒ごとに生成される • 金融系のトランザクションが多く、手数料支払い用トークンEtherの価格も高く、ゲームに 利用するには不向き
  36. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Ethereumチェックリスト

    • EVM互換であるか? ◦ yes • ウォレットでどのようなUXが提供されるか? ◦ MetaMaskはEthereumを基準に作られておりデファクトスタンダードな挙動をする ▪ 使いやすいわけではない、、 • トランザクション時の手数料はどれくらいか? ◦ 非常に高い、1トランザクション 数ドル〜数十ドル • エコシステムは充実しているか? ◦ DeFiやNFTなど、Ethereumから発生するものがほとんど ◦ 国内取引所の対応も100%といっていい • マーケティング支援が得られるか? ◦ オープンソースプロジェクトには補助金がある
  37. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. [DJT事例]

    My Crypto Heroes • 2018年11月リリース、DJT初のBCGタイトル ◦ 現在は、MCH株式会社様が運営中 ◦ 2020年夏頃Ethereumの手数料高騰を避けるためPolygonへの移行 現在はOasys Layer2(MCH Verse)に移行 • キャラクター、武器をNFTとした3on3のシミュレーションバトル • フルオンチェーンを目指して開発したものの、ベータテストを経て大部分をオフチェーンに 設計しなおした • 主なビジネスモデルはNFTの販売 • ブロックチェーンの主な使途はNFTの売買
  38. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Polygon

    • 手数料の高騰したEthereumの避難先として脚光を浴びたEVM互換ブロックチェーン • 1ブロックあたり約2秒程度、Ethereumよりも高速で手数料も安い • Ethereum上の暗号資産をBridgeと呼ばれる手法で移動することができる • つまり、Ethereumより早く安く、Ethereumと同じことができるブロックチェーン ◦ 補足として、2020年頃は稼働しているEVM互換ブロックチェーンは少なかった • 当時、Ethereumのスケーリングとしてデファクトのものがない中、サイドチェーンという スケーリングのポジションがとれた
  39. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Polygonチェックリスト

    • EVM互換であるか? ◦ yes • ウォレットでどのようなUXが提供されるか? ◦ MetaMask等、Ethereumと同等程度 • トランザクション時の手数料はどれくらいか? ◦ 1トランザクション 数セント • エコシステムは充実しているか? ◦ DEXやNFTなどEthreumにある主要なものはサポートされている ◦ 一方で日本の取引所で直接Polygon上のトークンを扱う取引所は限られる • マーケティング支援が得られるか? ◦ マーケティングサポートに積極的
  40. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. [DJT事例]

    My Crypto Saga • 2021年5月にリリースしたブロックチェーンゲーム ◦ 現在はMCH株式会社様に移管 • 当時、採用事例のほぼなかったPolygon上のゲームタイトルとして Polygon Foundationからの補助金とマーケティングの協力 • MyCryptoHeroesと違い、オフチェーンであることを前提にNFTを販売しない方式 ◦ ゲームアイテムであるカードを購入し、バトルに勝つことでカードがNFT化する ◦ 当時のNFTブームの流れもみつつ仕様策定 • Ethereum以外のブロックチェーンを採用する上での 課題・ノウハウを獲得できた ◦ 一方で暗号資産を発行しないBCGの限界を感じる
  41. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. LINE

    Blockchain(Finschia) • LINEグループによって開発されFinschia Foundationが運営するブロックチェーン • LINEアカウントがあればウォレットが作成できる ◦ 現在はDOSIブランドとしてグローバルに展開 • LINEサービスの一つとしてAPIが提供されており、NFTの発行などは容易 ◦ 一方で、任意のプログラムをデプロイすることはできず、自由度低い
  42. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. LINE

    BCチェックリスト • EVM互換であるか? ◦ no • ウォレットでどのようなUXが提供されるか? ◦ LINEユーザーであれば簡単に開設可能 • トランザクション時の手数料はどれくらいか? ◦ ユーザー無料 ◦ 開発者はAPI契約が必要 • エコシステムは充実しているか?? ◦ 公式のNFTマーケットプレイス、LINE Payで購入可能など ◦ 3rd Partyは少ないが、LINEグループのエコシステムが利用可能 • マーケティング支援が得られるか? ◦ LINE公式アカウントでの通知などが可能 ◦ LINE NFTでのマーケティング協力あり
  43. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. [DJT事例]

    資産性ミリオンアーサー • スクウェア・エニックスと共同で開発・運営中の「デジタルシールNFT」プロジェクト ◦ 2021年10月NFTリリース、2023年4月ゲームリリース • 日本国内をターゲットに「初めてのNFT」として体験できるサービス設計 • ウォレットやトランザクション手数料の課題をクリアできるLINE Blockchainを採用 ◦ 当時、LINE Blockchainの採用はまだまだ少なかった • クレジットカードでのNFTだけでなく、LINE Payを使ったNFT販売や二次流通も実現 • 参考: LINE Blockchainなら初心者も気軽に楽しめるNFT体験を提供可能。「資産性ミリオンアー サー」の開発事例 © SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Powered by double jump.tokyo Inc.
  44. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Solana

    • Solana Foundationが提供する高速でハイパフォーマンスなブロックチェーン • 「イーサリアムキラー」としての期待 ◦ 「イーサリアムキラー」はいくつもあったが、、 • 1秒以下の高速で安価なトランザクションが実現 • 独自のスマートコントラクトを備えており、Rust, C, C++といった比較的一般的なプロ グラミング言語で実装が可能 ◦ デベロッパーコミュニティもしっかりしている
  45. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Solanaチェックリスト

    • EVM互換であるか? ◦ no • ウォレットでどのようなUXが提供されるか? ◦ MetaMaskは利用不可能、PhantomなどSolana独自のウォレットを使う必要がある • トランザクション時の手数料はどれくらいか? ◦ 数セント程度 • アプリケーションがどれくらい動いているか? ◦ NFTマーケットプレイスなど、BCGに必要なものは最低限ある • マーケティング支援が得られるか? ◦ 現在は弱め ◦ FTX
  46. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. [他社事例]

    STEPN • 「Walk2Earn」の通り、靴NFTを使って現実で歩くことで独自暗号資産を稼げたり、NFT を増やせたりするゲーム • 2022年春に日本でもブームとなったが5月ごろに暗号資産価格が暴落し、BCGの反面 教師として例に挙げられることに ◦ これを見て多くの日本企業は暗号資産発行を行うBCGを検討し始めたのでは ◦ 同時に独自暗号資産の価格安定性について議論がされはじめた • Spending方式というゲーム内に暗号資産預かる機能を持っており、Solanaのエコシス テムを享受していたわけではない ◦ NFTマーケットプレイスもオフチェーンにもっていた ◦ 実際に、Solanaの他にEthereumをはじめとしたEVM系への横展開を実施した
  47. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Oasys

    Blockchain • Oasys Foundationが運営する「ゲーム特化型ブロックチェーン」 ◦ DJTはメインデベロッパーとして関与 • 日本、海外含めた大手ゲーム会社やテレコム系の会社がValidatorとして参画 • Ethereumのスケーラビリティの1つの解として定着しつつある、2-Layer構造をとるブ ロックチェーン ◦ HubLayer(L1)はパブリックチェーン、VerseLayer(L2)はプライベートチェーン • VerseLayerを企業が運営し「プラットフォーム」のようにエコシステム構築することを想定 ◦ 多くのVerseLayerで、ユーザーへの手数料0、高速なトランザクションを実現している • ゲーム・NFTに特化するため、金融系のトランザクションが少ない ◦ HubLayerのアプリケーションはガバナンスを通す必要がある ◦ MyCryptoHeroesの課題であった金融への対抗
  48. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Oasys

    Verse Layer (Layer2) 事業者がプライベートチェーン上にある種の「プラットフォーム」的に、ゲームを 含む独自のエコシステムを構築する ・ HubLayer(L1)で発行された暗号資産は  Verse Layer(L2)で利用可能 ・ DEXやCEX対応はHubLayerが中心 “Rollup”により、VerseLayerの正当性 をHubLayerで保証する =プライベートチェーンでも公共性がある Verse Layer(L2) Hub Layer(L1) Rollup
  49. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Oasysチェックリスト

    • EVM互換であるか? ◦ yes • ウォレットでどのようなUXが提供されるか? ◦ 現状ではEVM互換のものを使う ◦ 現在DJTで特化型のウォレットを開発中 • トランザクション時の手数料はどれくらいか? ◦ HubLayer 数セント、VerseLayer ユーザー無料 • エコシステムは充実しているか? ◦ Layer1にDEXやNFTなど主要なものはサポートされている ◦ 国内取引所は2023年8月時点で2件 ◦ 一方で、Layer2は運営者の努力や法規制によって様々 • マーケティング支援が得られるか? ◦ マーケティングサポートに積極的
  50. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. [DJT事例]

    Battle of Three Kingdoms • SEGA『三国志大戦』のライセンスを受け、DJTが開発する新作ブロックチェーンゲーム ◦ 2023年内リリース予定 • Oasys VerseLayerの特徴である高速トランザクションと手数料0を前提として設計し 新しいブロックチェーンゲーム体験 • 本タイトルのリリースをターゲットに、HOME Verseのエコシステムや ウォレット Oasys Passportなどを整備し、より多くのゲームユーザーへBCGを! © SEGA
  51. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. 星取表

    Ethereum Polygon LINE BC Solana Oasys Oasys   block/sec 15 sec 2 sec 〜1 sec 〜1 sec 15 sec 〜1 sec トークン単価 ¥250,000 ¥80 ¥3,300 *1 ¥3,100 ¥7 - EVM ◦ ◦ × × ◦ ◦ ウォレット ◦ ◦ ◎ △ ◦ ◦ トランザクション 手数料 × ◦ ◎ ◦ ◦ ◎ エコシステム ◎ ◦ ◦ △ △ △ マーケティング 支援 × ◦ △ △ ◦ ◦ トークン単価は2023年8月の参考値 *1 LINE BCでFNSAトークンを意識することはほぼない
  52. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. Copyright

    © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. 今後の展望 06
  53. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. 今後の展望 ブロックチェーン選択

    • 現在、Ethereumの周辺ではLayer2技術が確立してきており今後はLayer2ブロック チェーンが台頭していくこと ◦ 紹介したOasysだけでなく、AvalancheやPolygon zKなど • 一方で、Oasysのようなユースケースに特化したエコシステムを醸成するようなブロック チェーンも増えていく • ブロックチェーンゲーム開発者としては特徴を捉えつつ選択していく ◦ MyCryptoHeroesにあったように時流に合わせてチェーンを切り替えていくことや STEPNのように複数のチェーンで展開をすることも考慮すべき
  54. Copyright © 2023 double jump.tokyo Inc. All rights reserved. まとめ

    • ゲーム業界が停滞期に入っている今、新しいパラダイムとしてのBCGが期待されている • BCGを開発する上でブロックチェーンの選択が課題の一つである • ブロックチェーンを選ぶための5つの要素を紹介 • DJTの過去事例を中心に5つのブロックチェーンを紹介、比較 • 新作「Battle of Three Kingdoms」の中心に、既存BCGの体験をアップデートする ブロックチェーンゲーム市場はまだまだ黎明期 一緒にゲームの未来を作っていきましょう!