Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
20260807_複雑な医療ドメインに挑むエンジニアの業務知識の深め方
Search
Sponsored
·
SiteGround - Reliable hosting with speed, security, and support you can count on.
→
ryugen04
August 07, 2026
Programming
94
0
Share
Embed
Copy iframe code
Copy JS code
Copy link
Start on current slide
20260807_複雑な医療ドメインに挑むエンジニアの業務知識の深め方
https://techplay.jp/event/997981
の登壇資料
ryugen04
August 07, 2026
More Decks by ryugen04
See All by ryugen04
夏だ!祭りだ!祭りとはドメインモデリングでは?
ryugen04
0
410
20260707_Product Engineerが機能する条件、Epic Ownerというロール
ryugen04
0
250
20260704_教科書にないスクラム風をしている人へ
ryugen04
0
830
20260623_Loop Engineeringで自分の分身の問い合わせBotを作る
ryugen04
0
320
20260619_複雑な医療ドメインを開発する技術
ryugen04
0
63
『ストーリーテリングの科学』から考える、仕事とキャリアの物語性
ryugen04
1
53
kittyで作るmulti agentsな開発環境
ryugen04
0
390
「神々の山嶺」が教える 巨大プロジェクトの歩き方
ryugen04
0
180
kittyを求めて三千里
ryugen04
0
38
Other Decks in Programming
See All in Programming
jsmini JavaScript Engine を作ってみた話
yosuke_furukawa
PRO
0
350
バグを直したら useEffect が消えた
colorful12
3
700
Cloudflare is Agents
chimame
0
180
異なる設計思想のフレームワークを経験して得た学び
amekuhideki
1
620
VibeCodingからAgenticWorkflowへ
starfish719
0
890
ALB ログから Trace を気合で繋げる技術
fohte
6
690
30年振りにコンパイラの定数整数除算を改善した
herumi
9
4.2k
「寝てても仕事が進む」Claude Codeで組む第二の脳
tomoyafujita2016
0
360
不幸な GC
chencmd
0
760
PostgreSQL 18で考えるUUID主キー
kazuhiro1982
0
500
Webエンジニアなのにブラウザの仕組みがわからないので、Pythonで自作してみた
tatsuki12
4
1.1k
実装をデザインガイドラインに追従させるための取り組み / 260731-dip-mosh-design-system
dachi023
0
7.8k
Featured
See All Featured
How to Ace a Technical Interview
jacobian
281
24k
Building an army of robots
kneath
306
46k
Measuring Dark Social's Impact On Conversion and Attribution
stephenakadiri
2
260
Accessibility Awareness
sabderemane
1
180
Marketing to machines
jonoalderson
1
5.7k
The Spectacular Lies of Maps
axbom
PRO
1
940
10 Git Anti Patterns You Should be Aware of
lemiorhan
PRO
659
62k
Docker and Python
trallard
47
4.1k
State of Search Keynote: SEO is Dead Long Live SEO
ryanjones
0
250
Technical Leadership for Architectural Decision Making
baasie
3
530
How to audit for AI Accessibility on your Front & Back End
davetheseo
0
510
Making the Leap to Tech Lead
cromwellryan
135
10k
Transcript
2026/08/07 複雑な医療ドメインに挑む エンジニアの業務知識の深め方 TECH PLAY 2026/8/7 株式会社ヘンリー @ryugen Copyright ©
Henry, Inc. All rights reserved.
自己紹介 経歴 ・前職も医療系のエンジニア (SIerのようなところにいました) ・2025/11月 ヘンリーにjoin ・医事会計領域のプロダクトエンジニア Yamamoto Tatsunori (@ryugen04)
趣味・興味 Copyright © Henry, Inc. All rights reserved. Neovim好きです/アクアリウム/カポエイラ/薬剤 師/ビールが好きです
Youはなにしに医療テック業界へ? 人類はみな最大限自由にいろんなことに挑戦してほしい ・健康は大事 ・医療・ヘルスケアに携わる仕事をしたかった ・薬学部に入って薬剤師免許を(※苦労しながら)取った ・研究室で医療情報学、機械学習などに触れる ・医療をより効率的に、もっと全員を自由にしたい 医療テック業界に Copyright ©
Henry, Inc. All rights reserved.
ヘンリーについて Copyright © Henry, Inc. All rights reserved. © 2026
Henry, Inc.
製品の紹介 病院業務のDXを実現する業界唯⼀の 電⼦カルテ「Henry」 Henryは、⽇本の病院向けに開発された唯⼀のクラウド ネイティブな「レセコン⼀体型電⼦カルテ」です。 40年以上にわたり、医療現場の⽣産性向上を⽬的とした電⼦ カルテ‧レセプト会計システム(レセコン)は存在してきまし たが、業界の主流は依然としてオンプレミス型製品です。この ⻑年変化の少なかった市場に対し、Henryは完全にゼロからク ラウドベースのサービスを開発‧提供しています。
私たちは、基幹業務を担う電⼦カルテによる病院業務のDX こそが、医療現場の⽣産性向上に最も効果的だと確信してい ます。Henryは、低コストと使いやすさを兼ね備え、医療 スタッフの業務効率化と患者ケアの質向上を同時に実現しま す。 Copyright © Henry, Inc. All rights reserved. © 2026 Henry, Inc.
電⼦カルテの構成 電⼦カルテは、病院の全ての部⾨と連携して患者情報、診療‧処⽅情報、請求‧決 済情報を扱う 電⼦カルテ ⼿術システム ⼿術部⾨ カルテ レセコン 患者‧記録 ケア情報
請求‧決済 情報 医事部⾨ 受付システム 診療情報 管理部⾨ 病歴管理システム LIS(臨床検査情報) ⽣体検査システム オーダー 検査部⾨ がん登録システム 病理検査システム PACS(医⽤画像) RIS(放射線科) 指⽰‧予定 実施情報 画像診断 部⾨ Copyright © Henry, Inc. All rights reserved. © 2026 Henry, Inc. リハビリ 部⾨ 薬局部⾨ 栄養部⾨ 物流部⾨ 調剤⽀援システム 栄養管理システム 院内物流システム 薬品在庫システム リハビリシステム
今日伝えたいこと 複雑なドメインとどう向き合っているのか Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
レセコン(レセプトコンピューター)とはなにか? 医療機関が実施した診療について、 計算ルールや提出様式が決まっている • • • • 医療機関が患者に代わって、健康保険組合などに医療費の残 額(7割など)を月に1度請求する その時の提出フォーマットとして”診療報酬明細書”という形
式で請求するルールとなっている ◦ (右のやつは紙形式のもの。最近だとCSV様のファイル 形式でオンライン請求する) そのためのコードの計算機能、チェック機能や、出力機能を 持つのがレセコン 医療機関の窓口では、この計算された3割の金額などを患者 が支払っている Copyright © Henry, Inc. All rights reserved. 引用: https://www.ssk.or.jp/yoshiki/yoshiki_01_h30i.html
レセコン(レセプトコンピューター)とはなにか? 例えば、入院している患者に 対して薬を注射した場合 カルテにも記載の上で、 以下のようなコード記録や計 算が行われて請求がされる。 - Copyright © Henry,
Inc. All rights reserved. 130000510: 皮内、皮下及び筋肉内注射 130000110: 生物学的製剤注射加算 - 40点 646320003: 沈降破傷風トキソイド 0.5mL - 106点
計算ルールはどこから来ているのか? 厚生労働省が医科点数表という PDFのテキスト形式で公開している • • • PDFで400ページほど、Q&Aも含めた参考書は2000P超 えになるほどのボリュームのルール 点数が列挙されているだけでなく、条件についても記載 されている。
◦ 特定の条件を満たしたときに算定可能である ◦ 項目の組み合わせは併用不可 ◦ etc….. 2年に1度、診療報酬改定でこのルールが変わる ◦ (※診療報酬改定とかでSNS検索をすると現場の嘆 きがわかるよ!) Copyright © Henry, Inc. All rights reserved. 引用: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
IDなどはどこから来ているのか? 請求用のコードや点数はCSV形式でマ スタが公開されている • • • マスタも複数あるが、一番基本的なマスタでは1万 行*150列のマスタデータ 一部の算定ルールや条件も表現されていたりもする が、大本のテキスト形式に対応する表現力がたりな
かったり、間違っていたりもする 更新が頻繁に行われるが、2025/4/1ではこの点 数、2026/4/1ではこの点数、のように履歴データ を参照する必要もある Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
レセコンについておわかりいただけただろうか... Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
何が言いたいか? 外的で膨大なルールやデータに対して 可変性・保護性を持って高速に開発するかが求められる Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
ちなみに、医療システムは不具合に厳しい Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
大事なことなのでもう一回いいますが 医療システムは不具合に厳しい でも早く作らないといけない Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
複雑なドメイン知識を どのようにキャッチアップするのがよいのか? (自分なりの考え方) Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
新しい複雑なドメインに入った時、何をするか 目指すゴールとしては 対象のユーザー・現場を自身の脳内にモデリング化すること • toB/toCを問わず、システム開発ではユーザーがいて、そのpainを解 消するための解決策を提案するという側面がある • そのためには、ユーザーがなにを考え、どのように行動していて、そ の時どのような気持ちになるのかを理解すればするほどよい •
その領域のプロになる必要はないが、プロに共感できる人にはなる必 要がある Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
新しい複雑なドメインに入った時、最初になにをするのか 自分なりの取り組み方としては 以下の順を反復して行うことが多い ①まずはそのドメインの概要を教科書などで学ぶ ②対象とするユーザーのシナリオを聞いてみる ③ユーザーが高度なことをやるときに、調べる信頼できる情報源を知る ④信頼できる情報源を片手に、高度なことをやってみる ⑤イレギュラーなパターン、実際のペインを想像する Copyright ©
Henry, Inc. All rights reserved.
実際のキャッチアップ事例(レセコン領域の場合) ドメインの概要を教科書で学ぶ Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
最低限の領域の輪郭を掴むためのキャッチアップ 領域の教科書、参考書などを読む • • • • レセコン領域であれば、「医療事務の教科書」のような本、「公費請求のポイント」な ど 目的としているのは、「医療保険」という広いワードの中で、関連するドメインがどの ような立ち位置や関連になるのかのマッピング
詳細の暗記や厳密な理解をする必要はないので、この段階では斜め読みをしてとにかく たくさん読む (“医療”のようなドメインに普段からアンテナを張ってキャッチアップしていると少しラ クではある) Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
実際のキャッチアップ事例(レセコン領域の場合) 対象とするユーザーのシナリオを聞いてやってみる Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
最低限の領域の輪郭を掴むためのキャッチアップ 新人として雇われた気持ちで腹落ちするまでやってみる • • • • • • ユーザーがなにを操作、アウトプットとするのかを理解する 新人として雇われた気持ちで、なにをやる必要があるのか、なにを提出すればよいのか
などを調べる。記載がなければ聞く まずはフリースケッチでもよいので、手を動かしてなにをやるのかをイメージしてみる (聞けるのであれば)ここで理解があっているのかをユーザーに聞く 独り立ちするために、難しいことはどれを調べればよいのかをしる(=信頼できる情報源 をしる) 教科書にないイレギュラーな事態や、困りごとを聞く。調べる ここまでできたら解像度がある程度できている Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
最低限の領域の輪郭を掴むためのキャッチアップ アウトプットはこれということや 情報源がこれということを理解する Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
チーム開発としてどうするのか Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
仕様についての複雑さ ドメインの量が膨大で、領域の初学者の(特にエンジニア)には正直理解 し切ることは不可能 • すべての算定要件やルールを理解するのは、エンジニアだけでは到 底難しい(というより医療事務経験者でも全ては難しい) • 開発の仕様の理解だけでなく、公式文書の読み方、システムとして のasis-tobeを理解しないと、実装の不具合であったり、実装中に 用意につまづくことになりかねない
Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
仕様についてチームでキャッチアップする • チームとしてのドメイン理解、脳内 のindex形成の促進には銀の弾丸は ない • ユーザーシナリオの作成、操作フ ローの理解、勉強会などをこまめに 回数を重ねることで知識の浸透につ ながる
• ドメインの専門家を尊敬して頼る、 どこまで理解してそうかを共有して おく • (例: →Figmaでのユーザー操作フ ローや、勉強会のNotionなど) Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
どうしたらよいのか? 複雑なドメインの整理・具現化こそが医療テック、プロダクトエンジ ニアの腕の見せどころ ・ドメイン境界付近に自ら出向く、キャッチアップする ・境界をまたぐ機能では判断を共有する、コミュニケーションをさぼらない ・ドメインそのものにみんなで潜る、Deep Diveする ・ドメインを理解したうえでどうコードとして表現するのか考える ・銀の弾丸を探さない、DDDなどはあくまで道具 ・AIで開発速度も活用機能も増えていくが、活用するのにもドメインの理解が重要
Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
AI時代だからこそ、よりドメイン理解が必要 複雑なドメインの理解をしてこそ、AI活用や提案ができる ・AI時代だからこそ、単純な詳細設計からの実装などは高速でできるようになってきた ・より仕様から決めることができる、より根本的な提案ができる重要性がましてきた ・そもそものドメインの理解が浅ければ、仕様の正否もわからない、AIのコードの振る舞い を定義できない、より大きな課題の発見もできない ・ドメインを理解して、より大きな価値を生み出すエンジニアの重要性が高まるのでは? Copyright © Henry,
Inc. All rights reserved.
まとめ ・医療、とくにレセコン領域のエンジニアとしてのドメインの話をしました ・複雑なドメインをキャッチアップするには色んなやり方はありますが、私なりの考えを紹 介しました ・大事なのは、その領域のプロの目線に近づくこと、painに共感することができるようにな ること ・そのためには、学習もコミュニケーションもどちらも大事 ・そもそものドメインの理解が浅ければ、仕様の正否もわからない、AIのコードの振る舞い を定義できない、より大きな課題の発見もできない ・ドメインを理解して、より大きな価値を生み出すエンジニアの重要性が高まるのでは?
Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.
大変だからこそ、やる価値がある Copyright © Henry, Inc. All rights reserved. 30
採用情報や事業や技術について、積極的に発信しています! 採用情報 会社公式ブログ 採用募集ページ note 募集中の採用ポジションや募集要項 がご確認いただけます。 オープンポジションのカジュアル面 談も募集していますので、お気軽に お申し込みください。
ヘンリーで働く人や医療業界や事業 のことが幅広くしれる公式ブログで す。 CEO の逆瀬川も個人で NOTE を発 信しているのでぜひ! 技術ブログ 理想駆動ラジオ はてなブログ Spotify ヘンリー製品開発チームが運営する 技術ブログです。 プロダクト開発・運営の様子をお届 けするポッドキャストです。 Copyright © Henry, Inc. All rights reserved.