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ソフトウェアエンジニアガイドブックをあなたが読むべき理由

 ソフトウェアエンジニアガイドブックをあなたが読むべき理由

『ソフトウェアエンジニアガイドブック』翻訳者と語る、世界基準のキャリア戦略 - FL#120
https://forkwell.connpass.com/event/383162/
https://jobs.forkwell.com/events/c07nms0ek07s

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Ryuichi Kubuki

February 25, 2026

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Transcript

  1. 本日のお品書き 1. 自己紹介 2. 著者ゲルゲイ・オロスとは何者か 3. 『ソフトウェアエンジニアガイドブック』の前提 4. 『ソフトウェアエンジニアガイドブック』の構成 5.

    『ソフトウェアエンジニアガイドブック』の評価 6. 『ソフトウェアエンジニアガイドブック』の特徴 7. 『ソフトウェアエンジニアガイドブック』をあなたが読むべき理 由
  2. 自己紹介 久富木 隆一 (くぶき りゅういち): 翻訳者。X: ryukbk 著書: 『ゲームアプリの数学』(SBクリエイティブ) 訳書:

    『ソフトウェアエンジニアガイドブック』 (オライリー・ジャパン) 『AWSではじめる生成AI』(オライリー・ジャパン) 『ルールズ・オブ・プログラミング』 (オライリー・ジャパン) (Forkwell Library #30 2023年9月12日 「『ルールズ・オブ・プログラミング』を 2 倍楽しむための1つのルール」) 『Googleのソフトウェアエンジニアリング』 (オライリー・ジャパン) 『ブロックチェーン dapp&ゲーム開発入門』(翔泳社)
  3. 著者ゲルゲイ・オロスとは何者か • 『The Pragmatic Engineer』(ニュースレター/Youtubeポッドキャス ト)主宰 • メディアとしてのニュースレター ◦ 特に米国で、メジャーなメディアのノイズ無しに、受け手側が選択した専門

    家個人が発する識見を直接受け取ることができる、ブログ時代以降のメ ディアとして、近年発展 ◦ 日本だと、個人インフルエンサーが持つメディアとしてメールマガジンや有 料サロンがあるが、似たようなもののグローバル大規模版 ◦ 発展の背景に、Substack(2017年設立)等、無料/有料課金購読者を簡単 に管理/分析できるSaaSプラットフォームがある
  4. 著者ゲルゲイ・オロスとは何者か • ニュースレター購読者地域分布 ◦ アメリカ合衆国・カナダ: 33% ◦ ヨーロッパ: 24% ◦

    インド: 15% ◦ インド以外のアジア: 12% ◦ 南アメリカ: 6% ◦ アフリカ: 5% ◦ オーストラリア・ニュージーランド: 3% ◦ 中東: 2% https://newsletter.pragmaticengineer.com/p/one-million
  5. 著者ゲルゲイ・オロスとは何者か 1. 勤務組織の幅: 地元の受託開発スタートアップ/客先派 遣企業から、伝統的大手金融、最盛期のスケールアッ プ、世界的ビッグテックまで 2. 経験職務の幅: a. ソフトウェアエンジニア、テストエンジニア、シニアエ

    ンジニア、プリンシパルエンジニアといったエンジニ ア側でのキャリアから b. エンジニアリングマネージャー、シニアエンジニアリ ングマネージャーといったマネージャー側でのキャリ アまで
  6. 『ソフトウェアエンジニアガイドブック』の前提 • 著者が提示する棲み分け ◦ ニュースレター: その時々のテック(IT)企業/業界における、旬の最新時 事ネタをフォロー ◦ 本: 時流に流されない、ソフトウェアエンジニアリングや関連キャリアをめ

    ぐる長期的アドバイス • 共通認識まとめとしての本 ◦ ニュースレター読者のために、最低限知っておくべき業界の歴史や現時 点での常識を、「これまでのあらすじ」的にまとめてある ◦ 文脈を欠く議論は無益 : 先に共通認識を共有しておかないと、同じ事実 を提示しても、解釈が異なり、話が通じなくなる、あるいは同じことを何 度も説明する羽目になる
  7. 『ソフトウェアエンジニアガイドブック』の構成 1. 第一部 開発者としてのキャリアの基礎 2. 第二部 有能なソフトウェア開発者 3. 第三部 多方面にわたり円熟したシニアエンジニア

    4. 第四部 現実解を導き出せるテックリード 5. 第五部 ロールモデルとしてのスタッフエンジニアとプリンシパ ルエンジニア 6. 結論 7. 日本語版付録 「世界基準エンジニアの成功戦略」
  8. 『ソフトウェアエンジニアガイドブック』の構成 • 第一部 開発者としてのキャリアの基礎 ◦ あくまで基礎、基盤としての総論であって、必ずしも初歩的な話をしてい るわけではない ◦ 下級職から上級職まで影響する事項 ◦

    テック業界内の企業の種類や階層 (日本で言うwebエンジニアや事業会 社だけでなく、伝統的企業や、 SIerの話も出てくる) ◦ 昇進や転職といったキャリアイベント ◦ 何事につけてもpros&consが挙げてあり、トレードオフの存在を理解さ せる(例: 短い在籍年数で転職する場合の利益、在籍年数が長くなる場 合の利益) ◦ まずは世の中の現実を知る ◦ 時間がなければ、第一部だけ読んでもいいかも
  9. 『ソフトウェアエンジニアガイドブック』の構成 • 第三部 多方面にわたり円熟したシニアエンジニア ◦ 名実ともにチームの中核として、ジュニアを指導しつつ、結果を出す ◦ ソフトウェア開発者から、ソフトウェア「エンジニア」へ ◦ 『Googleのソフトウェアエンジニアリング』

    原著は2020年刊行で、The Pragmatic Engineer ニュースレター発刊は 2021年だが、 この金字塔から著者が受けた影響の大きさを 伺い知れる ◦ ただし、単なる先発の要約ではなく、 ソフトウェアエンジニアリングの概念に 2020年以降のアップデートが反映されている
  10. 『ソフトウェアエンジニアガイドブック』の構成 • 第五部 ロールモデルとしてのスタッフエンジニアとプリンシパ ルエンジニア ◦ IC最高位のエンジニア役職 ◦ エンジニアリングマネージャーやプロダクトマネージャーのパートナーと して共同作業を行いつつ、複数チームにまたがる問題解決にも動く

    ◦ 組織全体に長期的に影響する、目標管理、開発環境の整備、技術的決 定を行う ◦ 他の職種との協力や、組織の未来に影響する決定を行う以上、技術へ の理解だけでなく、ビジネスの理解が必須になる
  11. 『ソフトウェアエンジニアガイドブック』の構成 • 日本語版付録 「世界基準エンジニアの成功戦略」 ◦ 著者インタビュー ◦ 本の理解を深めるために、著者に対する理解を深め、著者の立 場から見た文脈、舞台裏をさらに補足する ◦

    日本関連の質問から、The Pragmatic Engineerニュースレターと いう名前の意味、AIの話題まで ◦ 日本の読者やゲルゲイ・オロスのファンであれば必読の内容に 仕上がった全17ページ
  12. 『ソフトウェアエンジニアガイドブック』の評価 • Tanya Reilly - Datadogプリンシパルエンジニア、元Googleス タッフシステムエンジニア、『スタッフエンジニアの道』(オライ リー・ジャパン)著者 • https://newsletter.pragmaticengineer.com/p/software-en

    gineers-guidebook • 「業績評価からP95レイテンシー、チーム力学からテストまで、 ゲルゲイはソフトウェア関連キャリアの全局面を分かりやすい ものにしてくれる。本書はまさにその名にふさわしく、これまで に無かった、業界全体にとってのガイドブックであると心から 感じる」
  13. 『ソフトウェアエンジニアガイドブック』の評価 • James Stanier - 元Shopifyエンジニアリング担当ディレク ター、『エンジニアリングマネージャーのしごと』(オライリー・ ジャパン)著者 • https://newsletter.pragmaticengineer.com/p/software-en

    gineers-guidebook • 「技術的トピックから人間関係まで、膨大な範囲を簡潔に網羅 しており、自身のインパクト増大とキャリア発展を望むソフト ウェアエンジニアが机に置いておくべき一冊。どんな状況であ れ、賢明なアドバイスを求めて何度も手に取ることになるだろ う」
  14. 『ソフトウェアエンジニアガイドブック』の評価 • Alex Xu - 元Twitterソフトウェアエンジニア、『システム設計の 面接試験』(ソシム)著者 • https://newsletter.pragmaticengineer.com/p/software-en gineers-guidebook

    • 「テック業界での道を切り開く者にとっての明確なロードマッ プ。キャリアのどの段階にいるエンジニアにとっても必読の一 冊」
  15. 『ソフトウェアエンジニアガイドブック』の評価 • Will Larson - Imprint CTO、元StripeのHead of Foundation Engineering、元

    Uberシニアエンジニアリングマネージャー、『エンジニアリング統括責任者の手引 き』(オライリー・ジャパン)『スタッフエンジニア』(日経BP)著者 • https://lethain.com/notes-on-the-software-engineers-guidebook/ • 「本書が特に優れている点は、幅広いトピックを簡潔にカバーしていることだ。新卒 や、一社しか経験していないエンジニアが決して出会うことのなかったであろう、非 常に多くのアイデアが詰まっている。私自身、 (CTOの)キャリア5年目になっても、自 分の理解が及んでいなかったトピックが、本書には多数あった。特に、マネージャー にならないと本当の意味で見えてこない領域だ。新人エンジニアにとって、この溝を 埋めてくれる本書は、非常に価値がある」 • 「全ての件を深く掘り下げているわけではないが、ソフトウェアエンジニアとして出会 うであろうほとんどのトピックに対して『手がかり』が残されており、他の、より狭い範 囲を扱った本でのさらに深い探求へと導く情報を、十分に提供している」
  16. 『ソフトウェアエンジニアガイドブック』の特徴 その3: ソフトな内容とハードな内容の両方が配合され ている • 人間関係的ソフトスキルによる成功方法を扱うキャリア本にとどまら ない、れっきとした技術書 • ソフトウェアエンジニアリングの理論や実務的知識と地続きに、一体 化して解説されている

    • 「社内政治的な話や、器用な人間になるための世渡り処世術を読む のは、気分が重い」と思う人にとっても、ソフトスキルの話と技術的な ハードな話が融合して取り上げられているので、退屈しないで読める
  17. 『ソフトウェアエンジニアガイドブック』の特徴 その4: 現実主義的 (pragmatic) • 本音トーク。綺麗事の建前ではない、甘くない世の中の、耳に痛い現 実を忖度無しにずばり指摘し、身も蓋もない事が書いてある、だがそ れがいい • かつて組織に属していた著者が、独立して好きなことを言える地位を

    確立し、満を持して、実践に基づく理論を世に問うた本 • 経営者や組織幹部のような偉い人が自分の都合で大所高所から語 る、経典のような組織本位の理論では、個人の幸福が二の次になり がちだが、この本は人間本位で、サラリーマンの味方
  18. 読むべき理由 : 本というツールの活用 • 本として情報がまとまっていることの効果 ◦ ソーシャルメディアでは様々な人 (AI?)が様々なことを言っているが ◦ この先輩の言うこと聞いても大丈夫

    ?と思う時に、信憑性のある情報を参考にでき る • リラックスした状態で、謙虚になる機会を与えてくれるツール ◦ 人に言われると腹が立つこともあるだろうが、本に対して怒る人は感受性が異常 に高い一部の人くらいだろう • AIを使うのに比べて低コストで、一貫した体験が得られる • 時間がないなら、何かをしながら本の内容を聞くのもよいかもしれな いが、本は、旅行にも似て、没入できる一つの体験のパッケージを提 供してくれる ◦ 没入することで、人間が自分自身をプログラムできる
  19. 読むべき理由 : ベテランなら • 暗黙知をどう人に伝えるか、エンジニアリング組織の文化をどう形成 するか。そんな時に、ジュニアや部下に勧めるとよい ◦ 読んどきなよ、と手渡しておけば、話のわかる、かゆいところに手が届く同僚の一 丁上がり ◦

    現実主義的な第三者の本で、読者自身の成功を意図した本なので、説教を受け るような意識なしに、推薦を感謝されるはず • ソフトウェアエンジニアリングの名著と言われる本も数あるが、10年 前に読んだ本に書いてある認識のままなら、リニューアル/再点検が 必要 ◦ スタンダードな王道まとめ本として最適 ◦ 自分にとっての変化のきっかけ、自己変革のヒントとして
  20. 読むべき理由 : 若手/学生なら • どんなに技術が優れていても、世間知らずなせいで失敗することがあ る。そういう悲劇を減らしたい • 企業の採用活動は一緒に働きたい人を企業側が探す試みであって、 入学試験や能力検定ではない •

    自分のよく知る先輩や友達とつるむだけのコンフォートゾーンから抜 け出そう、異質なものに興味を持とう ◦ 周りの人とだけ話していたら、エコーチェンバー内に取り残され、世界に自分が置 いていかれているのに気づかない恐れがある • 謙虚になろう ◦ 自分のことを特別だと思っている人が多い ◦ 自分には姑息なソフトスキルは必要ない、と思っている傲慢な人は、いずれ準備 している人に負ける ◦ ただし卑屈になる必要はない。自分の力を示して証明できるようにする準備を怠 らないようにしよう
  21. 読むべき理由 : 人間なら • イーロン・マスク曰く「humans in the loopを排除した企業が勝つ、そ のプロセスは急速に進む」 (2026/02/06

    https://www.youtube.com/watch?v=BYXbuik3dgA ) • AI使ってますか、と面接で必ず聞かれる時代 • AIの進化が止まらない中で、人間に残された数少ない椅子を手に入 れるには
  22. 読むべき理由 : 人間なら スコット・ハンゼルマンのポッドキャストに出演した著者曰く 「典型的なソフトウェアエンジニアの姿って、かなり変わってきてるんです。 2000年代初頭に僕がこの業 界に入った頃って、トップクラスのソフトウェアエンジニアは「 brilliant jerk(才気あふれる嫌な奴)」でした。 当時僕がいた会社とかでは、そういう人たちがだいぶ尊敬されてた。なぜなら、彼らだけが複雑なコード

    を扱えて、バグを直せて、知識をどんどん蓄えて解決してくれる存在だったから。 でも時間が経つにつれて、そういう「天才だけど孤高」な人はもちろん今でも価値があるけど、それに加え て「ちょっと社交的で、協調性がある人」の評価がどんどん上がってきたんですよね。 (中略)トップテック企 業が本当に重視するようになったのは、 • 本当に優秀なソフトウェアエンジニアであること • かつ、チームワークやコラボレーションがちゃんとできる人 の両方を兼ね備えた人たちなんですよ。要するに、「ただコードが書けるだけ」じゃなくて、「人と一緒に良 いものを作れる」スキルが、どんどん必須になってきてるってことです」 (2026/02/10 https://www.youtube.com/watch?v=9JxkHE1un5Q )
  23. 読むべき理由 : 人間なら スコット・ハンゼルマンのポッドキャストに出演した著者曰く 「最近の求人広告を見てると、特にAI関連でいろいろやってるモダンな企業だと、もう技術スタックがほとんど載ってなく て、代わりに「お客さんへの共感」とかが書いてあるんですよ。ソフトスキルがかなり強調されてる。たとえば、ここ 1〜2 年でVCから資金調達した会社で「Product Engineer」って検索して求人読んでみると、ほとんど「すごく感じのいい同 僚」みたいな人物像が書いてあるんです。

    実際にそういう企業の人と話したこともあるんですけど、採用で落とされるのはソフトスキルが足りない人、たとえば オープンじゃない人とかがすごく多いんです。なぜかというと、今の仕事ってどんどんソフトウェアエンジニアがお客さん と直接話したり、一緒にミーティングして「どう使ってるの?」「へえ、それ面白い! もう少し詳しく教えて?」みたいなことをす るようになってきてるから。 これって完全に新しいペルソナですよね。昔だったらプロジェクトマネージャーとかプロダクトマネージャーがやってた役 割ですよ。だから職業そのものが変わってきてるんだと思います。価値が置かれるポイントが変わってる。結局、 60年 代・70年代・80年代って、本当に難しいアセンブリコードとかCとか書ける人がほとんどいなくて、そういう人たちの性格 もまぁ…そういう感じだったじゃないですか(笑)。でも今はもう、AIのおかげで誰でもコード書けるようになった。 だから今求められてるのは、やっぱりちゃんとエンジニアリングできる人でありながら、共感力があったり、そういう他の こともちゃんとできる人なんですよね」 (2026/02/10 https://www.youtube.com/watch?v=9JxkHE1un5Q )
  24. 読むべき理由 : 最後に... 日本人なら • 日本のテック業界は特殊なのか ◦ 特殊だと思いこんでいるだけではないのか ◦ 日本という国は暗黙の作法があって息苦しい、世界は違うはず

    ...いやそんなことはない ◦ 良い方向へも悪い方向へも、世界に対して夢を見すぎではないか ◦ 日本という国が、どこへ向かっているのか ◦ メンバーシップ型雇用がジョブ型雇用より増えることは今後あるか ◦ 世界的潮流としてのAIが、コンサルやSIerという業態に及ぼす影響は一時的なものか • 世界はどうか ◦ ハイリスク・ハイリターン ◦ 優秀な人もビジネス状況によりレイオフされる、虎の穴での終わりなき闘争 ◦ ポジションにしがみつく技ではなく、何が起こっても再雇用されるよう常に刃を磨いておかなくては ならない ◦ 世界基準の人々は、自分たちが「世界基準である」などと意識しない • 壊れたシステムのなかでも勝ち抜くには、ローリスク・ローリターンの環境で生きて いる人の話を聞くべきか、ハイリスク・ハイリターンの環境で生きている人の話を聞 くべきか ◦ 攻撃は最大の防御 ◦ 彼を知り己を知れば百戦殆からず