Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

Chromium OS 研究会 オンラインイベント #1 / Chromium OS Labs 01

Sawada Sho
September 26, 2020

Chromium OS 研究会 オンラインイベント #1 / Chromium OS Labs 01

ChromeOS のオープンソース版である Chromium OS の勉強会です。(ChromeOSのファンも大歓迎!)

今回は、ドン・キホーテの格安パソコンに Chromium OS を生実演してみるとともに、Chromium OS の特徴やメリットについて学んでいきます。

【内容】
ドンキの2万円パソコンを Chromium OS に変身させる

ドン・キホーテで19800円(税抜)で販売されている「MUGAストイックPC3」に実際にChromium OS をインストールしてみます。
この格安PC、インストールされている Windows 10 では「Windows Updateがはじまると CPU 使用率が数時間にわたり100%に張り付く」ほどの状況に陥りますが、Chromium OS に変えたらどうなるでしょうか? 開梱からインストールまでライブハッキングに挑みます!

【ハッシュタグ】
#くろけん をご利用ください

【登壇者】
澤田 翔 (@shao1555)

Sawada Sho

September 26, 2020
Tweet

More Decks by Sawada Sho

Other Decks in How-to & DIY

Transcript

  1. Chromium OS 研究会
    オンラインイベント #1
    26/Sep 2020
    インターネットプラス研究所
    Topic Chromium OS を2万円パソコンに入れてみる
    Hashtag #くろけん

    View Slide

  2. Chromium OS 研究会
    オンラインイベント #1
    20:00 より開始します
    Topic Chromium OS を2万円パソコンに入れてみる
    Hashtag #くろけん

    View Slide

  3. Chromium OS 研究会へようこそ
    Chromium OS 研究会は、オープンソースのオペレーションシステム「
    Chromium OS」に関心がある人が集ま
    り、使い方や作り方をアレコレ研究するグループです。
    当研究会は手弁当(自由参加、自己負担、報酬なし、責任なし)で行うコミュニティ活動です。この会の活動成果
    (スライドを含む)は自由に利用して構いませんが、結果に一切の責任を負いません。
    Chromium OS に関する告知(こんな商品つくったよ!とか)も自由に行なえます。
    みなさんで Chromium OS の世界を広げていきましょう!

    View Slide

  4. about @shao1555 (澤田 翔)
    1985年生まれ。連続起業家、エンジニア。
    慶應義塾大学環境情報学部卒。
    ITスタートアップの立ち上げから
    EXITを複数経験
    (スマートフォン広告、カメラアプリ、フィンテック、ブロックチェーンなど
    )
    「インターネットプラス研究所」を
    2018年に設立
    中国デジタル化の最新動向に詳しく、レポートも多数執筆している。

    View Slide

  5. View Slide

  6. Chromium OS とは?

    View Slide

  7. Chromium OS とは?
    ほとんどの時間をWebブラウザで過ごす人のためにつくられた、高速でシン
    プル、安全なオペレーティングシステム
    ● Linux (Gentoo Linux) がベース
    ● Webブラウザ「 Chromium」 の利用を中心に設計されている
    ● ユーザによるシステムの改変は制限されている
    ○ システム領域はサンドボックス化されていて書き換えできない
    ○ ユーザーアプリはブラウザの拡張機能か Linuxコンテナで走らせる
    ● オープンソース。x64 / arm64 プラットフォーム上で動かすことができ
    る。

    View Slide

  8. ほとんどの時間をWebブラウザで過ごす人?
    「Webブラウザでできること」が圧倒
    的に増えている

    View Slide

  9. Google Chrome との関係
    Google Chrome は「Chromium」というオープンソースプロジェクトに
    Google固有の機能を搭載したブラウザ。
    Chrome OS も同様に Chromium OS に Google 固有の機能を搭載している。
    Chrome OS で Google が追加した部分
    DRM (WideVine CDM)、Google Play ストア、Google によるサポート、non-freeなデバイスドライバ
    → Web ブラウジングに関わる部分の大半は Chromium OS で問題ない

    View Slide

  10. Chromium OS にはクローズドソースである
    DRM (著作権保護機能) が含まれないため、Netflixの動画は再生
    できない

    View Slide

  11. Chromium OS の派生プロジェクト
    Google Chrome OS
    CloudReady
    FydeOS
    終了済み: Flint OS, Nayu OS
    活動一時休止中: Wayne OS

    View Slide

  12. Chromium OS を入れてみよう

    View Slide

  13. 例: ASUS Chromebook C223NA
    - Celeron N3350, 4GB RAM, eMMC 32GB
    - PassMarkスコア: 1135点
    2010年 ThinkPad (Core i5-540M) ですら 1746 点
    → 相当スペックが低くてもインストールが可能
    (できれば SSD はほしい)
    Chromium OS の現行モデル

    View Slide

  14. ドン・キホーテ「MUGAストイックPC3」
    - CPU: Celeron N3350
    - eMMC 64GB (SSDより遅い)
    - 4GB RAM
    - 日本語キーボード
    - 14” Full HD IPS 液晶
    - Wi-Fi (802.11a/b/g/n/ac)
    - Bluetooth
    19,800円(+税) でいつでも買える

    View Slide

  15. Windows アップデートがはじまるとCPU使用率が100%に張り付いてしまう!
    出典: 大幅性能UP?ドン・キホーテ「新型19,800円ノートPC」の闇を暴く!【安物買いの銭失い】

    View Slide

  16. MUGAストイックPC3 on Chromium OS
    ✓ 19,800円(いいね!)
    ✓ Celeron N3350, 4GB RAM, 64GB eMMC
    (Chromium OS なら問題なさそう)
    ✓ 日本語キーボード(いいね!)
    ✓ 大型トラックパッド (いいね!)
    ✓ Full HD IPS液晶 (いいね!)

    View Slide

  17. Chromium OS の入れ方
    ① ASUS Chromebook C434 のリカバリーイメージを流用する
    - Brunch Framework というパッチを当てることで Chrome OS のイメージが任意のPCで動くように
    - Play Store や Netflix なども動作する
    - たぶん著作権的にアウト
    ② Chromium OS を自前でビルドする / 野良ビルドを使う : アップデートサーバーがないので常用は面倒
    ③ 派生ディストリ (CloudReady, Fyde OS) を使う: 初心者はコレがおすすめ

    View Slide

  18. CloudReady で Chromium OS を体験する
    ● CloudReady は Google が推奨しているソリューションなので(今のところ)安心
    ● 製品の動作確認情報が提供されている
    → Certified Models https://guide.neverware.com/supported-devices/
    ● Widevine CDM (DRM) と Flash Player を独自に追加配布している
    デメリット
    ● オープンソースではないので不都合があってもソースコードを修正して対応することはできない
    ● MDM (デバイス管理) を有効にする場合は Enterprise ライセンスが必要
    → $49/年。これとは別に Chrome Enterprise Upgrade (7,000円/年) も必要

    View Slide

  19. 作業手順
    1. USB メモリの作成
    a. 作業用PCに Google Chrome と Chromebook Recovery Utility を入れる
    b. Neverware のサイトから CloudReady のイメージをダウンロードしする
    c. Chromebook Recovery Utility を用いて USB メモリに書き込む
    2. UEFI の設定
    a. BIOS / UEFI の切替が可能な機種であれば、 UEFI モードにする
    b. Secure Boot が有効化されている機種であれば、一度 Secure Boot を無効化する
    3. USB から CloudReady を起動する
    4. CloudReady のメニューから「インストール」を選ぶ

    View Slide

  20. インストールつまづきポイント
    ● USB メモリの相性
    (SanDiskは非推奨)
    ● Secure Bootの解除
    (モダンなPCは注意)
    ● UEFIモードの有効化
    (古いPCは注意)

    View Slide

  21. Chromium OS を運用してみて

    View Slide

  22. Chromium OS 実戦投入!
    ● テレワークで業務を行うワーカーさん
    2名に Chromium OS 搭載ラップトップを貸与
    ○ 業務内容: メール対応、顧客管理、カスタマーサービス
    ● Chrome OS 、G Suite 利用経験なし
    ● 想定利用サービス
    ○ Gmail
    ○ Slack
    ○ Googleドライブ
    ○ Zoom
    ○ WordPress 管理画面

    View Slide

  23. 導入したマシン
    ● MacBook Air (11-inch, Mid 2011)
    ○ Core i7-2677M, 4GB RAM, 128GB SSD
    ○ PassMark: 1799pts
    ● ThinkPad X240 (2014年発売)
    ○ Core i5-4210U, 4GB RAM, 240GB SSD
    ○ IPS FullHD 液晶に換装済
    ○ PassMark: 2278pts

    View Slide

  24. メルカリで買った ThinkPad X240 について
    13000円で落札
    → バッテリーがダメになってた
    : 買い替え +5,000円
    → 液晶の解像度が低い: 交換 +6,000円
    → CMOSバッテリが切れてた: 600円
    → 合計 24,600円

    View Slide

  25. セットアップ作業
    ● CloudReady を USB からインストールして送付
    ● 事前に Google アカウントの初期パスワードをメール連絡
    ● Zoom でオンボーディングを実施 (セットアップ完了までは iPhone で入ってもらった)
    結果
    ● 10分で完了!
    ○ メールアドレス設定、電源のオンオフ、文字入力、 Gmail、Slack、Zoom

    View Slide

  26. ● ショートカットキーがわかりにくい
    ○ スクリーンショットの取り方がわからない
    ○ Mac を Chromium OS 化した場合は command / option キーの読み替えが悩ましい
    ● ヤフオクで手に入れたハードウェアの調子がイマイチ
    ○ スペック的に問題なくてもハードウェアの経年劣化は避けられない
    ○ メインボードに帯電してしまい、バッテリーを抜かないと電源が入らない現象が発生した
    ● G Suite 特有の問題
    ○ Gmail: 「自分が参加しているメーリングリストに CCしたのに受信トレイにコピーが届かない!」 (仕様)
    ○ スプレッドシート : 「セル内の改行はどうやるの?」
    ○ ドキュメント: 「改ページがズレてる!」
    ● Zoom でバーチャル背景が使えない
    課題いろいろ

    View Slide

  27. ● 「余っている PC を Chromium OS に変える」はそこまでメリットない
    ○ 市販の安い Chrome OS でスペック的には十分
    ○ 8年前のPCはハードウェア的にガタが来ている
    ● G Suite 、特に Microsoft Office に関する問題をどうクリアするか
    ○ G Suite に関するナレッジベースを地道に貯めていく
    ○ Web 版 Office 365 もレイアウトの再現性が高いのでオススメ
    ■ 個人版 OneDrive を業務で使わせないとすれば、 Office 365 F3 (¥430/月) が必要になる
    ■ Amazon Workspace とか VDI とかも可能だけど、そこまでやるなら Windows のほうがよくない?
    ○ Word / Excel に頼らないワークフローの導入を手助けする必要がある
    ● 上記以外に大きな課題は見当たらない
    今後に向けて

    View Slide

  28. Chromium OS の意義を考える

    View Slide

  29. ● Google Chrome OS にあって Chromium OS にないもの
    ○ Google のサポートとアップデート
    ○ プロプライエタリな機能 : Google Play Store、Widevine CDM
    ● Chromium OS にあって Google Chrome OS にないもの
    ○ オープンソース
    ■ ソースコードへのアクセスと自由な改変
    ■ (米国企業としての ) Google が受ける法規制の影響を回避できる
    ○ 好きなハードウェアで動かせること
    ○ 好きな機能を盛り込んだり消したりすることができること
    Google Chrome OS と Chromium OS

    View Slide

  30. ● もっといろんなハードウェアで動かしたい
    ○ IoT: Raspberry Pi、キオスク端末、決済端末
    ○ UMPC、スティックPC、ディスプレイ一体型端末、こだわりのキーボードを積ん
    だマシン……
    ● Linux 環境をマネージドにしたい
    ○ Chrome OS 標準の Linux 環境 (Crostini) はクラウドの管理対象外
    ○ LibreOffice や WPS Office を一般ユーザにシュッと配布できたらいいな
    ○ プログラミング教育環境を一括配布できたら ICT教育にも強そう
    ● Google 以外のアカウントで管理したい
    ○ 車載デバイスなら自動車のアカウントで管理したい
    ○ SaaS事業者がデバイスを配布するシナリオでは予め IDを埋め込みたい
    Chromium OS で見たい「夢」

    View Slide

  31. ● 中国とロンドンに拠点を置くスタートアップが開発した
    Chromium OS のフォーク「FlintOS」
    ○ 中国以外の事業は CloudReady を運営する Neverware に売却
    ○ 中国事業は FydeOS と 名称を変更して継続
    ● 中国での利用を念頭に Google アカウントではなく FydeOS Network ID でログインする
    ● 独自のアプリストアを提供
    ○ Android アプリ
    ○ Windows アプリ : Wine Project 派生の CrossOver を利用し、Microsoft Office が動作 (実験的)
    ○ ブラウザ拡張
    ● Raspberry Pi のサポートを OSS でやっている
    ○ FydeOS プロプライエタリな変更点は含まれない
    FydeOS

    View Slide

  32. FydeOS のアプリストア (FydeOS 应用商店)。WeChat ミニプログラムへの対応もはじまった

    View Slide

  33. One more thing: Project FlexiOS
    私 @shao1555 が開発している Chromium OS 派生ディストリビューション
    個人事業主〜中小企業 (SME) に最適化
    - Web ブラウジングにさらに特化 (セキュリティリスクを最小化
    )
    - ゼロタッチデバイス登録 (箱を開けた瞬間から使えるように設定できる
    )
    - サイネージ、キオスク端末のサポート (予約受付機などへの利用を想定
    )
    近日公開予定!

    View Slide

  34. Let’s HACK Chromium OS!
    Chromium OS のハックを広げていきましょう
    !
    ● ハードウェア
    ○ 互換性情報、ドライバ入れ替え、「こんなハードに入れてみた」談義
    ● ビルドと配布
    ○ ビルドのしかた、起動メモリのつくりかた、カスタマイズ方法、アップデートサーバー
    ● Chromium OS のしくみ
    ○ アーキテクチャ、 Aura Window Manager, Blink, Network Stack, Secure Booting ...
    ● Chromium OS のユースケース
    ○ テレワーカー、DIY / Makers、IoT、教育、デベロッパー

    View Slide