Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

データ駆動による因果仮説探索

Shohei SHIMIZU
February 09, 2021

 データ駆動による因果仮説探索

JSTワークショップ「人工知能と科学」

Shohei SHIMIZU

February 09, 2021
Tweet

More Decks by Shohei SHIMIZU

Other Decks in Science

Transcript

  1. 統計的因果推論と機械学習 •統計的因果推論 – 介入するとどうなるか? • チョコ消費量を変えると ノーベル賞受賞者の数は変わるのか • どのくらい増えるのか(減るのか) •機械学習

    – チョコ消費量がこのくらいだと 受賞者どのくらい? 2 Messerli, (2012), New England Journal of Medicine ! " # $ 賞 受 賞 者 ( 数 相関係数: 0.79 チョコレート消費量
  2. 相関関係と因果関係のギャップ 3 チョコ 賞 ? チョコ 賞 or GDP GDP

    チョコ 賞 or GDP 複数の因果関係が同じ相関関係を与える 賞 未観測共通原因 未観測共通原因 未観測共通原因 ギャップ ҼՌάϥϑ チョコ
  3. 統計的因果推論の手順の例 1. 推定したいものを決める: 介入効果 2. 領域知識を用いて因果構造を表すグラフを描く (実験か観察か含む) 3. どの変数(共通原因)で調整すべきかを理論から導く 4.

    (もしあれば) その変数を観測し調整に使い推定 4 チョコ 賞 GDP 𝐸 賞 𝑑𝑜 チョコ = 多い) = 𝐸調整に使う変数 [𝐸 賞 チョコ = 多い, 調整に使う変数)] 𝐸 賞 𝑑𝑜 チョコ = 多い) − 𝐸 賞 𝑑𝑜(チョコ = 少ない))
  4. 従来: 因果は扱いにくいもの • 「最近」起こった(広まった)こと – 理論面 (Rubin, Pearl) • 因果の数学的記述

    • 領域知識と仮定を表現する道具の整備 • 因果推論のアルゴリズム化 – 適用面 • 機械学習の実用化・普及 – 機械学習では扱えないリサーチクエスチョンが何か明確に – 機械学習モデルの説明性、公平性 • Webサービス、行動経済学での因果推論の活用 – 因果推論によるビジネス、政策立案、適用領域の拡大 • 因果の科学: Causal Science (Pearl, 2020) 5
  5. 数学的フレームワーク (Imbens & Rubin, 2015; Pearl, 2001) • 構造的因果モデル (Pearl,

    2001) • 因果の数学的表現 6 構造方程式 因果グラフ 構造方程式 因果グラフ 𝑥 = 𝑓) 𝑧, 𝑒) 𝑦 = 𝑓* 𝑥, 𝑧, 𝑒* 𝑥 = 1 𝑦 = 𝑓* 𝑥, 𝑧, 𝑒* 𝑝 𝑦 𝑑𝑜 𝑥 = 1 ≠ 𝑝 𝑦 𝑑𝑜 𝑥 = 0 であれば, 𝑥 causes 𝑦 𝑝 𝑦 𝑑𝑜 𝑥 = 1 𝑑𝑜 𝑥 = 1 𝑥: チョコ 𝑦: 賞 𝑧: GDP 𝑥: チョコ 𝑦: 賞 𝑧: GDP 1
  6. 推定可能性の理論 (Pearl, 2001; Spirets et al., 1993; Shimizu, 2014) •

    因果グラフが描けたときに介入効果 – どの変数で調整すればよいか • 因果グラフ: 因果仮説探索 – データも使って描く: 例えば、線形性+非ガウス連続分布なら可 7 チョコ 賞 ? チョコ 賞 or GDP GDP チョコ 賞 or GDP x y z w u v q
  7. 8 データによる因果グラフ探索の適用例 https://sites.google.com/view/sshimizu06/lingam/lingampapers/applications-and-tailor-made-methods 疫学 経済学 Sleep problems Depression mood Sleep

    problems Depression mood ? or OpInc.gr(t) Empl.gr(t) Sales.gr(t) R&D.gr(t) Empl.gr(t+1) Sales.gr(t+1) R&D(.grt+1) OpInc.gr(t+1) Empl.gr(t+2) Sales.gr(t+2) R&D.gr(t+2) OpInc.gr(t+2) (Moneta et al., 2012) (Rosenstrom et al., 2012) 神経科学 化学 (Campomanes et al., 2014) (Boukrina & Graves, 2013)
  8. 課題1: 未観測共通原因をどう懐柔するか • 現状: 領域知識により特定し観測する • どこまでデータにより支援できるか? – 例: 線形性と非ガウス連続分布

    (Hoyer et al., 2008; Salehkaleybar et al., 2020) • 信号処理の理論: 独立成分分析 • 機械学習の理論: カーネル法 9 チョコ 賞 ? チョコ 賞 or GDP GDP チョコ 賞 or GDP 未観測共通原因 未観測共通原因 未観測共通原因 ҼՌάϥϑ
  9. 課題2: 変数をどうとるか • マクロ変数とミクロ変数 – 国レベルと個人レベル – 結果は一致するのか • 領域知識の利用

    – (論文)テキストデータ等から抽出 • より一般に、データによる支援は可能? – 介入によるアルゴリズム (Chalupka et al. 2017) 10 Messerli, (2012) Chalupka et al. (2017)
  10. まとめ: データ駆動による因果仮説探索 • 機械学習に加えて、統計的因果推論 – 因果グラフが領域知識で描ける場合は産業応用レベル – 描けない場合のデータによる支援が今後の鍵 • 課題

    – 未観測共通原因 – 変数をどうとるか – データによる支援はどこまでできるか • 科学/工学の発展を加速 – 実験・調査、検証の効率化 11
  11. 12

  12. 因果グラフに関する領域知識の利用 • 領域情報+データから因果グラフを推測 – 製造業 • 製造条件 • その中間の特性 •

    最終的な特性: 不良率など – 農業やマーケティングなどでも 13 最終特性 条件1 条件10 中間特性1 中間特性100 … 中間特性82 中間特性8 中間特性66 中間特性66 中間特性16 … … … … 因果探索