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チーム開発における責任と感謝の話
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sasaki
June 14, 2025
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チーム開発における責任と感謝の話
sasaki
June 14, 2025
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Transcript
© DMM.com チーム開発における責任と感謝の話 合同会社DMM.com プラットフォーム開発本部 佐々木 総 1
© DMM.com 自己紹介 2 • 名前: 佐々木 総(ささき そう) •
石川県金沢市出身 • 所属: 合同会社DMM.com プラットフォーム開発本部 CSプラットフォームグループ BEエンジニア • 経歴: ◦ 2016年新卒入社 ◦ 不正防止システムの運用開発(4年) ◦ ログインシステムの自動テスト構築(1年) ◦ DMMヘルプセンターの運用開発(3年~) • 趣味 : アニメ、ゲーム • 好きな言葉 : プログラムは思った通りに動かない、書いた通りに動く
© DMM.com 3 「これって本当に自分の仕事なの?」 って迷う場面、ないですか?
© DMM.com 4 ほんの少しのモヤっとを抱えてしまうことのある 開発メンバーに向けて話します
© DMM.com はじめに • 今日お話しすることは開発メンバーとしてスクラム開発を7年間やってき た私のちょっとした体験談になります • いろんな経験をする中で責任と感謝って大事だなって感じるようになり ました •
正直こうすれば必ずチームが良くなるぞ!!!みたいなことは話さないので すが理由はわからないけど悩んでいるような開発メンバーに対しての ちょっとした行動のヒントになればうれしいです 5
© DMM.com DMM.comについて 6 ※2025年6月時点
© DMM.com DMM.comについて 7 東京・六本木に本社があるのですが...
© DMM.com DMM.comについて 8 実は...金沢にものどかな住宅街の中に事業所があったりします😃
© DMM.com DMMとスクラム開発 9 • スクラム導入前のDMMの課題(2018年ごろ) ◦ ビジネスサイドと開発、開発内でも職種ごとに壁があった ◦ 「それはうちの仕事じゃない」という空気が強かった
• 解決に向けて... ◦ 当時のCTOのトップダウンにより全社的にスクラムを導入 ▪ プロダクト毎に小さな独立したチームを持って動く体制に ◦ 自己組織化を進め、受発注的な関係や他人のせい という意識の解 消を目指した • 今ではほとんどのチームがスクラム開発を導入している
© DMM.com はじめてのスクラム開発 10 • メンバー全員はスクラム開発未経験 • PO:1名 SM:1名 開発メンバー:3~4人 • 優秀なPO,SMが主導し、非常に早く軌道にのった
• 定期的に成果物も出せていて、社内で表彰された
© DMM.com 成果も出ているしいいチームだと思っていた!! 11
© DMM.com でも開発メンバー個人としてはどうだったのだろうか? 12
© DMM.com 成果は出ていたが... 13 • 一人で黙々と作業することが多かった • ふりかえりの雰囲気はあまり良くなかったかも... ◦ 反省点や不満が多かった印象
• 活発に改善提案などをしているわけではなかった
© DMM.com プロダクトへの責任感がなかった 14 • スクラムマスターに依存していた ◦ 外部調整、タスク管理、運用業務などなんでもやってくれていた • プロダクトの目的や価値を深く考えていなかった
◦ 日々のタスクを淡々とこなすだけ ◦ 開発することが目的になっていた • POの意図とズレた成果物も出ていた ◦ POと開発メンバーの間に見えない壁ができていった ◦ 後にPOと開発メンバー間の信頼関係の維持が一番大変だったと当時 のSMは語る...
© DMM.com チームメンバーへの感謝の気持ちもなかった 15 • いつの間にかなんでもやってくれているSMがいることが当たり前になっ ていた • SMだけではなくて他の開発メンバー間でやりたくない運用業務をやっ ていた時も感謝の気持ちはなかった
• 逆に私がやった時にはなんで自分が ...と思ってしまう時もあった..
© DMM.com 個人としてはいい動きはできてなかったかも... 16
© DMM.com その後別のチームでスクラム開発をすることに! 17
© DMM.com 2チーム目のスクラム開発 • 社内の大規模リプレースプロジェクトに参加 • グループとして3つのFE,BE,INFチームにわかれていた • BEチームは当初メンバーは2名で後に5~7名で増減していた •
チーム組成初期は開発をサポートしてくれるメンバーがいた • グループの人数が増えるにつれてサポートが受けづらくなる • SMのポジションの人材を用意するのチーム事情的にすぐには難し かった • 明確なSMが不在のままチームを回す必要が出てきた... 18
© DMM.com チームリーダーの負荷増加 • チームリーダーに負荷が偏りはじめる • 開発・レビュー対応 • PBIの業務内容整理・メンバーに対して説明 •
ステークホルダーとの要件確認・調整 • 運用業務・障害対応 19
© DMM.com 開発メンバーは... • 私含めて開発メンバーは基本的には待ちの状態 • 他のメンバーが何をやっているか良くわかっていない • 時間がなく詳細な説明を受けずにタスクを行ったので想定と違う成 果物が出てくることもあった
20
© DMM.com 徐々に停滞し始めるチーム 21
© DMM.com 停滞し始めるチーム • 特に開発リードタイムが目に見えて悪くなりはじめる • チームリーダーのレビューの時間がなくなりのPRが滞り始める • ひどい時は20PR以上たまって200時間マージされないことも... 2022年ごろのリードタイムの状況
(Findy Team+) 22 PRがオープンしてからマージさ れるまでの平均時間
© DMM.com 今まではSMが支えてくれたことに気づく... 23
© DMM.com 自分が何もできてないという焦り 24
© DMM.com 少しずつ意識を変えないと... 25
© DMM.com だからメンバーで助け合うことにした 26
© DMM.com 責任の分担 • チームで話し合って各メンバーが各タスクに関してコーディング以外の 作業やるようにした • ステークホルダーとのやり取り • タスクを進めるに当たり必要な情報の収集
• リリース手順書の作成/リリース作業 27
© DMM.com 責任の分担 • 細かな運用業務は気づいた人がやるように! • エラーログ調査 • 既存システムの問い合わせ対応 •
チケット作成などの細かな雑務 28
© DMM.com 責任の分担 • モブプログラミング・モブレビューの導入 • チームリーダーのレビュー負担を減らす • チーム内知識格差を減らす 29
Discordで集まってみんなでわいわいレビュー
© DMM.com 責任の分担 2025年上半期のレビュー状況 (Findy Team+より) チームリーダー 新規メンバー 30 直近半年のレビュー数
© DMM.com 各メンバーが待ちの状態から責任を持って自走するようになった 31
© DMM.com (余談)他チームの支援を受ける • チームだけではどうにもならないことは他チームの支援を受けた • チーム運営に関する支援 • Findy Team+を活用したチーム改善
• https://jp.findy-team.io/case/intereview/dmm_01/ • コード改善周りの支援 • Go言語アプリのリアーキテクチャ • https://developersblog.dmm.com/entry/2025/05/28/110000 • 外部登壇支援 • 今ここに立てているのは支援してもらえてるおかげ • https://developersblog.dmm.com/entry/2024/12/23/110000 32
© DMM.com 少しづつ進む改善 • チームメンバーの助けや社内支援によってPRやタスクがたまることが少 なくなった Findy Team+より2025年5月のリードタイムの状況 33
© DMM.com たくさんの助けのおかげでプロダクトが良くなりはじめた! 34
© DMM.com でも責任を分担したことによって 他のメンバーの負荷が増えたのでは... 35
© DMM.com 確かに増やしてしまったかもしれない... 36
© DMM.com だからこそ頼れるチームメンバーには感謝するように意識した 37 ※ふりかえり(KPT)時の私からの記載の一部
© DMM.com 38 やってもらえることを当たり前にしたくない
© DMM.com 39 やっていることの価値を自覚する機会にして欲しい
© DMM.com 改善していくチーム • 他メンバーからの感謝や提案も増え始める • 最近は自分よりも他メンバーからの提案の方が多くなった 40
© DMM.com 気づけばお互いに尊敬し合い感謝しあえる文化ができていた 41
© DMM.com 今まで他者に関しては興味が薄かった私ですが... 42
© DMM.com 最近は個人が評価されるよりも他のメンバーやチームが評価され る方が嬉しいと思えるようになった 43
© DMM.com まとめ • SMがいた方がチームが円滑に回りやすいのは事実 • 特にスクラムが初めてのメンバーが多いならいた方がいい • ただ、SMに頼りすぎずに開発メンバー個人がプロダクトに責任を持って 自走していくことも大事かもしれない
• ちょっとモヤっとしてしまった時に一歩引いた目線でチームを俯瞰して他 のメンバーの頑張りに感謝できるようになればほんの少しだけ違う景色 が見えてくるかもです 44
© DMM.com 謝辞 • 今年もスクラムフェス金沢の開催ありがとうございます!!! • 金沢出身で金沢でも働ける企業でスクラム開発 している一員としてこ のようなイベントで地元を盛り上げてくれるのは非常に嬉しいです!!! •
発表した私のスクラム体験記もDMMという大きな組織の中ではほんの 小さな一つの出来事でしかありません... • まだまだDMMからスクラムフェス金沢を盛り上げるネタはたくさんあると 思いますのでぜひ来年の開催も期待しております!!! 45