YouTubeで公開した動画に使用した投影資料の共有です(2025/11/28公開)。
■動画の内容
M&Aでは過去の損益実績がとても重要な役割を果たします。
それは「過去の利益が価格に反映される」といった単純な話ではありません。
高値を引き出すための適切な「損益実績の見せ方」をご紹介します。
■動画URL
過去の利益はM&A価格にどう影響する?適切な見せ方を公認会計士が解説!(23分11秒)
https://youtu.be/QRfXLd5qWB8
■出演者
古旗淳一(公認会計士・税理士)
株式会社STRコンサルティング代表取締役
買い手企業担当者としてのバックグラウンドを生かし、独立後は数多くのM&Aの相談に対応。
専門家としての知識と現実的な実務経験、最新の現場情報を踏まえてわかりやすく解説します。
【動画内容の要約】
M&Aの売買価格は、その対象会社の利益の大きさに大きな影響を受けます。儲かる会社ほど高い値段で売買されるのは当然のことですが、M&Aで本当に重要なのは、過去の実績ではなく将来の利益予測です。
仲介業者が作成する「簡易株価算定書」には、過去の実績数値しか記載されず、将来予測が無視されていることが多いですが、実際には買い手が手に入れるのは過去ではなく将来の利益であるため、将来利益を考慮せずに値段を考える買い手はありえません。
では、過去の損益実績はM&A価格にまったく影響しないのでしょうか? 現実は全くそんなことはなく、めちゃくちゃ影響しています。将来利益が最重要だからこそ、過去の損益実績は、買い手が将来予測を行うための重要な材料になるのです。
高く売るための説明戦略
過去の損益実績を買い手に正しく説明し、高値を引き出すためには、いくつかの重要なポイントがあります。
ポイント1. 事業実態の開示:
損益計算書の数字そのものが重要なのではなく、その数字の裏側にある事業実態こそが重要です。過去の損益実績を説明する際は、お金の流れと、その裏側にある事業活動を関連付けて説明する必要があります。
ポイント2. 資料の重要性:
買い手に自信をもって将来利益を予測してもらい、高値で会社を売るために最も重要な資料が、インフォメーションメモランダム(企業概要書)です。この説明資料の中身が不十分だと、買い手は将来予測の材料をもらえず、短い投資回収期間の金額しか値付けできない可能性があります。
ポイント3. 説明資料作成のノウハウ:
損益実績を適切に伝えるには、損益数値の変化を整理し、それを事業の変化と紐づけて説明することがコツです。例えば、売上高や粗利率の変化の裏側にある、実際の販売戦略や組織力のアピールにつながる事業活動をデータに基づいて分析し、説明します。
ポイント4. 根拠の提示:
どんなに理由を説明しても、裏付けとなるデータや根拠が記載されていないと買い手には信用されません。