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広報における効果的なプロンプトエンジニアリング入門.pdf

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September 01, 2025

 広報における効果的なプロンプトエンジニアリング入門.pdf

なんかふわっとした出力しか出てこないな?そんな時ありませんか?そんな時にどういうところを修正した方が良いのかわからないなんてことはあるあるではないかと思います。その際に必要な考えるべき要素を実例を交えながらお伝えします。(コンテキストエンジニアリングの成分も多分に含みます・・・)

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September 01, 2025
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Transcript

  1. ⽬次 1 なぜAIは「ふわっと」した 答えを出すのか? 2 具体的な指⽰の「型」 PCRフレームワーク 3 4 チームで実践するコツ

    〜「学習する組織」へ〜 5 出⼒がイマイチな時の 「改善」サイクル:IDEA ⾒落としがちな 「隠れた前提」を⾒つける思考法 © 2025 スー 4
  2. あなたの脳 vs AIの思考回路 ダニエル‧カーネマン『ファスト&スロー』の洞察 システム1(速い思考) • 特徴 直感的、⾃動的、⾼速 • 役割

    瞬時の判断、印象 • AIの挙動 プロンプトが曖昧で“ふわっとした”回答 システム2(遅い思考) • 特徴 論理的、意識的、低速 • 役割 複雑な計算、論理的思考 • AIの挙動 明確な指⽰に従った具体的で的確な回答 © 2025 スー 6
  3. C (Context) - 背景を伝える 何を知っておくべきか? ⼈に仕事を頼む時も、丸投げはしないはず • 背景: なぜこのプレスリリースが必要なのか?(例:競合が新サービスを発表したため) •

    ⽬的: 読んだ⼈にどうなってほしいのか?(例:新製品への期待感を醸成したい) • 制約: 何をしてはいけないのか?(例:未確定の機能については触れないで) → これら背景情報を伝えることで、AIは⽂脈を理解し、より的確な⽂章を⽣成できるようになる © 2025 スー 13
  4. R (Request) - 期待する成果を伝える 何をすべきか? どのようなアウトプットが欲しいのかを具体的に伝える。 • 成果物の形式: 「箇条書きで3点」「800字程度の⽂章で」 •

    構成: 「まず結論から述べ、次に理由を3点挙げ…」 • トーン&マナー: 「専⾨的かつ、権威ある⼝調で」「読者に寄り添うような優しいトーンで」 完成形のイメージを詳細に伝えることが、「ふわっとした」出⼒を防ぐ最⼤のコツ © 2025 スー 14
  5. プロンプト改善の科学的アプローチ「IDEA」 闇雲な修正ではなく、再現性のある改善サイクルを回す I = Isolate (問題の分離) プロンプトのどの部分が、期待とのズレを⽣んでいるのかを特定 D = Deconstruct

    (思考の分解) AI⾃⾝に思考プロセスを⾔語化させ、解釈の誤りを発⾒ E = Exemplify (模範例の提⽰) 具体的な⼿本(⼊出⼒例)を⽰すことで、AIの学習を促す A = Analyze (⾃⼰分析の要求) AI⾃⾝に評価基準を与え、出⼒を⾃⼰修正させる © 2025 スー 20
  6. I & D:原因特定と“思考の可視化” 思考のブラックボックスに光を当てる • Isolate (分離) ◦ 科学実験のように、プロンプトの⼀部分だけを修正し、出⼒がどう変わるかを⾒ることで、原 因を正確に特定

    • Deconstruct (分解) ◦ 「思考の連鎖(Chain-of-Thought)」というテクニックを利⽤ ◦ 「答えを出す前に、ステップバイステップで思考プロセスを書き出して」と指⽰するだけで、 AIがどこで解釈を間違えたのかが分かる ▪ モードで切り替えられるものも出てきたので最近は容易 © 2025 スー 21
  7. “⾒えない⽂脈”を炙り出す「Context 3C Scan」 優れた広報担当者の思考法をフレームワーク化する Customer (顧客/読者) この情報を受け取る⼈の「感情‧状況‧知識レベル」を本当に想像できてい るか?彼らが抱くであろう“疑問や反発”は何か? Company (企業/⾃社)

    この情報発信が持つ「ビジネス上の最終⽬的」は何か?社内の“⼒学や歴 史”で、触れてはいけない話題はないか? Culture (⽂化/社会) この情報が公開される時点での「社会の空気感」にそぐわない表現はない か?“今、このメッセージを出す”ことは適切か? © 2025 スー 27
  8. 組織知への昇華:「コンテキスト‧チェックリスト」 暗黙知を「チームの資産」に変える • 3Cスキャンやプレモータムで⾒つかった「考慮すべきコンテキスト」。 • これらを特定業務(例:プレスリリース作成)ごとにチェックリスト化しましょう。 • □ 戦略的⽬的は明確か? •

    □ 避けるべき表現はリストアップしたか? • □ 競合の直近の動きは考慮したか? このチェックリストは、AI活⽤のSOP(標準作業⼿順書)であり、個⼈の暗黙知をチーム全体の「集合 知」へと⾼める最⾼のナレッジマネジメント。 © 2025 スー 30
  9. まとめ 1 / 3 具体的な指⽰の「型」PCRフレームワーク • P (Persona): AIに役割を与える(例: 経験豊富なPRの専門家)

    • C (Context): 背景、目的、制約を伝える • R (Request): 期待する成果物の形式、構成、トーン&マナーを具体的に伝える © 2025 スー 26
  10. まとめ 2 / 3 出⼒がイマイチな時の「改善」サイクル:IDEA © 2025 スー 26 I

    = Isolate (問題の分離) プロンプトのどの部分が、期待とのズレを⽣んでいるのかを特定 D = Deconstruct (思考の分解) AI⾃⾝に思考プロセスを⾔語化させ、解釈の誤りを発⾒ E = Exemplify (模範例の提⽰) 具体的な⼿本(⼊出⼒例)を⽰すことで、AIの学習を促す A = Analyze (⾃⼰分析の要求) AI⾃⾝に評価基準を与え、出⼒を⾃⼰修正させる
  11. まとめ 3 / 3 ⾒落としがちな「隠れた前提」を⾒つける思考法 • Context 3C Scan ◦

    Customer(顧客/読者)、Company(企業/自社)、Culture(文化/社会)の3つ の視点から考慮漏れがないか自問自答 • AIプレモータム ◦ 事前に失敗を仮定し、その原因を探ることでリスクを特定 • 悪魔の代弁者 ◦ AIにリスク管理担当者の役割を与え、潜在的なリスクや考慮漏れを指摘させ る © 2025 スー 26