Vue Fes Japan Online 2022 での発表資料です。 https://vuefes.jp/2022/sessions/t0yohei
負債が溜まったレガシーフロントエンド画面をVue.js でリプレイスした話Vue Fes Japan Online 2022 - 2022/10/16
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自己紹介● とよへい ( @t0yohei )● 株式会社クラウドワークス○ Web エンジニア● アニメとコーヒーが好き● Vue.js / Ruby / PHP
想定する聞き手● レガシーなフロントエンドに向き合っている方● Vue.js での開発ノウハウに興味がある方● 不思議なものがみたい方
Midjourney
アジェンダ● なぜ Vue.js 化を実施したのか● どういう作戦で進めていったか● 品質管理について● 難しかったこと● まとめ
なぜ Vue.js 化を実施したのか
クラウドワークスのフロントエンドについて● クラウドワークスは、10年ほど前に Rails + jQuery の構成で生まれた● 新規画面は Vue.js で作成されているが、jQuery を使った古い画面がかなり残っている
クラウドワークスのフロントエンドが抱えている課題● 見た目を変えたいだけなのにバックエンドの Rails をいじる必要がある● フロントエンド、バックエンドの分業がしにくい● jQuery を書きたくない
これらの課題をVue.js 化で解決しよう
Vue.js 化して既存画面をもっと改善しやすくしよう
どういう作戦で進めていったか
Vue.js 化の大まかな方針● 最終的には全画面を Vue.js 化したい● 時間的な制約もあるので、優先順位が高いものから対応していく
優先順位はどうやってつけよう
「Vue.js 化して既存画面をもっと改善しやすくしよう」
将来的に改善したくなる可能性が高い画面を優先する
ユーザーのアクセスが多い一般ユーザー向け画面
優先順位の考慮から外した観点● UIの変更が頻繁に行われている画面○ 特定の理由で更新されているだけ (バナー更新とか)○ 単に手を入れるのが簡単
両方大事にした観点● 対応が簡単な画面をたくさん改善○ ユーザーに対するインパクト● 対応が難しい画面にじっくり挑む○ 長期的な改善に対するインパクト
ひとまずの Vue.js 化を行う画面● 練習用の管理画面 × 1● 一般ユーザー向けの簡単な画面 × 2● 一般ユーザー向けの難しい画面 × 1● (これらの画面の対応が終わったら、体制を整えて Vue.js 化を継続する)
実装のスコープ
「Vue.js 化して既存画面をもっと改善しやすくしよう」という目的に注力して、色々やりすぎない
何をやらないか(スコープ外)● CSSフレームワークを外す● バックエンドに API を生やして、API 経由でデータのやりとりをする● その他コストがたくさんかかりそうなことは無理にやらない
品質管理について
各種ツールと人力で品質を担保● Storybook○ コンポーネント毎の動作を担保● VRT(Visual Regression Testing)○ 見た目の確認と、置き換え途中でデグレしていないことを担保● vue-test-utils○ API 通信などの動作を担保● 手動テスト○ 統合的な動きを担保
Storybook
VRT(Visual Regression Testing)
● フロントエンド開発体験向上のために VRT を導入してみた● crowdworks.jp のフロントエンド活動を振り返る 2021詳細はテックブログに
E2E テストは不採用● 負債が溜まった画面の E2E テスト、とても辛さそう● 一括のリプレイスを考えていたので、メリットがそこまで多くなさそう● (リプレイス全体を通して大きな問題は発生しなかったのでヨシ)
難しかったこと
Rails, jQuery のコードをVue.js っぽいコードに書き換える
具体的には● 命令的 UI を宣言的 UI にする● Rails, jQuery のコードを Vue.js, TypeScript のコードに書き換える● バックエンド(Rails)からフロントエンド(Vue)に適切な値を引き渡す
例: 仕事の予算を表示する部分
置き換え前のコード
何らかの html を生成して挿入するここで生成された html を挿入する
置き換え後のコード
宣言的に書く
script setup を使ってVue.js と TypeScript で実装
これいるの...?ってコードが埋まってる
具体的には● A/B テストの残骸● どこからも参照されてなさそうなコード● 新しく作成されるデータでは付与されることがないラベル
実は前から壊れていた🙄
本体リリースに先駆けてお掃除
とにかく機能が多い
中ボスが 50 人くらいいるイメージ
機能ごとにコンポーネントを分けてひたすら作成
工夫: Containar Component で統制を取りやすく● style を持たない Vue コンポーネント● 自身が含むプレゼンテーションコンポーネントにデータを受け渡す● バックエンド API とやりとりするためのインターフェースを持つ
style を持たないバックエンド API とやりとりするためのインターフェースプレゼンテーションコンポーネントにデータを受け渡す
工夫: Layout Component でスタイル定義を分離● script を持たない Vue コンポーネント● slot を使ってコンポーネントを入れ込む
slot を使ってコンポーネントを入れ込むscript を持たないLayout Component
共通のスタイル定義を切り出すとかもできる共通のスタイル定義を切り出す
どうして...ってコードがある
気になるボタン(Watchlist Button)
修正前の実装
watchlist のデータ(json)を非同期で一括で取ってくる取得したデータ(json)に html が含まれているので、id が一致した仕事に対してその html を埋め込むwatchlist button を埋め込む div が仕事ごとに用意されている
取得したデータ(json)に html が含まれているので?
json に埋め込まれる html (※ 見やすさのために本来存在しない改行追加しています)
json として html を受け取って、その html を dom にぶち込んでる
「気になる」ボタンが押された時はもちろん DOM の埋め込み直し
JSON 色つけですらなく、DOM をそのまま埋め込み職人
(余談)Q. watchlist の追加に失敗したらどうなるでしょう?
A.Status Code: 200
status コードは甘え。やる気があるなら payload の文字列で結果を判定しろ
どうしようこれ
そもそもどういう感じになっていたら嬉しいか
期待する動作1. 画面初期化時は ajax でボタンの html(json) を取ってくるんじゃなくて、watchlist の状態だけもらっておいて Vue.js 側でボタンの出し分けをする2. 気になるボタンが押されたら、追加リクエストを送る3. 追加された watchlist の id をレスポンスで受け取り、取り消しボタンを表示する4. 取り消しボタンが押されたら、2で取得した id をつけて取り消しリクエストを送る
課題は何か● 取り消しリクエストには watchlist の id が必要● 現状の watchlist 追加 API だと、レスポンス json の html の中に watchlist の id が埋まっていて取り出しにくい
どうやって解決したか
現状の watchlist 追加 API のレスポンスに、追加された watchlist の id 加えてあげたら、影響少なそうだし実装の手間少ないし、やりたいこと実現できるし良いじゃん!!😈
つまりレスポンスに新しく追加した watchlist_id を足して● html● message● watchlist_id (NEW!)の 3 本立てで返してあげるようにする
json に html が含まれている状態を放置することになるけどいいの...?
という訳でついでに成功したかどうかも返すことに
めでたし!!!!
まとめ
振り返り● Vue3 + TypeScript は開発体験が良くて、書いていて楽しい● レガシーフロントエンドの Vue.js への置き換えは、単純にはできなくて骨が折れる● 削れる機能は削って、もっと楽したかった● どうして...ってコードは、一周回って変な笑いが出る
大事なこと● 目的を明確にして、やらないことを決める
やめないこと
Special Thanks● OD さん● yamanoku さん
Thank you for listening !!