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October 04, 2025
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「個」と「チーム」- 皆さんの現場ではどちらを重視しますか?

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Takaichi00

October 04, 2025
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Transcript

  1. 自己紹介 共著: クリーンなコードへの SonarQube即効活用術 www.amazon.co.jp/dp/B086ML43DH • 髙市 智章(タカイチ トモアキ) •

    株式会社サイバーエージェント • 広告プロダクトのバックエンドエンジニア @Takaichi00
  2. ❏ A さん: ❏ 高い専門技能スキル ❏ 強い責任感とプロフェッショナリズム ❏ B さん:

    ❏ 高いソフトスキル ❏ 協調性とチームワークに重きを置く 2人の対照的なリーダーがいたとします
  3. ❏ 炎上していたプロジェクトも落ち着き、継続して機能改善をし ていくことに ❏ 高いリーダーシップを発揮していた A さんがそのままチーム リーダーに就任 ❏ 最初は

    A さん率いるチームが高いパフォーマンスで機能改善を 実施。全ては順調のように見えた。 仮想事例 ~A さんの場合~
  4. ❏ しかし次第にチームの雰囲気が悪くなり始める ❏ なかなか A さんの期待通りに動いてくれないメンバー、難易度の高い仕事 は A さんに集中し、A さんの負担は増すばかり

    ❏ 他メンバーは A さんの顔色を伺いながら仕事をしている ❏ A さんも他メンバーも疲弊してしまい、日々の仕事で衝突するように ❏ 当初いたメンバーは徐々に抜け、チームにジョインしてもパ フォーマンスが発揮できずすぐにやめていってしまう ❏ やがてチームは解散・プロダクトは別のチームに移管されるこ とになってしまった 仮想事例 ~A さんの場合~
  5. ❏ メンバーのスキルは平均的に高く、そつなくプロダクト開発は進め られているチーム。しかし個人プレイが主体で、イマイチ一体感に 欠けることをチームが課題に思ってる。 ❏ そこに B さんが参画 ❏ フロー効率を上げるためにモビングを導入

    ❏ リリースのボトルネックになっていたテストや CI/CD 環境を整備 ❏ ... などなど、アジャイルな取り組みを提案・推進 ❏ 一時混乱はあったが、チームは自律的に高いパフォーマンスを安定 して発揮できるようになった 仮想事例 ~B さんの場合~
  6. ❏ プロダクトは黎明期で、売上を上げるために様々な取り組みを素早 く、少人数で行わなければならない状況のチーム ❏ そこに B さんがマネージャーとして参入、しかし、、、 ❏ アジャイルな取り組み推進しようとしても「そんなことをしている余 裕はない」とチームメンバーから反発

    ❏ 粘り強くチームに対して改善提案をしても受け入れられず、しまいに は「あのマネージャーは何をしているのか?いる意味があるのか?」 と対立は深まるばかり ❏ そして B さんはチームのパフォーマンスを上げられなかった責任を 取り、別の組織へ異動となった... 仮想事例 ~B さんの場合~
  7. ❏ 全く同じリーダーシップでも、うまくいく場合とうまくいかな い場合がある ❏ A さん: ❏ 炎上中のプロジェクトでは頼れる存在 ❏ 継続した価値提供が求められる組織では他のチームメンバーを疲弊させて

    しまう ❏ B さん: ❏ チームがより良い状態になりたいというときには頼れる存在 ❏ 厳しいプロダクト状況ではいる意味があまりない存在 リーダーシップの向き不向き
  8. ❏ Microsoft などでソフトウェア開発者として活躍した Roy Osherove (ロイ・オシェローブ) 氏 が著者 (絶版) ❏

    チームには3つのフェーズがあり、それぞれのフェーズに適した リーダーシップを ELASTIC (柔軟) に変える必要がある、と提 唱した ELASTIC LEADERSHIP https://m.media-amazon.com/images/I/710YEQbMvZL._SL1500_.jpg
  9. ❏ サバイバルモード ❏ 炎上プロジェクトなど、チームに 学習する時間が取れない状態 ❏ 学習モード ❏ 十分にゆとり時間があり、学習や 検証を行う

    ❏ 自己組織化モード ❏ リーダーがいなくても数日間仕事 を放置できる状態 ELASTIC LEADERSHIP 3つのフェーズ https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/t/t2y-1979/20210727/20210727145652.png
  10. Lean との関係 ❏ リーダーシップとは直接的な関わりはないが、サバイバルモー ド → 学習モード → 自己組織化モード への移行は

    Lean の考え 方にも通ずるものがあると感じる https://m.media-amazon.com/images/I/81zTTzZfWuL._SL1500_.jpg
  11. ❏ リソース効率: 特定のリソースの利用に重点を置く ❏ フロー効率: 特定のフローユニットがプロセスを移動する速さに 焦点を当てる リソース効率とフロー効率 ※ がんの診察をしたい患者と病院の場合の例...

    リソース効率: 医者が患者を見る時間を最大化させたい。医者は専門分野のみ担当し、別の分 野にまでまたがる場合は別の医者に任せ、患者は待ちが生じる (地元の外科→総合病院→細胞 検査士...) フロー効率: 患者が診察を受けたいと思ってから診察を完了させるまでの時間を短くしたい。 「がん診察専門クリニック」のようなものがあり、その病院には専門家が集まっている。患 者はその施設に行けば待ち時間なく診察を終えることができる。医者は100%稼働しているわ けではない。
  12. ❏ リソース効率もフロー効率も高い状態が理想 ❏ しかし、最初にリソース効率を重視しすぎると、数多くの問題 や余計な仕事が増えるリスクが増す ❏ 二次ニーズ = 仕事が分断していることによる調整コストなど ❏

    このような「リソースが稼働している状態を維持するための仕 事」が生まれてしまうことを「効率性のパラドックス」という ❏ よって、最初にフロー効率を高め、その後リソース効率を高め ていく戦略が有効 (= Lean) 先にフロー効率を高める必要性
  13. ❏ EQ (Emotional Intelligence:こころの知能指数) を提唱した 心理学者 ❏ EQ が高い =

    組織に共鳴を促し、組織にいい影響を促す ❏ 感情を司る大脳辺縁系は周囲からの影響を強く受ける ❏ 特に、リーダーが企業風土に与える影響は強いとされる ❏ 共鳴を促すリーダーは、6種類のリーダーシップスタイルを使い 分けている ダニエル・ゴールマン https://m.media-amazon.com/images/I/81yyifxp9KL._SL1500_.jpg
  14. ❏ ビジョン型 ❏ コーチ型 ❏ 関係重視型 ❏ 民主型 ❏ ペースセッター型

    ❏ 強制型 6種類のリーダーシップスタイル https://m.media-amazon.com/images/I/81yyifxp9KL._SL1500_.jpg
  15. ❏ 4種類以上のリーダーシップ・スタイルを使いこなせるリーダー は、最高レベルの組織風土とパフォーマンスを生み出すことが できる ❏ 特に共鳴を起こす4スタイル (ビジョン・コーチ・関係重視 ・民主) が因果関係が強い ❏

    優秀なリーダーは状況に合わせてリーダーシップスタイルを柔 軟に変えていく ❏ リーダーシップは EQ を強化することで、レパートリーを増や したり、向上させることが可能 (=学習可能) レパートリーが多いほど優秀なリーダー https://m.media-amazon.com/images/I/81yyifxp9KL._SL1500_.jpg
  16. ❏ EQ の4領域: 優れたリーダーが兼ね備える領域で、6つのリー ダーシップの源泉となる ❏ 自己認識: 自分の感情や強み・弱みを客観的に認識する ❏ 自己管理:

    衝動的な感情をコントロールする訓練を行う ❏ 社会認識: 達成感などを原動力に目標へ向かう情熱を育み、相手の立場や感情 を深く理解しようと努める ❏ 人間関係の管理: これらの能力を基盤として、傾聴や対話を通じて他者と良好 な人間関係を築き、望ましい方向へ導く ⇒ まずは自分をコントロールできるようにし、周囲との関わり方を学んでいく …詳細は別の機会に EQ を伸ばす (簡略版)
  17. ❏ 専門技能から逃げない ❏ ただ EQ が高ければいいというわけではなく、対象分野の専 門技能があることでより効果的にリーダーシップを発揮する ことができる → IQ

    も大事 ❏ 「いい兄貴分」にならない ❏ 自己組織化を促そうと、事業や技術をリードすることはせず 人の面倒ばかり見ていると、いざプロダクトや技術をリード しなければいけないときに対処できない → 本質的な課題解 決から目を逸らさない 多様なリーダーシップを身につける ~Tips~
  18. ❏ 自分の特性に適しており、その特性を伸ばすことができる環境 に身を置くのも一手 ❏ 足りない特性は他の人の力を借りることができないか?を考え てみる ❏ 例えば... ❏ A

    さん: 炎上中のプロジェクトの火消し隊として活躍。落ち 着いたら B さんにバトンタッチ。 ❏ B さん: チームへ自己組織化を促しつつ、都度 A さんの高い 専門技能でチームをサポートしてもらう 自分の特性に適した環境に身を置く
  19. ❏ (IQ) 専門技能を磨こう ❏ 厳しい状況でもゆとりを作れるようにする ❏ 「リーダーシップ」そのものを効果的に発揮できるようにする ❏ (EQ) 多様なリーダーシップを発揮できるようにしよう

    ❏ 盲目的なリーダー像に縛られない ❏ (というのは理想として追い求めつつ...) ❏ 自分が自然体で発揮できるリーダーシップを大事にし、それ が求められる環境に身を置こう まとめ (自戒)