$30 off During Our Annual Pro Sale. View Details »

[ETロボコン2019]ETロボコンで学ぶレビュー技法 / etrobochu4-20191007

[ETロボコン2019]ETロボコンで学ぶレビュー技法 / etrobochu4-20191007

この資料は、2015年10月3日(土)に行われた、 「ETロボコン2015 中四国地区 秋の独自勉強会」で 行った演習内容を元に再構成したものです。

SlideShare版はこちら。
https://www.slideshare.net/tamagawaconan/et-53651875

以下のサイトで紹介されています。
オルタナティブ・ブログ > 森崎修司の「どうやってはかるの?」 > レビューで検出する問題種別の事例
https://blogs.itmedia.co.jp/morisaki/2015/10/_-_et2015.html

Kazuhiro Kawachi

October 03, 2015
Tweet

More Decks by Kazuhiro Kawachi

Other Decks in Technology

Transcript

  1. もう、審査で減点されない︕
    ETロボコンで学ぶレビュー技法
    2015年10⽉7⽇
    ETロボコン中四国地区実⾏委員会
    実⾏委員 河内 ⼀弘

    View Slide

  2. 2
    はじめに
    この資料は、2015年10⽉3⽇(⼟)に⾏われた、
    「ETロボコン2015 中四国地区 秋の独⾃勉強会」で
    ⾏った演習内容を元に再構成したものです。
    会場︓福⼭⼤学 宮地茂記念館(広島県福⼭市)

    View Slide

  3. ETロボコンといえば、モデル審査ですが・・・
    3
    モデルのレビュー、できてますか︖

    View Slide

  4. 4
    今年のモデル審査、頑張っているのに、
    少しのミスで評価を下げたチームがチラホラ。
    ・・・モッタイナイ。

    View Slide

  5. 5
    レビューといえば、
    「いくら⾒ても問題を⾒つけられない…」
    「うちは初⼼者ばかりだし…」
    「やってもあまり効果がないんじゃない︖」
    と感じている⼈も多いのではないでしょうか。

    View Slide

  6. 6
    でも、こうした問題は、
    レビューのやり⽅を⼯夫すれば解決できます︕
    ETロボコンに限らず、仕事や学業でも役⽴つ
    (かもしれない)
    レビューを体験してみましょう︕

    View Slide

  7. 7
    レビューの種類
    マネジメントレビュー
    管理者が、開発状況の把握や承認のために⾏う
    オーディット
    法令や規則に沿っているかチェックするために⾏う
    ピアレビュー
    成果物に問題がないかチェックするために⾏う

    View Slide

  8. 8
    今回取り扱うレビュー
    マネジメントレビュー
    管理者が、開発状況の把握や承認のために⾏う
    オーディット
    法令や規則に沿っているかチェックするために⾏う
    ピアレビュー
    成果物に問題がないかチェックするために⾏う

    View Slide

  9. 9
    今回取り扱うレビュー
    ピアレビュー
    成果物に問題がないかチェックするために⾏う
    ウォークスルー
    作成者主導のカジュアルなチェック
    テクニカルレビュー
    技術リーダー主導の成果物チェック
    ・経験ベース
    ・シナリオベース(今回取り上げる内容)
    インスペクション
    ルールに沿った厳格なチェック

    View Slide

  10. 10
    レビュープロセス




























    (



    )
    ココはやってる
    ココが重要︕
    JSTQB Foundation Levelシラバスで定義されているプロセス

    View Slide

  11. 11
    レビューは段取り⼋分︕
    1. 計画
    ü ⼈選する
    ü 役割を決める
    ü レビューのやり⽅を決める
    ü どこをレビューするか決める
    ü レビューをはじめる条件を決める。
    2. キックオフミーティング
    ü レビュー対象物を配布する。
    ü 参加者にレビューの⽬的とやり⽅を説明する。
    3. 個々の準備(前準備)
    ü 各⾃でドキュメントをチェックする。
    ü ⾒つけた⽋陥、質問、コメントをメモする。

    View Slide

  12. 12
    4. レビューミーティング
    ü 議論を⾏い、結果を記録する。
    ü ⽋陥について述べ、扱いを決める。
    5. 再作業
    ü ⾒つけた⽋陥を修正する。
    ü どのように⽋陥を直したか記録する。
    6. フォローアップ
    ü ⽋陥を処理したかチェックする。

    View Slide

  13. レビューのポイント
    「観点」を決める
    13

    View Slide

  14. 14
    レビュー観点とは
    このレビューで、
    「どのような問題を⾒つけるべきなのか」
    を考えた結果導き出された、注⽬すべき点

    View Slide

  15. 15
    どこから観点を⾒つけるのか
    v 規約類から
    ü 参加規約
    ü 競技規約
    ü 審査規約
    v 技術情報から
    ü 開発プラットフォーム
    ü プログラミング⾔語
    ü UML⽂法
    v 既存の成果物や経験から
    ü 前回のモデルやソースコード
    ü 過去の経験や失敗事例、先輩からの引き継ぎ事項
    ü 他チームのモデル
    ü これまでの調査、分析結果

    View Slide

  16. 16
    観点を⾒つける
    審査基準に着⽬します。
    [A1]
    [A2]
    [A]
    ⾒つけた観点には[A1][A2]といったIDを付けておきます。

    View Slide

  17. 観点を⾒つける
    17
    [B1]
    [B2]
    [B3]
    [B]

    View Slide

  18. 観点の詳細化
    18
    [B2-1]
    振る舞い図の要素として、クラス図で定
    義したオブジェクトが使われているか︖
    (システム全体の振る舞いじゃないよ︖)
    [B2-2]
    振る舞い図は審査課題で選択したことの
    説明になっているか︖
    (課題と関係ないこと書いてないよね︖)
    <詳細化の例>
    [B2-3]
    振る舞い図は正確に動作するか︖
    (ちゃんと動くよね︖)
    [B2]

    View Slide

  19. 19
    チェック⽅法を決める
    ID 観点 どこを どのように
    B2-1
    振る舞い図の要素として、
    構造で定義したものが使
    われているか︖
    シーケンス図、コミュ
    ニケーション図が描か
    れている箇所
    ライフラインの名称が
    クラス名と⼀致してい
    ることを確認する。
    B2-2
    振る舞い図は審査課題で
    選択したことの説明に
    なっているか︖
    審査課題の記述箇所と
    振る舞いについて説明
    しているページ
    振る舞いの内容を調べ、
    審査課題と⼀致してい
    るか確認する。
    B2-3
    振る舞い図は正確に動作
    するか︖
    シーケンス図、コミュ
    ニケーション図が描か
    れている場所
    メッセージを辿りなが
    ら、ライントレース⾛
    ⾏が継続できるか確認
    する。
    ↑メンバー間で認識が異ならない程度まで
    具体的に書く。

    View Slide

  20. 20
    結果を記録する
    No. 問題点 観点 修正⽅法
    1
    クラス図では「ライントレーサ」
    クラスがあるが、シーケンス図に
    ライントレーサが出てこない。
    B2-1
    ライントレーサを追加する。
    2
    3

    View Slide

  21. 〜演習〜
    ⾃分たちのモデルを
    レビューしてみましょう。
    21

    View Slide

  22. 22
    今回取り上げる⽅法
    v 名古屋⼤学の森崎修司先⽣が提唱している技法
    「シナリオレビュー」を参考にしました。
    v 特徴
    • 「重要な問題」を早期かつ確実に検出できる。
    • レビューアの勘や経験、そのときの気分などに左右されにくい。
    • 前準備をきちんと⾏う必要がある(必要な情報や知識も含め)

    View Slide

  23. 対象物と配布資料
    23
    配布物
    ・レビュー観点シート
    ・レビュー記録シート
    ・ETロボコン2015審査規約
    ・A3⽩紙
    レビュー対象
    ・地区⼤会提出モデル
    <レビュー観点シート> <レビュー記録>

    View Slide

  24. ブレーンストーミング
    24
    ⾒つけたい問題を書き出していきます。
    審査規約とか
    [気になった点]
    ・⽂字がつぶれて読みづらい
    です。残念︕
    ・構造と振る舞いの⼀貫性が
    ない。⾻太さが⾜りません。
    ・責務が集中しすぎています。
    激おこぷんぷん丸です。
    審査コメントとか 過去の失敗とか

    View Slide

  25. 25
    <観点のトリアージ>
    ⾒つけたい問題を絞り込み、
    モデル観点シートに
    書き出します。



    ※今回は時間の都合で3つまでとします。
    絞り⽅の例
    ・後で⼤きな問題になりそうなもの
    審査で⼤減点されそうなもの、
    他の箇所や後の作業に影響しそうなもの。など
    ・確認箇所が多そうなもの

    View Slide

  26. 観点を決めます
    26
    問題を⾒つけるためには、
    具体的にどんなことに注⽬しないといけないのかを考え、
    書きます(今回は3つまでとします)
    クラス図とシーケンス
    図の⼀貫性が取れてい
    ないミスをなくしたい。
    シーケンス図に登場するオブ
    ジェクトがクラス図にも記載
    されているか︖
    シーケンス図のメッセージの
    名前がクラス図の操作名と⼀
    致しているか︖
    シーケンス図のオブジェクト
    間のメッセージとクラス図の
    関連線が⼀致しているか︖

    View Slide

  27. 探し⽅を決めます
    27
    どこをどういう⼿順で探していくのかを記載します。
    シーケンス図に登場する
    オブジェクトがクラス図
    にも記載されているか︖
    クラス図とシーケ
    ンス図の記載箇所
    ・2ページの2-1
    ・3ページの3-2
    クラス図のクラス名を⾚ペンで囲み、
    シーケンス図に同じオブジェクト名が出
    ていたら、そこも⾚ペンで囲む。
    ⽚⽅にしかなければ、レ印でチェックす
    る。
    記載の細かさは、
    「レビュー参加者が同じ認識を持てる程度」がベスト。
    (話し合いながら、細かすぎず、⼤雑把すぎないところを探しましょ
    う)

    View Slide

  28. 実際にモデルを調べます。
    28
    観点シートに沿ったやり⽅ですすめましょう。
    シーケンス図に登場する
    オブジェクトがクラス図
    にも記載されているか︖
    クラス図とシーケ
    ンス図の記載箇所
    ・2ページの2-1
    ・3ページの3-2
    クラス図のクラス名を⾚ペンで囲み、
    シーケンス図に同じオブジェクト名が出
    ていたら、そこも⾚ペンで囲む。
    ⽚⽅にしかなければ、✖印でチェックす
    る。
    1つめのシナリオが終わってから、次のシナリオへ進みましょう。
    本来は観点毎に分担して調べるのですが、今回は皆で⾒ていきましょう。

    View Slide

  29. 29
    結果を記録しましょう
    クラス図では「ライントレーサ」
    クラスがあるが、シーケンス図に
    ライントレーサが出てこない。
    B2-1
    観点IDを記録しておけば、
    どういう種類の指摘が多いのか、分析するのに役⽴ちます。

    View Slide

  30. 発表タイム
    30
    観点をどのように決めたか
    どんな問題を⾒つけられたか

    View Slide

  31. 31
    成功させるポイント
    v ⽬的をはっきりさせる
    ü 「このレビューで、どんな問題を⾒つけたいのか︖」をはっ
    きりさせ、メンバー間で認識を合わせておくこと。
    ü 段取り⼋分。準備が重要。
    ü この技法を使うポイントをうまく絞る(トリアージ)
    ⾒つけたい問題の重み付けが重要
    v メンバーに合った確認⽅法を決める
    ü 「メンバーが共通の認識を持てる確認⽅法」を記載。
    細かすぎず⼤雑把すぎずのポイントを探す。

    View Slide

  32. 32
    気をつけるポイント
    v 勘と経験も、うまく組み合わせる
    ü シナリオ化することで、勘と経験を活かしにくくなるデメ
    リットもある。うまく使い分ける。
    経験ベースのレビューも組み合わせ、そこで⾒つかった問題
    を観点リストに取り込み、徐々に形式知化していくのがよい。
    v なんでもかんでも⽬視に頼らない
    ü 静的解析ツールに頼った⽅が確実に⾒つけられるものもある。
    ü 中にはテストで⾒つけた⽅が低コストなものもある。

    View Slide

  33. 33
    メリット
    v ノウハウを引き継げる
    ü レビュー観点や、その調べ⽅を後輩へ引き継げる。
    モデルやソースを渡すだけだと、悪い点まで引き継がれる。
    ノウハウを引き継げば、悪しき⾵習を断ち切れ、同じ失敗を
    繰り返さなくなる。
    v やったことが形に残る
    ü どこをどのように調べたのか記録が残り、⾒直ししやすい。
    ü ⽂章化することでメンバーの意識を合わせやすくなる。

    View Slide

  34. 34
    メリット
    v 時間を⾒積もれるようになる。
    ü ⼿順が明確なので、繰り返すことでレビュー時間を⾒積もる
    ことができるようになる。
    ü やみくもに時間を消費することがなくなる。
    v 不⾜スキルや調査漏れがわかる
    ü スキルや調査が⾜りてないと、観点を挙げることができない。
    ü ⾃分たちの⼒や取り組みのどこが⾜りないのかがわかる。

    View Slide

  35. 35
    参加者の感想
    こういうやり⽅は仕事でも経験がなかったが、
    確実に狙った問題を⾒つけられ、効果がありそ
    う。
    最初に、⾒つけたい問題や観点を決め
    るのが難しい。
    前準備にも確認作業にも時間がかかる。
    計画や優先順位付けが重要そう。

    View Slide

  36. 36
    参加者の感想
    観点を書き出すことによって、いろいろな効能がありそうですね。
    レビュアーによってレビューの品質がまちまちになるの防げる、
    レビューを機械的に、素早く、繰り返し⾏えることによる品質の
    向上など。
    複数⼈で観点を出し合うことでいろいろ発⾒もありそうです。引
    き継ぎにも効果絶⼤ですね。
    今までの「なんか変なとこないか⾒といて」から⾶躍的にレベル
    アップできそうです。明⽇から仕事でも使っていきます。

    View Slide

  37. 参考⽂献・引⽤
    37
    ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation 第3版
    http://amzn.to/1FA7Atx
    間違いだらけの設計レビュー [改訂版] 森崎 修司 著
    http://amzn.to/1LiS1Zo
    ETロボコン2015 審査規約
    http://www.etrobo.jp/2015/gaiyou/shinsakiyaku.php
    ETロボコン2015 実施説明会資料
    http://www.etrobo.jp/2015/taikai/image/PDF/01etrc2015_zent
    aisetumei.pdf

    View Slide

  38. ETロボコンの情報はこちらから︕
    38
    http://etrobo.jp/
    みんなでETロボコンに参加して、
    設計スキル、品質スキルを⾼めましょう︕

    View Slide

  39. END
    39

    View Slide