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線形代数学入門講座 第3回スライド

TechmathProject
September 04, 2024

線形代数学入門講座 第3回スライド

てくますプロジェクトで行った線形代数学入門講座の第3回スライドです。
実施:2024/05/20

TechmathProject

September 04, 2024
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Transcript

  1. 線形代数学 ③正則行列 逆行列 実数では、掛けて1になる数を逆数といいました。 行列に対してもそのような行列を考えることができます。 𝑛次正方行列𝐴に対して、次をみたす𝑛次正方行列𝐵を𝐴の逆行列といいます。 𝐴𝐵 = 𝐵𝐴 =

    𝐸𝑛 𝐴の逆行列を𝐴−1と書きます。 𝑥に掛けたとき単位元にするという性質をもつ元を𝑥の逆元といい、 実数𝑥の逆数 1 𝑥 もこのような性質をもちます。
  2. 線形代数学 ③正則行列 正則と同値な条件 (証明) (1)⇒(2) 𝐴−1が存在するので、両辺に𝐴−1を掛けて𝑥 = 𝐴−1𝑏と解ける。 (2)⇒(1) 𝐴𝑥

    = 𝑒𝑖 (𝑒𝑖 は基本ベクトル)が解𝑥𝑖 をもつので、𝐵 =(𝑥1 ⋯ 𝑥𝑛 )とすれば、 𝐴𝐵 =(𝐴𝑥1 ⋯ 𝐴𝑥𝑛 )= 𝐸𝑛 なので、𝐵が𝐴の逆行列となる。 (2)⇔(3) 階数と連立一次方程式の関係で確認した。 (3)⇔(4) 階数の定義から従う。 □
  3. 線形代数学 ③正則行列 簡約化で逆行列計算 𝑛次正方行列𝐴は、単位行列𝐸𝑛 と横に並べた行列を簡約化することで、 逆行列を計算することができます。 簡約化は左から行列を掛けることで表せるので、掛けていった行列が横の𝐸𝑛 にも 掛かっていきます。 𝐴が𝐸𝑛

    になるまでに𝐴−1が掛けられたことになるので、𝐸𝑛 は𝐴−1になっています。 (𝐴 𝐸𝑛 ) → (𝐴−1𝐴 𝐴−1𝐸𝑛 ) = (𝐸𝑛 𝐴−1) 𝐴が正則でないときは簡約化が終わっても左側が𝐸𝑛 になりません。