近年、コード補完にとどまらず、LLM を活用してアプリケーション全体を支援・構築する取り組みが注目されています。本セッションでは、私が開発中の Compose Multiplatform ベースのデスクトップアプリ「ComposeFlow」の開発を通じて得られた、以下のような知見を共有します。
ComposeFlow は、モバイルアプリ開発の敷居を下げることを目指した AI ファーストなビジュアル開発環境です。ユーザーが自然言語で指示を出すと、LLM がそれを読み取り、アプリ構成の変更操作(例:UIコンポーネントの追加や削除、プロジェクト設定の変更など)を行います。このために、エディタ内のあらゆる操作を「tool」として定義し、LLM が直接呼び出せる仕組みを備えています。
本セッションでは、こうした AI に操作されることを前提とした開発環境を構築するうえでの技術的チャレンジやアーキテクチャ設計について掘り下げます。
具体的には:
- Android/iOS/Web アプリを対象としたビジュアルエディタを Compose Multiplatform で構築する方法
- アプリの構成情報を中間表現(YAML)として扱い、AI による生成や編集を可能にする仕組み
- GUI の各操作を API として定義し、LLM がそれらを tool として呼び出せる構造
- Cline や Cursor のようなコード補完ではなく、GUI を直接 AI に操作させるアプローチ
- Agent にどのようにツール群を公開するか、信頼性の担保や失敗時の再試行戦略などの運用知見
ComposeFlow 自体は現在クローズドソースですが、将来的にはオープンソースとして公開を予定しています。本セッションはプロダクトの紹介ではなく、「AI × GUI × Compose Multiplatform × Agent API 設計」という文脈での技術知見を共有することを目的としています。