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2023年度ICT職専門研修(海外派遣研修)報告書 No.1

2023年度ICT職専門研修(海外派遣研修)報告書 No.1

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  1. 01 研修概要 3 渡航テーマ 「サービス開発におけるデザイン思考からのアプローチ」 行政のサービス開発にデザイン思考が必要だと思った理由 東京都水道局アプリのリリース アプリのリリース後にユーザーからの多くのレビューを いただき、ユーザー視点をもったデザイン思考を開発 プロセスの中に組み込む重要性を強く感じたため。

    東京都の行政手続きの満足度26% シン・トセイ3 ※で示されているようにデジタル化された 行政手続きの満足度は、海外主要5都市は66%に対し て、東京都は26%であり、ユーザーのニーズにマッチし たサービスを提供する必要があると感じたため。 ※シン・トセイとは、東京の更なる進化に向けて定められたデジタルをもとした戦略 シン・トセイ3.シン・トセイ3 都政の構造改革QOSアップグレード戦略 (Tokyo.lg.jp), (参照 2023-10-01). ユーザーのニーズにマッチした質の高い行政サービスを提供し、都民のQOLを高めるためには、そもそもサー ビスの初期の開発工程から、ユーザーを中心において課題解決を行っていくこと(デザイン思考)が重要である と考え、上述の研修テーマを設定した。
  2. 01 研修概要 4 東京都の動向 2023.7 窓口ユーザーレビューを開始 2022.4 行動規範-デジタル10か条- 東京都のサービスを一定の 水準に統一するために策定

    窓口に掲示した二次元コード でユーザーレビューを実施 2023.4 サービスデザインガイドラインの策定 都庁全体へサービスデザインの考 え方の浸透を目的 サービスデザイン徹底プロジェクト 東京都では、シン・トセイ4に示している通り、利用者である都民・事業者との対話を通じてよいサービスを作る 「サービスデザイン」を徹底し、利用者である都民と対話しながら、行政サービスの質の向上を目指している。 ※シン・トセイ4.シン・トセイ4 都政の構造改革QOSアップグレード戦略 (tokyo.lg.jp), (参照 2024-02-02).
  3. 01 研修概要 5 訪問先一覧(2023/9/23-2023/10/15) No.8 e-Estonia Showroom エストニアがデジタル政府になった歴史を含め、学習することができる機 関である。 No.7

    Stockholm City ストックホルム市民のQoLを向上させるために、デザイン思考をもとにス トックホルム市のDXを実施している。 No.6 Vinnova スウェーデンのイノベーションシステム庁。スウェーデンのデジタル庁とも 協力して、革新的なアイデアでDXを推進している。 No.9 Tallinn Service Bureau 2020年に発足したタリン市のサービス部門。ユーザー中心をもとに数 々のプロジェクトに取り組んでいる。 No.5 The Danish Board of Technology デンマークの非営利団体。市民の声をはじめ、ベンダーとも連携しながら より良いサービスの構築に繋げている。 No.4 Kontrapunkt デンマーク政府のロゴデザインをはじめ、国内外問わず数々の企業のデ ザインをを手がけているブランディング会社である。 No.10 SK ID Solutions デジタルIDを政府ととも開発した企業である。デジタルIDの保有率は、 現在ではエストニアの18歳以上の99%に到達している。 No.1 Design Matters2023 コペンハーゲンで開催されたデザイナーのためのデザイナーによるデザ インカンファレンス。 No2.CIID コペンハーゲンのデザイン教育機関。人間中心をもとに様々なワークショ ップを開催している。 No.3 Copenhagen Main Library コペンハーゲン市が運営しているコンピューターやスマートフォン等のサ ポートが必要な市民向けに、操作のサポートをする。
  4. 7 No.1 Design Matters2023 訪問先概要 2015年にスタートしたコペンハーゲンを拠点に活動を展開する、デジタルデ ザイナーによるデザイナーのためのグローバルカンファレンス。トークセッショ ンやワークショップを中心に行われる。 訪問理由 世界で活躍するデザイナーの取り組み事例や最先端のデザインに関する知見

    を獲得するため。 学んだこと トークセッションやワークショップを通じて、その企業ごとに自分たちの強みを 生かしつつその土地にマッチするようサービスを作り、提供していることが分 かった。世界で多く利用されているサービスほど、詳細にユーザーの分析を 行っていることが分かり、改めてユーザー目線で考える必要性を体感した。
  5. 02 訪問先 No. 10 ユーザーへのメッセージの書き方 Design Matters2023(トークセッション) × アカウントを作成するにはメールア ドレスを追加する必要があります。

    メッセージを書くときに、重要なことは以下である。 • 次のアクションをわかるようにすること • エラーの意味をわかるようにすること ユーザーに与える印象 最初からダメ出しをされていて、嫌な気分になる。 • ユーザーフレンドリーな言葉にすること • 同じサイト内での言葉を統一すること 言葉の統一 サインインがなくて混乱する。 このサイトを利用するには、サイン インが必要です。 ログイン ABCサイト エラーメッセージ 何が原因でダメなのかが分からないから次に進めない。 ログインできません。 × サインインがない・・・ 1 ▼
  6. 02 訪問先 No. 11 誰にでも優しいログインとは? Design Matters2023(トークセッション) 事例:ノルウェーの子ども向け動画配信サイト 画面が消えたときに毎回親がフォローし、ログインする のが手間だった。そのため、言葉がわからない年代の

    子どもにログインさせる方法を考える必要があった。 ログイン画面のUI※を変えることで解決 人気youtuberと子どもが選んだキャラクターをトップ 画面に表示させ、かつ日常で使っている鍵を用いるこ とで感覚でログインできる仕組みを構築。 読まなくていい 理解しなくていい 規約に同意しなくていい 最終的なログイン画面 1 ※UIとは、ユーザーインターフェース(User Interface)の略称である。ユーザーとデバイスをつなぐ部分のことを指す。
  7. 02 訪問先 No. 12 事例:某言語学習アプリの新たなサブスクリプションの提供 某言語学習アプリは、世界中の5億人以上の学習者に無料の言語教育を提供している。ChatGPT-4を用 いて、パーソナライズされた言語個別指導を大規模に提供することで、このテクノロジーが教育に変革をも たらす可能性があることに気づいた。 プロトタイピング※を通して、間違いを説明する、スピーキングスキルを向上させる、実際の会話に備える、 といった主要なユーザーニーズを特定し、新たなサブスクリプションを構築した。

    生成AIを使用した継続的なサービス改善 Design Matters2023(トークセッション) 1. 継続的な革新と反復 2. 技術的な可能性とコアユーザーのニーズを一致させる 3. 忠実度の高いデザインの前に、プロンプトの作成とテストから始める 4. AIは専門家に取って代わるものではなく、専門家を補強するツールとして使用する 生成AIを使用してサービス改善するための4つの重要な教訓 1 ※プロトタイピングとは、製品やサービス開発の初期段階で簡単な試作品をつくり、機能やデザイン等を検証していく方法である。
  8. 02 訪問先 No. 13 Design Matters2023(ワークショップ) ユーザーに与える印象の構築 強力なブランドの良い例は、あるデザインを見るだけでパッと頭の中にあるブランド名が思い出させることである。 そのインスピレーションは、デザインによって生み出される。 そして、デザインシステム※1を構築することによってさらに強固なものとなる。デザインシステムは一度構築して終わ

    りではなく、停滞を避けるために継続的に進化しなければならない。デザインシステムを成熟させ、持続させるための 重要なテクニックは、ユーザーとのフィードバックループを通じた漸進的な機能強化である。 ワークショップの様子 ある旅行サイトのコンポーネント※2を見つける ワークを実施した。このサイトはWEBでもアプ リでも同一のサービスを提供しており、コンポ ーネントを用いることで、同一なデザインでユ ーザーへの安心感を提供していることを学ん だ。 ※2 コンポーネントとは、WEBサイトを構成する1つの機能部品のこと 1 ※1 デザインシステムとは、デザインに関するあらゆる情報を構造化したもの。
  9. 14 No.2 CIID 訪問先概要 2006年にデンマークのコペンハーゲンで創立されたデザイン教育機関。 CIIDの目指す姿は、クリエーティブな発想からソーシャルインパクトを創造し、 ビジネスにつなげていくことである。毎年ポップアップスクールが世界各国で 開催されている。 訪問理由 AIを絡めたラピッドプロトタイプの実践方法を習得するため。

    学んだこと 機械学習を用いてプロトタイプを作成した。手軽なツールでアイデアを可視化 し、チームの共通認識を形成することが重要だと学んだ。また、早いサイクルの フィードバックと改善を繰り返すことで品質向上を実現することができた。
  10. 02 訪問先 No. 15 CIID CIIDワークショップ 「AI for Everyday Life」

    内容 実践的な迅速なプロトタイプの作成とAIのコラボレーションを活用し、デザインと創造性のた めのAIと新技術の活用や持続可能性と社会的インパクトのためのデザインを学ぶ 参加者 16名(イタリア、ドイツ、ポーランド等欧州からの参加者が8割) 講師 英ロンドンのクリエイティブカンパニーの講師2名 それぞれのペアごとに課題に取り組む様子 2
  11. 02 訪問先 No. 16 CIID 例えば、 椅子をもっと持続可能なものにするにはどうしたらいいか? 講義内容「人間×AI」 2 AIの可能性

    人間がやるべきこと • 製品やサービスの背景にあるストーリー を生み出すこと • 必要な情報をAIに与えること AIの可能性 • AIは持続可能な製品やサービスを作る ことを支援できる • これまでに見たことのないような美しい 製品や体験に変えることが可能 愛着を持たせることで捨てるでなくて修理をさせ、かつ、カメラで早めに不具合を判断し、新たなるパーツを 組み合わせることで家具は家族とともに進化し、長持ちする方法を人間とAIで生み出すことができる。 人間がやるべきことの具体例 家具に対する感情的な結びつきを強める施 策を考える。ユーザーが普段利用するカメ ラにAIを組み込む。 AIが上記QAに貢献する具体例 AIが何らかのアルゴリズムを用いて、この 椅子のパーツを使って新しい椅子のイメー ジを作る。
  12. 02 訪問先 No. 17 講師から出された課題は、「身近にあるオブジェクトから、AIと絡めて新しい製品やサービスを生み出す」である。 大まかな流れは以下の通りだ。 1. ペアで建物の敷地内から気になるオブジェクト選ぶ。 2. 1〜2文でそのオブジェクトのバックグラウンドストーリーを作成し、個性を持たせる。

    3. そのオブジェクトとストーリーにあったサービスを考え、各ペアで開発をする。 4. 最後に全体に発表をする。 課題の様子①AIと絡めて新しい製品やサービスを生み出す CIID 私たちのペアが選んだオブジェクト : 建物の入り口にあった石 オブジェクト名(自分たちで考案) : Kagami-mochi ストーリー : このKagami-mochiは建物ができた時からずっとここにいる。毎日この建物に 来る人たちをこっそりと見守っている。できれば、みんなに一言でも声をかけたいと思っている。 2
  13. 02 訪問先 No. 18 CIID 課題の様子②ラピッドプロトタイピング※ の実践 私たちはオブジェクトの近くを人が通った時に、来る人か帰る人に応じて(方向で判断)、声をかけてくれるような サービスを開発することにした。 Teachable

    Machineで機械学習中 スマートフォンのカメラの画角をチェック 2 実践方法 1. アイフォンのカメラで通行人の様子を撮影してデータを収集 2. そのデータを用いて、Teachable Machineを用いて機械 学習モデルを作成 3. p5.jsを用いて、JavaScriptコーディングを実施 1〜3のデータの収集・プロトタイプの作成をし、講師や他メンバ ーからのフィードバックをもらい、修正すること100回以上を繰 り返した。 ※ラピッドプロトタイピングとは、早いサイクルで試作品を制作すること
  14. 02 訪問先 No. 19 CIID 課題の様子③全体発表とまとめ ※全チームのオブジェクトの配置図 建物に来る人に向けて 「Hello, Welcome!」

    建物から帰る人に向けて 「Good bye, Have a nice day!」 最終的な発表では、実際に人や車を通らせて、発表をした。 他のチームの発表では、ワイングラスを使った時に音楽が出るようなサービスや、鏡をみたときに部屋全体に映 像が映し出されるようなサービス等があった。 2 フリーのソフトウェア等のすぐに利用できるものでも簡単に今現実にある製品やサービスに近いところまで作成 できることが分かった。また、アイデアを形にしていく中でたった2人の間でも認識の齟齬があった。育ってきた 文化や環境の違いで物事の見え方は、大きく変わるので、紙に書いても、段ボールで形づくっても、なんでもい いので、すぐに見える化をして、共通認識を図り、物事を進めることの重要性を強く実感した。
  15. 20 No.3 Copenhagen Main Library 訪問先概要 コペンハーゲン市が運営している図書館では、コンピューターやスマートフォン 等のサポートが必要な市民向けに操作の使い方を教えてくれる「IT café」が 毎週開催されている。

    訪問理由 デジタル化が発展しているデンマークの中で誰一人取り残さない行政の実現 にむけて、デジタルデバイドの対策を調査するため。 学んだこと 高齢者向けには定期的かつ気軽に訪れることができる場所で支援をすること が、いつでも聞きにいけるという安心感も一緒に生み出すことができると感じ た。
  16. 02 訪問先 No. 21 Copenhagen Main Library コペンハーゲン市でのデジタルサポート体制 図書館で毎週開かれる教室 「IT

    café」 このIT caféは決まった曜日に決まった場所で開催されるのがメリットである。また、高齢者の方は手軽に参 加できるので、わからなくなったらここにいけばいいという安心感の醸成につながる。東京都でもスマホ教室 等を行っているが、だれもが気軽に行ける場所で定期的に開催することで聞きたいときに聞けるという環境を 継続して提供できるのではないかと感じた。 高齢者のモチベーションの向上につながる コペンハーゲン市が運営しているコンピューターやスマートフォン等のサポートが必要な市民向けに、操作のサ ポートをしている。IT企業を引退した高齢者のボランティアによって運営され、コペンハーゲン市のデジタルデ バイドの解消に向けてサービスが提供されている。参加者は主に高齢者が多い。利用料は無料で、毎週水曜日 の13時から16時に開催されている。この告知方法は、 Webサイトのみだが、口コミを通して広がっていると いう。市民は、デジタルに関するサポートを受けたいときには、予約なしで利用することができる。 3
  17. 02 訪問先 No. 24 Kontrapunkt 理想的なブランドアーキテクチャ ユーザーフレンドリーなデザインを作るためには ペルソナの調査やユーザー・ジャーニーのマッピング等、プロジェクトのプ ロセスを丁寧に経る。 ブランドアーキテクチャを定める方法

    理想的なプロセスとしては、まずトップがブランド・アーキテクチャ※を決 定し、その上で、ブランド・アーキテクチャを利用することが最も早くて簡 単である。しかし、実態としては、本当にいいものを作ると他の組織がイ ンスピレーションを受けて、ドミノ効果を起こすことができる。 事例:デンマークの省庁のブランディング・リデザイン デンマークの全省庁のロゴをリデザインし、それぞれの省庁を際立たせつつも、デ ンマーク政府のもとで一貫したブランディングを実現した。 そのため、ユーザーはどこの省か文字で読まなくても、直感的に判断することがで きるようになった。 デンマークの各省庁のデザイン 4 ※ブランドアーキテクチャとは、ブランド全体の設計をすること。複数のブランドの階層や関係性を整理し、役割や価値を明確に定義することを指す。
  18. 02 訪問先 No. Kontrapunkt 25 公共部門でのユーザー体験設計 公共デザインに携わるということは、非常に大きな責任を負うことだと言える。 公共空間をデザインすることは、誰もその空間を拒否することができない。 そのため、サービスの一部だけを切り取るのではなく、 それを使うであろうユーザーの一連の行動をマッピングして、ユーザー体験を作り上げる。

    事例:コペンハーゲンメトロのデザイン再構築におけるUXデザインプロセス 毎日何千人もの状況が利用するため、正確さとミニマリズム、寛大さが求められていた。そのため、まずユーザーのニーズ を理解するために、ペルソナを調査し、ユーザー・ジャーニーをマッピングした。ペルソナを定義し、その乗客のメトロとのス マホやPC、印刷物といったタッチポイントを挙げながら、乗客はどんな状況に直面しているかを考える。 例えば、切符を買うこと、車掌による切符をチェック等、どのような情報がユーザーにとって必要であるべきかを考える。 ただ見た目を作るのではなく、ウェブサイト、標識、地図、タッチポイントを含めてユーザー体験をデザインしたため、ユー ザーはスマートフォンでも駅でもどこに行っても同じマークを見ることができるので、コペンハーゲンメトロのどの路線か が一目でわかることができるようになり、乗車体験の最適化することができた。 4
  19. 26 No.5 The Danish Board of Technology 企業概要 デンマークの非営利団体。市民が社会の特定の問題の解決に的確に参加でき るように、市民や利害関係者を意思決定プロセスに関与させることに30年以

    上の経験を持つ組織。 訪問理由 どのようにして、市民や利害関係者を行政の意思決定プロセスに関与させて いたり、集めているのかをヒアリングするため。 学んだこと 行政の意思決定プロセスの中心はユーザーに据え、施策の種類によって、レ ビューに参画すべき対象者を特定することが重要であると学んだ。
  20. 02 訪問先 No. 27 Danish Board of Technology 行政サービスへの信頼とは ユーザーをデザインプロセスの中心に据える

    市民参画のもととなる考え方 北欧では、政府に対する信頼が失われている状況は「the quiet resignation」(静かな諦め)と呼ばれて る。デジタルを用いた政府の新たなる取り組みが単に節約するためのものや、効率を上げることだけを目 的におき、ユーザーが望んでいないことを行なっている状況では、信頼も失われてしまう。この循環に入る と、ユーザーから良いフィードバックが生まれることはない。 そのため、ユーザーから意見をもらった場合はできる限り早く必ずフィードバックすることを心がけている。 ユーザーを巻き込んで仕様を決めていく。まずユーザーとなりうる人にどんなサービスが欲しいかを尋ね、 次に政府や他のサプライヤーがその需要を満たす方法を施策として実行することが重要。このときに行う ユーザーテストは、他の誰かがアイデアを出すことであると定義づけられている。 5
  21. 02 訪問先 No. 28 Danish Board of Technology サービスのレビュー対象者選定方法 どのようにして各サービスのレビュー対象者を選定しているのか?

    Action catalogによって、選定している。市民と利害関係者の両方のための市民参加方法のオンラインカタロ グ。特定のプロジェクトのニーズに応じて、レビューに参画するべき対象者の特定を行うことを目的としたオンラ インツールである。 対象者参加の目的 例:対話、関与、コンサル 施策適用範囲 例:国、都、市 施策の種類 例:政策策定、システム開発 ※この他にも選択項目があり 左側の選択項目を変え るたびに円が変化する。 この円の中には、市民 やステークホルダー等 対象者の種類が書かれ ている。 5
  22. 29 No.6 Vinnova 訪問先概要 Vinnova はスウェーデンのイノベーション機関である。スウェーデンの革新能 力を強化し、持続可能な成長に貢献することです。スウェーデンが持続可能な 世界において革新的な力となるよう取り組んでいる。 訪問理由 スウェーデンは、デジタルデバイドがEUの中でも特に大きい国である。その中

    でどのような取り組みをしているのかを学ぶため。 学んだこと デジタルデバイド対策として、高齢者や障害者へのユーザーテスト、デジタルリ テラシーサポート、アクセシビリティ審査等、基本的な整備から重要であると改 めて感じた。
  23. 02 訪問先 No. 30 Vinnova 公的機関との住民との接点 Digital Postとは、公的機関からの郵送物を紙ではなくメール等で受け取ることができる仕組みのこと。 対象者は住民だけでなく、企業も登録をした場合は、適応される。現在、スウェーデンでは600万以上の個人 や企業等がこれを利用している。(スウェーデンの総人口は、2023年時点では約1,060万人※1)

    送信者側は、郵便で送らないため大幅なコスト削減が見込める。また、受信者側はいつでも自分が見たい時に 情報を確認することが可能になる。利便性も高く、利用者は年々増加し続けている。 0 1,000,000 2,000,000 3,000,000 4,000,000 5,000,000 6,000,000 7,000,000 8,000,000 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023 年 2024 年 2025 年 2026 年 2027 年 Digital Post数の推移※2(2023年以降は予測値) Digital Post 6 ※1 Statistics Sweden.Population statistics (scb.se), (参照 2024-02-02). ※2 DIGG.Statistik och prognoser för digital post, (参照 2024-02-02).
  24. 02 訪問先 No. 31 Vinnova デジタルデバイド対策 • 75~85歳の 53% が、政府のウェブサイトやアプリからの情報にアクセスしたことがない

    ※1 • 75~85歳の 23% がインターネットを利用したことがない ※1 • 障害のある人のうち、自分がデジタル社会に関与していると考える人は 62% に過ぎない ※2 • デジタルサービスのフィードバックのため、高齢者を対象にユーザーテストを実施し、デジタルデバイド のリスクがある市民グループを特定し、優先的にサポート • 高齢者や障害者を対象としたデジタルリテラシーのトレーニングプログラムとサポートの開発 • これまでアナログだったユーザー層にデジタルサービスを導入するインセンティブを与える方法の検討 • デジタル公共サービスがアクセシビリティ要件を満たしているかどうかを審査とその見直し 現状 対応策 ※1 Statistics Sweden.https://www.scb.se/en/, (参照 2024-02-02). ※2 SMFOI-survey.https://www.begripsam.se/, (参照 2024-02-02). 6
  25. 32 No. 7 Stockholm City 訪問先概要 ストックホルム市は、市民のニーズへの対応、目標達成、効率性、従業員エンゲ ージメントに重点を置き、各部門のサービスの連携と向上に努めており、デジ タルサービスについての新たなる目標が定められた。 訪問理由

    新たに視点を変えたデジタル化をしたことで、どのような取り組みを行ってい るのかを学ぶため。 学んだこと ストックホルム市民に対しての誠実さが最も印象的だった。住民の求めている ことや行動を細かく分析したり、住民からのフィードバックに対する返答をで きる限り早くすることにより、継続的な住民と行政との関係構築の重要性を学 んだ。
  26. 02 訪問先 No. 33 Stockholm City 住民の視点から自分の仕事を見つめ直す ストックホルム市は、少子化の影響により、将来的な予算難に直面した。 そのため、市民のニーズへの対応、目標 達成、効率性、従業員エンゲージメントに重点を置き、各部門のサービスの連携と向上に努めた。その際に、デジタ

    ルサービスの目指すべきところで組織全体での認識のため、新たな目標が定められた。 • 市民の視点に立って自分の仕事を俯瞰して見ることにより、 なぜこのプロセスが必要なのか考えることができる • そのため一つひとつの仕事に対する生産性があがり、質の良 い仕事につながり、質の良いサービスにつながる (従来の目標:The Stockholmer in focus) 新たな目標 The Stockholmer’s focus 理由:ストックホルム市民の視点から職員が自分自身を見るため 7 ストックホルム市のプロジェクトのプライオリティ
  27. 02 訪問先 No. 34 Stockholm City 役所のHPを訪れる本来の目的とは? 役所のHPを訪れる人の目的として、なんらかの行政手続きをしたい等、目的があってたどり着く人がほとんど である。 ストックホルム市では、市のサイトを構築する際に、カスタマージャーニーマップ※を作成し、ユーザーの

    動きを分析した。 ユーザーのニーズを調査すると、ユーザーの出発点はGoogle検索であることに気づいた。複数ページにまたが ると毎回検索して、同じ作業を繰り返さないといけないため、ランディングページとして「.stock .com」マルチ サイトを構築、UIを統一することでユーザーの利便性を向上させた。 ※カスタマージャーニーマップとは、ユーザーが商品を認知して購入するまでの行動プロセスを、行動パターンや思考、感情等の項目 で分析するためのフレームワークである。 7 ストックホルム市トップページ ストックホルム市のさまざまなサイト
  28. 02 訪問先 No. 35 Stockholm City 住民のフィードバックに対する行政のレスポンス フィードバックには、直接的な住民のコメントやヒアリングと間接的 な統計等の2種類のデータがある。 住民から直接フィードバックをもらうときに気を付けていること

    • 意見をくれた人の声を大事にしていることを伝えること • 意見がどのようにしてサービスに反映されたかを伝えること 落書き報告アプリの事例 ストックホルム市では、道に落書きがあったときに、市民が写真を撮って市役所 に報告するアプリがあるが、市役所がそれを受け取ったらお礼を言い、落書き を綺麗にした後にその状態の写真を送るようにしている。すると、再び落書き について報告してくれる人が多くなるという。このように継続して行政サービス に関わってもらうためには、フィードバックに対するレスポンスが必要である。 フィードバックの関係の図 7
  29. 36 No.8 e-Estonia Showroom 訪問先概要 エストニアが推進する電子国家の取り組みについて学ぶことができる施設。電 子国家の取り組みを世界にPRする一環として、海外からの視察に対応するプ ログラムが用意されている。 訪問理由 エストニアが電子政府として発展していく中でどのようにして国民からの意見

    を取り入れているのか、国民の行政への参画方法について学ぶため。 学んだこと エストニア政府の電子化の方針は、すべてが国民中心の設計であった。デジタ ルIDを用いての署名や、WEBサイトでの簡易的なレビューの仕組みで、ユー ザーの意見を常に収集し、活かすことで満足度の向上に繋がることを学んだ。
  30. 02 訪問先 No. 37 e-Estonia Showroom 行政手続を簡単にして、大切なものに使う時間を増やす 行政手続を簡略化する真の目的 エストニアの国民を、もっと自分の家族や教育、キャリア等に集中させるため エストニアは、国家サービスの99%がデジタル化されており、デジタル政府のイメージが強い。だが、そんな環境の

    中でもデジタル以外の選択肢も常に用意されている。対面で受付することも可能であり、サービスの受け方を好き に選ぶことができる。また、デジタルが苦手な人に対しては、図書館にいけば何でも教えてくれる環境がある。 ユーザーにとっての幅広い選択肢 事例:赤ちゃんが生まれた場合 病院は赤ちゃんの誕生を登録し、赤ちゃんは一意の人事コードを取得する。行政側はリアルタイムで、赤 ちゃんが生まれたことを知る。親は、子どもが生まれたことを改めて証明する必要はなく、赤ちゃんが生 まれたことを祝うメッセージが親の元に届き、お金を受け取る銀行口座を確認するよう求められる。 → 子どもが生まれた祝福と行政への申請の削減、対象者はお金を必ず受け取ることができる 8
  31. 02 訪問先 No. 38 e-Estonia Showroom 組織でのユーザー中心設計 不安定な状態からログアウトするときには、ユーザーからフィードバックを求めるシステムを組み込んでいる。 どのような体験だったかを10段階で評価するかコメントを残してもらい、フィードバックを集めている。 また、サイト内のデータを分析するための機械学習にも取り組んでいて、ユーザー中心の解決策を見い出そう

    としている。例えば、ある人が特定の解決策を見つけるのに、何回クリックしたのか、どのくらい時間がかかっ たのか等のデータを元にした分析で、より良いユーザー体験を作る。 組織全体でのユーザー中心設計をするために大切にしていること ポータルサイトのフィードバックの集計方法 異なる局間でデザインが類似していること 言語が常にシンプルに保たれていること 8
  32. 02 訪問先 No. e-Estonia Showroom 39 エストニアに住む人の特徴を重視した取り組み 署名数 送信済み 議論

    取組 エストニア人の国民性としては、行政への介入に関しては、エストニア人は街頭でする抗議活動は控えめであ るが、意見出しへの参加に関してはかなり積極的である。 エストニア人が持っているデジタルIDは、国民の権利を行使するための重要な役割を担っている。 なぜなら、街頭で演説しなくてもデジタルで行政についての意見を書くことができ、またそれについて議論や 賛同をすることができる。 8
  33. 41 No.9 Tallinn Service Bureau 訪問先概要 タリン市内で2020年に設立されたサービスデザイン部門である。このチーム の役割は、すべてのタリン市のサービスにおいて人間中心アプローチを強化す ることである。タリン市のサービスがより良くなるように努めている。 訪問理由

    どのようにして住民に提供するサービスに人間中心アプローチを取り入れてい るか、または推進しているかを調査するため。 学んだこと 人間中心アプローチを強化するためには、成功事例だけでなく、失敗事例を全 体で共有し理解を深める。そして、徹底したユーザー視点と一貫したサービス 管理を推進することが重要である。
  34. 02 訪問先 No. 42 Tallinn Service Bureau デジタル化するとは? 「デジタル化する」かどうかの判断基準は、ユーザーにとって意味のあることであるか。 デジタル化して、業務が変わったときに従業員は新しいことを覚えなければいけない。

    それがその人にとってより良い価値を生み出すのであれば、デジタル化する。 そうでなければ、デジタル化はしない。 また、デジタル化すれば、自動的に良くなると考える人もいる。でも、コンピュータを使う技術や道具を持 たない高齢者のことを考えると、デジタル化することは価値を生むのではなく、障壁を生んでしまう。 年に5、6回定期的にデジタル化したケーススタディについて話す機会を作る。実際にサービスをデジタル 化した経験のある人を招き、どのように改善されたか、同年代も含めて話しててもらう。そうすることで、デ ジタル化を拒む人が新しいアイデアを得たり、実際にできるのだと意欲を持つことにつなげることができる 。 デジタル化したら、よくなるけど、その変化を拒む人へのアプローチ方法 9
  35. 02 訪問先 No. 43 Tallinn Service Bureau デジタルを推進する側は、隠れた教師になる サービスデザインチームの原課への関わり方 サービスデザインチームと一緒にプロジェクトのチームを組むうえで、全体的な方向性やデザイン思考について

    模範を示すが、それ以外のメインは原課に置く。 サービスデザインチームは隠れた教師のように全体を管理していくべきである。 サービスデザインチームの役割と挑戦 チーム内での原則は、全体的なサービスにおけるユーザー中心のアプローチを強化すること。 Awareness Management Culture デザイン思考からの新しいアプローチを展開 責任の所在を明確にし、タリン市全体として一貫したサービスを管理 失敗を学習の機会と考える文化の醸成 9
  36. 44 No.10 SK ID Solutions 訪問先概要 エストニアで使用されているe-ID およびデジタル署名ソリューションの提供 をしている企業。e-ID ソリューションが現在世界中で

    400 万人以上の人々 に使用されている。 訪問理由 ユーザーの声を取り入れながら、サービスを改善していく仕組みを学ぶため。 学んだこと サービスを使っているユーザーが行き止まりにならないように、サポート体制 が盤石であると感じた。また、よりユーザーに良い経験を提供するために絶え ず、機能改善等を行っているところが多くの人に使ってもらい続ける秘訣であ ると感じた。
  37. 02 訪問先 No. 45 SK ID Solutions シームレスなデジタル体験を作るためには レビューの改善 アプリストアのレビューを定期的に確認しているチームがあり、常にリアルタイムで何が起こっているかを追跡し

    ている。バグを見つけたら即時対応するのとは別に、年に2回は機能改善のメジャーリリースを行なっている。 基本的にはアプリやサービスの改善はユーザーから報告された問題について行われる。 現在のアプリの評価は、App Store 4.2 Google play 4.4 である。(2023年10月時点) 心がけていること • インターフェイスを含め、全体的なアイデアは、シンプルであること。 • ユーザーからは追加機能の要望があったときは、その際は最初のコンセプトをしっかり守って取捨選択する。 • アップデート等を含め、政府部門とIT部門の人々が一緒にブレインストーミングを行い、サービスをどのように 実装できるかを考えている。 10
  38. 02 訪問先 No. 46 46 46 SK ID Solutions Public

    Private Partnership 政府とのパートナーシップが確立された背景 SK ID Solutionsとエストニア政府は1990年代より官民パートナーシップを確立し、安全なデジタル・インフラ とサービスを開発している。SK IDが今のサービスの安全な構築方法とリスクについて政府に提案し、貢献した。 デジタル政府確立の要因 主要な実現要因は、デジタル証明書を組み込んだ国民IDカードの義務化したことである。デジタルIDを義務化す ることは、大きな一歩であり、決断であり、実現を可能にした。 また、官民連携は、政治家たちが市場に変化をもたらしたいと思い、協力を求めていた結果でもあるという。 設計と法律が整い、それらを実行に移すとき、これが民間セクターとの協力の原点といえる。 10
  39. 03 まとめ 48 今後東京都がより満足度の高いサービスを提供していくためには、まず、シンプルで統一感のあるデザインを志向 するべきである。そのためには、サービスの企画・設計において、一部分だけを切り取るのではなく、ユーザーの一 連の行動をマッピングして、その情報取得の接点からタスクが完了するまでの一連のデジタルの体験を描くことが が重要である。進め方としては、プロジェクト全体での共通認識を図るために、ホワイトボードで常に見える化した り、プロトタイプを作り、常に全体で正しい方向性に進んでいるかを確認する必要がある。 また、リリース後も継続的なサービスの改善をするためには、ユーザーを巻き込み意見の収集をすることは欠かせ ない。ユーザーからのフィードバックに対しては、できる限り早く返答することが重要である。発信者の意見がどう

    反映されたかまで伝えていくことでより継続的な行政への介入が望める。もちろん、エストニア政府やストックホル ム市が実践しているようにシステム的にアプリ等を使った後に、フィードバックを送信する仕組みを付与することも 有効だといえる。 以上の取り組みにより、東京都の行政サービスのQOS向上、そして都民のQOL向上が実現できると考える。 都政に還元したいこと