Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

多言語カスタマーインタビューの“壁”を越える~PMと生成AIの共創~ 株式会社ジグザグ 松野 亘

多言語カスタマーインタビューの“壁”を越える~PMと生成AIの共創~ 株式会社ジグザグ 松野 亘

2025/7/23 PM LT Night登壇資料

多言語カスタマーインタビューの“壁”を越える~PMと生成AIの共創~
株式会社ジグザグ 松野 亘

https://www.zig-zag.co.jp/

Avatar for Wataru Matsuno

Wataru Matsuno

July 22, 2025
Tweet

Other Decks in Research

Transcript

  1. © zig-zag,Inc| 株式会社ジグザグ © zig-zag,Inc| 株式会社ジグザグ 
 2 ⾃⼰紹介 Introduction

    松野 亘(まつの わたる) 株式会社ジグザグ Product & Growth 本部 本部長 Product Management Team Team Manager オプトHD、トランスコスモス株式会社などでデジタルマーケティ ング、EC支援に10年以上従事。 株式会社ジグザグに 2021年入社後、BtoB、BtoCマーケティン グ責任者を務め、現在はプロダクト領域の責任者を務め、国内 外のプロダクト全体の戦略立案からマーケティングまで管掌。
  2. © zig-zag,Inc| 株式会社ジグザグ © zig-zag,Inc| 株式会社ジグザグ 
 3 株式会社ジグザグは何をやっているか? What

    zig-zag does? 日本のECショップ 海外カスタマー 世界中のカスタマーとショップを 「気持ちよく繋げる」 タグ1行で世界中のカスタマーと ECサイトを「気持ちよく繋ぎ」越境 ECをシンプルに実現
  3. © zig-zag,Inc| 株式会社ジグザグ WorldShoppingとWorldShopping BIZは 両者が一体となって価値提供する越境ECプラットフォーム 4 ECショップ 向け 海外販売ソリューション

    海外カスタマー 向け 購入代行ソリューション 海外販売に対応していないECショップの商品を 簡単・安心・安全に購入できる • 多様な決済手段、複数の国際配送が選択可能 • 従来の煩雑な輸入代行サービスとは一線を画した UI/UXで安心・安全に利用可能 • 海外限定クーポンや、異なるショップの商品をまとめ て配送などでお得にショッピング 簡単 安心 安全 多言語カスタマーサポート 海外決済 海外配送 JS※タグを1行追加するだけで国内ECサイトが海 外対応に早変わり • 海外専用のカート機能・各種海外決済・不正決済防止・ 多言語カスタマーサポート・海外配送まで一気通貫対応 • 商品ごと、国別の海外販売可否の設定がノーコードで制 御可能(特許取得) • 販売支援用ダッシュボードでアクセス/購買分析、海外 販促機能も提供 不正決済防止 日本のECサイト ※:JS:JavaScript WEBページの動作を制御するプログラミング言語のこと 海外専用カート プロダクト説明 Products
  4. © zig-zag,Inc| 株式会社ジグザグ 世界中のカスタマー 日本のECサイト 海外からのアクセス(ウェブインバウンド)があるにも関わらず購⼊できていない。 つまり、世界中のカスタマーの「欲しい」に応えられていない 越境ECの現状と課題 Current status

    and challenges of cross-border EC 海外アクセスが存在しているが、閲覧のみで購入はできない 2.決済の壁 1.言語の壁 3.物流の壁 言 語 決 済 物 流 ・「かな入力」できない、住所で「国」選択ができない ・多言語カスタマーサポートに対応できない ・海外発行のカード、各国のローカル決済に非対 ・不正決済リスクの懸念 ・海外への配送に対応していない ・国際物流・梱包・返品手続きが複雑 Aa ⽂ 아 5
  5. © zig-zag,Inc| 株式会社ジグザグ 普通のECサイトがタグ1行で海外販売可能に シンプルなUXと導線で、簡単に購入完了 6 UXとプロダクト画面 Products 普通のECサイトに タグ1⾏を挿⼊すると

    海外アクセスに限定し WorldShoppingが起動 ナビゲーションバーが お買い物をサポート 海外専⽤のショッピング カートに商品を投⼊ 決済ページで海外住所の ⼊⼒と決済が可能 スムーズに 注⽂完了 1 2 3 4 5
  6. © zig-zag,Inc| 株式会社ジグザグ 7 Business model ビジネスモデル 検品・再梱包 カスタマーサポート 購入代行

    カスタマー 購入依頼 海外配送 購入手数料 配送手数料 ECショップ ローカル ECサイトで購入 国内配送 月額利用料 海外カスタマーから資金を事前に受け取る前受金モデル ECショップの売上が増えるほど当社の収益が増加するビジネス
  7. © zig-zag,Inc| 株式会社ジグザグ 世界228の国と地域に存在する多様な海外カスタマー(ユーザー)にインタビューを実施し 深いインサイト獲得に繋げるためには、⼈間の⼒では限界があった なぜAIの⼒が必要だったのか? Why Did We Need

    AI? • 英語、中国語、日本語など、 さまざまな言 語でインタビューを実施 • PMチームは日本人中心。海外カスタマー の購買動向の裏にある、 文化的背景等を 完全に理解するハードルが高い • 発言のテキスト化→翻訳→要約→分析と いう流れに、時間もリソースも限界 がある ため、仕組み化できていなかった 分析対象および取り組んでいるリサーチ目的のタイプ別にまとめた様々なリサーチ手法 9
  8. © zig-zag,Inc| 株式会社ジグザグ • インタビューの内容を翻訳‧要約するだ けでなく、「問いの精度を上げる」部分 からAIを活⽤ • 社内全体で顧客理解を深めるため の”Profile

    Sheet”作成や、発⾔を切⽚ 化し整理した”Voice Highlight”を作成 • 横断分析をすることで、共通パターンの 抽出、カテゴリ分類や気づきの構造化を 実施 • インタビュー実施から課題の共通理解を 作るまでがスピーディに実現 ユーザーインタビューを翻訳‧要約‧共通化‧抽象化するプロセスに ⽣成AIを積極活⽤ どのように⽣成AIを活⽤したか? How We Used Generative AI ①インタビュー ゴール設定 ②インタビュー 準備 ③インタビュー 実施 ④発見の統合 (インサイト化) ⑤インサイトの 共有 ジグザグでのユーザーインタビュープロセスと主な AI活用 アウトプットを社内共有・ Notion AIを通して インサイトにアクセス可能 Chat GPTで「Profile Sheet」と「 Voice Highlight」という 2つのアウトプット作成 Cursorで横断分析しインサイトを抽出 tldvで多言語インタビューを自動翻訳&ド キュメント化 Chat GPTを用いて質問の改善案・翻訳 チェック等に活用 何を知りたいか?仮説や焦点の明確化 10
  9. © zig-zag,Inc| 株式会社ジグザグ ⽣成AIによる俯瞰した情報整理により、“点”を“⾯”にしてくれることで PMの得るインサイトが深まった 実例:AIで広がった「気付き」の幅 Case Study: • 「配送が遅い」「配送に不満がある」

    • 定量‧NPS等では「物流スピード」の問題と推定 • NPSやカスタマーボイスから⾒えてくる 台湾カスタマーの「配送の不満」は、表 ⾯的には「スピード」の問題に⾒えた • インタビューの分析にAIを活⽤して「構 造化」し、課題の深堀りを実施 • 複数のインタビューを横断的に分析し、実際の不 満は「⾃宅で受け取れない」「再配達が不可」だ ということが⾒えてきた • 本質課題=“配送スピード”ではなく“受け取り⽅” ではないか? 台湾カスタマーでの実例 11
  10. © zig-zag,Inc| 株式会社ジグザグ AIでは想像‧読み取りきれない多様な⼈間の“⽣活‧⽂化‧社会の背景” を補完するのがPMの役割 実例:AIの限界とPMの役割 Case Study: • AIが課題を分類しても、“背景や⽂脈”

    までは想像しづらい • 台湾現地で⾒えたこと: ◦ 共働きで⽇中不在 ◦ 集合住宅の環境 ◦ コンビニ受け取りの浸透 • 結論:配送設計⾃体が⽣活実態とズレて いた • ⾏動の背景にある⽣活や⽂化を理解する ことがPMの介在価値になる 12 台湾現地での様子 集合住宅のポスト コンビニ内受取ボックス Shopee直営の受取拠点
  11. © zig-zag,Inc| 株式会社ジグザグ AI活⽤で得たのは「仮説構築のスピード」と「共有のしやすさ」 ただし、AIの答えを鵜呑みにしてはいけない 成功と失敗からの学び Successes and Failures •

    仮説構築のスピードが劇的に向上 →インタビュー直後に要約‧構造化が可能 • 多⾔語でも横串で課題を把握できた →⾔語の壁も問題なく、⼀元的に分類‧分析 • チーム内の合意形成がスピーディかつス ムーズになった →感覚値でなく、構造を可視化したうえでの建 設的な議論 • “それっぽい”AIの答えに納得しすぎた →深堀りを⽌めない • ノイズも“意味ある声”として処理されて しまう →数が多いからといって重要とは限らない • 実際の“背景”や“温度感”が抜け落ちた →⽂化‧⽣活状況といった⽂脈を⾒誤るリスク 13
  12. © zig-zag,Inc| 株式会社ジグザグ AIは“共感”や“本質”までは届かない だからこそPMがAIを使いこなし、その壁を超えていくことが重要 最後に:⽣成AIとリサーチ Conclusion • AIを使えばリサーチは完結する、わけではない •

    PMは、問いを⽴て、仮説を育て、⼈の感情に寄り添うプロフェッショナル • ⽣成AIは情報の壁‧⾔語の壁を越える⼒を与えてくれる • 「共感」や「⾏間」、「なぜそう感じたのか?」を読み取るのは、⼈間にし かできないのではないか • AIの⼒を借りることで、リサーチをPMの強い“武器”にする事ができる 14