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データと創造性のはざまで:新たな価値づくりを目指して / Interaction betwee...

データと創造性のはざまで:新たな価値づくりを目指して / Interaction between data analysis and creative ideation

2024年6月14日開催 Women in Data Science Tokyo @ IBM
OPENING KEYNOTE 資料
Speaker: 森岡 美沙子 氏
花王株式会社
DX戦略部門
データドリブンマーケティング推進室 室長

https://widstokyoibm2024.splashthat.com/

wids-tky-i

June 14, 2024
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Transcript

  1. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 講演者経歴 森岡 美沙⼦ 花王株式会社 DX戦略部⾨ DX戦略デザインセンター データマネジメント部

    データドリブンマーケティング推進室 室⻑ ・カネボウ化粧品 R&D(2006-2014) ヘアケア・スキンケアの処⽅・素材開発に従事し、物理化学的研究や新規 技術開発の推進、中期研究戦略などを担当 ・カネボウ化粧品 商品開発(2014-2019) 新規グローバルブランドの⽴ち上げ、海外ブランドの⽇本導⼊などに携わ る ・花王 R&D (2019-2022) 感覚科学研究所にてデジタル体験コンテンツなどの開発と⼼理指標を⽤い た計測と価値化研究に従事 ・花王 DX戦略部⾨(2022-現在) データ活⽤推進に向けた環境整備ならびに教育活動を⾏っている
  2. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 いろんな部署と役割を経験してきた…けども? 結局、⽬指すは新しい価値づくり 品質の向上& 新しい価値を 感じてもらう 世の中にない 新しい概念や

    技術を⽣み出 す 世界に 認められる 唯⼀無⼆の ブランドに 感情や感覚に 訴える 新しい 体験価値を デジタルをう まく活⽤し、 新しい発⾒や 価値創造へ ヘアケア 素材製剤開発 化粧品事業部 感覚科学研 DX戦略
  3. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 “データ”という⾔葉のイメージ データと⾔われると 苦⼿意識… y = 5E-06x2 -

    0.0018x + 19.265 R² χ² ±σ 安い! よく⾒る! 評価いい! こういう概念なら わかる
  4. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 処⽅開発 製剤特性 使⽤感 効果や機能 泡体積(mL) パネルテスト 摩擦(N)

    ⽔分量 肌弾⼒性 肌⽔分蒸散 ⾊(L*a*b*) 写真 印象評価 客観的な数値と共に品質を評価 塗膜圧 ⽔分蒸散量 感動できる よりよい 製品を
  5. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 素材開発 製剤物性 分⼦運動・熱⼒学 構造推定 IR NMR DSC

    Raman X線回折 顕微鏡 素材の状態や分⼦活動の理論に基づく開発 粘弾性 誘電率 技術進歩と 理論的な 価値創造
  6. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 マクロデータとミクロデータのつながり 硬めに⾒えたけど 伸ばすと⼀気に崩れて すごく伸びがいい!! 粘弾性データ チキソトロピー性 (イメージ図)

    評価レビュー この使い⼼地 くせになる! 塗布使⽤感に関する コメント75% 売上データ 急上昇 SNSデータ ⼤HIT !! パネル評価 時系列評価 製剤構造 カードハウス構造 https://www.funakoshi.co.jp/contents/65483 売 上 個 数 /⽇ 10万いいね!&RT
  7. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 事業部商品開発 市場・トレンド分析 アンケート 使⽤効果 有⽤性 印象評価 HUT

    インタビュー 市場の状況およびポジショニング、品質評価、デザイン、様々な要素を結びつけ新規商品を開発 ブランディング と商品戦略
  8. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 データは繋がっている 市場データ 美容誌の 掲載データ 処⽅データ 過去の ホームユーステスト

    データ 効果測定 インタビューログ ホームユース テスト 何かを調べたり 明らかにするためにも使い 誰かに伝えるためにも 作ったり、⾒せ⽅を変える 売上データ 気づきに つなげる 対策と 可能性を 探る 仮説検証 確度を 上げる 伝える 情報の 整理 効果検証 データの 選択
  9. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 データでコンテンツの価値が⾒える化する ブランドCFに⾃分が登場する という体験を設計 体験に伴う効果を測定 普通のCF / ⾃分が出てくるCF(⾹りあり、なし)

    体験イメージ <結果> ブランドへの⾃⼰拡張感覚が認知され、 単回の視聴でありながら、 ⻑期的関係形成と⾔われる ブランドリレーションシップ項⽬が全体的に向上 <前提> ・通常のCFもブランドへのイメージ醸成、 共感や愛着をもたせるためのコンテンツ ・愛着の形成には時間がかかると⾔われている <仮説> ブランドCFに登場する⾃⼰投影体験は、 ⾃⼰の延⻑上にブランドが存在する感覚を与え、 短期間で愛着が⽣まれるのではないか? 出典:「ブランドCFに登場する⾃⼰投影体験がブランドリレーションシップに与える効果」 森岡美沙⼦、吉川敬⼀、逆井充好、⽇本マーケティング学会-カンファレンス2022、法政⼤学、2022年10⽉ ※学会発表内容を要約
  10. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 データでコンテンツの価値が⾒える化する 出典:「ブランドCFに登場する⾃⼰投影体験がブランドリレーションシップに与える効果」 森岡美沙⼦、吉川敬⼀、逆井充好、⽇本マーケティング学会-カンファレンス2022、法政⼤学、2022年10⽉ ମݧޙΧ݄ؒͷߦಈɾҙࣝม༰ ." 試験実施時期: 2021年7〜8⽉

    対象者:20〜45歳⼀般⼥性 ※事前アンケートで統制映像視聴後にブランド好意度が7件法に てBOTTOM 1(全く好きではない)の回答者を除く Ⅰ:オリジナルCF群 (Original) Ⅱ:⾃⼰投影群、⾹りなし (Swap-) Ⅲ: 〃 、⾹りあり (Swap+) ※試験参加者は、A,Bいずれかの1映像を視聴 ※Iは視聴中に⾃⼰認知した⼈を除く ※II、IIIは視聴中に⾃⼰認知しなかった⼈を除く 化粧品 ⽇⽤品
  11. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 データでコンテンツの価値が⾒える化する ⾃分向けの ブランド認知 愛着形成 (⽇⽤品なら) 商品の 売上に直結

    体験したら ⾃発的に ⼈に⾔いたくなる 購買前⾏動 促進 投稿しやすい仕組み 体験とリンク&購買に つながる店頭施策 ロイヤリティ維持施策
  12. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 出典)Matt Turck VC at FirstMark/The 2024 MAD

    (Machine Learning, AI & Data) Landscape https://mattturck.com/landscape/mad2024.pdf 機械学習 AI&データ 関連 サービス
  13. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 データを価値化につなげる こんなことが わかったんです!! こんな結果 でました! ふ〜ん、 それで

    マーケッター リサーチャー, データアナリスト ビジョンや何を⽬指しているのか 明確でないまま ・とりあえずデータを触る ・とりあえず実験してみる ・とりあえず結果を出してみる 価値化を考えずになんかよさそう、 だけ突き詰める ・⾃分が正解と思った⽅向からの 転換ができない ・⽬的が”共通”でなかったり、 ⾃分の課題解決になっている
  14. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 価値化につなげるための実際のワーク例 IMRaDモデル* Introduction, Method, Result and Discussion

    Introduction Method Results Discussion 事実 事実 理論 理論 Background 背景 Motivation やってみたいこと Related work 関連研究 Objective ⽬的 社会的背景、その分野で 重要な技術動向、問題点 提案する⼿法 従来⼿法との⽐較 同分野での研究動向 ⾃分らの今までの成果 本題で検証する仮説 ⽤いた⼿法・検証内容を 含む全体の章⽴て ◦◦だから、◦◦してみたい 先⾏例では◦◦だから、 特に◦◦を確かめることにした 論⽂の場合のイントロの役割 こんな研究を踏まえているのか︕ こんな⼿法を使ったのか︕ ぜひ読みたい︕ と思ってもらう。 Contribution 貢献できたこと Limitation 出来ていないこと 結果からどう考えれば 仮説を検証したことになるのか 本研究はどこに向かうのか︖ まだ⼿をつけていないこと、今後の検討事項 本研究で完全には検証できなかった要素は何か︖ 何ができるようになったのか 何はできていないのか これからどうしたいのか 先⾏性は︖どのくらいすごいことなの︖オリジナリティは︖いつできるの︖ 応⽤可能性はどの範囲にあるの︖ 理想と理論と事実の区別 価値化研究の場合は…? こんなことが分かるのか・できるようになるのか! こんな価値(社会・市場・顧客)が⽣まれるのか! ぜひ応⽤したい!もっと知りたい!体験したい! 使ってみたい! と思ってもらう。 *論⽂の構造型としてよく知られており、論⽂執筆のためのマニュアルや教材に反映されている(佐藤ら、2013)
  15. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 分析者⾃⾝が視野を広げる 今取り扱っているデータはどこを⾒ている? ⽉次の ⾃社売上 “うるおい” を感じた 割合

    ブランド名の 発話数 それって多いの?いいことなの? シェアは? カテゴリ⼀般値は? グローバルでは? ⻑期トレンドは? 季節性は? 俯瞰から詳細へデータの解像度を変えて ⽰す意味を理解する つい、⾃分の⾒ている世界がすべてだと思ってしまう! 92% 85% 1,000件 /⽇ 100万円 /⽉ 90% 95%
  16. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 価値づくりにデータを効果的に活⽤する 価値化、コミュニケーション開発によくあること 今期の商品 いい感じな気がするから バズを起こしたい! どうやって話題作る? 商品がいい感じ

    どうバズる パッケージ 商品機能 コンセプト 使⽤感 ⽂脈 伝達 イメージ # UGC その先にあるビジョンが不在 キャンペーン 具体的な⽅法や活⽤可能な 要素分解が不⼗分 誰に
  17. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 価値づくりにデータを効果的に活⽤する ・Z世代の商品認知を獲得(ヘアオイル×プリンセス) ・パッケージと連動した知覚品質(ツヤときらめき、天使の輪)が 使⽤体験と共に拡散され、検索⾏動を誘起する VISION #プリンセスティアラ #ティアラのツヤ

    プリンセスと 相性のいいトピック 外資系⾼級ホテル テーマパーク コスプレ ※架空の事例です プリンセスにしてみた キャンペーン トレース 期待するUGC ツヤツヤ ティアラできたJ 同じカテゴリのトピック ツヤプリンセスになろう キャンペーン 上品なツヤ ツヤさら うるツヤ ダイヤモンド <SNS> UGC オーガニック発話 エンゲージメント ハッシュタグ UGC: User Generated Contents <検索> ヘアオイル/プリンセス ブランド名 <売上>
  18. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 データを効果的に活⽤するための⼈財育成 マーケッター、商品開発のビジネススキルに データアナリティクススキルを加えるための教育体制 より実践に近い形での活⽤⽅法を ハンズオン形式でレクチャー Web解析⼠認定資格 データアナリスト研修

    データ分析勉強会 テーマ別 総合的なデータ分析をスキルとして 習得するための社内研修プログラム 資格取得を通した デジタルマーケティング知識の習得 受験総数444名/2022~2024(⾒込) 受講総数40名/2022~2023 参加数388名/1テーマ 例)テキストマイニング勉強会/⼊⾨編 https://www.waca.associates/jp/
  19. 花王株式会社 DX戦略部⾨ 2024.6.14 事業と分析の視点をつなぐことができ、 データを正しく理解、選択、活⽤しながら、スピーディに業務へ⽣かすと共に周囲もに広 げることができる ü データ利活⽤のポイントを理解してビジネスの課題解決プロジェクトをリードできる ü 解決すべきビジネス課題の適切な設定と整理ができる

    ü データを活⽤した仮説の組み⽴てやアプローチを具体化できる 全社員が各業務の中でデータ利活⽤を当たり前に⾏うことができる あるべき姿 育成すべき “⼈財像” ビジネス課題解決の プロジェクトをリード できる 正しくデータを読む スキルを学ぶ データ利活⽤の ポイントを理解する データ分析の 考え⽅や⼿法を学ぶ データ分析の 設計〜実践ができる データアナリスト研修 データを効果的に活⽤するための⼈財育成