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July 29, 2025

即時オープンアクセス義務化とXML推進_20250729_ Nakanishi Printing Company, Ltd

学術情報XML推進協議会セミナー
日時 :2025年7月29日(火曜日)15:50 – 16:30
場所:アルカディア市ヶ谷(私学会館) 

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July 29, 2025
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  1. 即時OA義務化の経緯 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcul/109/0/109_2014/_pdf/-char/ja • 1990年代 電子化とシリアルズクライシス • 1998年 SPARC • 1998年

    BioMedCentral • 2001年 PLOS などの APC OA誌の発刊 • 2002年 ブダペスト・オープンアクセス・ イニシャティブ ( BOAI: Budapest Open Access Initiative) • 2003年 ベルリン宣言(Berlin Declaration on Open Access to Knowledge in the Sciences and Humanities) • 2003年 SPARC JAPAN • 2004年 NIH Public Access Policy • 2005年 千葉大学附 属図書館が国内で最初の機関リポジトリ 以後機関リポジトリ構築進む • 2013年 G8 の科 学大臣会合が,公的助成による研究成果へのアクセ ス向上を支持する共同声明 • 2017年 日本学術振興会(JSPS)オープンアクセス推進方針 • 2018年「プランS」 • 2023年5月 内閣府科学技術・イノベーション推進事務局「論文等のオープンアクセスについて」 • G7広島首脳コミュニケ • 2023年10月 内閣府科学技術・イノベーション推進事務局は「公的資金による学術論文等のオープンアクセスの実 現に向けた基本的な考え方」 • 2024年2月 学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針 2025年度からの即時オープンアクセス • 2025年7月1日 新NIH Policy 即時OAの実施
  2. 即時OAの対象となる資金 • 日本学術振興会(Japan Society for the Promotion of Science: JSPS)科学研究費助成事業(Grants-in-Aid

    for Scientific Research) • 国立研究開発法人 科学技術振興機構(Japan Science and Technology Agency:JST)戦略的創造研究推進事業(Strategic Basic Research Programs)および創発的研究支援事業(Fusion Oriented Research for Disruptive Science and Technology) • 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development:AMED)の革新的先端研究開 発支援事業(Advanced Research and Development Programs for Medical Innovation)
  3. 内閣府(文科省) 即時オープンアクセスで求められる条件 「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」(統合イノベーション戦略推進会議 令和6年2月 16 日決定) • 即時オープンアクセスの義務化:2025年度採択の競争的研究費を受けた研究成果は、即時無料での公開が義務 付けられる。 •

    OAの基本要件:単なる無料公開だけではOAの条件を満たさず、デジタルオブジェクト識別子(DOI) の付与と、CCラ イセンス の適用が不可欠である。著者や学会は、これらの方針を明確にする必要がある。 • エンバーゴ期間の排除:即時OAでは、エンバーゴ期間(一定期間公開を制限する措置)を設定することは認めら れない。したがって、学術誌や機関リポジトリのポリシー変更が求められる。 • 機関リポジトリの活用:機関リポジトリへの掲載もOA要件を満たすが、そのリポジトリは国立情報学研究所のRDCを通 じて検索可能であることが必要である。 • 一時的な緩和措置:現時点では、当面の間「無料公開」のみでもOAとして認められる(ただしこの措置がいつまで 適用されるのかは不明)。
  4. 正義のOAと出版の崩壊 • 学術情報流通の正義 OA • 情報流通のかわりに対価を得る 出版 • 情報出版のかわりに会費を得る 学会

    • 被害者意識に寄り添わないと、OA推進はないのでは? 出版・学会 OA 正義のOA図 CC BY 中西秀彦(2025)「即時オープンアクセス義務化とXML推進」
  5. 従来の学協会財政モデル 学協会 (査読・編集・発行) 会費 機関誌 会員 投稿 基本的に、金を取って、その対 価として出版物をわたすという 出版社モデル

    非会員 × 出版助成 従来の学協会財政モデルCC BY 中西秀彦(2025)「即時オープンアクセス義務化とXML推進」
  6. OAモデル 学協会 (査読・編集・発行) 会員 投稿 投稿者から投稿料ある いは助成のみをとって 無条件に誰にでも見せ るモデル 非会員

    投稿料 出版助成 非会員 機関リポジ トリ提供 OA財政モデルCC BY 中西秀彦(2025)「即時オープンアクセス義務化とXML推進」
  7. OAがなぜ可能となったか • オンラインジャーナル化 • 学会誌の製造コスト構造の変化 • ページ製作コスト(ページ数比例)+印刷配布コスト(部数比例) • 印刷配布コストを増やすのは読者要因→読者負担 •

    ページを増やすのは著者側要因→著者・所属機関負担 • 出版社機能の役割低下 • 配布者としての役割が不必要もしくは小さく • Fund主導 • 研究費をだした研究結果を読むのに出版社に金を払うのはお かしい • では学会財政は?
  8. インターネット(OLJ)化による出版費用の構造変化 編集・組版費用 印刷・製本・紙費 用 配布費用 紙媒体のみ インターネッ トのみ 部数に限らず 一定

    OLJ化 費用 サーバー維持費 回線代 原稿料 編集・組版費用 原稿料 部数の 多い場 合 編集・組版費用 印刷・製本・紙費用 配布費用 原稿料 郵送代 封筒代 梱包代 ラベル管 理 etc. オープンアクセスであれば、購読 システムも不要
  9. APC(投稿料)モデル ゴールドOA • STMでは機能する • もともと一論文あたりのページ数が少ない 10ページ以内 • 著者負担が大きくない •

    完全オンラインジャーナル化の浸透 • 紙雑誌をひきずると、OAモデルは機能しない • お金をはらってでも、幅広く読んでもらうことが重要 • 人文系では • 上記すべてが裏目 • 大部分の文系日本語雑誌を今、APC OAにできるか • APC高騰問題勃発 • 投稿するのに入札? 比較的
  10. 論文発表の新しいあり方プレプリント • 査読なしに投稿する • 当然OA JxivではDOIも付与される • 元々は先取権をえるための査読前公開 • 物理学で特に進化

    • プレプリントを発表そのものとしてしまう傾向が強まる • 投稿誌を特定せずプレプリントを第一発表とする • 論文は市場価値によって評価される • プレプリントから雑誌投稿への勧誘も生じる • 査読以外の評価 アルトメトリクスの台頭 • ウェブページの閲覧回数・PDFダウンロード回数 • ジャーナルコメント・科学ブログ・ウィキペディア・Twitter・Facebook・その 他ソーシャルメディアでの言及 • Mendeley・CiteULike(英語版)・ソーシャルブックマーク利用者が保存した回 数 • 引用 (Cited
  11. 今後の学術雑誌のあり方 • OAモデルの進展 • 実質上、図書館購読のサイトライセンスがあるので研究者は無制限 に読める時代の到来 • 購読型モデルがもっとも早く崩壊した学術雑誌 • 投稿料型の収益構造では文系誌はなりたたない

    • 学会の価値はどこにあるのか? • 研究発表会・相互交流? • 査読・編集コストダウンによるOA回収 • 機関リポジトリモデル 図書館費用の購読から発信へ • 公共図書館予算の制作側への振り向け
  12. ここでXML一般論 • 物語として一貫して読むなら、PDF(もしくは紙の本)がふさわしい • Sequential data • 関連付けて読むなら、XMLの方が再利用しやすい • Random

    access Data • これからの論文はネットワークの中に存在する。 • XMLがネットとの親和性が高く、推し進めるべきである • ただ、資金・手間を上回るメリットがないと著者・学会は動かない • XML推進協議会はそのために存在している
  13. 印刷会社は何をすればいいのか • 印刷物からの収益が期待できない逆説 • XMLをすすめればすすめるほど、印刷会社としては損の意識 • XML化価格を高めて、収益率を高める戦略は無理 • XML化の進展を阻害するだけになりかねない •

    それ以前に↓ • 執筆者自身に電子ジャーナル化XML化への意識が低い • 学術著作物の印税は収入という意識 特に文系研究者 • XML化に露骨な反感をしめす研究者の存在 • 印刷会社には紙の本を大事にして滅びて欲しいという滅びの美学の押 しつけ
  14. XML推進協議会の原点 • XMLの市場そのものを拡大することがWinWinである • 印刷会社、学会、JSTというステークホルダーみんなが勝つ • OA義務づけという千載一遇のチャンス • 具体的方略 •

    AI等を使ったXML生産性の向上 • オンライン時代の出版業のあり方の模索 • 未だに紙の方の方法論で編集発行されている状況の改革 • OA時代の学会誌のあり方の提案 • 学会・執筆者への啓蒙 • そのための理論武装FAIR
  15. OAとODの要望 • Findable Accesibleを保障する DOIと CC • FAIR原則のうしろ2つ • Interoperable

    相互運用 • Reusable 再利用 • OAとODの本質は「無料配布」ではなくてむしろ、「相 互運用・再利用」 • 「無料・著作権融通」は、「相互運用・再利用」の便 をはかるための手段
  16. 論文 前書き 方法 結果 結論 考察 図表 写真 元データ 図表

    写真 論文 結論 考察 論文 方法 結果 結論 考察 元データ 元データ 論文 前書き 方法 結果 結論 考察 図表 論文の解体と、再生 旧来型論文 OLJ時代の論文 著 作 権 の 壁 OA ODの融通
  17. 執筆者への啓蒙 XML推進の理論武装を • AI時代には、まず機械が読む (データ検索) • 機械が読んで、人間に提示する • 機械が読みやすいことを優先すべき •

    PDFの方が読み易いのは人間の目だけ • XML HTMLの方が洗練した情報提示 • XMLによる発表こそ未来を拓く • 紙という呪縛から逃れろ 今は良くても未来はない • 物語型構造から、ネットワーク構造へ • OAの真の進展はXML抜きには有り得ない • XSPA2026年度の課題
  18. 参照文献 • 中西秀彦 横山詔一 「即時オープンアクセスが拓く学術研究の新世界 | Jxiv, JSTプレプリントサーバ 1102 •

    横山 詔一 石川 慎一郎 井田 浩之 相澤 正夫「日本語学術論文の即時オープンアクセス実現に向けて | Jxiv, JST プレプリントサーバ 720 • 尾城孝一 市古みどり「オープンアクセスの現在地とその先にあるもの」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcul/109/0/109_2014/_pdf/-char/ja • https://www8.cao.go.jp/cstp/hosaku_setsumei.pdf(2024年8月27日,28日開催説明会資料) • https://www8.cao.go.jp/cstp/openscience/r6_0221/hosaku.pdf(2024年10月8日改正 関係府省申合せ) • 横山 詔一 「即時OA時代における研究者の言語生活ver.3」https://youtu.be/8hq14aDsqqQ • CA1977 – 動向レビュー:学術雑誌の転換契約をめぐる動向 / 尾城孝一 | カレントアウェアネス・ポータル • CA2055 – 動向レビュー:即時オープンアクセスを巡る動向:グリーンOAを通じた即時OAと権利保持戦略を中 心に / 船守美穂 | カレントアウェアネス・ポータル