© ChatworkPMが語る ARR成長率43.1%達成への試行錯誤2022.10.07 @Chatwork Product Day 2022Chatwork株式会社 大野木 達也
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- 制作会社やフリーランスでモバイルUI開発やWebディレクション- コンタクトセンターの事業会社でチャットボット事業立ち上げ- 2018年2月 メルカリ- CS部のプロダクト連携やCXプログラムのチーム立ち上げ- PMとしてマーケット管理・監視ツール領域でPO- 2021年4月 Chatwork- Product Operationsの立ち上げ、IDサービス領域のPM担当- 2022年1月より、プロダクトマネジメント部マネージャー 自己紹介大野木 達也 / Tatsuya OONOGI Twitter: yono_memo
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本日の内容1. Chatworkはこの1年でどう成長したのか2. Chatworkはこのプロダクトグロースのために何をやってきたのか3. Chatworkプロダクト戦略のこれから
1. Chatworkはこの1年でどう成長したのか
7KPIハイライト ※2021/06末時点*1 Annual Recurring Revenue(年間経常収支)、2021年9月末時点のMRRの12ヶ月分*2 Net Revenue Retention Rate。2019年12月末における課金顧客から生じる2020年12月末時点におけるストック収入 ÷ 2018年12月末時点から2019年12月末時のストック収入*3 登録ID数に対しての解約率。2020年10月から2021年9月末までの12か月平均値*4 Chatwork利用料の課金IDあたりの平均単価(Average Revenue Per User)*5 1日あたりのサービス利用者数(Daily Active User)439万2Q末時点登録ID数48.8万2Q末時点課金ID数32.1万9月末時点導入社数25.8億円2Q末時点ARR*1120%2020年末時点NRR*20.3%2Q末時点解約率*3445.4円2Q末時点ARPU*493.4万2Q中の最大値DAU*5(課金IDのみ:1.9%)
8KPIハイライト ※2022/06末時点*1 Chatworkアカウント事業並びにクラウドストレージ事業のAnnual Recurring Revenue(年間経常収支)、2022年3月末時点のMRRの12ヶ月分。*2 Net Revenue Retention Rate。2020年12月末における課金顧客から生じる2021年のストック収入 ÷ 2020年のストック収入*3 登録ID数に対しての解約率。2021年4月から2022年3月末までの12か月平均値*4 Chatworkアカウント事業における、Chatwork利用料の課金IDあたりの平均単価(Average Revenue Per User)*5 1日あたりのサービス利用者数(Daily Active User)534.0万2Q末時点登録ID数59.1万2Q末時点課金ID数36.5万2Q末時点導入社数40.7億円2Q末時点ARR*1122%2021年末時点NRR*20.4%2Q末時点解約率*3516.2円2Q末時点ARPU*4102.9万2Q中の最大値DAU*5(課金IDのみ:1.3%)
YoYでみるKPIの進捗全社のARRは1年間で15億弱増加。FY21は大きな飛躍の年になった2021/06末時点 2022/06末時点上記はグループ会社となったChatworkストレージテクノロジーズの売上も追加されているため、アカウント事業分は次で9
YoYでみるKPIの進捗「アカウント事業(ビジネスチャット「Chatwork」)単体のARRはこちら↓10
2. Chatworkはこのプロダクトグロースのために何をやってきたのか
1. 地道な体験改善のためのアップデート2. PLGに向けた組織のアップデート3. オンボーディングの強化4. より多く活用してもらうためのルールチェンジ
Google / Apple 認証の導入(新規登録とログイン)ウェブブラウザ iOS Android新規登録でメアド・名前・パスワードの入力が不要になり、ログインも簡単に
モバイルのプッシュ通知本文表示スマートフォンやスマートウォッチにメッセージが表示できるようになり、メッセージの確認が簡単に14
招待促進を目的としたコンタクト管理の改修①タブ名称変更②複数アドレス追加 可能なUIに変更④管理者設定追加③Chatwork ID共有追加基本的な招待の動線をコンタクト管理画面に集約し、タブの表記もわかりやすくすることでユーザーの混乱を軽減15
マイチャットのオンボーディングの改善施策内容の説明Chatworkで最初に行動してほしいことを訴求・困った時の活用ページの表示させるため、もっとも大事な訴求内容に絞りわかりやすいデザインにすることで、ユーザー行動を導く施策施策の結果施策前18.75% 72.83%コンタクト管理ボタンのクリック率施策後変更前変更後ヘルプボタンのクリック率リリース前:2.03% →リリース後:9.47%文言を「ヘルプ」から「はじめてガイド」に変更し、ユーザーにわかりやすい表現を使ったことで、クリック率が大幅UP16
オンボーディングタスク施策内容の説明新規登録ユーザーのマイチャットに『使い始めガイドを読む』というタスクを追加。Chatworkが活用できていない課題を解決するための施策施策の結果施策前71人 1,422人『使い始めガイド』1日あたりの訪問ユーザー数タスク完了率:36.20%→目に止まり、使われる機能だったリンククリック率:21.72%→とってほしい行動を促すことができた施策後リンク先→17
Product-Led Growth(PLG)とは19● 米ベンチャーキャピタルのオープンビューが名付けたGTM(ゴー・トゥー・マーケット)戦略の1つで、ユーザー獲得、アクティベーション、リテンションを、プロダクトそのものが担うという手法● 一見すると、購入前にプロダクトを試すというシンプルなビジネスモデル● PLGを取り入れるということは、事業に関わる全てのチームがプロダクトに影響を与えるということ○ マーケティング:どうすればこのプロダクトの需要を伸ばせるか○ セールス:このプロダクトをどう使えば見込み顧客に買ってもらえるか○ カスタマーサクセス:どんなプロダクトならユーザーに今以上に活用してもらえるか※「PLG プロダクト・レッド・グロース」から引用
20Product-Led Growth●プロダクトを通じて価値を伝えることでユーザー数と売上を拡大● プロダクト/カスタマーサクセスの改善が重要戦略● 口コミにより広がり、高レバレッジで成長● ユーザーのプロダクト活用度が上がると、ARPUがあがっていく構造特徴Sales-Led Growth● セールスやマーケティング活動を通して売上を拡大● セールス/マーケティングの改善が重要● セールスの人員数に依存し、労働集約的● セールスにより、都度アップセル、クロスセルをおこなってっていく必要がある「Product-Led Growth」 によるサービス成長を実践● Product-Led Growth (以降PLG) とは米国で注目されているSaaSの成長戦略で、プロダクトを通して顧客獲得をおこなう。旧来型のセールスが牽引する成長戦略を Sales-Led Growth と呼び区別している● PLGの代表例にZoom、Shopify等があり、非PLG企業と比べ顕著に高い成長率を実現。総利用ユーザー数が多く、口コミで広がるサービスであることが必要で、当社サービスではPLGによる成長戦略を実践
21フリーミアムモデルによる自然増の売上セールス/マーケティングによる直接販売での売上フリーミアムモデルに広告宣伝費を投資することにより売上を押し上げ効率的なカスタマーサクセスにより売上を押し上げフリーミアムモデル (自然増)セールスモデル (人が関与)現在2024年モデル別売上PLG戦略での成長イメージ● 自然流入と紹介が中心だったフリーユーザーに対し、広告宣伝費を投資して大きくユーザー数の拡大を狙う● セールスのプロセスをカスタマーサクセスへと転換。ユーザーの利用状況に応じた高度なデータ分析をおこない、システムによる自動化を含めた効率的なカスタマーサクセスをおこなう● フリーを含めたユーザー数拡大を進めることにより、スーパーアプリ構想のプラットフォーム価値向上を実現*上記図表は、PLG戦略についての説明を目的に作成したものであり、当四半期以降の売上について予測を開示するものではありません
SaaS サブスクリプションビジネスにおける主要なレバー22主要なレバーは下記3つ:1. 顧客数を増やす2. 顧客平均単価(ARPU)を増やす3. 解約数を減らすそのインプットを引くとどのレバーの針が動くのかを知ることが重要※「PLG プロダクト・レッド・グロース」から引用
23フリーユーザー獲得フリーミアムモデルフリーユーザー獲得自然流入/紹介アクティブ化プロダクトマネージャー有料化プロダクトマネージャーセールスモデル資料請求/問い合わせマーケティング商談化インサイドセールス受注フィールドセールスライセンス追加カスタマーサクセスProduct-LedGrowthモデル初期活用支援インサイドセールス有料化フィールドセールスマーケティング/自然流入/紹介アクティブ化プロダクトマネージャーライセンス追加カスタマーサクセスPLG戦略 = 2つの成長エンジンを1つに● オンラインで自然増するフリーミアムモデルと、直接販売のセールスモデルを1つに統合する● フリーでまず利用してもらい、セールスがすでに利用しているユーザーの有料化を進めていく
24フリーユーザー獲得フリーミアムモデルフリーユーザー獲得自然流入/紹介アクティブ化プロダクトマネージャー有料化プロダクトマネージャーセールスモデル資料請求/問い合わせマーケティング商談化インサイドセールス受注フィールドセールスライセンス追加カスタマーサクセスProduct-LedGrowthモデル初期活用支援インサイドセールス有料化フィールドセールスマーケティング/自然流入/紹介アクティブ化プロダクトマネージャーライセンス追加カスタマーサクセスPLG戦略 = 2つの成長エンジンを1つに● オンラインで自然増するフリーミアムモデルと、直接販売のセールスモデルを1つに統合する● フリーでまず利用してもらい、セールスがすでに利用しているユーザーの有料化を進めていくプロダクト改善は全てに干渉
プロダクト本部(2022/09)プロダクト開発部Feature Team化の促進25プロダクト本部(2021/09)プロダクトデザインモバイルアプリケーション開発サーバーサイド開発(PHP)・・・● Feature team化されていない場合、 PMはフロントエンド・モバイル・サーバーサイド等領域をまたぐ施策実施にはプロジェクト化が必要となり、本来掛ける必要のないコスト増が発生します● 一旦ビジネスドメインを合わせて領域毎にチーム化することで、自立的な POサイクルを促しますプロダクトマネジメントフロントエンド開発サーバーサイド開発(SCALA)・・・グロースエンジニアリング料金プランエンジニアリングプロダクトデザインモバイルアプリケーション開発サーバーサイド開発(PHP)・・・プロダクトマネジメントフロントエンド開発サーバーサイド開発(SCALA)・・・グロースエンジニアリング料金プランエンジニアリング管理画面API
横断組織としてPLG推進部の立ち上げ26ビジネス本部PLG推進部ビジネス本部内に横断組織を組成全メンバー13人ほぼ全員兼務所属プロダクト本部プロダクトマネジメント部SirPM:3人主所属はPdM部で、メンバー全員が兼務でPLG推進部グロースマーケティングカスタマーマーケティングPdM、デザイン、開発、QAなどプロダクト開発に関わるメンバーが所属副本部長 マネージャー(兼)事業企画部プロダクトデザイン部XX開発部プロダクトセキュリティ部SRE部・・・・・・PLG推進部:課題のブラッシュアップや解決方針を議論兼務で入っているPM:開発が必要なものは企画を詰め、優先判断と開発の調整ビジネス本部:施策前段階の有人対応での検証や、開発不要で実行可能なオペレーションの構築・実行
PM⇔PMM体制の立ち上げ27ビジネス本部PLG推進部プロダクト本部プロダクトマネジメント部PMMビジネス本部でPMM(Product Marketing Manager)体制の立ち上げを開始。まずは専任 1名からなので、主にビジネス本部とのコミュニケーションハブを担ってもらいながら、ユーザーコミュニケーションの役割移管を進めているPM● ビジネス本部とのコミュニケーションハブ● ビジネスサイドからの課題抽出● ユーザーコミュニケーション● ガイド・ヘルプのコンテンツコントロール● プロダクト戦略の策定● 開発を踏まえた施策の優先判断● 要求定義(PRD)● 施策領域のスクラムチームのプロダクト・オーナー
ボーリングレーン・フレームワーク29必ず必要なオンボーディングステップとしてストレートラインを定義し、ユーザーがガターに落ちないようコミュニケーションバンパー(下記図ではConversational Bumper)/プロダクトバンパーでフォローすることで、オンボーディングの成功確度を上げるhttps://www.productboard.com/blog/wes-bush-product-onboarding-framework/
ボーリングレーン・フレームワーク30必ず必要なオンボーディングステップとしてストレートラインを定義し、ユーザーがガターに落ちないようコミュニケーションバンパー(下記図ではConversational Bumper)/プロダクトバンパーでフォローすることで、オンボーディングの成功確度を上げる出典:PLG プロダクト・レッド・グロース「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」へ活用・定着ソリューションの導入より精緻なフォローアップ
活用・定着ソリューションの導入31デジタル製品活⽤・定着化推進プラットフォームのPendoを導入し、バンパー施策を最低限の開発かつビジネスサイドでも試行錯誤が行えるよう仕組みを整備
今後に向けて解決したい3つの課題1. グループチャット制限が、口コミによる広がりを抑制している2. 無料プランで組織的に利用している人達に管理機能のメリットが訴求できていない3. サービスの提供価値とその先に有料化してもらうための軸が必ずしも連動していない具体的な施策① フリープランでユーザー管理機能の提供2022年3月2日リリース② グループチャットの利用上限撤廃2022年10月6日リリースより多く活用してもらうためのルールチェンジ33
①フリープランでユーザー管理機能の提供2022/3/2にリリース。フリープランの新規登録ユーザーに「管理者権限」を付与企業単位で「Chatwork」を導入する際に、管理者権限を利用し社員・アルバイトなど従業員を招待・管理することができる34
②グループチャットの利用上限の撤廃352022/10/6にリリース。グループチャットの利用上限を撤廃し、直近40日以内に投稿された組織ごとの最新5,000件のメッセージを閲覧可能にこれまでのフリープラン 新しいフリープラングループチャット 累計7/ユーザー 制限なしメッセージ閲覧 無制限過去40日以内に投稿されたメッセージの内最大5,000件まで閲覧可ストレージ 5GB/組織 5GB/組織ユーザー管理ユーザー数:100人チーム機能:利用不可ユーザー数:100人チーム機能:利用可能ビデオ通話音声通話 1対1 1対1検索結果最大100件検索オプションあり最大200件検索オプションなし
Chatworkプロダクト戦略のこれから
中長期方針● 2021〜2024年でシェアを拡大し、中小企業No.1ビジネスチャットのポジションを確立する● 2025年以降で、中小企業市場における圧倒的なシェアを背景に、あらゆるビジネスの起点となるビジネス版スーパーアプリとしてプラットフォーム化していく● 2021〜2024年の中期をシェア獲得における最重要フェーズと捉え、投資スピードを最大限に加速37Chatwork事業でCAGR40%前年を超える売上成長率の実現継続した売上成長のための体制整備長期:2025年〜投資スピードを最大限に加速2024年シェア40%全社売上高100億円中小企業No.1 ビジネスチャット中小企業のあらゆるビジネスの起点となるプラットフォームビジネス版スーパーアプリ中期:2024年当期:2021年
38プロダクトビジョンとプロダクトイニシアチブ働くをもっと楽しく、創造的に誰もが簡単に活用できるチャットサービスを通して業務プロセスのムダをなくし、中小企業の生産性を劇的に向上させるMissionすべての人に、一歩先の働き方をVision中期 Product Vision プロダクトイニシアチブ1プロダクトイニシアチブ2プロダクトイニシアチブ3プロダクトイニシアチブ…Chatwork事業を立ち上げて育ててきた現CEO山本にタタキ案を当ててフィードバックをもらい、複数回の議論を経て決定戦略的大テーマとして絞り込むというよりは、事業戦略全体をカバーできるよう幅広く策定し、その枠での基本的な優先度を判断中小企業No.1ビジネスチャット中期Vision
39プロダクトビジョンとプロダクトイニシアチブ
本日のおさらい1. Chatworkはこの一年でどう成長したのか登録IDはで534.0万(前年比122%)、課金ID数は59.1万(前年比121%)、DAUは102.9万(前年比110%)、ARRは40.7億(前年比158%)と計画以上の事業成長ができている2. Chatworkはこのプロダクトグロースのために何をやってきたのか地道なプロダクト体験と組織の改善、オンボーディング強化や今後の本格的なPLG推進に向けた土台作りの仕組み構築3. Chatworkプロダクト戦略のこれからPLGを意識した改善を行いながら、ユーザーの状況に応じた使いやすいビジネスチャットの追求と周辺サービスの強化で、より効率的な環境を提供する40
働くをもっと楽しく、創造的に