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Product-Led Growthを実現していくためのプロダクト戦略

yono_memo
January 18, 2022

Product-Led Growthを実現していくためのプロダクト戦略

https://productzine.jp/article/detail/824
Chatworkの経営戦略とプロダクト戦略を例に、中期目標に向けた3つの戦略の中でも最重要と考えている「Product-Led Growth戦略」にプロダクトとしてどう向かおうとしているのか。昨年からのプロダクトオペレーション組織の立ち上げやプロダクト戦略の運営、データドリブンな意思決定を推進するプロダクト指標の策定など、プロダクト開発に関わる組織づくりも含めて、今Chatworkが行っている取り組みについて。

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January 18, 2022
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  1. - 制作会社やフリーランスでモバイルUI開発やWebディレクション - コンタクトセンター事業会社でチャットボット事業立ち上げ - 2018年2月 メルカリ - CS部のプロダクト連携やCXプログラムのチーム立ち上げ -

    PMとしてマーケット管理・監視ツール領域でPO - 2021年4月 Chatwork - ProdOpsの立ち上げとIDサービス領域のPM担当 - 2022年1月より、プロダクトマネジメント部マネージャー     自己紹介 大野木 達也 / Tatsuya OONOGI   Twitter: yono_memo
  2. 事業概要 4 *1 Chatwork事業以外の事業として、ESET社提供のセキュリティ対策ソフトウェア「ESET」の代理販売事業を展開。安定的な収益貢献となっている *2 Nielsen NetView 及びNielsen Mobile NetView

    2021年4月度調べ月次利用者(MAU:Monthly Active User)調査。調査対象47サービスはChatwork株式会社にて選定 *3 2021年9月末時点 • 国内最大級のビジネスチャット「Chatwork」を中心に、複数の周辺サービスからなる「Chatwork事業」を展開*1 • ビジネスチャットのパイオニアであり国内利用者数No.1*2、導入社数は33.2万社*3を突破 • 電話やメールから効率的なチャットへ、ビジネスコミュニケーションの変化を加速させプラットフォーム化を目指す
  3. 6 KPIハイライト *1 Annual Recurring Revenue(年間経常収支)、2021年9月末時点のMRRの12ヶ月分 *2 Net Revenue Retention

    Rate。2019年12月末における課金顧客から生じる2020年12月末時点におけるストック収入 ÷ 2018年12月末時点から2019年12月末時のストック収入 *3 登録ID数に対しての解約率。2020年10月から2021年9月末までの12か月平均値 *4 Chatwork利用料の課金IDあたりの平均単価(Average Revenue Per User) *5 1日あたりのサービス利用者数(Daily Active User) 458.2万 3Q末時点 登録ID数 52.3万 3Q末時点 課金ID数 33.2万 3Q末時点 導入社数 29.7億円 3Q末時点 ARR*1 120% 2020年末時点 NRR*2 0.3% 3Q末時点 解約率*3 463.7円 3Q末時点 ARPU*4 96.6万 3Q中の最大値 DAU*5 (課金IDのみ:1.9%)
  4. 中長期方針 • 2021〜2024年でシェアを拡大し、中小企業No.1ビジネスチャットのポジションを確立する • 2025年以降で、中小企業市場における圧倒的なシェアを背景に、 あらゆるビジネスの起点となるビジネス版スーパーアプリとしてプラットフォーム化していく • 2021〜2024年の中期をシェア獲得における最重要フェーズと捉え、投資スピードを最大限に加速 7 Chatwork事業でCAGR40%

    前年を超える売上成長率の実現 継続した売上成長のための体制整備 長期:2025年〜 投資スピードを 最大限に加速 2024年シェア40% 全社売上高100億円 中小企業No.1 ビジネスチャット 中小企業のあらゆるビジネスの起点となるプラットフォーム ビジネス版スーパーアプリ 中期:2024年 当期:2021年
  5. Product-Led Growth(PLG)とは 9 • 米ベンチャーキャピタルのオープンビューが名付けたGTM(ゴー・トゥー・ マーケット)戦略の1つで、ユーザー獲得、アクティベーション、リテン ションを、プロダクトそのものが担うという手法 • 一見すると、購入前にプロダクトを試すというシンプルなビジネスモデル •

    PLGを取り入れるということは、事業に関わる全てのチームがプロダクトに 影響を与えるということ ◦ マーケティング:どうすればこのプロダクトの需要を伸ばせるか ◦ セールス:このプロダクトをどう使えば見込み顧客に買ってもらえるか ◦ カスタマーサクセス:どんなプロダクトならユーザーに今以上に活用してもらえるか ※「プロダクト・レッド・グロース」から引用
  6. SaaS サブスクリプションビジネスにおける主要なレバー 10 主要なレバーは下記3つ: 1. 顧客数を増やす 2. 顧客平均単価(ARPU)を増やす 3. 解約数を減らす

    そのインプットを引くとどのレバーの針が動くのかを知ることが重要 ※「プロダクト・レッド・グロース」から引用
  7. 15 Product-Led Growth • プロダクトを通じて価値を伝えることで ユーザー数と売上を拡大 • プロダクト/カスタマーサクセスの改善が重要 戦 略

    • 口コミにより広がり、高レバレッジで成長 • ユーザーのプロダクト活用度が上がると、ARPUが あがっていく構造 特 徴 Sales-Led Growth • セールスやマーケティング活動を通して売上を拡大 • セールス/マーケティングの改善が重要 • セールスの人員数に依存し、労働集約的 • セールスにより、都度アップセル、クロスセルを おこなってっていく必要がある 「Product-Led Growth」 によるサービス成長を実践 • Product-Led Growth (以降PLG) とは米国で注目されているSaaSの成長戦略で、プロダクトを通して顧客獲得をおこな う。旧来型のセールスが牽引する成長戦略を Sales-Led Growth と呼び区別している • PLGの代表例にZoom、Shopify等があり、非PLG企業と比べ顕著に高い成長率を実現。総利用ユーザー数が多く、 口コミで広がるサービスであることが必要で、当社サービスではPLGによる成長戦略を実践
  8. 16 売上推移 フリーミアムモデルによる 自然増の売上 カスタマーサクセス施策で 売上を押し上げ プロダクトによる自然成長を、カスタマーサクセス施策により加速 • サービス開始当初より、無料で使えるプランを広く利用してもらい、活用が進むと機能制限があり有料化する フリーミアムモデルを採用

    • 2015年以降、初期利用のサポート(オンボーディング)や、活用促進(カスタマーサクセス)を実施することにより、 自然に増え続けるフリーミアムの売上成長を押し上げることに成功 (=Product-Led Growth戦略)
  9. 18 フリーユーザー獲得 フリーミアム モデル フリーユーザー獲得 自然流入/紹介 アクティブ化 プロダクトマネージャー 有料化 プロダクトマネージャー

    セールス モデル 資料請求/問い合わせ マーケティング 商談化 インサイドセールス 受注 フィールドセールス ライセンス追加 カスタマーサクセス Product-Led Growth モデル 初期活用支援 インサイドセールス 有料化 フィールドセールス マーケティング/自然流入/紹介 アクティブ化 プロダクトマネージャー ライセンス追加 カスタマーサクセス PLG戦略 = 2つの成長エンジンを1つに • オンラインで自然増するフリーミアムモデルと、直接販売のセールスモデルを1つに統合する • フリーでまず利用してもらい、セールスがすでに利用しているユーザーの有料化を進めていく
  10. 19 フリーミアムモデルによる 自然増の売上 セールス/マーケティングによる 直接販売での売上 フリーミアムモデルに広告宣伝費を 投資することにより売上を押し上げ 効率的なカスタマーサクセスにより 売上を押し上げ フリーミアムモデル

    (自然増) セールスモデル (人が関与) 現在 2024年 モデル別売上 PLG戦略での成長イメージ • 自然流入と紹介が中心だったフリーユーザーに対し、広告宣伝費を投資して大きくユーザー数の拡大を狙う • セールスのプロセスをカスタマーサクセスへと転換。ユーザーの利用状況に応じた高度なデータ分析をおこない、 システムによる自動化を含めた効率的なカスタマーサクセスをおこなう • フリーを含めたユーザー数拡大を進めることにより、スーパーアプリ構想のプラットフォーム価値向上を実現 *上記図表は、PLG戦略についての説明を目的に作成したものであり、当四半期以降の売上について予測を開示するものではありません
  11. プロダクト戦略 プロダクト戦術 経営計画・経営戦略 プロダクトビジョン プロダクトイニシアチブ 結果指標 全社売上 100億 マーケット シェア

    40% 目標 ユーザー数 Acquisiton Activation Retention Referral Revenue 施策A:Macro / Micro KPI 施策B:Macro / Micro KPI 施策C:Macro / Micro KPI 施策D:Macro / Micro KPI 施策E:Macro / Micro KPI Product Initiative 1 Product Initiative 2 Product Initiative 3 Product Initiative 4 Product Initiative 5 North Star Metric 中期経営計画 中期経営戦略 Product Led Growth戦略 Horizontal x Vertical戦略 相互相関 DXソリューション戦略 21 Chatworkとしてのプロダクト戦略パッケージ
  12. 23 プロダクトビジョンとプロダクトイニシアチブ 働くをもっと楽しく、創造的に 誰もが簡単に活用できる チャットサービスを通して 業務プロセスのムダをなくし、 中小企業の生産性を劇的に 向上させる Mission すべての人に、一歩先の働き方を

    Vision 中期 Product Vision プロダクトイニシアチブ1 プロダクトイニシアチブ2 プロダクトイニシアチブ3 プロダクトイニシアチブ… Chatwork事業をひとりで立ち上げて育てて きた現CEO山本にタタキ案を当ててフィード バックと思いをもらい、複数回の議論を経て 決定。現段階では中期として策定 (中期戦略の内容になるので、実内容はごめんなさい…) 現段階でテーマを絞り込むというよりは、戦略全体を カバーできるよう幅広く策定 中小企業No.1ビジネスチャット 中期Vision
  13. 26 ChatworkにおけるAARRRの活用 ①Acquisition / 新規登録 新規登録ID数 etc ②Activation / 新規登録15日以降の活用

    Growth KPI (※独自定義) ③Retention / 継続利用 MAU, DAU, リテンション率, 顧客チャーン率 etc ④Referral / 紹介獲得 紹介リンク登録数, 紹介経由新規登録者数 etc ⑤Revenue / 有料顧客化 有料利用顧客数, ARPPU, 有料利用顧客チャーン率 etc 顧客行動ファネル (AARRRモデル) AARRRはDave McClureが提唱したグロースハックのモ デルで、サービス全体を顧客行動に合わせた5段階のス テージに分け、各段階の増加や離脱を整理したもの ①ユーザーを獲得 (Acquisition)し、 ②サービスの価値を感じてもらい(Activation)、 ③繰り返しサービスを使ってもらい(Retention)、 ④ 友人紹介 (Referral)や、 ⑤課金(Revenue)をしてもらう ①②の定義を少し変えているが、 このモデルを結果指標とすることで 事業成長を少しブレークダウンして追えそう
  14. 28 PLGとグロースハックの違い 2021年3月末に ProductLed. の Expert Q&A with Sean Ellis

    and Ethan Garr というイ ベントで、Hacking Growth の著者 Sean Ellis とProduct-Led Growthの著者 Wes Bush が話したPLGとグロースハックの違い: • まず重要なのは、どちらも「獲得(コンバージョン)と維持(リテンション)が価値の原動力で ある」という考え方に基づいている こと • どちらも高い効果を発揮するテスト学習と改善主導型のアプローチである • グロースハックは、成長への迅速なテスト学習のための考え方・方法論であり、成長を推進する ためのアプローチ ◦ データと人のボリュームがあるので、B2Cに適している(B2BのようにCSMや営業のような 人的接触がない) • PLGは、獲得と維持の原動力として製品を採用するGo-To-Market(GTM)戦略 ◦ B2Bに適し、リードが製品にどのように関わっているかを確認し、営業担当者の仕事を軽減 させるような体験を提供する必要がある • 非常に密接な関係にあり、価値という同じものに依存している
  15. 29 ChatworkにおけるPLGとAARRRのプロダクト指標の関係 ①Acquisition / 新規登録 新規登録ID数 etc ②Activation / 新規登録15日以降の活用

    Growth KPI (※独自定義) ③Retention / 継続利用 MAU, DAU, リテンション率, 顧客解約率 etc ④Referral / 紹介獲得 紹介リンク登録数, 紹介経由新規登録者数 etc ⑤Revenue / 有料顧客化 有料利用顧客数, ARPPU, 有料利用顧客解約率 etc 顧客行動ファネル (AARRRモデル) AARRRをプロダクトの結果指標として設定しているが、基本的にはPLGの重要指標もカバー できているので観点を変える必要はなく、②や④なども重要観点として追う PLGの重要指標 • サインナップ数 • 有料会員へのアップグレード者数 • ARPU(顧客平均単価) • ARR(年間経常収支) • 顧客解約率 • MRR(月間経常収支) 経営指標として 常時トラッキング
  16. 30 PLG推進部の立ち上げ ビジネス本部 PLG推進部 ビジネス本部内に 横断組織を組成 全メンバー8人 兼務で所属 プロダクト本部 プロダクトマネジメント部

    Growth PMチーム:5人 主所属はPdM部で、 メンバー全員が PLG推進部に片足 Core PMチーム:5人 (ProdOps含) グロースマーケティング カスタマー マーケティング PdM、デザイン、開発、QAなどプロダクト開発に関 わるメンバーが所属 事業開発、マーケティング、セールス、CSなどビ ジネス領域全般のメンバーが所属 副本部長 マネージャー(兼) 事業企画部 プロダクト デザイン部 XX開発部 プロダクト セキュリティ部 SRE部 ・・・ ・・・ PLG推進部:課題のブラッシュアップや解決方針を議論 Growth PMチーム:開発が必要なものは企画を詰め、 PRD作成、優先判断と開発の調整 ビジネス本部:施策前段階の有人対応での検証や、開発不要で実行可能なオペレーションの構築・実行