Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
スクラムの成熟と壁 〜スケーリングの議論から見えたもの〜 / Maturity and bar...
Search
Yoshiki Iida
July 28, 2024
Technology
4
2k
スクラムの成熟と壁 〜スケーリングの議論から見えたもの〜 / Maturity and barriers in Scrum
「脱!なんちゃってスクラム」実践事例から学ぶ Lunch LT
#スクラム_findy
https://findy.connpass.com/event/324444/
Yoshiki Iida
July 28, 2024
Tweet
Share
More Decks by Yoshiki Iida
See All by Yoshiki Iida
自律的なスケーリング手法FASTにおけるVPoEとしてのアカウンタビリティ / dev-productivity-con-2025
yoshikiiida
2
21k
エンジニアリングマネージャー視点での、自律的なスケーリングを実現するFASTという選択肢 / RSGT2025
yoshikiiida
5
9.2k
ログラスが面白いと思う理由をマネージャーがエモく語ってみる / 20240829 vs LT
yoshikiiida
1
920
質とスピードを両立するログラスのホールチームQA / 20240827 QASaaS_findy
yoshikiiida
2
770
エンジニア組織30人の壁を超えるための 評価システムとマネジメントのスケール / Scaling evaluation system and management
yoshikiiida
12
3.8k
スタートアップにおける組織設計とスクラムの長期戦略 / Scrum Fest Kanazawa 2024
yoshikiiida
17
6.5k
ログラスの選考プロセスにおけるアトラクト戦略 / Attraction strategy in Loglass interview process
yoshikiiida
7
3.8k
QA経験のないエンジニアリング マネージャーがQAのカジュアル面談に出て 苦労していること・気づいたこと / scrum fest niigata 2024
yoshikiiida
2
5.7k
ログラスにおけるコード品質でビジネスに貢献する仕組み・カルチャー / A system and culture that contributes to business through code quality in Loglass
yoshikiiida
12
2.5k
Other Decks in Technology
See All in Technology
SRE with AI:実践から学ぶ、運用課題解決と未来への展望
yoshiiryo1
1
680
株式会社島津製作所_研究開発(集団協業と知的生産)の現場を支える、OSS知識基盤システムの導入
akahane92
1
1.1k
Microsoft Defender XDRで疲弊しないためのインシデント対応
sophiakunii
3
400
RapidPen: AIエージェントによる高度なペネトレーションテスト自動化の研究開発
laysakura
1
370
Frontier Airlines Customer®️ USA Contact Numbers: Complete 2025 Support Guide
frontierairlineswithflyagent
0
110
Maintainer Meetupで「生の声」を聞く ~講演だけじゃないKubeCon
logica0419
1
160
ゼロから始めるSREの事業貢献 - 生成AI時代のSRE成長戦略と実践 / Starting SRE from Day One
shinyorke
PRO
0
220
Shadow DOMとセキュリティ - 光と影の境界を探る / Shibuya.XSS techtalk #13
masatokinugawa
0
260
Expertise as a Service via MCP
yodakeisuke
1
130
AI Ready API ─ AI時代に求められるAPI設計とは?/ AI-Ready API - Designing MCP and APIs in the AI Era
yokawasa
20
5.7k
Amazon CloudWatchのメトリクスインターバルについて / Metrics interval matters
ymotongpoo
3
200
Snowflake のアーキテクチャは本当に筋がよかったのか / Data Engineering Study #30
indigo13love
0
240
Featured
See All Featured
Sharpening the Axe: The Primacy of Toolmaking
bcantrill
44
2.4k
[Rails World 2023 - Day 1 Closing Keynote] - The Magic of Rails
eileencodes
35
2.5k
KATA
mclloyd
30
14k
Performance Is Good for Brains [We Love Speed 2024]
tammyeverts
10
990
The Language of Interfaces
destraynor
158
25k
Optimizing for Happiness
mojombo
379
70k
Docker and Python
trallard
45
3.5k
Code Reviewing Like a Champion
maltzj
524
40k
Practical Tips for Bootstrapping Information Extraction Pipelines
honnibal
PRO
21
1.3k
The Cult of Friendly URLs
andyhume
79
6.5k
Embracing the Ebb and Flow
colly
86
4.8k
jQuery: Nuts, Bolts and Bling
dougneiner
63
7.8k
Transcript
© 2024 Loglass Inc. スクラムの成熟と壁 〜スケーリングの議論から見えたもの〜 2024.07.29 「脱!なんちゃってスクラム」実践事例から学ぶ Lunch LT
© 2024 Loglass Inc. 飯田 意己 株式会社ログラス 開発本部 プロダクト開発部 部長
シニアエンジニアリングマネージャー Profile 2015年に株式会社クラウドワークスに入社。エンジニア、スクラムマス ター、プロダクトオーナーを経て、2019年から執行役員として開発部門 の統括を行う。現在は株式会社ログラスにてソフトウェアエンジニアとし てプロダクト開発に携わったのち、1人目のエンジニアリングマネージャー として事業と組織の成長にコミットしている。 X: @ysk_118 Yoshiki Iida
© 2024 Loglass Inc. Loglassについて
© 2024 Loglass Inc. Contents 1. なんちゃってスクラムになっているかもしれない事象とその対処 2. ログラスのスクラムの歴史
© 2024 Loglass Inc. Contents 1. なんちゃってスクラムになっているかもしれない事象とその対処 2. ログラスのスクラムの歴史 前半は飯田が過去実際に失敗した経験について、
後半は現在のログラスでの取り組みについてお話しします。
© 2024 Loglass Inc. 01 なんちゃってスクラムになっているかもしれない 事象とその対処
© 2024 Loglass Inc. 事象1: スクラムガイドを読んでいない • 状況 ◦ ネットの記事や書籍ばかりをインプットしており、スクラムガイドを読んでいない
◦ スクラムイベントの目的をチームで考えていない • 対処 ◦ スクラムをやるのであればもっとも簡潔なドキュメントがスクラムガイドとなるため、まずこ れを読む ▪ その他の情報はスクラムガイドを実践するHowと捉えた方が良い ◦ Howをやる前に、スクラムの”考え方”をチームで共有化しよう 01|なんちゃってスクラムになっているかもしれない事象とその対処
© 2024 Loglass Inc. 事象2: 時間効率ばかり意識したファシリテーション • 状況 ◦ 固定のアジェンダで時間内に議論を終わらせる進め方をしている
◦ 進め方をアップデートする余裕がない・視点を持てていない • 対処 ◦ (少なくともファシリテーターが)議論を時間内に終わらせなければいけないという 思考を一度捨てる ◦ 俯瞰してチームの会話をみてスクラムイベントの目的に沿った会話がなされているか?を観 察する ◦ 進め方を試行錯誤し、目的が達成されるようなアジェンダにアップデートする 01|なんちゃってスクラムになっているかもしれない事象とその対処
© 2024 Loglass Inc. 事象2: 時間効率ばかり意識したファシリテーション 01|なんちゃってスクラムになっているかもしれない事象とその対処
© 2024 Loglass Inc. 事象2: 時間効率ばかり意識したファシリテーション 自動車教習所で、「もっとミラーみて!」「もっと周囲みて!」と注意された ことはありますか?私はあります。 目の前だけを見て運転するのではなく、もっと車の周囲を俯瞰して情報処 理しないといけないということですね。
ファシリテーションも時間内に終わらすだけでなく、チームの雰囲気、発言、 会話の中身など、さまざまな情報を俯瞰的にみて最適なやり方を選択す ると言う点では運転と似ているかもしれません。 目の前で起きていることに集中してしまうかもしれませんが、俯瞰する 気持ちの余裕が重要です。 01|なんちゃってスクラムになっているかもしれない事象とその対処
© 2024 Loglass Inc. 事象3: チーム内だけで自分たちはいいチームだと言っている • 状況 ◦ スクラムの考え方も理解して、自分たちなりの進め方もできるようになって、
成果が出てきたぞ!いいチームになってきた!と自分たちだけで言っている • 対処 ◦ 第三者からチームのパフォーマンスについてどう思うかヒアリングしてみる ▪ 社内:マネージャー、ステークホルダーとなる部署の人 ▪ 社外:コミュニティにいる人 ◦ コミュニティに行ったことがないなら、チームがなんちゃってを脱するチャンスかも 01|なんちゃってスクラムになっているかもしれない事象とその対処
© 2024 Loglass Inc. 02 ログラスのスクラムの歴史
© 2024 Loglass Inc. チームの変遷 02|ログラスのスクラムの歴史 • ワンチーム(2020-2021) ◦ スクラム経験者が多く、過去やっていたことを持ち寄って足固めをした
• チーム分割(2022-2023) ◦ 人が増えてきてチームを機能領域で分割 ◦ 領域ごとの複雑さの認知負荷をチーム分割することで扱えるようにした • スケーリング(2024-) ◦ 専任スクラムマスターの配置 ◦ 領域横断の開発項目の増加、流動的な人の動きへの対応
© 2024 Loglass Inc. ワンチーム(2020-2021) • 認定スクラムマスターを持っているメンバーが複数名いた • ここでの成功体験がその後のチーム分割の下地になるという意識 •
お互いの知識・経験を持ち寄り高速に基盤を整えた 02|ログラスのスクラムの歴史
© 2024 Loglass Inc. チーム分割(2022-2023) • プロダクトが大きくなり、人も増え、ワンチームで動きづらくなってきた • 機能領域ごと、新規・既存、などいろいろ観点はあったが、機能領域の複雑性 に対する認知負荷の高まりから、扱う複雑性のスコープを小さくするという観点で機
能領域ごとのチームを編成した • 専任スクラムマスターは置かずにエンジニアが主体となってチーム運営を行った 02|ログラスのスクラムの歴史
© 2024 Loglass Inc. スケーリング(2024-) • 機能領域ごとのチーム分割の課題 ◦ チームを増やしにくい ▪
機能を細かい単位で分割するか、新しい機能領域を作るしかない ◦ 領域横断の開発を実施する際のチーム間連携のコミュニケーションコスト ▪ 結局全体の複雑性に向き合わなければいけなかった • 高い自律性と組織の流動性を考慮したスケーリングの検討へ ◦ 専任スクラムマスター(@bonotake)の参画 ◦ FASTの検討 ▪ https://www.fast-agile.com/ 02|ログラスのスクラムの歴史
© 2024 Loglass Inc. FASTとは?やログラスがFASTに至った背景は以下をご覧ください https://speakerdeck.com/itohiro73/huitiyakai-fa-kara-horupurodakutokai-fa-he-gu-ke-jia-zhi-hexiang-kihe-isok-kerutiao-zhan-at-itohiro73-number-kai-fa-sheng -chan-xing-con-findy?slide=67 02|ログラスのスクラムの歴史
© 2024 Loglass Inc. 4年の取り組みを振り返って • 初期にスクラムを選択し、知見・経験を持ち寄れたのはよかった ◦ 高速に開発の基盤が構築できた •
認知負荷への対処としてのチーム分割を行ったが、当時は、プロダクトの価値を 考えた時に結局認知負荷と向き合わざるを得ないことが見えていなかった ◦ チームのスコープを小さくコントロールし続けられるならスケーリングを 検討せずとも、複数スクラムチームを育てていくだけでも耐えうる • 自律性の高いスケーリングが実現できるか?がこれからのチャレンジ ◦ 専任スクラムマスターから組織視点のインプットをもらい、 一緒に変革を推進している(めちゃくちゃありがたい) 02|ログラスのスクラムの歴史
© 2024 Loglass Inc.