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導入から定着へ ~コーディングエージェントを日常業務に組み込む実践知~

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October 22, 2026

導入から定着へ ~コーディングエージェントを日常業務に組み込む実践知~

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Yuki Sakai

October 22, 2026

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Transcript

  1. イントロ まずは、3つ質問させてください Q1 Q2 ソフトウェアエンジニア デザイナー・PdM バックオフィス(経理・人事など) それ以外 毎日使っている ときどき使っている

    まだ使っていない 職種は? 日常業務で AI を 活用していますか? Q3 使っている方のみ メインで使っている コーディングエージェントは? Claude Code Codex GitHub Copilot それ以外 3
  2. イントロ 今日の流れ なぜ定着しないか 導入と定着/定着を止める5つの摩擦 5 つの摩擦と対策 01 02 03 04

    05 実例とまとめ リモート開発環境で開発を自動化する/さいごに 伝わらない 任せきれない 広がらない つながっていない プロセスが追いついていない 5
  3. 導入と定着 AI の導入は進んだ。次は定着 生成 AI を業務で使う企業は増えた。でも、社員に使われ続けているとは限らない 「多くの社員が活発に利用」 生成 AI を業務で使う企業

    33.4% 86.4% 前年度の 55.2% から増えた 多くの企業で導入が進んだ 企業が挙げた課題の1位 [1] 使える環境があっても、この割合 p.204] 59.8% [2, は「一部の関心の高い個人のみ」 35.7% 「従業員に生成 AI 利用が 定着していない」 [2, p.211] 総務省:令和 年版 情報通信白書,図表Ⅰ-2-1-6(2026).2024年度→2025年度の企業向け調査 総務省(委託先: データ経営研究所):国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究の請負 成果報告書,図表3-104・3-113(2026).33.4%・59.8% は 、 は ・複数回答。汎用の生成 AI についての調査 [1] 8 [2] NTT n=368 35.7% n=515 7
  4. 導入と定着 導入は「使える」、定着は「使うのが前提」 導入 を使える環境がある 定着 を使う前提で、仕事が組まれている どのような状態か AI 使うかどうか 利用者が都度選ぶ

    使う一択。使うのが当たり前 使わないとどうなるか 手作業に戻る 使わないほうが手間がかかる 使う人 関心の高い一部の人 チームの全員 AI 8
  5. 導入と定着 開発で考えると 私たちのチームの導入初期といま 導入初期 AI を使える エラー文を貼って原因を聞く 定着後 AI が前提にある

    → が問題の修正から動作確認まで実施 その後人が最終確認 AI 人が指示書を見て設計した上で AI にコードを書かせ、人が動作確認 チケットを渡すと AI が実装・レビュー・動作確認まで実施 → 詳しい人だけが使いこなす → ナレッジが蓄積され メンバー全員が恩恵を受けられる 9
  6. つの摩擦 定着を止める摩擦 5 どれも1回は小さい手間。しかし積み重なると定着には繋がらない 01 伝わらない AI は前提を知らない。毎回ゼロから説明し直し、教えたことも次に残らない 02 任せきれない

    出力はそれらしいが、正しいとは限らない。ずれを直し、確かめる手間が残る 03 広がらない うまく使えるのは一部の人だけ。ナレッジが個人の中に閉じている 04 つながっていない AI 05 プロセスが追いついていない 業務の手順が、AI を使う前提で作られていない。頼む前の準備や受け渡しを人が担う が外部ツールに触れられない。情報を集めるのも、結果を運ぶのも人がやる 12
  7. 定着を止める摩擦 つの摩擦と、その対策 5 摩擦1 ハーネスのガイド コンテキストエンジニアリング 摩擦2 ハーネスのセンサー 品質の検証 摩擦3

    ナレッジマネジメント 摩擦4 外部ツールとつなぐ 摩擦5 業務プロセスの再設計 伝わらない 任せきれない 広がらない つながっていない プロセスが追いついていない 毎回伝えなくても済むように、前提と答えの場所を書いておく 正しさの確認は機械と AI に任せ、人は最後の判断を担う 自分の AI だけが賢くなる状態から、チームの AI がそろって賢くなる状態へ 人が間に入る状態から、AI が外部ツールを直接使う状態へ 実装の前後にある決まった作業も自動化する 13
  8. 定着を止める摩擦 ハーネスエンジニアリング 摩擦1・2の対策。公式ドキュメントをもとに、私たちが運用で改善してきた内容も交えて紹介します ハーネス = AI エージェントのうちモデル以外のすべて [4] 指示ファイル・ツール・テスト・レビューなど、モデルの外側から AI

    の動きを支えるもの ハーネスはどう作るか 最初から作り込まず、ミスが起きるたびに足していく AI がミスをしたら、そのミスを二度としない手立てを作る : , ( [8] ). [4] Böckeler, B. Harness engineering for coding agent users martinfowler.com 2026 [8] Hashimoto, M. My AI Adoption Journey 2026 : ( ). 14
  9. 定着を止める摩擦 ハーネスの2つの面 ガイドとセンサー ハーネス(モデル以外のすべて) ガイド センサー が動く前に、 進む方向を伝える が動いた後に、 結果を確かめて直させる

    AI ↓ AI 具体的には ↓ コンテキストエンジニアリング 品質の検証 ・メモリ・docs・Skills 具体的には ・テスト・AI のレビュー・動作確認 CLAUDE.md lint プロンプトエンジニアリングも、この中に含まれる モデル ガイド/センサーの区分は [4] による。[4] Böckeler, B.:Harness engineering for coding agent users,martinfowler.com(2026). 15
  10. 摩擦1 伝わらない コンテキストエンジニアリングとは コンテキストエンジニアリング = AI が参照する情報を設計すること 含まれるもの 指示(プロンプト) ルールと前提

    資料 ツール 会話の履歴 何をしてほしいか、どう振る舞ってほしいか チームの規約や、プロジェクトの前提(CLAUDE.md など) 仕様や設計の記録、既存のコード AI が使えるツールと、その実行結果 これまでのやりとり 望む結果が出る、最小限で中身の濃い情報を選ぶ ( [3] Anthropic Rajasekaran, P. [3] [3] ほか):Effective context engineering for AI agents,Anthropic Engineering(2025). 18
  11. 摩擦1 伝わらない コンテキストの4つの渡し方 どんなものか 毎回読むもの 指示ファイル 毎回、最初に読む指示 CLAUDE.md 自動メモリ Claude

    CLAUDE.md MEMORY.md とメモ が自分で書き残すメモ 必要なときに読むもの の全文 パスを書いた docs※ (索引)の 1 MEMORY.md 200 先頭 行 に書いた リポジトリの中の知識 仕様や設計の記録 CLAUDE.md Skills 必要なときに使う手順や知識 各 Skills の名前と説明 ・ ・既存のコード docs/ ADR SKILL.md ※ パス の形で取り込むと、必要なときではなく起動時に全文が読み込まれる @ パス 件ごとのメモのファイル の各ファイル、 、既存のコード SKILL.md の本文と 付属のファイル docs/ ADR [5] 毎回読むものは少なく。それ以外は必要なときに読ませる 19
  12. 摩擦1 伝わらない CLAUDE.md とは 前提 会話は毎回、まっさらな状態から始まる 読まれ方 毎回のセッションの最初に読み込まれる指示 役割 コードを読んでも分からない前提を、次のセッションに引き継ぐ

    書くもの 毎回必要な事実(コマンド、規約、構成、「必ず〜する」) : : , (参照 [5] Anthropic How Claude remembers your project Claude Code Docs 2026-09-27 [6] Anthropic Best practices for Claude Code Claude Code Docs 2026-09-27 , (参照 ). [5] [5] [6] [5] ). 21
  13. 摩擦1 伝わらない CLAUDE.md 1 ファイルの目安 は長く書きすぎると逆効果 全文が毎回コンテキストに入り、トークンを消費する [5] 200行 [5]

    長いほど、大事なルールがほかの記述にまぎれて守られにくくなる 詳しい API ドキュメントなどは書かず、場所だけ書く 以内に収める @ で取り込むと、取り込んだファイルも毎回全文が入る [5][6] [6] [5] 毎回必要なことだけを書き、詳しいことは置き場所だけを書く : : , (参照 [5] Anthropic How Claude remembers your project Claude Code Docs 2026-09-27 [6] Anthropic Best practices for Claude Code Claude Code Docs 2026-09-27 , (参照 ). ). 22
  14. 摩擦1 伝わらない CLAUDE.md の一例 私が開発するモバイルアプリプロジェクトでの記載内容 CLAUDE.md 概要 ## 絶対に守ること ##

    検証コマンド ## 開発の流れ ## ディレクトリ ## 対象は Android と iOS。AI が操作するのは dev 環境だけ main へ直接 push しない、ほか5件 型チェック・lint・テスト・format をエラー0に保つ 要点だけ書く。詳しい手順は docs/guides/ を参照 features/ ごとの置き方。配置ルールは docs/conventions/ を参照 23
  15. 摩擦1 伝わらない 「絶対に守ること」は絞る 破ると取り返しがつかないものだけにする それぞれに、理由と正しい情報が書かれた場所を添える 何でも「絶対」にすると、どれも守られなくなる CLAUDE.md に書いても、AI が必ず守るとは限らない。必ず止めたいものは仕組みで止める 例:main

    への直接 push はリポジトリのルールセットで禁止。CLAUDE.md にも書いてあるが、実際に止めているのはルールセット : , [5] (参照 2026-09-27). [5] Anthropic How Claude remembers your project Claude Code Docs 24
  16. 摩擦1 伝わらない 自動メモリとは 自動メモリ = Claude が自分で書き残すメモ [5] 作業中に受けた訂正や好みを、次の会話でも使えるように Claude

    がファイルに残す。次の会話の最初に、その索引を読む CLAUDE.md との違い [5] CLAUDE.md 自動メモリ 誰が書くか 人 Claude 何を書くか 毎回守ってほしい指示とルール 受けた訂正や好み、コードからは分からない事情 毎回読むもの 全文 索引(MEMORY.md)の先頭200行。中身は必要なときに読む : , 自身 (参照 2026-09-27). [5] Anthropic How Claude remembers your project Claude Code Docs 27
  17. 摩擦1 伝わらない メモリの改善サイクル 自動メモリは、Claude 自身が書き、次のセッションで読み返す 1 訂正を受ける 2 メモリに書く 4

    メモリを更新する 3 次のセッションで読む 人が Claude の出力を直したり、 好みや事情を伝えたりする 同じことでまた訂正されたら、 前のメモを直す 覚えておくことをファイルに書き、 索引に1行足す 最初に索引を読み、 関係するメモだけを読む 28
  18. 摩擦1 伝わらない メモリのアンチパターン よくある失敗 こうする 理由のないメモ → 訂正するときに、理由も一緒に伝える 放置されたメモ →

    ときどき中身を見直し、古いものを消す 少し違う場面で、同じ間違いをする 古い内容のまま使われ続ける 自分だけのメモ ほかの人の AI は読めない : → チーム全員に役立つものは、docs に移す [5] , (参照 2026-09-27). [5] Anthropic How Claude remembers your project Claude Code Docs 29
  19. 摩擦1 伝わらない 知識はリポジトリの中に書きためる リポジトリに書きためる理由 AI は読めない場所にある知識を使えない 流れていったチャット、人の頭の中、つながっていない外部ツールは、AI にとって存在しないのと同じ [7] コードと一緒に最新に保てる

    仕様や挙動が変わる PR で、関係する知識も同じ PR で直せる [7] 人と AI が同じものを読める 管理する場所が1か所で済み、人にとっても調べる手がかりになる : , ( ). [7] Lopopolo, R. Harness engineering: leveraging Codex in an agent-first world OpenAI 2026 32
  20. 摩擦1 伝わらない 実例 の構成 docs/ 私たちのモバイルアプリのリポジトリの一例 docs/ overview/ guides/ conventions/

    design/ アプリの全体像(概要・構成・配信の流れ)、用語集 ビルド・リリース・日常の開発の手順 コード・レビュー・docs の書き方 設計判断(ADR 26本)と背景 初めて触るときに読む 作業の手順を知りたいときに読む 書き方に迷ったときに読む なぜそうなっているかを知りたいときに読む 33
  21. 摩擦1 伝わらない docs は新メンバーに伝わるように書く 新メンバー チームやリポジトリの 事情をまだ知らない ≒ AI 会話のたびに

    何も知らない状態から始まる どちらもチームの事情を知らないまま docs を読む だから新メンバーに伝わる docs は AI にも伝わる 34
  22. 摩擦1 伝わらない 決めたことは理由と一緒に残す ライブラリの選定や、作らないと決めた機能など 残していないと → は過去の判断を知らず 推測で決め直す AI 理由と一緒に残すと(ADR)

    は残した判断を読んで それに従う AI 判断の理由が残っていれば AI は蒸し返さない ( )は、設計の判断とその理由を1件ずつ残す文書 ADR Architecture Decision Record 35
  23. 摩擦1 伝わらない Skills Skills とは = 必要なときに読み込まれる手順や知識のまとまり 同じ説明を何度もチャットに貼っていたら Skills にまとめておく

    CLAUDE.md との違い [10] [10] CLAUDE.md Skills 何を書くか 毎回必要な事実 手順やときどき要る知識 読み込まれ方 毎回全文を読む 毎回読むのは名前と説明だけ。本文は使うときに読む 呼ばれ方 呼ばなくても毎回読まれる 関係するときに AI が呼ぶ。人が /スキル名 で呼ぶこともできる : , [10] Anthropic Extend Claude with skills Claude Code Docs (参照 2026-09-27). 38
  24. 摩擦1 伝わらない Skills の書き方 SKILL.md --name: 01 〈名前〉 [10] [10]

    02 手順だけでなく判断の基準も書く 03 どんなときはやらないか、どこまでやったら終えるかも書く 手順 03 ## やらない場面・止めどころ ## 04 詳しくは reference.md 04 , は説明文を見て使うかを決める 削除など危険を伴う操作は AI から呼ばせない --- : AI 副作用のあるものは人が呼んだときだけ動かす 02 〈何をするか〉 〈いつ使うか〉 01 description: disable-model-invocation: true 説明文に「何をするか」と「いつ使うか」を書く [10] Anthropic Extend Claude with skills Claude Code Docs 本文は短く。詳しい資料は別のファイルに分ける SKILL.md は 500 行以内が目安 [10] (参照 2026-09-27). 39
  25. 摩擦1 伝わらない Skills 提供元 の提供元 Bundled skills Claude Code に同梱

    Plugin マーケットプレイスから入れる 例 使える人 、 /code-review /verify Anthropic ・ Word PDF など が公開している Skills 集 の作成、Skills 作りなど Custom Skills 個人用・リポジトリ用・組織用の Skills claude.ai account アカウントで有効にした Skills 自分たちで作る アカウントで有効にする どこに置くかで、使える人が決まる Claude Code を使う全員 プラグインを入れた人 自分だけ そのリポジトリで作業する人 組織の全員 そのアカウントの人 Personal Project Enterprise クラウドのセッションでも使える [10] 呼び名は [10][11] による。Skills の形式は公開された仕様(Agent Skills)に沿っていて、ほかの AI ツールでも使える [10] [10] Anthropic:Extend Claude with skills,Claude Code Docs [11] Anthropic:Agent Skills,Claude Docs(参照 2026-09-27). 40
  26. 摩擦1 伝わらない 実例 私たちのチームの Skills Skills 何をするか 開発環境の立ち上げ 作業ごとに別のフォルダを作り、アプリをエミュレータで動かせる状態にする 動作確認のスクショ撮影

    アプリを動かし、修正前後のスクショを PR に貼る AI レビューと修正の繰り返し フォルダは git worktree で作る 指摘がなくなるまで、レビューと修正を繰り返す 41
  27. 摩擦1 伝わらない 摩擦 1 / 5 伝わらないへの対策 毎回伝えなくても済むように、 前提と答えの場所を書いておく は短く。詳しいことは必要なときに読ませる

    CLAUDE.md CLAUDE.md 自動メモリ メモリを書くのは Claude。中身を整えるのは人 リポジトリの中の知識 新メンバーに伝わる docs が、AI の推測を減らす Skills 何度も貼っていた説明は、Skills にまとめておく 43
  28. 01 伝わらない 02 任せきれない 任せきれない 03 広がらない 04 つながっていない 正しさの確認は機械と

    AI に任せ、人は最後の判断を担う 品質の2つの見方 何を任せ、何を任せないか それぞれの確かめ方 05 プロセスが追いついていない
  29. 摩擦2 任せきれない AI よくある場面 AI の出力をそのまま使う人は少ない の回答を「そのまま使う」開発者は、わずか 9.6% [17] どこが正しいか分からないので、人が出力を全部読み直す

    AI が速く書くほど、人の確認が追いつかない 人の確認が開発のボトルネックになる : , ( [17] Stack Overflow 2026 Developer Survey AI 2026 ). 45
  30. 摩擦2 任せきれない 品質はユーザーから見えるかどうかで2つに分ける 内部品質 ユーザーからは見えない品質 ・ 読みやすいか ・ 直しやすいか ・

    テストしやすいか 外部品質 [9] → コードを読んで確かめる [9] ユーザーから見える品質 ・ 正しく動くか ・ 使いやすいか ・ 速いか、壊れにくいか [9] → 動かして確かめる 和田卓人:質とスピード(2020秋バージョン),JaSST'20 Kyushu 基調講演(2020). 46
  31. 摩擦2 任せきれない 何を任せられて何を任せられないか 任せられる(機械と AI) 任せられない(人) 内部品質 規約どおりか、型や構造に誤りがないか 何を規約にするか、どんな設計にするか lint

    基準そのものを決める 外部品質 決めたとおりに動くか ユーザーにとって良い体験になっているか ・型チェック・AI のレビュー テスト・ブラウザやエミュレータでの動作確認 AI が動かせない場面も人が触る 基準に合うかは AI が確かめる。基準を決めるのは人 47
  32. 摩擦2 任せきれない 内部品質で守りたいこと AI は今あるコードを手本に書く。だから、手本になるコードを次の4つの観点で保つ 01 読みやすさ 何をしているか、なぜそうしたかが読み取れるか 02 変更しやすさ

    変えるときに、変える場所と影響が分かるか 03 テストしやすさ テストを書きやすい作りで、実際にテストがあるか 04 一貫性 チームの規約と、既存の設計に沿っているか 49
  33. 摩擦2 任せきれない 機械的に確認できるもの・できないもの 機械的に確認できる 機械的に確認できない → AI に確認させる ルールに書けて、答えが1つに決まる 意味を読まないと、判断できない

    型が合っているか 書式と書き方のルールを守っているか 複雑すぎる関数、コードの重複 テストが通るか、足りているか : , 名前が中身を表しているか 責務の分け方が自然か 原因を直さず、症状を抑え込んでいないか 頼まれた範囲を超えて作り込んでいないか ( ).機械的な検査が得意なもの/意味の判断が要るもの [4] Böckeler, B. Harness engineering for coding agent users martinfowler.com 2026 50
  34. 摩擦2 任せきれない 機械的に確認できないもの AI に確認させること・確認させるときの注意点 確認させること 確認させるときの注意点 チームの規約に沿っているか 決めた設計に沿っているか 保守性を大きく下げる無理な実装がないか

    頼まれた範囲を超えて作り込んでいないか : : , 書いた AI とは別の AI にさせる 作業を終える前にまとめて実行する 指摘をそのまま信じない [6] ( [4] ). [4] Böckeler, B. Harness engineering for coding agent users martinfowler.com 2026 [6] Anthropic Best practices for Claude Code Claude Code Docs 2026-09-27 , (参照 ). 51
  35. 摩擦2 任せきれない AI のレビューでよくある失敗とその防ぎ方 よくある失敗 防ぎ方 見落とす → 差分の外まで読ませる ありもしない不具合を指摘する

    → 壊れる条件を具体的に書かせ、別の AI に確かめさせる 好みで指摘する → 指摘の根拠を書かれた規約か既存の実装に限る 見たふりをする → 変更したファイルすべてに見た結果を書かせる 差分の中しか見ない もっともらしいが、実際には起きない 規約にない基準を持ち込む 見ていないファイルが残る 呼び出し元・既存データ・権限まわり 失敗ごとに防ぎ方を決めておけば指摘を1件ずつ疑わなくて済む 52
  36. 摩擦2 任せきれない テストで確かめるもの・AI に動かして確かめさせるもの テストで確かめる 何度でも同じ結果で確かめたいもの ・ 計算やデータの変換 ・ 条件分岐と境界の値

    ・ 一度直した不具合の再発 AI に動かして確かめさせる 画面で見ないと分からないもの ・ 画面の表示とレイアウト ・ 操作の流れ ・ ブラウザや端末ごとの見え方 56
  37. 摩擦2 任せきれない AI が動作確認できる環境をつくる なぜ必要か AI が動作確認まで済ませれば、人は結果を見るだけでよくなる 用意するもの 01 動かせる場所

    起動できる開発環境と確認用のデータ 02 操作する手段 ブラウザやエミュレータを操作するツール(MCP など) 03 確かめ方 起動と確認の手順を CLAUDE.md や Skills に書く 04 証拠の残し方 スクショを PR に貼らせ、確かめられないことは「未確認」と書かせる 57
  38. 摩擦2 任せきれない AI では確かめられないところを人が触る なぜ AI では確かめられないのか AI AI が確かめられるのは、用意した環境の中で動かせることだけ

    での確認が難しい例 実機や人の操作が要る カメラや生体認証、多要素認証が入るログイン 開発環境では再現できない ソフトキーボードが画面を覆う場面、本番のデータでだけ起きる不具合 → こうした場面は人が触って確かめる 58
  39. 摩擦2 任せきれない 体験の良さは人が守る なぜ人が守るのか AI AI は何が「良い体験」かを知らない が知らないこと ・ チームが何を目指しているか

    ・ 何を作りたいか(人が示さないと確かめられない) [4] 体験こそ人が意思を込める場所 : [4] [4] , ( ). [4] Böckeler, B. Harness engineering for coding agent users martinfowler.com 2026 59
  40. 摩擦2 任せきれない 摩擦 2 / 5 任せきれないへの対策 正しさの確認は機械と AI に任せ、

    人は最後の判断を担う や型と AI のレビューで確かめる 内部品質 lint 外部品質 AI 体験 人が意思を込めて守る がアプリを動かして確かめる 60
  41. 01 伝わらない 02 任せきれない 広がらない 03 広がらない 04 つながっていない 05

    プロセスが追いついていない 自分の AI だけが賢くなる状態から、チームの AI がそろって賢くなる状態へ ハーネスの置き場所と共有 自分の AI が覚えたことを、チームの AI へ
  42. 摩擦3 広がらない よくある場面 新メンバーの AI が前に解決した罠でまた止まる 数か月前の Aさん AI がテストを動かせずに止まる

    原因は依存の入れ忘れだった Aさんが教えて Aさんの AI が覚えた → 今週入った Bさん Bさんの AI も同じところで止まる Bさんは AI に原因をもう一度調べさせる 数か月前と同じ答えにたどり着く 改善されたのは Aさんの手元の AI だけだった 62
  43. 摩擦3 広がらない ハーネスは使う人の手元で増えていく 01 ミスに気づくのはその場で AI を使っていた1人 02 二度としない仕組みもまずその人の手元に作られる 自動メモリ・個人の

    CLAUDE.md・個人の Skills [8] そのままでは使いこなしている人の AI だけがミスをしなくなる : ( ). [8] Hashimoto, M. My AI Adoption Journey 2026 63
  44. 摩擦3 広がらない 同じ CLAUDE.md や Skills でも置き場所で使える人が変わる 自分のマシンに置く リポジトリに置く ・

    個人の CLAUDE.md ・ 個人の Skills ・ 自動メモリ → 自分の AI だけが使える ・ プロジェクトの CLAUDE.md ・ チームの Skills ・ docs・ADR → チーム全員の AI が使える 手元で育てた知識はリポジトリに置いて初めてチームに届く : , : , (参照 2026-09-27). [5] Anthropic How Claude remembers your project Claude Code Docs [10] Anthropic Extend Claude with skills Claude Code Docs 64
  45. 摩擦3 広がらない 手元に残すもの、チームで共有するもの 基準はほかのメンバーの AI も知るべきことか 手元に残す チームで共有する 進め方の好み 環境の罠

    やりとりの好み 仕様や設計の決定 コミットは、頼んだときだけにする 投稿する前に、下書きを見せる 自分の環境の値 手元の接続先や、テスト用のアカウント 新しい作業ディレクトリでは、依存を入れ直す 仕様は、コメントではなく実装とテストで確かめる 失敗から学んだ手順 一時ファイルは、作業ごとに別の場所に置く 全部を共有すると、自分の好みまでほかのメンバーの AI に押しつけることになる 66
  46. 摩擦3 広がらない 摩擦 3 / 5 広がらないへの対策 自分の AI だけが賢くなる状態から、

    チームの AI がそろって賢くなる状態へ ほかのメンバーの AI も知るべきことだけ、リポジトリに置く 自分の好みまで共有しない 67
  47. 01 伝わらない 02 任せきれない 03 広がらない つながっていない 04 つながっていない 人が間に入る状態から、AI

    が外部ツールを直接使う状態へ つなぎ方 私たちがつないでいるもの つなぐときの注意点 05 プロセスが追いついていない
  48. 摩擦4 つながっていない MCP MCP サーバーのつなぎ方 サーバーは、AI の依頼を外部ツールに取り次ぐ 「チケットを読みたい」 AI ◀

    Claude Code ▶ MCP [15] サーバー サービスごとに用意される チケットの内容 代表的なつなぎ方 チケットを取りに行く ◀ ▶ チケットの内容 外部ツール チケット管理など 使える範囲 自分のすべてのプロジェクト そのリポジトリを使う全員 自分のアカウント(組織では管理者が追加) ユーザーの設定( )に追加 プロジェクトの に追加 claude.ai のコネクタに追加 ~/.claude.json .mcp.json ほかにもこのプロジェクトだけで使う設定(既定)・プラグイン・管理者による配布がある : , (参照 2026-10-20). [15] Anthropic Connect Claude Code to tools via MCP Claude Code Docs 70
  49. 摩擦4 つながっていない 実例 私たちがつないでいるもの チケット管理 チケットの要件を読んで実装し、終わったら状態を更新する デザイン デザインを読んで、そのとおりに画面を作る チャット 依頼のスレッドを読んで作業し、結果をスレッドに返信する

    ドキュメント コードや議論をもとに、仕様書や設計書を書き起こす データ 機能の使われ方を集計して、改善の判断に使う ・ Linear Notion Figma Slack Google Docs Snowflake ほかにも、メール・カレンダー・会議の文字起こしなど、いろいろな外部ツールにつないでいる 71
  50. 摩擦4 つながっていない つなぐときの注意点 01 信頼できるサーバーだけつなぐ サービスの提供元が公開しているものを使う。 外部の内容を読むサーバーはプロンプトインジェクションの入口になりうる 02 権限は最小限にする データベースには読み取り専用のユーザーでつなぐ

    私たちは投稿や削除など書き込む操作を自動で許可していない 03 チームで共有する設定は、 の変更もコードと同じく PR でレビューする。 CI やクラウドで動かすときは確認なしで読み込まれる [15] 中身を確かめてから使う : [15] , .mcp.json [15] (参照 2026-10-20). [15] Anthropic Connect Claude Code to tools via MCP Claude Code Docs 72
  51. 01 伝わらない 02 任せきれない 03 広がらない 04 つながっていない プロセスが追いついていない 実装の前後にある決まった作業も自動化する

    実装の前後に残る手作業 自動化する作業 実装の前後も自動化する 05 プロセスが追いついていない
  52. 摩擦5 プロセスが追いついていない よくある場面 AI で実装は速くなったのに開発全体は速くならない を使う前 実装前の作業 いま 実装前の作業 AI

    人の手作業 AI 実装 実装 実装後の作業 実装後の作業 ← 実装だけが縮んだ AI で縮んだのは実装だけ 75
  53. 摩擦5 プロセスが追いついていない 実装の前後にはまだ人の手作業が残っている 実装前 人の手作業 実装 AI 実装後 人の手作業 要求を聞いて要件にまとめ、チケットに書き起こし、AI

    に渡す資料を集める AI が書く。速くなったのはここだけ テストを回して確かめ、PR を作ってレビューを頼み、次の担当に引き継ぐ 開発全体を速くするには実装の前後の作業も自動化する必要がある 76
  54. 摩擦5 プロセスが追いついていない 自動化しやすい作業の見分け方 自動化しやすい作業の特徴 例 01 毎回同じ手順で進む PR 02 途中で判断が要らない

    型・lint・テストを通してから PR を出す 03 入出力が決まっている マージした PR の一覧からリリースノートを書く を出すたびに修正前後のスクショを撮って貼る 当てはまるものがあれば自動化を検討する 判断は人に残しそれ以外を AI に任せる 77
  55. 摩擦5 プロセスが追いついていない 自動化するときに考えるポイント AI が人の見ていない間も最後まで進められるように決めておく 01 何を渡し何ができたら終わりにするか [6][16] 02 どこで人が判断するか

    [16] 03 人に渡す前に何を確かめさせるか [6] AI が迷う場所を先につぶしておく : , : , ( ). [6] Anthropic Best practices for Claude Code Claude Code Docs [16] Anthropic Building effective agents Anthropic Engineering 2024 78
  56. 摩擦5 プロセスが追いついていない 実装の前後も自動化すると、開発全体が速くなる 実装の 自動化前 依頼 実装前 実装の 自動化後 依頼

    実装前 実装以外も 自動化した後 依頼 実装 実装前 人の手作業 実装 実装 実装後 実装後 レビュー レビュー ← 実装だけが縮んだ 実装後 レビュー ← 人がやるのは両端だけ AI 実装の前後まで AI がこなすと、人は AI への依頼とレビューに集中できる 79
  57. 実例 リモート開発環境 内製リモートエージェント haro ・ から呼び出せる 開発以外のタスクにも使える Notion・Slack・Snowflake などとつながる Sandbox

    環境で安全に動く 動作確認の環境もある Slack Web 出典:izumin5210, itkq「Built Our Own Background Agent at LayerX」p.60,AI DevEx Conference 2026(2026) 82
  58. 実例 リモート開発環境 人は意図を伝え、結果を確かめる 人 ( ) 人 AI haro →

    何を、なぜ作るか 意図 仕様化 → 実装 → テスト 動作確認も 曖昧なところは、人に聞く → Draft PR 作成 → レビュー 体験とコード → マージ 指示を受けて、直す 何を作るかは人が決め、どう作るかは AI に任せる 83
  59. 実例 リモート開発環境 この1か月で、PR の4分の3を haro が作るようになった PR を作った手段 職種ごとのPR作成割合 →

    haro 0% Claude Code 100% か月前の1週間 直近1週間 1 haro エンジニア 52% デザイナー 45% haro 75% Claude Code 25% Claude Code PdM 3% エンジニア 52% 直近1か月 デザイナー 45% PdM 3% エンジニアだけでなく、デザイナーも haro に開発を頼んでいる 84
  60. 実例 リモート開発環境 haro を支えているのは5つの摩擦への対策 摩擦1 ガイド まっさらな作業環境でも、CLAUDE.md・docs・Skills を読んで前提がそろう 摩擦2 センサー

    テスト・AI のレビュー・端末での動作確認を通してから返す 摩擦3 ナレッジ リポジトリにあるから、誰が頼んでも同じように動く 摩擦4 外部ツール チケット管理ツールやチャットとつながり、チケットを読み、スレッドで報告する 摩擦5 実装の前後も含めて、Draft PR まで自動で進める 業務プロセス つの対策の積み上げがリモートエージェント環境でも生きている 5 85
  61. さいごに おさらい 定着を止める5つの摩擦と対策 摩擦1 ハーネスのガイド コンテキストエンジニアリング 摩擦2 ハーネスのセンサー 品質の検証 摩擦3

    ナレッジマネジメント 摩擦4 外部ツールとつなぐ 摩擦5 業務プロセスの再設計 伝わらない 任せきれない 広がらない つながっていない プロセスが追いついていない 毎回伝えなくても済むように、前提と答えの場所を書いておく 正しさの確認は機械と AI に任せ、人は最後の判断を担う 自分の AI だけが賢くなる状態から、チームの AI がそろって賢くなる状態へ 人が間に入る状態から、AI が外部ツールを直接使う状態へ 実装の前後にある決まった作業も自動化する 摩擦を減らすと AI は導入から定着へ進む 88
  62. さいごに 明日から始められること 摩擦1 を読み直し、毎回は要らないことを docs へ移す 伝わらない CLAUDE.md 摩擦2 任せきれない

    機械的に確認できるものを1つ、AI のレビューから lint や型に移す 摩擦3 広がらない 自分の AI が覚えたことを1つ、リポジトリに置く 摩擦4 つながっていない 手でチャットに貼っている情報を1つ、MCP でつなぐ 摩擦5 毎回同じ手順で進む作業を1つ、自動化する プロセスが追いついていない 89
  63. 参考文献 参考文献 総務省:令和 年版 情報通信白書,図表Ⅰ ( ). : ( ).

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