東京大学経済学部「プロアクティブ・ラーニング・セミナー」のゲスト講師として
①Pythonによる計量経済学のハンズオン ②民間企業のデータを用いたデータ分析の実践講座
を実施した際の補講資料となります。
(補講資料)OLSにおける推定量 β1 = 共分散 ÷ 分散の導出2023-05-17東京大学大学院経済学研究科・経済学部横山翔1
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学部生向け授業の補講資料として、以下テキストで省略されている導出過程を確認する。西山慶彦ほか『計量経済学』有斐閣, 2019B.1.1 単回帰の最小2乗推定量と漸近分散の導出・回帰分析では推定値と実測値の差(残差平方和)を最小化し、変数間の関係を求める(p111)・推定量 b0, b1 についてそれぞれ偏微分して最小化問題を解く(p655)2
1)以下の連立方程式を解く。3
2)式を展開する。・Xi と Yi 以外の文字は Σ の前に出す。・Xi と Yi が含まれない式1の第2項はN倍になる。4
3)式全体に 1/N を掛ける。5
4−1)標本平均の定義より 1/N * ΣXi = Xbar、1/N * ΣYi = Ybarを代入4−2)分散の定義より 1/N * ΣXi^2 = Xbar^2 + Vxを代入4−3)共分散の定義より 1/N * ΣXiYi = Vxy + Xbar * Ybarを代入6
4−1)標本平均の定義より 1/N * ΣXi = Xbar、1/N * ΣYi = Ybarを代入4−2)分散の定義より 1/N * ΣXi^2 = Xbar^2 + Vxを代入4−3)共分散の定義より 1/N * ΣXiYi = Vxy + Xbar * Ybarを代入7
4−1)標本平均の定義より 1/N * ΣXi = Xbar、1/N * ΣYi = Ybarを代入4−2)分散の定義より 1/N * ΣXi^2 = Xbar^2 + Vxを代入4−3)共分散の定義より 1/N * ΣXiYi = Vxy + Xbar * Ybarを代入8
4−1)標本平均の定義より 1/N * ΣXi = Xbar、1/N * ΣYi = Ybarを代入4−2)分散の定義より 1/N * ΣXi^2 = Xbar^2 + Vxを代入4−3)共分散の定義より 1/N * ΣXiYi = Vxy + Xbar * Ybarを代入9(a-b)^2= a^2 + 2ab + b^2Xbarは定数なので Σ の前に出すXbarは定数なのでΣ を外してN倍4−1)と同様に標本平均の定義を代入右辺の第2項を左辺に移行
4−1)標本平均の定義より 1/N * ΣXi = Xbar、1/N * ΣYi = Ybarを代入4−2)分散の定義より 1/N * ΣXi^2 = Xbar^2 + Vxを代入4−3)共分散の定義より 1/N * ΣXiYi = Vxy + Xbar * Ybarを代入10
4−1)標本平均の定義より 1/N * ΣXi = Xbar、1/N * ΣYi = Ybarを代入4−2)分散の定義より 1/N * ΣXi^2 = Xbar^2 + Vxを代入4−3)共分散の定義より 1/N * ΣXiYi = Vxy + Xbar * Ybarを代入11(a-b) (c-d) = ac - bc - ad + bc・2,3,4項:Xi と Yi 以外は Σ の前に出せる・2項:4-1 と同様に 1/N * ΣXi = Xbar を代入・3項:4-1 と同様に 1/N * ΣYi = Ybar を代入・4項:定数項なのでN倍して、1/Nと相殺させる
4−1)標本平均の定義より 1/N * ΣXi = Xbar、1/N * ΣYi = Ybarを代入4−2)分散の定義より 1/N * ΣXi^2 = Xbar^2 + Vxを代入4−3)共分散の定義より 1/N * ΣXiYi = Vxy + Xbar * Ybarを代入12
ここで第1式にて切片 β0 が導出される13⇔
5−1)第1式にXbarを掛ける。5−2)第2式を式展開して並べ替える。14
5−1)第1式にXbarを掛ける。5−2)第2式を式展開して並べ替える。15
5−1)第1式にXbarを掛ける。5−2)第2式を式展開して並べ替える。16
5−1)第1式にXbarを掛ける。5−2)第2式を式展開して並べ替える。17
5−1)第1式にXbarを掛ける。5−2)第2式を式展開して並べ替える。18
6)第1式 を 第2式 に代入する。19
7)β1 について解く。20・掲題「推定量 β1 = 共分散 ÷ 分散」は示された。・以降ではテキストの式を導出する。
8)4−2(分散の定義)と4−3(共分散の定義)を代入し、1/Nを相殺する。21
8)4−2(分散の定義)と4−3(共分散の定義)を代入し、1/Nを相殺する。22
8)4−2(分散の定義)と4−3(共分散の定義)を代入し、1/Nを相殺する。23以上より、推定量 β1 = 共分散 ÷ 分散 ならびにテキストの式を導いた(終)