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時間知覚の勉強ノート #1

ymgc
December 01, 2023

時間知覚の勉強ノート #1

時間知覚についての個人勉強会を行なっています。

ymgc

December 01, 2023
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  1. 客観的な時間 - 社会的なニーズ • 調整と同期 ◦ 多数の人々や機械、システムが同時に動作するための基礎を提供します。 例:鉄道スケジュール、ストックマーケットの取引時間 • 予測と計画

    ◦ 経済活動やプロジェクトマネジメントでは、精確な時間の計測が必要です。 予測と計画は、絶対時間に依存して高度に最適化されます。 • 法的・契約的な問題 ◦ 締切りや有効期限は、絶対時間に基づいて設定されます。 これは法的な証拠や契約遵守の判断基準となります。 • 歴史的・文化的記録 ◦ 歴史的な出来事や文化的な瞬間を客観的に記録する手段を提供します。 • 科学的研究 ◦ 客観的なデータ収集や実験設計は、時間定義に依存しています。 特に、時間に敏感な現象(例:速度、加速度)の研究に不可欠です。 客観的な時間定義は、ひろく社会を同期するのに、便利
  2. 主観的な時間 - 3つの分類 1/時間知覚  現在進行形で事象が発生する際に感じる知覚   ・例えば、鳥が飛ぶ様子を眺めたり、音楽が流れるのを聴いたりする時の感覚    ・「心理的現在」とも呼ばれ、特別な努力をせずとも記憶される比較的短い時間の幅での体験のこと 2/時間展望  過ぎ去った過去の出来事を振り返ることや、未来の予測を考える際に体験するもの

      ・現在を超えて、数日前や数年前、または数日後や数年後の出来事に対するもの   ・この過程では、知覚よりも記憶や想像力が中心的な役割を担う 3/時間概念  出来事が相互にどのように関連し合いどれだけの期間続くかを考慮して、整合性のある連続体 を形成することで理解されるもの ・自意識の連続性についてのもの
  3. 人間の感覚器ごとの時間分解能 聴覚 音の区別:約2 - 5ms 音の方向感知:約10ms 視覚 点滅の認識:約13 - 100ms

    フレーム認識(動画、ゲーム):16.7ms(60FPS) 触覚 バイブレーション感知:約10ms 痛みの反応:約500ms 味覚・嗅覚 一般的には 100msから数秒(具体的なms単位のデータは少ない) = 感覚器ごとに「瞬間」が異なる
  4. まとめ 持続 = 1個人が、内在的に連続量として知覚する時間幅 体験できる時間スケールには、下限、上限がある。  ・蛍光灯が毎秒100回以上点滅していることは気づかない  ・夜空を見上げた時に天体が回転してるようには気づけない スケール外レベルの時間発展は、時間発展として体験できない ようになっている。 体験

    = スケールに相対的である “人間にとって” 、速すぎる変化も遅すぎる変化も、流れとして体験できない ・生物種が異なれば、人間が知覚できないスケールでの流れを体験できる 持続 = 固有時間スケールの内的な体験 である
  5. 時間スケールギャップとは スケールギャップがないケース 光と光同士がぶつかるケース 2つ以上の波が同じ場所で重なり合うことによって波の振幅の 変化が生じる。(干渉) 赤色光線(400兆Hz)が別な光線とぶつかる時、 数フェムト秒の周期のズレでも結果 (干渉)に反映される。  → 時間的に粗視化が起きない

    スケールギャップがあるケース 光が身体とぶつかるケース ヒト視覚の時間分解能 (50Hz:20ミリ秒)では量的識別が不足  → 時間的粗視化が起きる    粗視化 = 微小な時間的変動や差異を無視 /解釈する 光 光 時間スケール:共通 光 身体 時間スケール:小 時間スケール:大 ギャップ=クオリア
  6. まとめ:クオリアとは 1. 現実のモデルと学習によって得られた生成モデルとの間では、再構成を試みても完全には補えない 誤差が生まれる 2. この誤差がボトムアップのプロセスを介して潜在変数に影響を及ぼす つまり、 - 決して完璧には再構成することのできない現実を模索する試み と

    - その試みと現実との間のギャップにおいて、対象に対する「現実「感」」という主観 が生じる - ここに すなわち 感覚経験の質 が発生する つまり、クオリアとは、   完全には再構成できない現実を再構成しようとする探索的な動的プロセスの経験 のこと。
  7. 生命の発達段階 核酸 (RNA) 細胞 (cell) 神経系 物質 高分子(=遺伝子)の自己触媒 による自己複製能の出現 個体性の出現

    外界への反応の 能動的選択性 生命の本質を一言でいえば、情報高分子が自分を維持するための生体膜をもったということにある

  8. 記憶のエンコードとデコード デコード エンコード 感覚入力や外部の情報を脳が理解しやすい形式に変換するプロセス 具体的な手段 • 意味のエンコード:情報に意味をつける • 視覚的エンコード:情報を視覚的な形で記憶 •

    音響的エンコード:情報を音として記憶 エンコードされた情報を記憶から取り出すプロセス 具体的な手段 • 再認(Recognition):選択肢の中から正しい情報を選ぶ • 再生(Recall):何も手がかりがない状態で情報を思い出す • 再学習(Relearning):以前に学習した情報を速やかに再学習する
  9. 記憶と照合の相互作用 記憶と照合の相互作用: - 記憶:過去の情報を保持するプロセス - 照合:この保持された情報を新しい情報や状況と比較するプロセス この相互作用により、心は経験を更新し、新しい認識を形成する 情報の自己回帰の開始: - 記憶と照合の過程は、情報の自己回帰的なサイクルを開始する

    - 過去のデータが現在の経験に統合され、新たな理解が生まれることで、情報は進化をし続ける 時空、論理、感情の特性の発生: - 時空の特性:記憶を通じて過去、現在、未来という時間の流れと空間的な関係を認識する能力 - 論理の特性:情報の分析、推論、結論を導く過程で重要 - 感情の特性:経験や情報に対する個人的な反応や価値判断を反映
  10. 時間が過ぎるのが 速い /遅い 時間が過ぎるのが「速い」と感じるシチュエーション 楽しい時: 友人たちとの楽しい会話やパーティー、趣味の時間など 没頭している時: 仕事や学習、ゲームなどに集中しているとき 忙しい時: 締め切りに追われる仕事や連続的なミーティングなど

    スポーツ: エキサイティングな試合やアクティビティ中 映画鑑賞: エンゲージするストーリーの映画を見ている時 時間が過ぎるのが「遅い」と感じるシチュエーション 待ち時間: 医者の待合室や飛行機の遅延など。 退屈な時: 興味を持たない講義やミーティング中。 不快な状況: 痛みや苦しみを伴う状況。 焦りや不安: 重要な結果を待っている時や、大切な人が遅れて来る時。 瞑想: 深い瞑想の中で時間の感覚が失われることがある。
  11. 情動的タイムワープ 強い感情を伴う出来事が記憶される際に、その時間が実際よりも長くまたは短く感じられる現象を指します。 強い感情を伴う出来事は長く感じられる: 恐怖や喜びなどの感情が高い際には、出来事が実際に起こった時間よりも長く感じられることがあります。この 時、感情的な arousal が記憶における情報のエンコーディングを強化し、より多くの詳細が記録されるため、想 起する際にもより長い時間をかけて処理されます。 感情の強度による時間の伸縮: 非常に強い感情を伴う出来事は、記憶の中で時間が拡張されることがある一方で、ある種の強い感情は、例え

    ば、緊急事態の際には時間が短縮されて感じられることもあります。これは、脳がその瞬間に極めて集中するこ とで、事後にそれをより短い時間で経験したように感じるためです。 後からの解釈: 感情的な出来事を振り返るとき、人はしばしばその出来事の持続時間を、実際の時間よりも歪めて記憶すること があります。これは、記憶における意味付けや解釈が時間知覚に影響を与えるためです。