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半年前の自分に教えたい systemd のハマりどころ

半年前の自分に教えたい systemd のハマりどころ

Sho Iizuka

May 19, 2019
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  1. 自己紹介 2 • 所属:サイボウズ株式会社 クラウド運用チーム • 2019年1月よりオンコールに参加中 • 最近取り組んでいること •

    MySQL の IO 周りのチューニング • CPU やメモリのリソース割り当ての改善 • 古いサービスの systemd への移植
  2. 発表内容 3 古いサービスを systemd に移植したときにいろいろな間違いをしてきました。 「昔の自分に教えたいハマりどころ」を共有させてください。 1. Wants = network.target

    はだいたい間違っている 2. WantedBy = default.target? 3. drop-in の意外な仕様 4. Requires= は「このサービスの起動に必要」ではない 5. Assert と Condition の微妙な違い 6. After= が使えるのは正しく作られたサービスに限る 資料作成間に合わず
  3. Wants = network.target はだいたい間違っている 4 ネットワーク接続が必要なサービスを作るとき ↓ は だいたい間違っている 書くべきだったのは多くの場合これ

    もしくはこっち [Unit] Wants = network.target [Unit] After = network.target [Unit] Wants = network-online.target After = network-online.target
  4. Wants = network.target はだいたい間違っている 6 network.target と network-online.target の違い •

    network.target … ネットワーク管理スタックが起動した • network-online.target … ネットワークが使えるようになった (「使える」の定義はネットワーク管理スタックに依存する) ※ ネットワーク管理スタック … Ubuntu 18.04 では systemd-networkd 以下に記載がある https://www.freedesktop.org/wiki/Software/systemd/NetworkTarget/
  5. Wants = network.target はだいたい間違っている 7 • (別のサーバーに接続するために) ネットワークが利用可能になるのを待つ必要があるサービスの場合 • ネットワークが利用可能になるのを待たなくても

    起動してよいサービスの場合(例:apache, sshd) [Unit] Wants = network-online.target After = network-online.target [Unit] After = network.target シャットダウン時に graceful stop するために このサービスを止めた後にネットワークを止める (stop 時は ordering dependency が逆になることに注意)
  6. Wants = network.target はだいたい間違っている 8 special passive system unit とは

    • man 7 systemd.special の Special Passive System Units を参照 • 起動順序の制御のために用意されている特殊な target • サービスの利用側 (consumer) が Wants= を設定するのではなく サービスの提供側 (provider) が Wants= を設定する consumer provider [Unit] Wants = network.target Before = network.target [Unit] After = network.target
  7. Wants = network.target はだいたい間違っている 11 結論 • network.target は Wants=

    や Requires= に設定してはいけない (※ あなたがネットワーク管理スタックの開発者である場合を除く) • 多くの場合、書くべきだったのはこれ • ほかに気を付けたほうが良さそうなのは time-sync.target と nss-lookup.target [Unit] Wants = network-online.target After = network-online.target
  8. WantedBy = default.target? 12 OS 起動時に自動起動させたいサービスは次のように書くことが多い 仕組み • systemd は

    OS 起動時に default.target を activate する • default.target は multi-user.target (≒ runlevel 3) や graphical.target (≒ runlevel 5) の symlink になっている • systemctl enable すると multi-user.target.wants 以下に symlink が生成される • multi-user.target が activate されるときに一緒に起動する [Install] WantedBy = multi-user.target
  9. WantedBy = default.target? 14 • レスキューモードで起動すると default.target = rescue.target になる

    • WantedBy = default.target と指定すると当然起動する • そのサービス、レスキューモードでも必要???
  10. WantedBy = default.target? 15 • この書き方は Red Hat Customer Portal

    で見つけた • 間違っているのは私のほうではないかと疑心暗鬼になっています https://access.redhat.com/documentation/ja-jp/red_hat_enterprise_linux/7/html/system_administrators_guide/sect-managing_services_with_systemd-unit_files
  11. drop-in の意外な仕様 16 drop-in とは • /etc/systemd/system/foo.service.d に .conf ファイルを置くと

    オリジナルのファイルを override できる • sudo systemctl edit foo.service を使うとエディタが起動して いい感じにしてくれる
  12. drop-in の意外な仕様 17 • 例:ExecStopPost= を追加してサービス停止時に クリーンアップ処理を追加したい • 例:デフォルトのクリーンアップ処理を別の処理に置き換えたい #

    /etc/systemd/system/foo.service.d/override.conf [Service] ExecStopPost=/usr/local/bin/foo-cleanup # /etc/systemd/system/foo.service.d/override.conf [Service] ExecStopPost= ExecStopPost=/usr/local/bin/foo-cleanup
  13. drop-in の意外な仕様 20 • Before=, After=, Wants=, Requires= などは空行でリセットできない •

    systemd-sysv-generator で自動生成されたファイルは 無駄な dependency が設定されていることがある(特に Ubuntu 16.04) • drop-in を使って直したくなるが、残念ながら使えない • 自作するか、Ubuntu 18.04 から backport してくるとよい (Ubuntu 18.04 は自動生成ではなく、ちゃんと作られていることが多い) # /etc/systemd/system/foo.service.d/override.conf [Unit] After= After=bar.service ← これはダメ