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仮説設定能力の評価に関する基礎的研究

 仮説設定能力の評価に関する基礎的研究

平成29年度第5回日本科学教育学会研究会(若手活性化委員会開催)

Daiki Nakamura

December 16, 2017
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  1. 仮説設定能力の評価に関する基礎的研究 町田市立七国山小学校 目的 考察 中村 大輝 結論 研究の背景 これまで,仮説設定において必要となる能力は仮説設定能力と呼ばれ,その評価方法が検討されてきた。 先行研究では共通して,仮説設定能力を複数の要素から構成される能力としてとらえている(例えば,山田・小林,2014)。

    しかしながら,これらの研究では,仮説設定能力の構成要素についての理論的基盤やその妥当性についての言及が見ら れない。このため,実証的データに基づき,仮説設定能力の構成要素を検討する必要があると考えられる。 また,先行研究では,そもそも仮説設定能力という汎用的な概念を仮定するべきなのか, 思考過程の各段階において必要な能力を独立させてとらえるべきかについても議論がなされてこなかった。 1. 仮説設定に関わる諸能力を評価する方法を開発する 2. 仮説設定能力の妥当性について検討する 本研究の目的は・・・ 1. 仮説設定に関わる諸能力を抽出し、その評価方法と 調査問題を開発した 2. 仮説設定能力という汎用的能力の妥当性が確認された  用語の規定  仮説設定能力を構成する諸能力の抽出  測定方法の検討と調査問題の開発  多次元IRTの2種類のモデルの比較 完全情報項目因子分析モデル VS 双因子モデル まず、先行研究における仮説設定の思考過程を理論的基盤とすることで,仮説設定に関わる諸能力の評価の妥当性を高め た。次に,FIFAとBFの2モデルを比較した結果,BFが支持される結果となった。これは,仮説設定において必要となる 諸能力とともに,仮説設定能力という汎用的能力を併せて検討する方が相対的に高い予測力を持つことを示している。 つまり,調査問題の各項目において,それぞれの能力因子からの影響と,一般因子からの影響が存在すると解釈できる。 よって,本結果は,仮説設定能力という汎用的能力を下位能力と併せて検討することの妥当性を示している。 方法 結果  各能力の測定方法 • 当該能力が高い学習者の特徴を整理 • それらの特徴を持つ被験者の正答率が高くなるよう な問題の枠組みを検討 • 前提となる思考過程を問題文中に明示することで, 目的の能力を正しく測定できるように工夫 問題状況を理解 する能力 目標・方向性を確認 する能力 変数を同定 する能力 因果関係を認識 する能力 仮説を表現 する能力 【仮説設定の思考過程と能力】  仮説設定能力とは • 目の前の問題状況に対する暫定的な説明を構築する 過程において必要となる能力 雲財 寛 日本体育大学大学院教育学研究科 完全情報項目因子分析モデル (Full-information Item Factor Analysis Models: FIFA) 双因子モデル (Bi-Factor Models: BF) AIC × 2816.65 〇 2691.53 AICc 〇 2950.86 × 3568.45 BIC × 2941.08 〇 2878.18 SABIC × 2783.29 〇 2641.49 対数尤度 × -1358.33 〇 -1270.77  2種類のモデルの比較 • 情報量基準や対数尤度に基づくモデル比較 1勝4敗 4勝1敗 思考過程の各段階に おいて必要な能力が 独立して存在する 仮説設定に関わる諸能力 と仮説設定能力という 汎用的能力が併存する 紙コップを火の上に置くと,燃えて灰になります。しかし, 紙コップに水を入れた状態で火の上に置くと,紙コップは 燃えません。紙コップが燃えないことには何が関係してい るでしょうか?もっともふさわしいものを次のA~Dより1 つ選び,〇をつけましょう。 A.形 C.温度 B.空気 D.素材 【調査問題の例】変数を同定する能力 ※モンテカルロEMアルゴリズムによる最尤推定法を使用 中村・松浦(2016)を基に作成