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参加型オープンデータで地域を繋いでいく / Connecting regions with p...

K.Sakanoshita
December 10, 2019

参加型オープンデータで地域を繋いでいく / Connecting regions with participatory OpenData

2019/12/10 講座名「IoT時代の経営情報学」 電気通信普及財団 特別講義開設助成(https://www.taf.or.jp/grant-b/03/2018jisseki.html)の資料

K.Sakanoshita

December 10, 2019
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  1.  主な所属コミュニティ・団体  OpenStreetMap Foundation Japan  諸国・浪漫  オープンデータ京都実践会

     主な活動内容  マッピングパーティの開催および協力  ウィキペディアタウンの開催および協力  オープンソース/データの活用(アプリ開発など)  目指していること P.3 自己紹介 - 坂ノ下 勝幸 地元の情報は、自分たちで発信する文化を作る 現場こそ最強のツールとデータが使えるように
  2. オープンデータって?  オープンデータは利用規約の一種  データ(文書、写真など)を何処まで 使って良いかを決めたルールのこと  「自由に使える」がオープンデータ  オープンデータは誰のもの?

     作った人や組織の著作物  著作権の枠組みに則った「自由」  「守るべきルール」はちゃんとある P.5 官民データ活用推進基本法で国と地方自治 体はオープンデータに取り組む義務がある
  3. 行政がオープンデータを作る理由  行政(国、自治体)の理由  透明性・信頼性の向上  国民参加・官民協働の推進  経済の活性化・行政の効率化 

    事例  FixMyStreet  Where does my money go ~税金はどこへ行った?~  行政のデータは税金  オープンデータにした方が 活用される可能性がある P.7
  4.  人は誰かを好きになる。そして嫌いにもなる  好きな人は勝手に高評価。嫌いな人はあら捜し  残念ながら、えこひいきは無くならない  だからこそ、「オープン」であることが大事  あいつは嫌いで近寄りたく無いが、自分の作品は、

    嫌いな奴も含めて誰もが自由に使って良いルール P.11 「オープン」であることの必要性 オープンさこそが社会格差を是正し、 企業が健全に競争するための仕組み
  5.  人口減少で「魅力」の対象は減っていく  多くの寺社仏閣は、もう維持費を捻出出来ない  人口減少で、まちが無くなっていく  今はあるので魅力を感じない  でも、将来世代は?

     人類滅亡の話では無い  人類全体では増加傾向  外国人も魅力を感じる P.17 「魅力」は残すことは出来ない? 将来世代へ魅力の「材料」を残せば 新しい活動へと繋がる可能性がある
  6.  インターネットの普及で需要が広範囲化  情報流通コストが劇的に低下して、ロングテール化  日経:訪日客が地方潤す、消費額1兆円超え https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46373880Q9A620C1MM0000/ P.18 何に魅力を感じるかは、その人次第 この部分がロングテール

    ロングテールとは、インターネットを用いた物品販売の手法、 または概念。販売機会の少ない商品でも幅広く取り揃える、ま たは顧客数を増やすことで、全体の売上げを大きくする 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 情報を記録・発信していくことで 地域の魅力が伝わる可能性がある
  7.  清水寺の創建年代  「清水寺縁起絵巻」「今昔物語集」「扶桑略記」に よれば、宝亀9年(778年)音羽山に着いた僧の賢心 は、観音の化身から寺を任されたことが始まり  清水の舞台から飛び降りた人  「成就院日記」によると、飛び降りは

    元禄7年(1694年)~元治元年(1864年)に 未遂含む235件、生存率は85.4% P.19 「清水寺」は最初から世界遺産? 様々な事を記録、将来に残すことで 地域の魅力や価値が生まれる可能性
  8.  Webサイト(ブログ、SNS)でも 筆者の知識と想いを伝えられる  ネット上の情報は失いやすい  Yahoo!ジオシティーズも閉鎖  本は正しく保管すれば長持ちする 

    コピーを保存していても、筆者 しかどこまで使って良いかが 判断出来ない P.22 インターネットで伝え方が変化 「伝わるけど残りにくい」ことと 「残しても活かしにくい」時代へ
  9.  著作権は作者の権利を守る  基本的に作者の許可が必要  許可する範囲が違う可能性  「残して伝える」を目的に  ブログもSNSも残りにくく、

    利用規約(ルール)が曖昧  オープンデータとして公開し、誰もが自由に 活用出来るようにすると、残る可能性がある P.23 オープンデータで残して伝える オープンデータとして公開すると 作者の想いを伝えることが出来る
  10. また、総じてライセンスが曖昧 未来に残すことを考えると不安  地域情報の発信  携帯端末(スマホなど)の世帯所有率は94.8% 出典:総務省 平成30年版 情報通信白書 

    インターネット以外の手法は最後に考える  地域情報の記録  国・自治体から草の根まで記録自体は行われている  国・自治体は政治力次第、予算が付かなければ終了 例:沖縄平和学習デジタルアーカイブ(一旦廃止、後に復活)  草の根は地域ごとに細分化、人づてで探す必要あり P.25 地域情報の残し方と使い方
  11.  最低限、何とかしたいこと  インターネットと親和性が高いこと  国や自治体の予算に左右されないこと  オープンデータであること ◦ ライセンス(利用許諾)が明確なこと

     出来れば、ここまで持っていきたい  記録が様々に活用される可能性があること  日本国内だけで無く、海外でも使えること P.26 こんな活動が出来たら良いよね 予算に不安を抱えない規模感を持ち 国際的&オープンなプロジェクト
  12.  全304言語。全言語合計で5000万記事  日本語版は116万記事(2019/7時点) P.31 Wikipediaの規模 Wikimedia財団 英語版 日本語 フランス語

    ・・・ 英語版 日本語 フランス語 ・・・ 英語版 日本語 フランス語 ・・・ 英語版 日本語 フランス語 ・・・ 英語版 日本語 フランス語 ・・・ 英語版 日本語 フランス語 ・・・ 言語毎に独立して運用 写真や動画は ここに集約 Commons (写真・動画) Wikipedia (百科事典) Wiktionary (辞書) Books (教科書) Source (原文) Wikiquote (引用集) News (ニュース) ・サーバー運用など、各プロ ジェクトの下支えを担当 ・各プロジェクトの運営には 直接関わらない
  13.  地図は著作物。著作権を守って利用する  大抵の地図は自由に出来る利用規約では無い  自分で描くかデザイナーに依頼する必要がある P.37 あまり知らない地図の著作権 お祭りのご案内 日時:**

    / 場所:** 会場地図 お祭りのご案内 日時:** / 場所:** 会場地図 ここ 小学校 ここ © OpenStreetMap contributors OpenStreetMapの Copyright表記 OSMは自由(販売可)に活用出来る https://www.openstreetmap.org/copyright
  14.  無料で使える地図でも、自由には使えない  例)Google Mapsをチラシに印刷して配布  ビジネスの一環で無料。利用規約は要確認  少し前の地図を見ることは出来る? 

    Google Mapsは2005年開始、それ以降は、 地図がデジタル化し、紙の地図はニッチ化 ※少し前の地図は、ゼンリン住宅地図を見るしかない?  みんなが使うデジタル地図は最新版が基本 P.38 「無料≠自由」と「少し前の地図」 郷土資料として保存している「古地図」 21世紀の「古地図」は誰がどう残す?
  15. 京都「粟田神社」を古地図に残す • 石碑、灯籠、消火器 など、普通は描かな いものも描ける • データなので検索や 集計も出来る • 地図の編集履歴は全

    て記録される • 100年後に2019年 の地図も見られる © OpenStreetMap contributors 地域の事を「未来の古地図」として みんなで協力して残すことができる P.39
  16. 図書館名 所在地 中央図書館 大阪市西区北堀江4丁目3番2号 北図書館 大阪市北区本庄東3丁目8番2号 都島図書館 大阪市都島区中野町2丁目16番25号 島之内図書館 大阪市中央区島之内2丁目12番31号

    港図書館 大阪市港区弁天2丁目1番5号 天王寺図書館 大阪市天王寺区上之宮町4番47号 西淀川図書館 大阪市西淀川区御幣島1丁目2番10号 淀川図書館 大阪市淀川区新北野1丁目10番14号 東淀川図書館 大阪市東淀川区東淡路1丁目4番53号 東成図書館 大阪市東成区大今里西3丁目2番17号 P.40 大阪市立図書館(所在地・抜粋) 図書館の所在地を記載した一覧表 位置関係をイメージ出来ますか?
  17. Wikipedia OpenStreetMap ライセンス オープンデータ オープンデータ 主な情報源 書籍、論文、新聞、Webなど 現地調査、情報提供(企業/政府) 多言語対応 304言語(閉鎖11言語含む)

    235言語(ISO 639-1準拠) 主な収入源 寄付 寄付、スポンサー 主な利用法 Wikipediaサイトでの記事閲覧 Google検索結果の概要説明 その他(音声案内、機械学習) 各社の地図アプリ/サービス Webサイトの地図(facebookなど) 各種ゲーム(Pokémon Goなど) その他(チラシなどの紙地図) 登録者数 83,941,221アカウント 5,641,223アカウント その他 日本語版116万記事(2019年9月) 全データ121GB(圧縮済み) P.42 地域情報の記録・発信における特徴 OSMは組み込みが多く一次情報も保存可 Wikipediaは自サイト内での利用が主用途
  18.  オープンデータをみんなで作る活動のこと  “オープンデータ”と”マラソン”を合わせた造語  広義では、オープンデータを作る活動全て含む ◦ プロジェクト単独でオープンデータソンを名乗る ことは少ない(ウィキペディアタウン、マッピングパーティなど) 

    複数プロジェクトで共同作業する時の名称  オープンデータなら、地図、百科事典、放射線量、 紙資料をデジタル化するイベントも含まれる  過去、日本で開かれたイベント名称を調査した所 ウィキペディアタウンとマッピングパーティの 組み合わせが大半を占める P.44 オープンデータソン
  19.  第二条 図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、 保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研 究、レクリエーション等に資することを目的とする  第三条 土地の事情及び一般公衆の希望に沿い、更に学 校教育を援助し、及び家庭教育の向上に資することと なるように留意し、おおむね次に掲げる事項の実施に

    努めなければならない  一 郷土資料、地方行政資料、美術品、レコード及びフィルムの 収集にも十分留意して、図書、記録、視聴覚教育の資料その他 必要な資料(電磁的記録を含む)を収集し、一般公衆の利用に 供すること P.50 「図書館法」第一章(抜粋) 図書館とオープンデータソンの 目的は近く、親和性が高い活動
  20. 組織を超えて、お互いを知ることが 私たちにとって「本当の宝物」かも  地域を軸に色んなコミュニティが交流  オープンデータは様々な活動に使える  データが複数の活動に影響するため、 様々な団体が参加する意義がある 

    まずお互いの存在を知ること  お互いの存在を知ることで  地域活動を知るきっかけに  連携した新しい活動のきっかけに 地域を軸にお互いの存在を知る
  21.  例えばこんな方法  QRコードでWikipedia記事へリンクする →観光客がより深く理解してくれる  「まち歩きの地図」「ランチマップ」を作る →住民の活動を支える地図として利用  IT企業やコミュニティと連携して活用

     プログラムで地域情報を検索・集計することで ゲームからナビゲーションまで様々に使える  オープンデータなのでアイデア次第で何でも P.55 地域情報はもっと活用出来る 地域情報の収集・整理を進めることで、 様々なコミュニティと繋がり役に立てる
  22.  MAPS.ME  スマホ用地図アプリ。オフラインでパケット節約  歩道があれば、敷地内の歩道レベルでナビが可能  mapbox  カスタム地図を

    提供する会社  OSMをベースに 各社からデータを 調達して提供 P.57 地域情報発信の効果(地図) Android版だけでも 5000万以上の利用者 様々なアプリやサービスに利用されている
  23. P.58 オープンデータで世界を繋げる 記録 (データ化) 活用 (ビジネス/活動) 利用 (アプリ/Web) • 市民

    • 学生 • 郷土史研究家 • アプリ作成 • ホームページ作成 • 観光促進 • 歴史伝達
  24.  オープンデータの狙いと可能性  IT革命の牽引役「オープンソース」がもと  社会格差の是正、企業の健全な競争を促進  参加型オープンデータの一部紹介  OpenStreetMap(自由な地図をみんなの手で)

     Wikipedia(誰でも編集出来るフリー百科事典)  オープンデータソンによる地域連携  OpenStreetMapとWikipediaは「手段」  地域がオープンデータを通じて協力し合う関係 P.59 まとめ オープンデータを介して、地域の想いを 未来へ残し、組織の連携を実効化させる