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K.Sakanoshita
July 20, 2019
Education
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オープンデータを活用した地域情報の発信 / outgoing regional information with opendata
2019/07/20 龍谷大学大学院 地域公共人材総合研究プログラム 公開講演会の資料
K.Sakanoshita
July 20, 2019
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Transcript
坂ノ下 勝幸 諸国・浪漫 / OpenStreetMap Foundation Facebook: K.Sakanoshita Twitter: @K_Sakanoshita
自己紹介 - 坂ノ下 勝幸 主な所属コミュニティ・団体 OpenStreetMap Foundation Japan
諸国・浪漫 オープンデータ京都実践会 主な活動内容 マッピングパーティの開催および協力 ウィキペディアタウンの開催および協力 オープンソース/データの活用(アプリ開発など) 目指していること P.2 地元の情報は、自分たちで発信する文化を作る 現場こそ最強のツールとデータが使えるように
形あるもの、いつかは壊れる P.3 諸行無常(しょぎょうむじょう)は、仏教用語で、この世の現実存在 (森羅万象)はすべて、すがたも本質も常に流動変化するものであり、 一瞬といえども存在は同一性を保持することができないことをいう。 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
みなさんが子供の頃の風景 子供の頃の風景は、今も残っていますか? 残っている風景もあれば、残っていないものも 変わりやすいものと、変わりにくいもの 山や川などは、比較的変わりにくいのかな?
都市部の道路や建物は、随分変わりましたね お店や施設は数ヶ月で変わっても普通ですよね P.4
誰も「他人の地元」は知らない その地域で愛されている神社やお寺 特に観光客が来るわけでも無い でも、地元民にとっては愛着があるよね お祭りの会場にもなっていたりするしね
「地元民しか知らない」状態なのかも? 会社で同僚に対して、自分の地元の話をしてみたら? 名所を除いたら、同郷か物知りしか知らないのでは? 知らないのは、その神社やお寺に魅力が無いから? P.5 その施設自体に魅力が無いからでは無くて、 その魅力が回りに伝わっていないからでは?
「清水寺」は最初から世界遺産? 清水寺の創建年代 「清水寺縁起絵巻」「今昔物語集」「扶桑略記」によれば、 宝亀9年(778年)音羽山に着いた僧の賢心は、観音の化 身の行叡居士(ぎょうえいこじ)から任されたことが始まり 清水の舞台から飛び降りた人
「成就院日記」によれば、飛び降りた人が元禄7年(1694 年)から元治元年(1864年)の間に未遂を含めて235件 に上り、その生存率は85.4% P.6 存在するだけでは無く、様々な出来事が記録 されることで、魅力や価値が生まれるのでは?
何に魅力を感じるかは、その人次第 インターネットの普及で需要が広範囲化 電子化で、情報の流通コストが劇的に低下したため 情報の流通促進により、消費行動が変化 日経:訪日客が地方潤す、消費額1兆円超え 観光白書
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46373880Q9A620C1MM0000/ P.7 この部分がロングテール ロングテールとは、インターネットを用いた物品販売の手法、 または概念の1つであり、販売機会の少ない商品でもアイテム 数を幅広く取り揃えること、または対象となる顧客の総数を増 やすことで、総体としての売上げを大きくするものである。 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
いつまでも今の風景は残らない 少子高齢化社会は始まっている 2019年1月1時点の日本国内の日本人は1億2477万人 昨年に比べて43万3千人の人口減は過去最大 出典: 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数のポイント http://www.soumu.go.jp/main_content/000633277.pdf
今の風景は、急速に無くなっていく P.8 岡山県津山市の千代稲荷神社(2018年11月時点)
「魅力」は残すことは出来ない? 人口減少で「魅力」の対象は減っていく 多くの寺社仏閣は、もう維持費を捻出出来ない 人口減少により、まちそのものが無くなっていく 今はあるので魅力を感じない。でも将来世代は?
別に人類が滅亡する訳では無い 人口減少でも日本人は残る。人類全体では増加傾向 その「愛着」に魅力を感じる人は将来現れるかも? 将来世代が興味を持った時、どうやって伝える? P.9
オープンデータを活用した 地域情報の発信 P.10
オープンデータって? オープンデータは「利用規約」の一種 利用規約とは、データ(文書、写真、動画など)を 何処まで使って良いかを決めたルールのこと 自由に使える利用規約がオープンデータ 自由に加工&再配布出来ること(オープン)
コンピュータで扱えること(データ) オープンデータは誰のもの? 自由に使えるけど、作った人や組織の物 作者名の表示が必要など、守るルールもある 著作権の枠組みの中で自由に使えるルールを 決めたものがオープンデータと言える ※枠組みを超えて更に自由なのがパブリックドメイン P.11
オープンデータがどうしたの? 地域の魅力は、人それぞれ感じ方が違う 今人気の「まちあるき」 ◦ 健康増進だけでなく、地域のことを知るきっかけにもなる ◦ 聞いたそばから忘れても、人間、好奇心は持っているもの
情報に接する機会が増える程、魅力は伝わる 図書館の「郷土資料コーナー」では接する機会が少ない 冊子やチラシを作って配るのもお金が掛かって仕方ない 業者にホームページを作らせても補助金と共に無くなる P.12 オープンデータを活用すれば、お金を掛けずに 地域情報に接する機会を増やすことが出来る?
住民参加型のオープンデータ WikipediaとOpenStreetMapを 活用する方法がある P.13
Wikipediaとは 誰でも編集出来るフリー百科事典 Wikimedia財団が個人・団体の寄付金で運営 P.14
Wikimedia財団の使命 創設者ジミー・ウェールズの発言 想像してみてください。 すべての、1人1人の人間が、すべての持ちうる 知識を持ちより、自由に分かち合える世界を P.15
Wikipediaの規模 全304言語。全言語合計で5000万記事 日本語版は116万記事(2019/7時点) P.16 Wikimedia財団 英語版 日本語 フランス語
・・・ 英語版 日本語 フランス語 ・・・ 英語版 日本語 フランス語 ・・・ 英語版 日本語 フランス語 ・・・ 英語版 日本語 フランス語 ・・・ 英語版 日本語 フランス語 ・・・ 言語毎に独立して運用 写真や動画は ここに集約 Commons (写真・動画) Wikipedia (百科事典) Wiktionary (辞書) Books (教科書) Source (原文) Wikiquote (引用集) News (ニュース) ・サーバー運用など、各プロ ジェクトの下支えを担当 ・各プロジェクトの運営には 直接関わらない
Googleの検索上位にWikipedia P.17 検索結果の基本情報にも Wikipediaが使われている 検索ランキング2位
OpenStreetMap(OSM)とは みんなで自由な地図を作る活動 OpenStreetMap Foundationが個人・団体の 寄付と法人会員の協賛金で運営 P.18 OpenStreetMapで単語 (スペース不要)
普通の地図は意外と「不自由」 地図は著作物。許可された範囲での利用 ほとんどの地図はコピーして配ることは出来ません ◦ Google MapsもYahoo Mapも禁止。地理院地図も要申請
「防災地図」「祭り会場地図」「お店の地図」などは 自分で描くか、デザイン会社に依頼する必要がある P.19 夏祭りのご案内 日時:*** / 場所:*** 会場地図 ここ 小学校 夏祭りのご案内 日時:*** / 場所:*** 会場地図 Google Map 著作権侵害 自分で描く/依頼する
各種地図 アプリ 色んな活動にOpenStreetMap P.20 ポケモンGO 駅構内マップ まち歩きの地図 ランチマップ等 業界人以外は「何処製の地図」は気にしない
知らない間に1億人以上が利用している地図
みんなで地域の記憶を残せる 京都岡崎の「粟田神社」 P.21 • 石碑、灯籠、消火器 など、普通は描かな いものも描ける • データなので検索や
集計も出来る • 地図の編集履歴は 全て記録される • 100年後に2019年 の地図も見られる 地域の記憶を「未来の古地図」として残せる © OpenStreetMap contributors
WikipediaとOpenStreetMapで 地域情報の発信をしていくと? P.22
自由な地図と百科事典で発信すると 様々な方たちが調べ上げた地域の「魅力」を インターネット上にずっと残すことが出来る ネット検索、スマートスピーカー、ゲームなど、 様々な活用をされ、情報に接する機会が増える 地図と百科事典で多角的な情報発信と、領域が 異なる方たちとのコラボレーションが実現
P.23 インターネットを通じた 地域資料の入り口を作る 現地調査 地域資料 図書館
情報発信の効果は? Wikipediaページビュー https://tools.wmflabs.org/pageviews/?project=ja.wikipedia.org P.24 藤森神社のページビュー(月別) 月平均 1,934ビュー コストを掛けずに、これだけリーチしている
情報発信の効果は? MAPS.ME スマホ用地図アプリ。オフラインでパケットが節約出来る 歩道を描くことで、敷地内の歩道レベルでナビが可能 mapbox
カスタム地図を 提供する会社 OSMをベースに 各社からデータを 調達して提供 P.25 Android版だけでも 5000万以上の利用者 様々なアプリやサービスにデータが利用される
「自分たちで地域情報を 記録・発信する活動」は 日本各地で始まっています P.26 WikipediaもOpenStreetMapも基本的には個人活動 アウトリーチ活動の一貫として、コミュニティによる ワークショップ形式でのデータ編集イベントがある
Wikipediaの活動状況 P.27 ほぼ毎週末、日本の何処かで ウィキペディア編集イベント 「ウィキペディアタウン」が 開催されている https://ja.wikipedia.org/wiki/プロジェクト:アウトリーチ/ウィキペディアタウン
OpenStreetMapの活動状況 P.28 ほぼ隔週、日本の何処かで OpenStreetMap編集イベント 「マッピングパーティ」が 開催されている https://openstreetmap.jp/
もちろん京都や周辺でも開催中 P.29 企画検討マップ 初心者向け体験イベントとして楽しく開催 意外と歴史を知らない方が楽しめるかも? © OpenStreetMap contributors 幕末京都シリーズ(2017年~)
まとめ P.30
地域の魅力はオープンデータなら残せる 今の風景がいつまでも残るとは限らない 少子高齢化、後継者不足、維持費不足など 今しか記録・発信出来ないものがある 無くなってからでは記録が出来ないものがある
記録があれば、将来世代が魅力を感じる可能性も 自前で地域情報を発信しても割に合わない 補助金のカットとともに無くなるWebサイト 自前のWebサイトはSEO的にWikipediaに負ける P.31 世界規模のWikipediaとOpenStreetMapで コストを掛けずに情報発信と記録ができる
最後に オープンデータをみんなで作る 「オープンデータソン」について P.32
地域には色んな団体やコミュニティがある WikipediaもOpenStreetMapも「手段」 自由な地図や百科事典を作る目的を持って いるのはWikipediaやOpenStreetMap側 地域には、その地域ならではの目的がある 地域には色んな団体やコミュニティが存在
個人、サークル、市民団体、自治会、防災など 様々な団体やコミュニティがあるが、それらは 基本的に独立した活動をしている 団体やコミュニティは、活動に興味を持った方が 参加するため、参加者の層はある程度偏る P.33
「地域」を軸に色んな方たちが交流出来る 地域を軸に色んなコミュニティが「交流」 オープンデータは様々な活動に利用出来るため、 色んな団体やコミュニティが参加する意義がある まずはお互いの存在を知ることから お互いの存在を知ることで
地域活動を知るきっかけに 連携した新しい活動のきっかけに 団体や組織の壁を超えて知り合うことが、 今を生きる私たちにとっての「宝物」かも P.34