FIFA ワールドカップ カタール 2022におけるハイライト映像制作における課題と、開発が取り組んだ内容についてお話しします。
https://developer.abema.io/2023/sessions/zjZiPQSZTv/?utm_medium=social&utm_source=speakerdeck
View Slide
自己紹介中澤 優一郎経歴2012年入社 Amebaスマートフォンプラットフォーム2014年~ 株式会社マッチングエージェント2015年~ 株式会社AbemaTV2021年~ コンテンツエンジニアリングマネージャーを担当株式会社AbemaTV 開発本部コンテンツエンジニアリンググループ マネージャー
アジェンダ4. 今後の取り組み1. ハイライト制作について2. オフライン編集支援3. 納品改善
ハイライト制作について
ハイライトとはスポーツ競技の試合や大会の中から、注目のプレー、得点シーン、などの重要なシーンなどをまとめた短い映像解説
FIFA ワールドカップ カタール 2022 におけるハイライト制作種類 内容 公開要件 編集工程注目映像/試合ハイライト 試合中の重要なイベントの切り出し即時 少・カットデイリーハイライト 前日の複数の試合内容をまとめてナレーションなどを入れたもの翌日12:00まで 多・カット・ナレーション・テロップ入れ
映像制作フローについて撮影収録オフライン編集オンライン編集納品 公開作業者が独立した環境下で行う編集作業(オフライン作業)素材を収集し、映像を繋ぐ作業を行う。ナレーション収録などを行い映像の最終仕上げを行う作業。映像品質の確認作業や、映像配信に適した形に映像変換を行う。配信された映像をスタジオで収録メディアなどに保存するサムネイルや概要などを設定しユーザーに届ける。
開発における取り組み撮影収録オフライン編集オンライン編集納品 公開オフライン編集/納品をスコープに開発を実施
オフライン編集支援
開発における取り組み撮影収録オフライン編集オンライン編集納品 公開
オフライン編集とはFIFA提供素材テレビ朝日カメラ素材ABEMAカメラ素材過去大会素材編集者オンライン編集複数の映像素材を元にした編集作業( カット編集 / テロップ入れ )その他素材・カット編集・バンパー挿入公開・MA・画面加工・テロップ入れオフライン編集映像素材
オフライン編集における課題ABEMAスタジオにおけるオフライン編集の課題● 拠点をまたぐ素材管理の課題● 映像素材のフォーマットの課題AbemaTV収録素材FIFA提供素材過去素材拠点B拠点CMA室変換/保存テレビ朝日
拠点をまたぐ素材管理クラウドを活用し複数拠点を前提とした素材網の構築● スタジオ設備/キャパシティの課題解決● 拠点間データコピーの課題解決ABEMAスタジオ拠点B 拠点CMA室
ABEMAスタジオオフライン/リモートアクセスAWS Cloud素材管理システム外部拠点拠点をまたぐ素材管理リモートアクセスクラウド上の素材管理システム + リモート制作環境の提供● リモート/オフラインのハイブリット編集環境の実現外部素材収録素材 収録サーバーAmazon S3MA室
AWS Cloudリモートアクセス環境についてAWS WorkSpacesを利用● 素材管理システムとの連携によりダウンロードなしでの編集● ピーク時で最大15台活用VPN素材管理システム AWS WorkSpacesAWS StorageGatewayAmazon S3拠点B拠点AVPN編集ソフト
リモートアクセス環境についてAWSと連携し編集要件を満たす環境の構築ネットワーク環境 RTT10~20 msec以内、有線接続WorkSpaces バンドル GraphicsPro.g4dn (16 vCPU、122 GiB メモリ、1 GPU) WorkSpaces OS Windows 10 (Server 2019 based)通信プロトコル PCoIP
映像素材フォーマットに関する課題制作方式 フレームレートFIFA公式素材 PAL 50HzABEMA/テレビ朝日の収録素材 NTSC 60Hzフレームレートの課題● ヨーロッパ/アジアの制作文化の異なりにより均一でない
映像素材フォーマットに関する課題ウォッチフォルダ形式の変換システムを開発● 作業者は変換を意識せずにフォルダにアップするだけで完結ストレージアップロードinput/変換元ファイル .mov変換素材の利用トランスコードoutput/変換後ファイル .mxf変換inputoutput変換元ファイル.mov変換後ファイル.mov編集者イベントフレームレート変換
AWS Cloud映像フォーマットに関する課題Amazon S3output bucketAWS ElementalMediaConvertAmazonEventBridgeAWSLambdaAmazon S3input bucketAWSLambdaAmazon SNS映像変換ワークフローの構築● AWS Elemenatal MediaConvertによるスケーラブルで高速な変換● AWS Workspsaces と連携することによりダウンロードなしでの作業invokeuploadvideouploadconvert videoconvertconfigAWS StorageGateway
オフライン編集支援素材管理環境・変換における環境を提供し、以下の利用実績を構築素材管理 素材容量 203.5 TBVDI環境 Max 15台映像変換 変換した件数 2,660件変換尺 約195時間平均変換速度 1.0x (実尺と等倍)平均キュー待ち時間 30秒未満
納品改善
納品改善既存フローの納品速度の課題● 変換・QC(Quality Control)の作業工数大○ 変換システムの速度○ 納品のイレギュラーに対応するためQCの厳密性を重視映像尺 想定ケース 変換マニュアルQC(映像プレビュー etc…)1分尺 みどころ 7分 1分10分尺 試合ハイライト 16分 5分20分尺 デイリーハイライト 28分 10分
納品改善入稿規定 & ソフトウェアの固定化● Adobe Premiere Pro を採用コンテナ(ファイル拡張子) MOV映像 コーデック ProRes422レゾリューション 1920×1080ピクセル縦横比 1:1(正方形ピクセル)フィールド周波数 59.94Hzフレームレート 29.97fpsスキャンタイプ インターレースフィールドオーダー トップフィールドファースト(奇数を先に表示)音声 コーデック リニアPCMサンプリングレート48kHzビット深度 16bitトラック数 4Trackチャンネル構成 1CH モノラル
納品改善アップロード従来の工程 : QCの厳密性 ◎ / 時間 ▲トランスコード自動QCマニュアルQC完パケ今回実現した工程 : QCの厳密性▲ / 時間 ◎アップロード トランスコード自動QC完パケ速度を優先する自動QCを前提としたワークフロー設計
AWS CloudAWS Step FunctionsTranscode WorkflowQC Workflow納品改善Amazon S3output bucketAWS ElementalMediaConvertAmazonEventBridgeAWSLambdaAmazon S3output bucketAWSLambdaAmazon EC2AWSLambdaAmazon S3output bucketVideo FileNotify・I/P変換・ロゴ入れ・フォーマット変換QC + トランスコードを行うクラウドワークフローQC Result
納品改善想定ケース 従来フロー 新フロー1分尺 みどころ 8分 2分10分尺 試合ハイライト 21分 6分20分尺 デイリーハイライト 38分 12分● 速報性を重視するワークフローのステップ設計● AWS MediaConvertによる変換速度の大幅改善従来フローに対して大きな速度改善を達成した
クラウドVDIVDI外部拠点ABEMAスタジオ構築した制作フロー全体素材管理システム編集者編集者映像素材収録サーバーMA変換ワークフロー納品ワークフローFIFA素材・フレームレート変換・インタレース➡プログレッシブ変換・ABEMAロゴ入れ・フォーマット変換編集ソフト編集ソフト編集ソフト
今後の取り組み
今後の取り組み1. 制作における更なるクラウドの活用3. より高速なワークフローの構築2. 映像制作に対するAI領域の活用