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ITエンジニアが学ぶ「ティール組織」概要 / IT Engineer learns "Teal organization" summary

ITエンジニアが学ぶ「ティール組織」概要 / IT Engineer learns "Teal organization" summary

2019/3/22 インフラ勉強会

Daichi Yamaguchi

March 22, 2019
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Transcript

  1. 自己紹介 氏名: 山口 大地(Yamaguchi Daichi) Twitter: @dayamaguchi1 • 専門領域 ◦

    VMware/AWSのOS(Win,Linux)〜ミドルウェアの設計・構築・運用 ◦ 物理サーバの選定などもSQLServer/PostgreSQL/MySQLも少々 ◦ 最近はDocker多め ◦ 最近読んだ技術書:監視 入門 • 名古屋を盛り上げていきたい人
  2. 資料の流れ • 本紹介 • 既存の組織モデル ◦ 各組織モデルの詳細説明 • ティール組織の説明 ◦

    ティール組織の軸となる考え方 ▪ 自主経営(セルフマネジメント) ▪ 全体性(ホールネス) ▪ 存在目的 ◦ ティール組織が考える正しさ ◦ 軸の具体的説明 • ティール組織と既存組織の比較 • まとめ
  3. ティール組織の本について簡単に紹介 • 「ティール組織 マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出 現」 ◦ 原題:Reinventing Organizations ◦ Frederic Laloux(フレデリック

    ラルー)著作 • 経営層向けの本であり、技術書ではないです ◦ なので、エンジニアが読んでも直接の成長には繋がりません • 本めっちゃ分厚い。縦に立ち上がる系 • Kindleの平均読了時間は12時間16分。長い • それでも5万部売れており、かなりの発行部数と言える
  4. 色 フリガナ 事例 主な特徴 発生時期 レッド 衝動型 マフィア、ギャング 役割分担 指揮権限

    約1万年前 (部族社会) アンバー 順応型 カトリック教会、軍 隊、行政機関、公立 学校 安定した大きな組織 階級 プロセス(長期的視 線) 紀元前4000年 (メソポタミア) オレンジ 達成型 多国籍企業 イノベーション 説明責任 実力主義 18世紀半ば (産業革命期) グリーン 多元型 文化重視の組織 権限の移譲 価値観を重視 20世紀 (現代) ティール組織以前の組織モデル 「無色」と「マジェンタ(神秘)」もあるが、原始的な組織モデルのため割愛
  5. 衝動、順応から達成への突破口 • イノベーション ◦ 旧来のピラミッド構造+横断的な部門(研究開発、マーケティングなど) • 説明責任 ◦ 目標管理 ▪

    トップが全体の方向性を決め、トップより下の人員が目標を達成する。自由度の確 保 • 実力主義 ◦ 実力があれば出世できる ▪ 人種や年齢などは持ち込まれず、「人的資源」のみが重要視される ▪ 社会的な公平性
  6. • 目標設定にサンドバッギングゲームが発生する ◦ 最初から達成できるかわからない高い数字を提示せず、なるべく低い数字を 出すことで、「達成」するという行為 ◦ 「達成すること」が本来の目標と擦り変わる • 成果主義により合理性が強調され、弱みを外に見せれない状 況に陥る

    ◦ 「感情」は捨て置かれ、有能か、成功しそうかといった見かけだけが判断対象 になる ◦ 人間関係よりも業務遂行が優先される • イノベーションが行き過ぎ、ニーズのために、ではなくニーズを 作り始める • 成長と利益だけが重要になってしまう
  7. スタッフ機能とは • 大組織では多数のスタッフ機能を専門とする部門を用意して いる ◦ 人事 ◦ 戦略 ◦ 法務

    ◦ 財務リスク管理 ◦ etc... • スタッフ機能を担う人は、ルールや手続きを改正したり、専門 技術を積み上げたりして、解決すべき問題に対して価値を示 す。
  8. なぜスタッフ機能があるのか? • 効率性を期待できる(と、信じられている) ◦ 実際には、金銭面の効果は見積もれるが、それによって生じるモチベーション の低下は数値に表せない • 経営幹部は現場で働く従業員をコントロールしている感覚を持 てる ◦

    実際にはコントロールは幻想であることが多い ◦ よかれと思ったルールが逆効果を生むことも大いにある ▪ 結果として現場がルールを無視する ▪ 手続きをうまく回避する方法を編み出す
  9. ティール組織の置けるスタッフ機能 • スタッフ機能は極力小さくし、チームに権限委譲する • 自分達で解決する ◦ チームごとに採用権や決裁権などが与えられている ◦ 戦略やマーケティングも自分達で決める •

    最小限のスタッフ機能をもつ部門は存在するが、意思決定権 をない。サポートに徹する • ルールによる統制ではなく、相互信頼における統制を効かせ ていく
  10. 自主経営ではない組織が思う労働者像 • 労働者は怠け者であり、見張られていないと勤勉に働かない • 労働者はお金の為に働く。たくさんのお金を稼ぐために必要なことをする • 労働者は組織にとって何がベストかよりも、自分の利益を優先させる。 • 労働者は自分さえよければよいと思っている •

    労働者は繰り返し可能な単純作業をする場合に最も効率的に働き、最も高い成果 を上げる • 労働者には会社の業績に影響を及ぼすような重要な問題について正しく判断する 能力が無い • 労働者は会社の業績に影響を及ぼすような重い仕事をしたがらない
  11. ティール組織を体現している(いた)組織 組織名 事業 国 従業員数 形態 AES エネルギー グローバル 40,000

    営利 ビュートゾルフ ヘルスケア オランダ 70,000 非営利 ESBZ 学校 ドイツ 1,500(生徒数) 非営利 FAVI 金属メーカー フランス 500 営利 ハイリゲンフェルト メンタルヘルス病 院 ドイツ 600 営利 モーニング・スター 食品加工 アメリカ 400〜2,400 営利 パタゴニア アパレル アメリカ 1,350 営利 サン・ハイドローリックス 油圧部品 グローバル 900 営利 RHD 人事 アメリカ 4,000 非営利
  12. 達成型組織とティール組織の違い オレンジ ティール 目的 組織の存続 存在目的を果たす 戦略 トップが決定 自主経営する従業員の集団によって自然発生 意思決定

    競争に如何に打ち勝つか 誰もが決定権を持つ 競合他社 敵 共存 利益 最重要 正しいことをすればついてくる 計画 完璧 予測と統制 実用的な解決策と迅速さ 目標数値はない 個人の目的 ない 個人の目的と会社の目的の交差点を探す
  13. おまけ インフラ勉強会でのコメント抜粋 • 「ずっと目標達成中だけど意味ある?」は去年いろんな部署に言ったなあ… • ニーズを作るって家電の要らない追加機能みたいなのを連想します • イメージだけで言うとアジャイル開発っぽい • 良し悪しではなく適してるかどうかが大事ですね •

    プロジェクト毎にも組織ありますもんね • 最後のグリーン型についてはherbermasという人の組織論に関する本読めばわか るかなぁ • 権力を悪用するひとがいたとしても、それを防ぐ権力もまた存在する、という状況か
  14. おまけ インフラ勉強会でのコメント抜粋 • 奪われる→怒り の感情地図 • 運用で回避的なのが蔓延する原因… • 営業と非営業がバチバチ • 「権限委譲」これがな・・責任取りたくない人もいるし、これが組織を変える勇気なの かな

    • 権限よこせ、でも責任はとらん、っていう管理職がなあ… • ひょっとしたら、欲しいのは権限というより自分の安心感なのかもしれないですね • 「労働者は怠け者、見張られていないと働かない」ってリモートワーク否定派からよ く出る意見な気がする
  15. おまけ インフラ勉強会でのコメント抜粋 • 本当に私がしたいことは仕事をしたくないのだ • 「正しい」を判断するのは誰か な問題も • 「正しさ」は組織によって変わるのか • ティール的には「正しい」を判断するのは自分ってことになるんだろうなぁ

    • 他者を理解するってのは、どういう軸での正しさを言っているのかの理解は必須な んでしょうね • ティール組織って理想的に見えて、自分たちでやらないといけない分、実はタフな やり方なのかもしれない • 上司が自ら変ってくれると変わりやすいんですけど現実はそうはなかなかいかない ですね。。
  16. おまけ インフラ勉強会でのコメント抜粋 • 他人は変えられない、自分が意識を変えるしかないです • 上司のデスクに そっと 参考書籍を置いておくくらいしか案が浮かんでこない... • ボトムアップでは組織は変えられないから、やはりトップダウンでやるしかないです かね

    • 社員の幸せと言われて現実との乖離をかんじたら辛い • 管理職といっても、ファシリテーターみたいな役割化しちゃえばいい気もしますね • 役割分担はあるけど階層化はしていないのね