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JIRAとGASで半自動化!カンバンメトリクス

男爵
September 18, 2021

 JIRAとGASで半自動化!カンバンメトリクス

XP祭り2021で登壇した内容です。
https://confengine.com/conferences/xp2021/proposal/15831/jiragas

男爵

September 18, 2021
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Transcript

  1. JIRAとGASで半⾃動化!
    カンバンメトリクス
    XP祭り2021 @ Online
    @dnskimox

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  2. Contents
    2
    カンバンと制約理論
    スループット、サイクルタイム、プロセスサイクル効
    率、累積フロー、Google Sheets
    メトリクスのグラフ化
    方法論としてのカンバン、制約理論、WIP制限
    ドラム・バッファ・ロープ、バリューストリームマッ
    プ、Google App Script
    さらに複雑な値を求める
    1
    2
    3

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  3. 男爵 Tanga Kenichi
    @dnskimox
    3
    Scala Engineer
    Salesforce Engineer
    Engineering Manager
    クラウド販売管理・クラウド請求管理ソフト
    ● 2020/02 Object-Oriented Conference
    ● 2020/10 ScalaMatsuri 2020
    ● 2021/03 PHPerKaigi 2021
    近年登壇したカンファレンス

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  4. 1. カンバンと制約理論
    方法論としてのカンバン、制約理
    論、WIP制限

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  5. お馴染みのカンバンボード

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  6. 方法論としてのカンバン

    ただのタスクボード
    6

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  7. “あらゆるシステムに同時に1つ(場合に
    よっては2つ)の制約が存在すると考える。
    システム全体のスループットを改善するに
    は、最初に制約を見つけなければいけな
    い。次に、その制約が最大限に稼働してい
    ることを確認する。”
    7
    制約理論(TOC)
    ̶ 『エクストリームプログラミング』

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  8. 制約理論の提唱者
    エリヤフ・ゴールドラット
    イスラエルの物理学者。「ザ・ゴール」「ク
    リティカルチェーン」などのビジネス小説を
    発表。
    8
    https://en.wikipedia.org/wiki/Eliyahu_M._Goldratt

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  9. ボトルネックを最⼤限活⽤する
    9
    制約理論の要点 その1
    *詳しくは後ほど

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  10. コストワールドから
    スループットワールドへ
    10
    制約理論の要点 その2

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  11. 製造業における2つのパラダイム
    11
    コストワールド
    各工程での能率を最大限にまで引き
    上げることを求める。ボトルネックの手
    前には在庫が積み上がり続け、結果と
    して価値を生み出さない在庫の管理コ
    ストを支払う羽目になる。
    スループットワールド
    一定期間内に出荷される製造物の価
    値を高めることを求める。各工程での
    能率には大きな関心を持たない。ボト
    ルネックに着目した、選択と集中のプ
    ロセス。継続的なカイゼン。
    部分最適 全体最適

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  12. ソフトウェア開発に当てはめると
    12
    コストワールド
    「いかにしてメンバーの稼働率を上げ
    るか」「どれだけ多くのタスクを消化さ
    せるか」という観点の詰め込み型のマ
    ネジメント。
    例)ガントチャートを使って全員に隙間
    なくタスクをアサインする
    スループットワールド
    「チームが単位時間あたりに生み出すビ
    ジネス価値をいかにして増やすか」という
    点に焦点を当てたマネジメント。むしろゆ
    とりが必要と考える。
    例)タイムボックス毎のベロシティの推移
    を見るスクラム
    コマンド&コントロール? 自己組織化?

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  13. “過剰なマルチタスクを避けるためと、後続のプ
    ロセスに負荷をかけすぎないためだ。もし、テ
    スターたちが大量のやるべき作業を抱えてい
    たなら、開発者が新しい機能を開発し続けて、
    テスターの仕事をさらに増やすのは避けたい
    はずだ。”
    13
    仕掛り(WIP)制限
    ̶ 『リーン開発の現場』
    *今回は概念の紹介に留めます

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  14. JIRAのWIP制限機能

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  15. 2. メトリクスのグラフ化
    スループット、サイクルタイム、プロセスサイクル
    効率、累積フロー、Google Sheets

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  16. “1ヶ月などある決まった時間内にデリバリーされ
    た項目数、あるいは何らかの価値指標でレポート
    が示されるべきである。(中略)カンバンシステム
    (チームや組織)がどのようなパフォーマンスを発
    揮しているかの指標として、常時改善が行われて
    いるかを示すのに使用される。”
    16
    スループット
    ̶ 『カンバン ソフトウェア開発の変⾰』

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  17. ソフトウェア開発におけるスループットとは?
    17
    ストーリー
    ポイント
    プランニングポーカーな
    どで求めた、「ストー
    リーの相対的な規模」を
    表すポイント
    ファンクション
    ポイント
    データの入出力やデー
    タ項目数から機械的に
    求めた、「機能の規
    模」を表すポイント
    ユースケース数
    ユーザー(アクター)
    とシステムの相互作用
    を表すシナリオの数。

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  18. 前提となるJIRAプロジェクトの設定

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  19. 今回取り上げるワークフロー

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  20. 1. リリース済みの課題を検索する
    2. 1の結果をGoogle Sheetsとしてエ
    クスポートする
    3. 「解決日」を条件として、計測日
    毎に累計解決数をCOUNTする
    4. 前回からの累計解決数の差分をス
    ループットとする
    5. 「複合」グラフを生成する
    20

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  21. 1. リリース済みの課題を検索する
    2. 1の結果をGoogle Sheetsとしてエ
    クスポートする
    3. 「解決日」を条件として、計測日
    毎に累計解決数をCOUNTする
    4. 前回からの累計解決数の差分をス
    ループットとする
    5. 「複合」グラフを生成する
    21

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  22. 1. リリース済みの課題を検索する
    2. 1の結果をGoogle Sheetsとしてエ
    クスポートする
    3. 「解決日」を条件として、計測日
    毎に累計解決数をCOUNTする
    4. 前回からの累計解決数の差分をス
    ループットとする
    5. 「複合」グラフを生成する
    22

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  23. “ある作業が完了するまでにかかった時間を意味
    している。(中略)こういった情報を可視化し始め
    ると、ほとんどすべての会社で同じような恐怖を
    みんなが体験する。だいたいの場合、開発の経
    過日数は、実際の作業日数より5倍から10倍長く
    なる。”
    23
    サイクルタイム
    ̶ 『リーン開発の現場』

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  24. “「ねえ、機能Xの作業日数は2日だけだったの
    に、ボードを横切るのには20日もかかっている
    ぞ! これだとプロセスサイクル効率は10%で
    しかない」(中略)この数値を上昇させること
    は、無駄の発見や無駄を取り除くいい手段にな
    る。”
    24
    プロセスサイクル効率
    ̶ 『リーン開発の現場』

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  25. プロセスサイクル効率

    プロセスタイム ÷ サイクルタイム
    25
    実際の作業日数

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  26. ワークフローにバッファステージを設ける
    着手待ち、在庫

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  27. https://marketplace.atlassian.com/apps/1211756/time-in-status

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  28. 28
    1. Time In Statusでステージ毎の滞在
    日数を表示する
    2. 1の結果をCSV形式でエクスポート
    し、Google Sheetsに貼り付ける
    3. 課題毎にサイクルタイム、プロセス
    タイム、プロセスサイクル効率を求
    める
    4. 「複合グラフ」を生成する

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  29. 29
    1. Time In Statusでステージ毎の滞在
    日数を表示する
    2. 1の結果をCSV形式でエクスポート
    し、Google Sheetsに貼り付ける
    3. 課題毎にサイクルタイム、プロセス
    タイム、プロセスサイクル効率を求
    める
    4. 「複合グラフ」を生成する

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  30. 30
    1. Time In Statusでステージ毎の滞在
    日数を表示する
    2. 1の結果をCSV形式でエクスポート
    し、Google Sheetsに貼り付ける
    3. 課題毎にサイクルタイム、プロセス
    タイム、プロセスサイクル効率を求
    める
    4. 「複合グラフ」を生成する

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  31. “状態ごとの作業量を示す面グラフである。
    (中略)線を垂直に結んだ高さが、その日に
    おける仕掛りの量を示している。(中略)水平
    方向の距離が、ユーザー機能の開発から終
    了までの平均リードタイムである。”
    31
    累積フロー
    ̶ 『カンバン ソフトウェア開発の変⾰』

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  32. https://support.atlassian.com/ja/jira-software-cloud/docs/view-and-under
    stand-the-team-managed-cumulative-flow-diagram/

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  33. 順次増えていく組み込みのレポート機能

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  34. 3. さらに複雑な値を求める
    ドラム・バッファ・ロープ、バリューストリームマップ、
    Google App Script

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  35. ボトルネックを最⼤限活⽤する
    35
    制約理論の要点 その1

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  36. “先頭の兵隊といちばん歩くのが遅い兵隊、
    つまりボトルネックとをロープで結ぶんです。
    (中略)必要な量の仕掛り在庫がボトルネッ
    クまで流れていって溜まるようにしてあげれ
    ばいいんです。”
    36
    ドラム・バッファ・ロープ
    ̶ 『クリティカルチェーン』

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  37. http://www.lean-manufacturing-japan.jp/words/dbr.html

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  38. ボトルネックの手前に適切な
    サイズのバッファを設ける
    38

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  39. “プロダクトの価値がお客様の手に渡
    るまでの仕事の流れを見える化するた
    めのプラクティスだ。流れの中で、付
    加価値が生まれ、プロダクトが滞りな
    く実現に向けて動いていけるのかを確
    認する。”
    39
    ̶ 『カイゼンジャーニー』
    バリューストリームマップ

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  40. 40
    1. スループットのグラフに使った課題一
    覧のシートを用意する
    2. サイクルタイムのグラフに使ったス
    テージ毎の滞在日数のシートを用意す

    3. Google App Scriptを使って2つのシー
    トの情報を結合し、「解決日」が特定
    の期間内である課題の各ステージの平
    均滞在日数のを求める
    4. バリューストリームマップを描く(手
    動)

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  41. 41
    1. スループットのグラフに使った課題一
    覧のシートを用意する
    2. サイクルタイムのグラフに使ったス
    テージ毎の滞在日数のシートを用意す

    3. Google App Scriptを使って2つのシー
    トの情報を結合し、「解決日」が特定
    の期間内である課題の各ステージの平
    均滞在日数のを求める
    4. バリューストリームマップを描く(手
    動)

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  42. 1. スループットのグラフに使った課題一
    覧のシートを用意する
    2. サイクルタイムのグラフに使ったス
    テージ毎の滞在日数のシートを用意す

    3. Google App Scriptを使って2つのシー
    トの情報を結合し、「解決日」が特定
    の期間内である課題の各ステージの平
    均滞在日数のを求める
    4. バリューストリームマップを描く(手
    動)
    42

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  43. 43
    1. スループットのグラフに使った課題一
    覧のシートを用意する
    2. サイクルタイムのグラフに使ったス
    テージ毎の滞在日数のシートを用意す

    3. Google App Scriptを使って2つのシー
    トの情報を結合し、「解決日」が特定
    の期間内である課題の各ステージの平
    均滞在日数のを求める
    4. バリューストリームマップを描く(手
    動)

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  44. 実装準備完了
    実装中
    QA準備完了
    QA中
    リリース準備完了
    リリース済み

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  45. 想像できるメトリクスは大体取れる
    その他の計測すると良さそうなメトリクス
    ● 実際の仕掛りの課題数の推移
    ● サイクルタイムのばらつき
    ● 課題タイプ毎のサイクルタイムの違い
    ● レビューやQAのステージからの手戻り率
    ● etc…

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  46. 1. ワークフローにバッファステージを設ける
    2. 各ステージの滞在時間を記録する
    3. JIRAのフィルター機能で課題を抽出する
    4. Google Sheetsでグラフを描く
    5. 表計算しづらい値はGASを使って算出
    カンバンメトリクス計測の基本的な流れ
    定期作業は二週間に一回、 10分程度

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  47. Does anyone have any
    questions?
    @dnskimox
    男爵が書く
    47
    Thanks!

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  48. 参考文献
    ● エクストリームプログラミング | ベック,ケント, アンドレス,シンシア, Beck,Kent,
    Andres,Cynthia, 征典, 角
    ● カンバン ソフトウェア開発の変革 Improving Service Delivery in Technology Business
    ● リーン開発の現場 カンバンによる大規模プロジェクトの運営
    ● クリティカルチェーン ―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか ?
    ● カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで
    ● Eliyahu M. Goldratt - Wikipedia
    ● チーム管理対象累積フロー図を理解する | Jira Software Cloud | Atlassian サポート
    ● DBR(ドラムバッファロープ )理論
    48

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