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現役スタートアップCTOが解説する、ソフトウェア開発という仕事の理論・実践・キャリア

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 現役スタートアップCTOが解説する、ソフトウェア開発という仕事の理論・実践・キャリア

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Fujimura Daisuke

July 02, 2025
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  1. 藤村大介 STORES 株式会社 CTO • Web開発全般とマネジメント、技術戦略を担当 • プログラミングとその理論が大好きな、技術よりのCTO • ダイバーシティの取り組みに中心メンバーとして活動

    • 学生時代は分析哲学や法哲学、政治理論をやっていた ◦ ジェンダー・ダイバーシティの改善に積極的に取り組ん でいるのはこれがきっかけでもある @fujimura 自己紹介 @ffu_
  2. 人間特有のもの:産業 5 • スマートフォンができるまで ◦ 部品を作る人、組み立てる人、ソフトウェアを開発する人、販売する 人、修理する人などなど ◦ この営みが「産業」 •

    人間の生活に必要なものを分担して作る営み ◦ それぞれの人が得意な分野で貢献し、その対価として賃金を得る → その賃金で自分に必要なものを購入する ◦ この循環が、社会を豊かにしている • これからは作る側で関わることになる
  3. 産業を作るテクノロジー:会社 8 • 17世紀に本格的に発展した技術 ◦ 17世紀の東インド会社の設立が本格的なはじまり ◦ 所有権を小さな単位(株式)に分割し、多数の投資家からの資本調 達を可能にしたことが最大のイノベーション ◦

    規模な事業展開やリスクの高い挑戦が可能になった • 19世紀以降、進化と整備が進む ◦ 投資家のリスクを限定的にし、同時に利益の分配を可能にしたこと で、経済活動に参加する人が増える ◦ 結果、産業全体の成長と革新が加速した
  4. 市場:会社たちのプレイグラウンド 9 By Government of Thailand - Flickr, CC BY

    2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=26323593
  5. 市場:会社たちのプレイグラウンド 10 • 競争と協力、変化のプレイグラウンド ◦ 大企業から新興のスタートアップまで、様々なプレイヤー ◦ それぞれの製品、戦略で顧客の需要を満たそうと努力する ◦ 競争があり、協業がある

    ◦ 技術は進化し、世界情勢は変化し、消費者のニーズは変わる • 変わっていくゲーム:規模からイノベーションへ ◦ 20世紀後半までは規模 ◦ いまは速度とイノベーション ▪ 情報化社会 ◦ 社会的責任、環境への配慮
  6. 市場の楽しみ方 社会人編 11 • 生産者=プレイヤーとして参加することになる ◦ 学生時代は主に消費者 ◦ 働くことは市場へのプレイヤーとしての参加 •

    この世界の「作り手」へ… ◦ 自分の労働や創意工夫を通じて、社会を作る ◦ 社会参加でもある ▪ 対価を得るだけではない(と藤村は思っている) • 世界の “Edge” を走る ◦ 実は多くの会社がまだ世にないものを作っている ◦ 作ることで、世界の先端を感じ、理解することができる
  7. いままでのまとめ 13 • 産業 ◦ 人々が協力して社会に必要な製品やサービスを提供する活動 • 会社 ◦ 近代に生まれた、産業と人間社会の進化を支えるテクノロジー

    • 市場 ◦ 会社たちが競争し協力するプレイグラウンド、イノベーションが成功 の鍵 • これらに参加すること ◦ 産業ひいては社会を作る側になる。世界のEdgeを感じられる
  8. いままでのまとめ 15 • 産業 ◦ 人々が協力して社会に必要な製品やサービスを提供する活動 • 会社 ◦ 近代に生まれた、産業と人間社会の進化を支えるテクノロジー

    • 市場 ◦ 会社たちが競争し協力するプレイグラウンド、イノベーションが成功 の鍵 • これらに参加すること ◦ 産業ひいては社会を作る側になる。世界のEdgeを感じられる
  9. ところでどんな産業があるの? 17 産業分 類 定義 例 第一次 産業 自然から直接資源を得る産業 農業、林業、漁業、畜産業

    第二次 産業 原材料を加工して製品を作る産業 自動車製造、電子機器製 造、食品加工 第三次 産業 サービスを提供する産業 小売業、金融業、運輸業、 教育 第四次 産業 情報・知識・技術を活用して高付加価 値を生み出す産業 ソフトウェア開発(我々はこ こ)
  10. ソフトウェア開発という仕事の特徴 19 • ソフトウェアは多くの場合、はさみやペンチと同じく道具ではある。しかし 物理的な道具とは大きく違う • 作ったあとの製造・流通コストがゼロに近い • 既存資産が再利用できるように作られている ◦

    OSSという仕組み ◦ 例:Linuxシステムコール、Web API • つまり:一人の人間の書いたコードをが社会を変化させる可能性があ る ◦ LinuxもRubyも、もとは一人の人間が書いたもの ◦ GoogleもInstagramも、もとは数人のエンジニアが作ったもの
  11. 現代のソフトウェア開発、具体的な仕事(1) 25 • 企画 ◦ スプリントプランニング ◦ ふりかえり ◦ 計画とアーキテクチャや技術戦略の議論

    ◦ STORESだと2週間に一回、ほぼ一日を費やしてやっている • 実装 ◦ イシュードリブン ◦ 小さいプルリクエスト ◦ 試行錯誤 ◦ 考える時間もある
  12. 現代のソフトウェア開発、具体的な仕事(3) 27 • 障害対応 ◦ 障害は必ず起こる ◦ 対応の流れ ▪ 検知、招集

    ▪ 暫定対策 ▪ 収束、報告 ▪ 恒久対策、ポストモーテム • STORESでも大小あわせて起こっている。割り込みでこれをやる。 腕の見せどころでもある
  13. アドバイス1:キャリアは投資 32 • 仕事は事業で求められる成果を出す営みである一方、自らの能力 を向上させる機会にもなる ◦ それによって社会とつながる営みでもある • 週5回 *

    一日8時間 = 一ヶ月160時間をどう使うかは、その後の自 分のキャリアの何に投資するかの選択でもある • 20代の成果と能力蓄積で、30代にできることが変わる ◦ その後もこれが続く • 何に資源(主に時間)を投下し、何を得るかを考えるとよい
  14. アドバイス3:変わらないものを学ぶ 34 • 変わらないもの(耐用年数の高いもの)に投資する ◦ フレームワークの使い方と、決定性有限オートマトン、計算機の 仕事を50年やるなら、どちらが長く使えるだろう? ◦ でも、すぐお金を稼げるのはフレームワークでは? ◦

    両輪で学べるとよい ◦ 耐用年数の長い知識の習得は時間がかかるので、気長に • 藤村のチョイス ◦ プログラミング言語理論を時間かけて学んだ。私大文系には ハードだったけど、知的広がりと、プログラミング言語にまつわ る様々なことの原理的理解が得られた
  15. なんにせよ必要(だと藤村が思っているもの) 36 • 情熱 ◦ 好奇心、愛、執着、こだわりを持てるものを探す ◦ 別に人生賭けるレベルでなくてもいい。これはやっぱ好きだな、 くらいでもよし ◦

    情熱は一番貴重な資源。これがあると、無限に精神的な動力と 集中力を得られる。不得意はやっていればうまくカバーする方 法が見つかる • 意思決定 ◦ 情熱が見つかって、円の交わりが概ね見えたら、そこに向かうと 自分で決める。そして進む ◦ ここまで来たら、あとは「やれるまでやればできる」
  16. Connecting the Dots 37 • とはいえ、常に合理的なキャリア選択をしてきたわけではない • 情熱と合理性だと、情熱を選んでいた。実利よりも知的探求を優先 している •

    けど、これがあったから今CTOをやっているのだと思う ◦ マクロに・抽象的に物事を捉え、具体的な戦略に落とし、実行す る力は哲学で鍛えた抽象度の反復横跳び力が活きた • 実際の人生における「キャリア形成」は、情熱と合理の行き当たり ばったりな辻褄合わせだった ◦ 人間や人格というのは、こうやってできるものなのかもしれない
  17. みなさんへ 38 • みなさんの人生でこれから起こること ◦ 産業や市場経済というゲームのプレイヤーになる ◦ ゲームのルールを知ると、納得してうまくやれる ◦ 面白いし、喜びもあるよ!

    • アドバイスしたいこと ◦ キャリアは投資。情熱と合理をかけあわせて意思決定する ◦ 一番大切なのは情熱。自分の内なる声に耳を傾けて、様々なこ とを感じて、様々なことを学んで、幸せな社会人生活を歩んで欲 しい ◦ 今日の話がなにかのヒントになったら嬉しいです